免罪体質者がPSYCHO-PASSの世界を行く   作:アルトリア・ブラック(Main)

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寝る間際に見たい夢があったらそれに近い本を読んだら確実に見えるけど、少しでも心霊映像でも挟むととんでもねぇことになる。


第23話『生きる理由・中』

 

由美からのメールを見たあと横にあった本を手に取る。

 

「……」

 

読みかけの本を読んでいると…

 

「あれ?雪絵先生ですか?」

 

そう声をかけて来たのは二人組の青年で、1人は茶髪でもう1人は金色が混じった茶髪の青年だった

 

「久し振りです。3年前に退院した新谷です。新谷慎二です」

 

「あぁ、新谷さんですか?ごめんなさい忘れてて…」

 

山のようにいる潜在犯の顔は覚えていられないことが多い

 

特殊な家庭環境でない限り、覚えにくいものがある

 

「いや、先生も最近忙しいみたいですし、無理もないですよ」

 

そう言って隣に立っていた青年を見る

 

「あ、自己紹介遅れました…新谷の友人の北島宏輝です」

 

笑顔の新谷に対して北島は不安そうな顔をしていた

 

「前座っていいですか?」

 

「どうぞ」

 

オドオドとしている北島が端末を出して何か気にしていた

 

「お前、そんなサイコパスと睨めっこしても何も変わんねぇよ」

 

「…慎二はいいだろうけど…」

 

サイコパスを気にしている北島と気にしていない新谷

 

「新谷さん、あれからサイコパス悪化してませんか?」

 

由美の事件から少しだけサイコパスを計測することが嫌になりつつあった。

 

どうせ悪化しないのだから測ったところで意味なんてない。もし犯罪係数が上昇するなら、心底嬉しくて仕方ないだろう

 

「ああ、あれから全然悪くなりません。あれですね、気にしすぎたんですかね、俺」

 

新谷の経歴は数年前に関わった倉田慎吾に比べればだいぶ…というか結構普通な家庭だ

 

少しだけ父親が神経質なところがあるだけで、俗に言う『子供に期待しすぎる親』なのだ

 

シビュラシステムから良い判定をもらうために必死で勉強と思考をクリアにすることに熱心だっただけだ

 

まぁ、成績が良くてもサイコパスが悪くなる傾向にあり、親からの期待に応えるべく余計なことに気を使いすぎて潜在犯になってしまった。

 

「まぁそうですね、新谷さんは少し気にしすぎるところが多いですからね」

 

コーヒーを飲みながら言うと、新谷は笑いながら

 

「アハハハ、そうですよね!俺が思うより世の中気にしてないですからね、あれから親と距離をある程度取ったらサイコパスも安定してるし、こう言っちゃんだけど、サイコパスの悪化に関して少なくとも親に関係あったのかなって」

 

「理解してくれない人間に期待するだけ無駄ですし、小学生に数式教えるみたいに難しいものですから、何年でも何時間でもかけて説明していけば良いですよ」

 

その言葉にうんうんと頷く新谷

 

笑顔の新谷に対して北島は何かソワソワしているようだった

 

「?どうしました?北島さん」

 

首を傾げて言うと、北島はビクッとしながら首を振る

 

「宏輝、お前考えすぎなんだよ」

 

「何かあったんですか?言いたくないことあるなら私は席を外した方がいいですか?」

 

今日は休みで余程のことがない限り要請も来ないだろう

 

「えっと…なぁ、せっかく雪絵先生いるんだし、今しかねぇよ?宏輝」

 

「潜在犯矯正施設で再会はあんまりしたくないですよね」

 

しばらくすると悩んだのか、ポツリポツリ話し始める

 

シビュラシステムからの適性はA判定でそこまではよかったものの、入社しても失敗続きだったとのこと

 

本来あげるべき書類を別部署にあげてしまったりなど、取り返しのつかないことをして上司から怒られたことを思い出し、涙が出そうになる

 

それとポツリポツリ話している内容はどっからどう見てもブラックすぎるだろと言いたくなる気持ちがこみあがってくる

 

無駄に頭がいいし、タイピングの速度も鬼のように速い

 

一回集中できればのめり込みやすいというところがあった…

 

そんな北島は情報処理の仕事をしているのだが、その北島にたくさんの書類を押し付けて退勤している人間が多いとのことだった

 

「簡潔に言えば、超絶ブラックなので辞めたほうが良いですよ、とはいえ、やめろと言われてすぐ辞めれるほど簡単な話ではないと思いますけど」

 

シビュラは転職することを大っぴらに悪い行為とは言っていないし、この世界にも適性診断の候補内にあった別の職場に転職するサポートはあると言ったらあるのだが、転職すると言うことは自分の人生に泥を塗る行為なのだ

