免罪体質者がPSYCHO-PASSの世界を行く   作:アルトリア・ブラック(Main)

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読みたい本と神作品(pixivの方)と出会って小説活動できてませんでした御免なさい。

それとまたグロです。『殺人出産』と『逡巡の二十秒と悔恨の二十年』読んで吐きそうになりながら興奮した(?)


第26話『この社会、世界の在り方・上』

 

「生まれついての異常者は正常者に戻るか気になりませんか?」

 

「…は?」

 

公安局に移送中の松本雄二がそう呟く

 

「精神異常者の思考回路は普通とは常軌を逸してます。理解できないからサイコパスと言われる。ロボトミーは正常な人間を異常者にする技術。この世界ではそれが幸福、酷く愚かな世界ですよね」

 

愉快そうに呟く松本雄二に二係の監視官が『意味分からないこと言うな』と怒る

 

「あなた達も本当にこの世界では普通な人ですよ」

 

そう言って窓の外を眺める

 

この世界で唯一の異端者、モノの見方が普通とは違う女性

 

「あなた、本読みませんよね」

 

前にいる監視官にそう言う

 

「シビュラシステム推奨小説は読んでいる」

 

そう簡潔に返す監視官に笑いながら

 

「それじゃあ、ダメですよ、おすすめの小説は『殺人出産』10人産んだら一人殺して良いディストピア小説です」

 

「そんなもの読まん!!」

 

声を荒げる監視官に笑いながら

 

「かわいそうにこの世界の被害者は貴方たちなんだ」

 

そう呟く松本雄二が笑う

 

 

 

 

 

 

 

公安局は大急ぎで佐藤由美が入院している病院に向かう。

 

「手続きしなければ入れません!ここは病院なんですよ!?」

 

そう言う看護師たちをなんとか説き伏せ、佐藤由美がいた病室に行くが、もぬけの殻だった。

 

「佐藤さんなら先ほど八神先生と一緒に診察室に向かいましたよ」

 

看護師に言われ、大慌てでその八神がいる診察室に向かう

 

「公安局だ!!手を挙げ…」

 

目の前に飛び込んできた惨状に炯が息を飲む

 

「っ!!」

 

灼のドミネーターが動き、銃を撃つ

 

八神は気絶し、診察室の惨状に炯が吐きそうになりつつも早く救急車を呼べと叫ぶ。

 

「雪絵先生、見たらダメですっ!!」

 

そう言って灼が隠そうとしてくるが、灼よりやや身長のある雪絵は中の惨状が見えてしまう。

 

「………ぇ…?」

 

掠れた声が聞こえて来る

 

雪絵は室内に入り、由美だったモノに近づく

 

「由美…」

 

由美は『羊たちの沈黙』のクライマックスのようになっていた。

 

今この世界のロボトミーはウォルター・フリーマンやエガス・モニスのようなやり方であるわけがない。

 

より高い完成のために人の脳みそを弄る必要があるはずだ。

 

最初の成功者以前にもきっと犠牲者は沢山いただろう。

 

潜在犯に人権がないと言われてる施設があるように

 

「だ、メだ、よおおお」

 

そう話す由美だったモノに炯が吐きそうな口を抑えていた。

 

頭部が抉られその中身が見えていた。

 

助かる方が地獄のような惨状に雪絵は黙って由美の前に座る

 

「ごめん」

 

そう言ってダラリと地面につく由美

 

 

 

 

 

 

灼は事の惨状を局長に伝えるべく公安局にやって来る

 

「事件の首謀者は逮捕、その共犯者の犯罪係数は102ということか」

 

「………はい」

 

「これからやるべきことは松本雄二の犯行歴を明るみにすること、そして…」

 

「局長」

 

遮るように灼が話す

 

「なんだね」

 

「…雪絵先生を今回の事件から外してください」

 

その言葉に局長は面白くなさそうなよく分からないような雰囲気になる。

 

「親友があんな状態で見つかったのに…」

 

話そうとして局長が今度は遮って来る

 

「彼女の犯罪係数は上昇してはいない。それどころか我々も理解不能な係数を計測している。彼女を事件から外すのはまだ良案ではない」

 

「しかし…!」

 

「慎導監視官、一度、彼女を連れてきたまえ」

 

「…ここにですか」

 

局長の連れて来たまえという言葉がどこを指しているか分かりつつも聞くと

 

「シビュラシステムの深淵にだ」

 

 

 

 

自宅に戻ると、いつものようにアバターが話しかけてくる。

 

適当にニュース流してと言い、アバターを消す

 

【サイコパス0、クリアカラーです】

 

何回測ってもサイコパスはクリアなままだった。

 

(……上手くいえば切り替えが早いんだろうけど…人でなしだよなぁ)

 

もう、タバコを開けたのが何箱目か分からない

 

今更肺がんになっても別にどうでもよかった

 

目の前で親友の頭部が開かれていようと、血溜まりのような空間、棚の合間から見えた人の体の部品

 

それを見ても自分は特に何も感じなかった。

 

恐ろしいとも、悍ましいとも

 

由美が半殺しの憂き目に遭っていても、簡単に脳は『もう友人は助からない』と軌道修正した。

 

ソファーに深く腰掛けると

 

『犯罪者になっちゃタメだよ、雪絵』

 

「………」

 

言霊なんてものがあるのだろうか、半世紀以上前に流行った漫画であった『呪い』

 

人の心を縛りつけるモノ

 

「……分かってるよ」

 

事の顛末を知る権利がある

 

由美の葬式は2日後に行われるだろう、向こうの親も自分を呼びたくないだろう

 

