免罪体質者がPSYCHO-PASSの世界を行く   作:アルトリア・ブラック(Main)

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残酷な描写有り、自分が書いたの読み直して違和感が色々あって困った

そして、メンタルトレースに関してイマイチ脳みそ方理解しない


第13話『喪失・上』

公安局、局長室にて…

 

「なるほど、彼女のデータは非常に興味深い。シビュラ始まって以来の免罪体質者かもしれない」

 

「彼女を何回も呼び出して取り調べさせるなんてどうかしてるわ」

 

常守は局長の皮を被ったシビュラに向けて言う

 

「3回は我々が呼んだものだが、今回は彼女が犯人を独自の推理方法で見つけ、犯人の自殺方法まで特定した。これは前例を探し、模倣する人間がいると確信した。犯人の犯罪係数が上昇しないままの状態は君達も望まないだろう?」

 

「……」

 

何も言わない常守に局長はため息をつき

 

「我々も理解している。犯人だと断定した人間にしか彼女を当てていない」

 

「……それは…」

 

仮に冤罪だとして、彼女と話したことで犯罪係数が上昇したらどんなことになるか分からない。

 

局長はそんな話題どうでも良いのか、モニターの方に顔を向け

 

「ところで君が彼女を怪物だと言ったのは図らずとも当たったと我々は思っている」

 

画面を動かし、常守朱に事情聴取をしている雪絵の様子を見させる

 

「彼女は今、100年以上前に起こった爆破未遂事件、通称『同窓会爆破計画事件』の犯人をメンタルトレースする一方、少年少女連続殺人事件の犯人の心理をメンタルトレースしている」

 

『君のいじめによる復讐はシビュラも情状酌量の余地を与えている。つまりは、君の犯罪行為は正しいと判断してる。私もそれは正しいと思ってる。でもね、爆弾を何処から集めて行ったか教えて欲しいんだ』

 

彼女の話し方が少しだけおかしいことに気づく

 

「慎導灼のメンタルトレースは被害者が辿った末路をトレースするもの、しかし、彼女のメンタルトレースはあくまで犯罪者…それも異常犯罪者に分類される犯罪者の心理をトレースしている」

 

「…!」

 

常守は驚き部屋から出ようとする

 

「止めなくても、事情聴取は済んだようだ、爆弾は自分で作ったと自白した」

 

 

取り調べ室から出る雪絵

 

話していて何か違和感を感じた。普通の人間とは違うような感覚

 

「話してて少し違和感を感じたんですけど、あまりにも感情が平坦すぎます。彼」

 

部屋に戻って来た雪絵の言葉に唐之杜は『確かに冷静すぎるけど』と返す

 

「…爆弾を作ってから実行するまであまりにも単調だったな」

 

雪絵がモニターの前に移動し、加藤俊樹の犯罪係数が65以上にも以下にも行かないのを見て、ある可能性が湧き起こる

 

「唐之杜さん。加藤俊樹の脳って出せます?」

 

「え?出せるけど…はい」

 

監視官じゃなくても見せて構わないのか、犯人の脳の映像が出てくる

 

「………」

 

じっくり見ている雪絵に灼が近寄り

 

「何かあるんですか?雪絵先生」

 

「感情があまりにも動かない爆弾犯…前頭葉が黒くなってる?…もしかして…加藤俊樹が過去に脳に関する手術をした経歴ってありますか?」

 

「えーと、一切ないわね…」

 

「廃棄区画に行った経歴は?」

 

「過去に色相が悪化した時一回だけ、その後は色相が悪化する事なく過ごしているみたいだけど…」

 

「入江さん。廃棄区画の裏社会の中に暴力団関係者を治すための医師って居ますか?」

 

突然質問された入江はハ?となるが、少し考え

 

「…いるとは思うが…脳をいじるなんてハイレベルな事出来る医師はいねぇと思うが…」

 

「ロボトミー…」

 

「なんですか?それ」

 

灼が首を傾げる

 

