その後、館内の空いているシェルターを探したがどこのシェルターもいっぱいで入ることが出来なかったマリエ達は結局外にあるシェルターに向かう事にした。外に出た瞬間、目に映ったのは3機のMSの姿だった
思っていた以上に大きい。ニュースの映像で見たことはあっても実物を見るのは初めてだった。あれに襲われたら自分達は一溜まりもないだろう。考えただけでゾッとする
「とりあえずあのMSから離れよう!」
サイの言葉にマリエ達は頷き、戦いに巻き込まれないように出来る限りMSから遠ざかる
逃げ惑う人々を他所に1機のMSがフラフラとゆっくり歩いているのが目に映る
お願いだからこっちに来ないでよ!
そう願いながら必死に走り続けるが、ラボを出た時からずっと走り続け、男子より体力がないマリエとミリアリアはかなりきつい状態だった。段々走るペースが遅くなっていく二人にサイとトールが手を引っ張てくれる
しかし、MSと人間のマリエ達の歩幅は大きく違い何故かザフトの確か、ジンという機体に攻撃されている白と青の装甲をしたMSがマリエ達がいる方向に向かってくる
「きゃああああっ!!!」
「もう駄目だー!!」
私の人生これで終わっちゃうの?
この後に来るであろう衝撃にギュッと目を瞑る
『___っ!』
…あれ、痛くない
何秒経っても衝撃は来ず、目を開くとすぐ目の前にあった筈の白と青のMSが少し離れた場所でジンに体当たりをしていた
『たす、かったの?私達…』
「み、みたいだな」
呆然と目の前の光景を見つめることしかできない
先ほどまでのぎこちない動きが嘘のようにスムーズな動きでMSはジンに攻撃を続ける
機体から2本のナイフを取り出したMSはジンに向かってそれを突き刺した
「やったのか!?」
「ん?…中から誰か出て来た?」
「MSを捨てる気か?…ッ!!マズイ!!自爆する気だ!皆、建物の影に隠れろ!!」
サイの声にマリエ達は急いで近くにあった建物の影に隠れた直後、大きな爆発音が響いた
ドカァン!!
「『きゃあああ!!!』」
とてつもない爆風に耐えきれず、吹き飛ばされる!と思った時、あのMSがマリエ達の壁になるように立ち塞がった
この機体…私達を助けてくれた?
『誰なの…?』
この機体に乗っているのは一体__
〈トリィ!〉
『えっ、トリィ?』
上着のポケットに入れていたトリィが出てきて目の前のMSに向かって鳴き始めた
〈トリィ!トリィ!〉
『まさか、キラなの…?』
〈トリィ!〉
呟いた言葉にまるでそうだと言うようにトリィはまた、大きく鳴いたのだった
〈よかった。みんなが無事で〉
MSから聞こえた声にマリエ達は目を見開く
「この声、まさかあのMSに乗ってるのってキラなのか!?」
「無事だったの!?よかった!」
〈―ごめん、心配かけて。とりあえず、安全な場所に移動しよう。怪我人がいるんだ〉
キラの無事に喜ぶマリエ達はキラの言葉にわかったと頷き、この近くにある広場に移動する事にした
広場に着くとMSはゆっくりとした動作で膝をつくと同時に装甲の色が落ちて灰色に変わる
「え、灰色になった!?電源を落としたのか?」
「わからない。見た事ない機体だ」
するとコックピットが開き、中から腕に怪我をした女性を支えるキラが出てきた
「その人は?」
「地球軍の人。避難できなかった僕を助けてくれたんだ」
「とりあえず怪我の手当てよね。キラは大丈夫なの?」
「うん、大丈夫だよ。みんなも無事でよかった」
「お前が爆破から守ってくれなかったら危なかったぜ。ありがとな!」
「…マリエ?さっきから全然話してないけど、どうしたの?」
「マリエ?」
キラが無事なのを知ってから一言も喋らないマリエを不審に思ったカズイが声をかけると、それを聞いていたキラも同じようにマリエを呼んだその瞬間
『っ!』
マリエはキラに思いきり抱きついた
「マ、マリエ!?」
『馬鹿!』
「うえっ!?」
急な罵倒に間抜けな声を上げてるけどそんなの知るか!