 

雪絵みたいに引き抜かれた、ヘッドハンティングされるのならば話は別だ。

 

でも、自分の意志で変えるということは転職した先から複雑な顔をされること間違いなしだ。シビュラシステムが良いと判断しても人間は認めない

 

「…どうしたら良いですかね…色相、前に測ったら曇ってたんです」

 

このままじゃ…と人生終わりみたいな顔されてしまう

 

「北島さん、知ってます?色相が悪化したら、まず病院に入院することになるんですけど、色相がクリアに近しい人間、例えば100とかそこら辺の人は早期退院しやすいんですよ、それに入院するなら宣伝と思われるかもしれませんけど、私のいる病院を先んじて予約します?新谷さんの友人なら特別に優遇しますよ」

 

そんなこと出来ないのだが、安心するように微笑む

 

 

「そ、そうなんですか?」

 

藁にもすがる想いなのか聞いてくる

 

一緒にいた新谷は「へぇ〜よかったじゃん、俺入院してたことあって」と笑っていた

 

「北島さん、仕事を頼まれ続けて嫌なら断ることも大事ですよ、自分の体は悲鳴を上げているのにそれに鞭を打つのは良くない。断った程度でクビにするなんて出来ませんし、それに文句を言われたらこう言ってみてください!「白澤雪絵に相談した」と」

 

自分で言うのもアレだが、人によって向き不向きというものががある

 

ネットの評判なんて見ちゃいないからわからないが、同僚や先輩からの話では「白澤先生、言っていることが直球だから色相が悪化する人はするのよね…」と

 

そう言っているのを耳にしたことがある。

 

その人個人の本当のことしか言わない、だからこそ、言い過ぎだとキレる人もいるが、本心であるから仕方ないのだ。

 

人間の根幹を見ないで何がカウンセラーと言えるのか

 

本音に向き合ってこそ、相手の人間らしいものと出会えるだろう

 

「…いってみます」

 

不安げに言う北島に向かって微笑み

 

「北島さんはアレですね、もう少し誰かのせいにしても大丈夫ですよ」

 

「え…?」

 

新谷が苦笑いする

 

「優しい人間が損をする世界なんですよこの世界は、昔から言われていますが…狡賢く、悪いことばかりする人間が得をするんです。現に会社の中でいませんか?そういう人」

 

少し考えていたのか北島は小さく頷き

 

「…います…でも、誰かのせいにしたら、その人を傷つけてしまうし」

 

「優しいですね、本当に、でも大丈夫ですよ北島さん」

 

大袈裟に拳を握り締め

 

「人間死ななければなんとでもなります。自分の人生なのに他人を思いやりすぎて壊れちゃ元も子もありませんよ」

 

生きてさえいればいい、その考えは破綻しているかもしれない

 

他人の幸福を願えるのは自分の人生をかけて世界を変えたいと本気で思える人間ぐらいだろう

 

「『自分を愛してこそ他人を愛せる』んですよ『自分を大切にしてこそ』なんです」

 

「…自分を大切にしてこそ」

 

そう呟く北島に微笑みかける

 

新谷がパッと端末を出す

 

「やっぱスゲェなぁ…雪絵先生の話を聞いたら色相クリアになる」

 

そう言って新谷が北島に見てみろよという

 

「!本当だ…」

 

北島のサイコパスが30になってるのを見せてくれる

 

「良くなったんなら良かったです」

 

雪絵の端末に連絡が入ってくる

 

「仕事あるので失礼します」

 

「あ、こちらこそ!貴重な時間にすいません」

 

「いいえ」

 

笑顔でその場から離れる雪絵をジーと見ていた

 

その夜…

 

 

「うーん、隠れ家は山ほどあるなぁ…」

 

新谷たちと別れた後、公安局に呼ばれ、灼たちから松本雄三が所有していた建物が15個ほど見つかった

 

その建物のうち5個ほどすでに確認しているという

 

「間取りかぁ…」

 

公安局で提示された建物は大多数が病院や薬局が多い中、複数自宅なのか一軒家を買っていた

 

公安局で見せられた建物のうち、5個は捜査済みということでデータを貰い、間取りを印刷して睨めっこしていた

 

タバコを吸いながら頭を掻きながら見つめる

 

「ん…??」

 

違和感に気付き、その間取り図を見る

 

部屋のライトに照らされてその違和感がハッキリとする

 

(もしかして…!!)

 

地下にある本棚の奥から複数の本を出して見比べながらもしかして…と分かる

 

増改築した建物、変な所にある階段、お風呂が同じフロアに2個ある違和感




誤字がひょっとしたらあるかもしれないのとちょっと短いです
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