机の上に置きっぱなしにしていた本を手に取る『1984年』

 

由美に貸そうと思っていた本で、廃棄区画から買った本だった。

 

最高に支配的で最高に詰みな世界

 

由美だったらこういうだろうか『こんな世界にならなくてよかった』と

 

 

 

松本雄二の逮捕の後、雪絵は公安局に戻り、慎導灼と交代したのか常守に案内されて薄暗い地下へ案内される

 

常守から無理はしていないか、泣けるうちに泣いた方がいいと沢山話をしてもらった。

 

でも、自分にはそんな必要はないと思っていた。

 

由美の死も『あるがまま』としてもう受け入れ納得してしまった。

 

終わった命に価値はない、みたいな発想が脳に出て来そうになるたびに頭を振る

 

「公安局にも地下があったんですね…」

 

そう呟くと常守を階段を降りながら

 

「雪絵ちゃん、今回の事件の犯人は無事に捕まったけど…」

 

「まだ、どれくらいの規模か分かりませんよね、まぁ私の仕事は犯人の事情を聴取することですし」

 

主犯が捕まったとしても、彼に脳みそをいじられた人間が何人いるか分からない

 

巨大な扉を開けて、中に入るとそこに広がった光景に…

 

「は?」

 

目の前に広がる光景は松本雄二の現場で複数見た脳みそが並んでいた。

 

松本雄二の現場に比べれば遥かに綺麗なところだし、機械的なもので脳の入ったポッドを入れ替えしたりしている

 

【白澤雪絵、ここまでご足労いただきありがとうございます。今回の事件、無事に犯人を捕らえることができ感謝します】

 

機械音声が響き渡る

 

【我々はシビュラシステム。この世界を管理しているものです。免罪体質者白澤雪絵。我々は貴女を歓迎します】

 

そう挨拶されるが、いまいち理解できないが、なんとなく腑に落ちるところがあった

 

(人の感情を計測して、人の職業適性まで出す訳だからAIだけで処理できるわけはなかったんだよな…あぁ、そう言う)

 

幼い頃から色々考えたことはあった。この世界のトップは一体誰なのだろう

 

多くの人間の生活基盤を決め、シビュラというものにより職業適正を決めている

 

人の心を、人の精神を裸にし、犯罪係数なんて出している存在はAIで可能なのかと、AIだけではどう考えても無理なところがある

 

まぁ、それが、旧社会の記憶をいつまでも持っているせいなのだろうかと思っていた

 

(アンドロイドは電気羊の夢を見るかとか1984年の世界みたいだったら死ぬほどいやだったけど)

 

彼らの説明を他所にどこか呆れるような、失望するような感情を抱いてしまう

 

(少なくともあれらの世界よりかは良い未来で良かったけど……)

 

ジョージオーウェルのような支配的な世界でもなく、ギブソンのようにワイルドでもない世界、フィリップ・K・ディックのような世界観に似ているなとは思ったが…アレより少し酷い気もした

 

「雪絵ちゃん…?」

 

常守が心配したように聞いてくる

 

「あ、ごめんなさい聞いてませんでした。歓迎するっていう言葉は…」

 

『我々の存在を今、公表したのは貴女がいずれ真理に辿り着くと確信したからです。そして、貴女は免罪体質者、我々の一員になる資格があります』

 

その言葉を聞いて、この絶妙なタイミングで呼んだ理由がわかる

 

「あの脳ミソの入った瓶ですか、あんな管まみれになって生きてるのって少し悍ましいもの感じましたけど、今まさにこの光景を見ると本当に悍ましい」

 

『悍ましいとしても我々の個体としての自律性は損なっていません。貴女が先ほど話していた公安局局長も我々の個体の一つです』

 

「逆に問いますけど、そうまでして生きる理由ってなんですか?話聞いてなかったので部分的にしか聞こえなかったんですけど、サイコパスが計測できない人間を取り込んでいってるんですよね、つまりそれって犯罪者もいます?」

 

『かつて、犯罪を犯した個体も存在しています。しかし、それら個体はシビュラシステムとなることで罪も罰も超越した存在になっています。過去の罪は今の社会の一端を担っていくということで精算しています』

 

その言葉に雪絵はキレそうになるのを堪える

 

「清算なんかしてないんだよ、過去の罪をなかったことにして、存在しなかったことにして支配者に回る?ふざけたこと言わないでくれない?」

 

凄惨な殺人事件を起こして支配者に回る。ただサイコパスが計測できないという理由で

 

『貴女の言う支配者という言葉に我々は当てはまりません。シビュラは公平なシステムを市民へ提供しています。そして、過去の罪を犯した人間は今この形で生きて清算し続けています。貴女の知っている知識の中で考えているのは死刑制度というもの、ここにいる者達は今現在も生きて罪を償っています。そう考えれば、刑期としては望ましいものです』

 

おそらくリーダーなのだろうか、犯罪係数が23と出ているポッドが話してくる




【引用小説】
『殺人出産』
作者・村田沙耶香
2016年発売
(あらすじ)
10人産んだら1人殺せる世界。男も関係なく出産ができるよう進化した世界。
人口の激減により、社会はある決断をした。『10人産んだら1人殺していい社会』それにより社会は人口の増加が約束された…


屋上から落下しさせようか焼死させようか悩んだけど、結局ハンニバル博士のようにした。

最近新たな性癖に目覚めて脳内とんでもないことになってる……NTRにハマり始めてしまってる…悪役にヒロインを取られた絶望の主人公が最高に愉悦で悶えた
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