『お人好しなのは知ってたけどあんな非常事態の時にまで発揮するな!』
「うっ」
『しかもキラの宝物のトリィをいきなり頼むって渡してくるし!』
「…」
『…もう、会えないんじゃないかって怖かった』
大切な人がいなくなるのを想像するだけでもこんなにも心が苦しくなるなんて知らなかった
「…ごめんマリエ。心配かけちゃって」
震える背中にキラの腕が回ってきて、キラの温もりが伝わってくる
ああ…私達生きてるんだ
マリエとキラはお互いを強く抱きしめた
その後、暫く抱き合っているとニヤニヤと自分達を見ているトール達に気がつき、慌てて距離をとった
赤い顔を指摘されて、気のせいだと誤魔化しながらマリエは怪我の手当をしているミリアリアに駆け寄る
『その人、大丈夫そ?』
「うーん、気絶してるみたいだけど撃たれたのは左腕だけみたいだしすぐに目が覚めるかも」
『じゃあ、私は水でも持ってこようかな』
「お願い!」
確か近くに自動販売機があった筈
ちょっと行ってくる、とMSに興味津々の男子達に声をかける
「おう!気をつけろよ!…それにしてもこの機体ガンダムっていうのか」
『ガンダム…?』
目の前の膝をついた状態で止まっているMSに目を向け、カズイが言った名前を繰り返すように呟いた時
〈____"マリエ"〉
『え?』
今、誰かに名前を呼ばれた?
辺りを見回しても誰も自分を呼んだ様子はない
じゃあ、一体誰が?
少し悩んでからマリエは首を振る。気のせいかもしれないし。それよりも早く水を買ってこなきゃ
気を取り直してマリエは自動販売機がある方へ向かっていった
『よしっと』
ザフトの攻撃で自動販売機が故障してないか不安だったけど大丈夫みたい
よかったと購入した水を片手に元の広場に戻ると、気を失っていた軍人の人が目を覚ましていた
『水持って来たよー』
「ありがとう、マリエ!」
『はい、どうぞ』
「あ、ありがとう…」
軍人は腕の傷が痛むのか顔を歪ませながらゆっくり起き上がると受け取った水を飲み始めた
「スッゲーな!ガンダムっての!」
「動かないのか?」
「お前ら!あんまりいじるなって!」
声のする方を見ればトールとカズイがいつの間にかコックピットに上り、どうやって動かすのかと操作していた
全くなに遊んでんだかあの二人は、と呆れていると軍人はそれを見た瞬間顔色を変え、胸元から拳銃を取り出した
『え、ちょっと!』
止める暇もなく軍人は空に向かって拳銃を発砲し、銃声が広場に響き渡る。突然の発砲に驚き、動けない状態のマリエ達を気にせずに軍人はトールとカズイにその機体から離れなさいと強く言い放った
「何をするんですか!やめて下さい!彼等なんですよ!気絶した貴女を下ろしてくれたのは!」
怯える彼らを庇うように前に出たキラに軍人は銃口をトール達からキラに向ける
「助けてもらったのは感謝します。でもあれは軍の重要機密よ。民間人が無闇に触れていいものではないわ」
そういうと軍人は銃で脅しながらマリエ達に一列に並ぶように支持した
「一人ずつ名前を」
「…サイ・アーガイル」
「カズイ・バクカーク」
「トール・ケーニヒ」
「ミリアリア・ハウ」
『マリエ・ホワイト』
残ったキラは名前を中々答えなかったが、また軍人に銃で脅され、仕方なさげに名乗った
「…キラ・ヤマト」
「私はマリュー・ラミアス。地球連合軍の将校です。申し訳ないけど貴女達はこのまま解散する訳にはいかなくなりました」
軍人__マリューの言葉にマリエ達はどうしてだと驚きの声を上げる
「事情はどうあれ軍の重要機密を見てしまった貴方方はしかるべき所と連絡が取れ、処置が決定するまで私と行動を共にして頂かざるを得ません」
「そんな!」
「冗談じゃねぇよ!何だろそれは!?」
「僕達はヘリオポリスの民間人ですよ!?中立です!」
納得いかず、マリューに抗議するも彼女は全く聞く耳を持たず、再び拳銃を空に向けて発砲した
何なのこの人。さっきからいうことを聞かなければ銃で脅して。軍人はこんな人ばかりなの?