「1950年代のヘルシンキで実施されていたインスリンショック療法で、精神病を持った患者に施術されていた悪魔の手術です。脳の前頭前野の神経線維を切断する事によって患者は感情を失い、凶暴な人間でも落ち着いた人間になる手術です」

 

その内容に執行官達は嫌悪感を露わにした表情をし、炯は少し目線をモニターから外す、灼は相変わらず雪絵に

 

「そのロボトミー手術をされた可能性が高いんですか?」

 

「そうなると思います。本来あるべき脳のパーツがないので、誰かに前頭葉を切開された後、犯行に及んだ可能性が高いです」

 

モニターに映る脳の映像を見ながらふと考える

 

この世界にマッドサイエンティストなんて現れることなんてあるのだろうか?

 

 

 

 

 

雪絵はいつものように起きて、いつものように食事を摂り、いつものようにリビングに行く

 

出勤の時間になり、更生施設に行くと、早速更生施設の管理長からある事を言われる

 

「厚生省公安局犯罪心理学者に推薦?」

 

「あぁ、上からのお達しだ」

 

60代中盤の管理長の言葉に首を傾げる

 

「それって、転職しろっていう意味ですか?」

 

「上層部は君の頭脳を公安局に置きたいと話している。要は、更生施設にはもったいないとな」

 

その言葉を言うと管理長は不機嫌そうな表情になる。

 

「引き抜きというヤツだ、医師ではなく、厚生省公安局の監視官をサポートする役が適任だとな」

 

イラつきながらも並んでいる病室を見下ろす

 

「でも、引き継ぎとかするのに結構時間かかりますよ、それに…この仕事、自分で選んだのでそう簡単に転職するつもりはないですよ」

 

そう笑顔を浮かべて言う雪絵に管理長は少し笑みを浮かべながらため息をつき、雪絵をしっかり見る

 

「確かに、君にとってこの仕事は天職かもしれない。君のようにサイコパスや色相が濁らず仕事を続けられる存在は逸材だ。私も出来るなら、君を医師長にしてでも離したくない存在だ」

 

管理長は雪絵の特異性については理解している。

 

300オーバーの潜在犯を『処分』するとき、雪絵の色相が0を叩き出す事に同僚達は恐怖を感じていたが、管理長は不快にも恐怖も感じなかった。

 

雪絵は必要以上に潜在犯と関わり、回復見込みのない潜在犯を社会に復帰させて来た。

 

その後のサポートも雪絵はきちんとしており、出戻りしてくるケースが少ない。

 

管理長にしてみれば、入ったら終わりと言われている更生施設を改善させ続け『復帰出来る』と謳い文句を出してくれている雪絵は必要不可欠な存在だ。

 

「…しかし、上からの圧もある…秘匿事情故に言えないだろうが…複数の事件が発生しているんだろう?その逮捕の場に何回も居合わせたとか」

 

「たまたまですよ、それは」

 

「しかし、上はそう思ってない。ここをクビという事は正直言いたくはない。公安局犯罪心理学者として監視官をサポートしつつ、籍はこちらに置いておく…というのは問題ないか?もちろん、仕事は他の看護師達で分配する」

 

「え?いいんですか?」

 

「過重勤務にならんよう、こっちも考えるが…事件が片付き、全てが終わったら、またこちらに戻っても良いという話も公安局から出ている」

 

「……」

 

少し悩み、例の事件を思い出す。

 

「ご懇意ありがとうございます。必ず戻って来ます。佐々木管理長」

 

「うむ、くれぐれも無理はせんようにな」

 

そう言って微笑む管理長に頭を下げる

 

 

 

 

 

厚生省に来ると、霜月監視官がやって来る

 

彼女に案内されて公安局局長の細呂木晴海の元に行く

 

「更生施設から公安局に突然、人員配置をしてしまってまずお詫びしよう。しかし、君の能力は是非とも公安局で生かして欲しかった。無論、一連の殺人事件の犯人が捕まり次第、君は元いた職場に戻ってくれて結構だ。長い事拘束は出来ないからね」

 

