これはガンダムに愛された少女の物語   作:ロボっピ

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今回は短めです


14話 フレイの選択

無事、第八艦隊と合流したアークエンジェルはハルバートン提督達に挨拶を済ませ、隊員達は民間人をシャトルに乗り移るよう動いていた

 

『……』

 

「マリエどうしたの?元気ないけど」

 

『え?…別にいつも通りだよ?』

 

やっとこの艦を降りられるというのに暗い顔をしていたマリエにキラが声を掛けると、マリエは何でもないと笑顔を向けた。だが、その笑みは少し引き攣っていて無理している様に見えたキラは何かあったのかと心配していると、部屋のドアが開いた

 

「失礼するわ」

 

「マリューさん!?」

 

どうして此処に?と驚くキラにマリューは「キラ君と話がしたくて」と笑いかける

 

「もう、そんな疑うような顔しないで!…ま、無理もないとは思うけど」

 

「はぁ…」

 

「私自身、余裕がなくて貴方とゆっくり話す機会を作れなかったから。その、一度ちゃんとお礼を言いたかったの」

 

『それなら、私はちょっと席を外すね』

 

「マリエ?」

 

話を聞いていたマリエは気を使って部屋を出ようとするが、いつもと様子が違うマリエをキラは1人にさせたくなかった

 

「いいのよ!気を使わなくて」

 

「そうだよ。マリエが態々部屋を出て行かなくても…!」

 

『ううん、丁度ミリアリア達の所に行こうとしてたんだ。帰る前に仲直りしたいからさ』

 

そう言えば、ラクスをザフトに帰したあの日からマリエがミリアリア達と話す姿を見ていない。いつも通り話すのはトールだけで、あれだけ仲が良かったミリアリアはマリエを避けている様だったし……

 

『それじゃマリューさん、さよなら。キラも、またね』

 

手を振って、部屋を出ていくマリエ。バタンっとしまったドアの音が響き、キラとマリューは困惑した表情で顔を見合わせた

 

 

 

 

『あーあ。駄目だな、私…』

 

キラとマリューさんを困らせちゃった…

 

ストライクと話をしてからずっと暗い気持ちを引きずってしまっている。折角、艦を降りるというのにこのままだと空気を悪くしちゃうよね

 

しっかりしなきゃ!と、マリエはパチンっと両頬を叩き、喝を入れる

 

『よし!』

 

もう大丈夫!と心の中で呟いていると、〈トリィ!〉と鳴きながらマリエの肩にトリィが止まった

 

『トリィ!ついて来たの?』 

 

〈トリィ!トリィ!〉

 

頬に擦り寄ってくるトリィに擽ったいよと笑う

 

よかった。今度は自然に笑えた

 

さっきは自分でも分かる程に下手な笑みを浮かべていたから、きっとキラに心配をかけてしまっただろう。後で謝っておこう

 

「よ!嬢ちゃん」

 

『フラガさん!』

 

ポンっと背後から肩を叩かれ、後ろを振り返ると軽く片手を上げたフラガが立っていた

 

「坊主と一緒じゃないのか?」

 

『キラは今、マリューさんとお話ししています」

 

「そうなのか。最後に別れの挨拶でもと思ったんだが…」

 

『あの!』

 

「ん?どうしたんだ?」

 

『キラからよく、フラガさんに助けられたって話を聞きます。キラのこと気にかけてくれてありがとうございました』

 

アルテミスの件や裁判でキラを弁護した時だけじゃない。同じ戦場に立つ仲間の存在がいるだけでも、キラはフラガに救われていた

 

頭を下げるマリエにフラガは困った様子で頭を掻く

 

「オイオイ…俺はお前達を戦争に巻き込んだ側だぞ?だが……ハハッ、若い子にそう言われるとなんだか照れるなぁ。俺達も嬢ちゃんや坊主達が艦の仕事を手伝ってくれてすごく助かった。ありがとな」

 

小さい子供を褒める様にマリエの頭を撫でるフラガ。一方撫でられているマリエは読めない顔でジッとフラガを見つめていた

 

「そうだ、副艦長がお前らの除隊許可証を持って探している筈だ。行ってこい」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

フラガに言われた通り、除隊許可証を持っているナタルを探す事にしたマリエ。自分達のところに来ていないとなると、きっと先にミリアリア達の所に行っているだろうと目星をつけ、居住区の方へと足を運ぶ

 

ミリアリア達と気まずくなり、フレイとも顔を合わせたくなかったマリエはここ数日、キラの部屋で寝泊まりしていた

 

顔合わせたらまた、ミリアリアに逃げられちゃうかな?なんて思っていると、ミリアリア達が寝泊まりしている部屋から話し声が聞こえた

 

「私、軍に志願したいんです!」

 

『!!』

 

この声は、フレイ・アルスターの…

 

「ええっ!?」

 

「フレイ!?何言ってるんだよ!」

 

自分と同じ様にフレイの言葉に驚いたサイ達が声を上げる

 

「何をバカな…」

 

「ふざけた気持ちで言ってるんじゃありません!父が討たれてから私…いろいろと考えました」

 

「では君があのアルスター事務次官の?」

 

「はい。フレイ・アルスターです。…父が討たれた時はショックで…もうこんなのは嫌だ、こんなところに居たくないとそんな思いばかりでした。でも艦隊と合流して、やっと地球に降りられると思った時、何かとてもおかしい気がしたんだです。

 

「おかしい?」

 

「これでもう安心でしょうか?これでもう平和でしょうか?そんなこと全然ない!世界は依然として戦争のままなんです。私…自分は中立の国に居て、全然気付いていなかっただけなんです。父は戦争を終わらそうと必死で働いていたのに…本当の平和が、本当の安心が、戦うことによってしか守れないのなら、私も父の遺志を継いで戦いたいと、そう思ったんです!!」

 

「フレイ…」

 

涙ながらに語るとフレイに寄り添うサイ。彼女の言葉に何か思うことがあるのか皆が顔を俯かせる

 

そして、部屋の外で話を聞いていたマリエは無言でその場を後にした

 

 

 

 

 

 

 

『このままじゃ駄目だ…』

 

マリエはキラがいるであろうシャトルとは反対方向に向かっていた

 

フレイ・アルスターがこの艦に残る。なら、彼女の恋人であるサイもこの艦を降りないだろう

 

そして、他のみんなも…

 

本当に腹が立つ!キラが何を守る為に戦っていたのか、よく考えてから決めてよ!!

 

心優しいキラが、みんなを置いて艦を降りる筈無いのにっ!!

 

結果的にキラはまた、ストライクに乗ってザフトと戦う事になる。友達と戦って傷ついて、辛い思いをしてしまう

 

そんなのは嫌だ!!

 

『マリューさん!!』

 

「マリエさん!?どうしてこんな所に、シャトルに行った筈じゃ…」

 

軍服姿のまま、突入ブリッジに入って来たマリエにマリューや隊員達が驚く

 

『私ッ、此処に残ります!キラの代わりに!私がストライクに乗ります!!』

 

「何を言ってるの!?」

 

もう見てるだけ、守られ続けるのは嫌だ。キラが傷つかない様に私が!!

 

『私はストライクを操縦出来ます!私は、マリエ・ホワイトは、ストライクの初期パイロットです!!!』

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