乱暴な態度のマリューにマリエも怒りが湧くが彼女は気にせず先程よりも強く言い放つ
「黙りなさいっ!何も知らない子供が!中立だと、関係ないと言ってさえいれば今でもまだ無関係でいられる?まさか本当にそう思っている訳じゃないでしょう!?此処に地球軍の重要機密があり、あなた達はそれを見た。それが今のあなた達の現実です」
「そんな乱暴な…」
「乱暴でも何でも、戦争をしているんです!プラントと地球_コーディネイターとナチュラル_あなた方の外の世界ではね…」
目を逸らし続けてきた現実を突きつけられ、何も言えなくなったマリエ達は黙って目の前の現実を受け止めるしかなかった
それからはマリューの指示に従い、サイ達はガンダム__(あのMSはストライクという名前らしい)の武器装備の入ったトレーラーを回収しに、キラは地球軍に連絡を取るために無線を行なっていた
「No.5のトレーラーってあれでいいんですよね?」
「ええ、そうよ。ありがとう」
「それで?この後、僕達はどうすればいいんです?」
「ストライカーパックを。そしたらキラ君もう一回通信をやってみて」
トレーラーの近くにストライクを移動させるとゆっくりトレーラーが開いていく
『凄く大きいんだね』
「そりぁ、MS用の武器だからな。人間用の武器とは比べ物にならないって」
あれってランチャーだよね?凄く強そうだな
その時だった。上空から爆音が響き、煙の立った場所から先程のジンに似たMSとモビルアーマーが入ってきた
『またザフトが攻めて来た!?』
「あれはシグー!?装備をつけて!急いでッ!!」
「は、はいっ!」
マリューはコロニー内に入ってきたシグーを見ると焦った様子でキラに叫び、キラはストライクにパワーパックを装備し、装甲を作動させた
シグーは後ろから追ってきたMAを軽く遇らうと物凄い速さで此方向かって来たその時、シグーの行手を阻むように巨大な戦艦が姿を現した
『今度は何!?』
「ザフトか!?」
「いや、あれはアークエンジェル!!」
マリューが言うには地球軍の戦艦らしい。シグーはアークエンジェルを避け、ストライクにライフルを放つ
「皆伏せて!!」
「!!」
た、助かった…キラが庇ってくれなかったら危なかったかも
特殊な装甲を使っているのかマリエ達を攻撃から守ったストライクには傷一つついていない。冷や冷やしながら戦いを見ているとアークエンジェルとシグーはミサイルやライフルを放ち、外した弾があちこちへ飛び交い、ヘリオポリス内をどんどん壊していく
『こ、このままじゃヘリオポリスが!』
私達の街が!
「じょ、冗談じゃない!!」
ストライクからキラの声が聞こえ、見上げるとシグーを追い返すためかストライクは先程装備したアグニというランチャーを構えていた
「待って!それはッ」
マリューが止める隙もなく放たれたアグニはシグーの片腕を破壊しそのままコロニーの外壁をぶち抜いた
『嘘…』
あんなに威力が高いものだなんて…
戦闘不能状態になったシグーが撤退していく中、マリエ達はアグニで破壊された外壁をただ呆然と見つめることしかできなかった