笑顔を交えた言葉に軽く返事を返すが、どことなく違和感を感じる。

 

「公安局が突き止めた事件の概要だ。君が言った通り、脳に関して手術をした人間がいないか探ってみた」

 

そのデータを出され、あまりにも多い情報に一回眉を顰めるが、ザーと見て行く中で唯一、違和感を感じる人間がいた。

 

【宮口 克弘。数年前に内臓の病気になり、手術を受ける。受けた後は人が変わったように落ち着きを払い、色相も常にクリアを保っている】

 

「何か気になる人間でもいたかね?」

 

局長の言葉にデータを見せる

 

「この人、手術を受ける前と後じゃ色相の変化が違います。受ける前は98とレッドゾーン行ってたのに、受けた後は55をキープしてます」

 

「…良い事じゃないの」

 

霜月からの言葉に「まぁ、良い事かもしれないんですけど」と適当に返す

 

「ロボトミー手術を受けた人は大体人格に大きな変化があるんです。前は大体粗暴な人だったのに、受けたら途端に穏やかになる。まぁ、前頭葉破壊されてるんでそりゃそうですけど」

 

「………」

 

嫌そうな顔をする霜月監視官

 

心なしかこの場から離れたそうにしていた。

 

「幸いというべきか、犯人からしてみればこの社会でロボトミーを実行しやすい環境でしょうね、色相が落ち着くわけですから」

 

「堂々と手術をしている可能性が高いと?」

 

「うーん…流石に病院の手術室に入って堂々とやったなら記録に残るでしょうし、目撃者が出来てしまう。犯人はそれはしたくなかった」

 

そもそも、ロボトミーなんて脳みそいじくり回す手術なんて考えただけで色相が悪化するだろう。

 

ジェフリー・ダーマのような犯罪者なのなら話は別なのだろうが…

 

霜月監視官が話の最中もメンタルケア薬剤を飴のように食べていた。

 

「うーん。一回持ち帰って考えてみて良いですか?」





メンタル・キラー・トレース
凶悪犯・異常犯罪者の心理傾向をトレースする。慎導灼のメンタルトレースを悪用した能力。
灼は被害者の心理に共感出来るが、雪絵は犯罪者の心理にしか共感できない状態で、トレースしすぎると殺人行為をしてしまうデメリットがある。
灼にとって炯のような相手がいないため、現実に戻るためにはタバコを使用したりする。まだ、誰かに話しかけられれば戻って来られるようだが…

・槙島聖護
彼のことを考察して行くにつれて幻覚がハッキリと話し始めるようになった。雪絵がトレースしすぎてしまう存在

・とある事件の凶悪犯
槙島聖護の次にハッキリと見えるようになった。話し方も彼に釣られるようになって来ている。

・常守朱
犯罪者ではない存在で、雪絵にとっての唯一の防御本能


【ロボトミー手術とは】

・1950年頃に増加しつつあった精神病患者の治療として発案された。二人の精神科医がロボトミー手術に近い手術を行ったが成功例が六人中三人しかなく、また医学界でも否定的な案が出続けたため、二人の精神科医はそれ以上は行わなかった。

・それを実行したのは、ポルトガルの脳神経内科医の『エガス・モニス』であり、大脳の前頭前野の神経線維を切断する手術を実行した。

・統合失調症やうつ病などと言った精神病の人達に施され、精神病は落ち着き、穏やかな人間になるが、その人個人が持っていた個性や人格を破壊する手術でしかない。

・このロボトミー手術は別名『前頭葉白質切截術』と呼ばれている。

・ロボトミーを発案したエガス・モニスはノーベル生理学・医学賞受賞した。

・しかし、そのノーベル生理学・医学賞は『史上最悪のノーベル賞』と言われるように

ロボトミーの手術は、1970年頃で禁忌の手術とされ、いろんな国で禁止されたが、確認できる最後の手術は2011年

日本でもロボトミーの手術を受けた患者が医師の家族を殺害した事件があった。また、ノーベル賞を載せる記事には掲載され続けている
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