免罪体質者がPSYCHO-PASSの世界を行く   作:アルトリア・ブラック(Main)

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佐藤由美のモデルは作者の知り合い、憎いんじゃなくて大好きな人ですね


第27話『この社会、世界の在り方・下』

シビュラの言葉に雪絵は、こんなものの一員になる資格があると言われるのが心底不快でしかなかった

 

『今、貴女は我々を嫌悪しています。確かに我々は完璧ではありません。それは構成員が少数であり、この国は今発展途上だからです。完璧な世界、そう定義されるモノはありませんと現段階ではお伝えするしかありません。今現段階でできることは最大多数の最大幸福のみ、貴女が見ていた人々が不幸だと思われても無理はありません』

 

その言葉に更生施設を思い出す一方、良い会社に入れたと嬉しそうに話していた由美を思い出す

 

「不幸、確かにそうね、ただ犯罪係数が高いって理由で犬のように殺処分される。そんなことナチスドイツの収容所と変わらないわ、できるなら潜在犯として認知される人々の計数を下げることを要求するわ」

 

そう言うと彼らは少し悩んでいるのか『審議します』と言って消える

 

『不可能です。仮に潜在犯と認定される刑数値を下げることで起きることは計り知れません』

 

「不可能?やってもいないのに?そう、なんとなくあなたたちの立ち位置がわかったわ」

 

脳みその方に歩いていく

 

何かの液体で塗れ、気持ち悪い

 

「雪絵ちゃん!」

 

ドミネーターを構える常守

 

「あなたたちは世界を、他の国へ支援をするという野望は持てるのに、自分達の進化に関しては奥手、戦争は平和という言葉を知っている?戦争を起こしている間は自国を見る余裕がないからよ、戦争している間はひたすら他国さえ見ていればいい。最大多数の最大幸福?国民の少数すら救えないのに、何故他国へ目を向けるの?それは、問題の棚上げ、常守さんだって思ってますよね」

 

【犯罪係数アンダー24執行対象ではありません】

 

常守を振り返り言う

 

「この脳みそは自国のことを棚上げして他国に支援している。自国の刑罰法を考案することもない。だから松本雄二という後天性サイコパスが生まれた。今もなお殺人事件は起こり続けている」

 

戦争をしている間は何も考えなくていいのだ

 

自国の問題点を棚上げして戦争の方に目を向ければいい

 

『我々は問題を棚上げしたわけではありません。しかし、そう捉えてしまっても無理はありません。だからこそ、我々は貴女を歓迎します』

 

シビュラは雪絵の言葉を否定しながら

 

『多くの潜在犯を肯定し、サイコパスを下げている貴女の存在はこの社会に必要です。内側から変革を求めるのは如何でしょうか、現状では完璧な世界は不可能です。ならば、貴女がシビュラシステムの一員になり我々の思考を拡張し、この社会をよりよくしていきましょう』

 

都合の良すぎる言葉に雪絵は眉を顰める

 

「…仮に私がこのシステムの一員になるとしたら、松本雄二もこのシステムの一員になるの?彼だって免罪体質者よ」

 

そう答えると彼らは『松本雄二はシステムの一員にはなり得ません』と答えてくる

 

『彼は後天性免罪体質者であり、外的要因で免罪体質者となりました。彼を肯定するということはシステムにとっても良くありません。それに、貴女は彼を自分と同じ存在と見るのが不快だと思っています。その意思に我々は同意します』

 

 

(…都合が良すぎる…個人的願望を言えば、アイツと同じ所になんて行くのは心底嫌だけど…)

 

『そもそも免罪体質者という定義は精神異常者を指す言葉ではありません』

 

シビュラの言葉に顔を上げる

 

『何かが致命的に欠けている代わりに別の何かが特筆して秀でている者達を指す言葉です。その定義にたまたま精神異常者が当てはまっただけです。白澤雪絵、貴女は今までの免罪体質者達より特筆して才能があります』

 

こんな嬉しくないスカウトの仕方があったものか

 

もし、彼らが免罪体質者だとして、松本雄二が開発した技術…

 

サイコパスを普通の人間として確立できる技術がわかれば、彼らの存在はただの人間となる

 

(…こんな脳みそになって生きていくなんて心底嫌すぎる…)

 

人間として終わりたい

 

こんな脳みそだけの存在になって社会を見ることなんて面倒でならないだろう

 

脳みそを確認する

 

(こう見ても灰白質とか前頭前皮質が狂ってるって分からないな…)

 

「……あなたたちは自分の人生をなんだと思っていたの?そうやって他人の脳みそと思考を拡張していくのが幸福だったの?」

 

常守の方に戻りながら話す

 

『個人が持っている思考を拡張し、社会全体を支えられる行為は我々としては幸福です』

 

「私は思うわ、個々の存在は個人として確立しているのよ、それが互いに依存しあえば、いつか全体のために個が死ぬ。それが幸福だとしても、私はそう思わない、私は…」

 

シビュラシステムには槙島聖護が見える

 

「そんなのは人間としての在り方じゃない」

『審判やレフェリーは趣味じゃない』

 

ここで断った場合、良からぬことが起きる可能性は高い

 

そう言って『考えさせて』と背を向ける

 

『了解です。良き回答をお待ちしております』

 

そう言ってシビュラシステムが下へ沈む

 

【白澤雪絵、常守朱、引き続き、事件の捜査をよろしくお願いします】

 

 

 

【色相・ホワイトカラー】

 

宙に出る犯罪係数、常に「0」を出している自分を見てなんでここにいるのとコソコソ話す看護師達

 

松本雄二は看護師が持ってきた本を読みながら過ごしていた。

 

こんな所、犯罪係数が低い自分なら簡単に出れるし、なんなら正面から普通に出れるが出ないのはこれからくる人物へ全てを話す気でいたからだ。

 

(消されるだろうなぁ、私)

 

松本雄二は微笑みながら『1984年』の本を読んでいた。

 

《松本雄二さん、公安局から呼び出しです》

 

その声に本を置き、ドアの前に行く

 

看護師に案内され、対面した二人を見て微笑む

 

「お久しぶりですね、白澤先生。相変わらず隈がひどい」

 

『ほっといてください』

 

素っ気なく返されることに微笑む

 

「白澤先生と常守"監視官"なら安心して話せます」

 

『それはどうも』

 

 

 

 

 

 

雪絵は面と向かって松本雄二と話すことに少しだけ嫌だなぁと思いつつ、彼に免罪体質者と呼ばれる男の色相を悪化させたことを聞かねばならなかった。

 

『お二人なら話しますよ、他は信用出来ませんし、常守監視官のようなヒトに聞いて貰うのが一番嬉しい』

 

松本雄二は嬉しそうに二人を見る

 

『免罪体質者の脳みそは神経回路が狂っているという話は以前しましたが、その神経を取り除けば免罪体質者になり、その神経がない人間には足せば良い、簡単な話です』

 

笑う松本雄二に『そんな簡単にできないから聞いてるんだろ』と呟きそうになるのを堪える

 

「…その技術をできる人間は?」

 

常守の言葉に松本雄二は『私と安藤さんだけでしたね』と呟く

 

『まぁ、私が死ねばもう誰も出来ませんし、安心してください。シビュラもそのつもりなんでしょう?』

 

笑顔で首を傾げる松本雄二に常守はビクつく

 

『白澤先生、貴女は自分を特別だと思ってますか?』

 

前のめりになって聞いてくる松本雄二、それと同時にシビュラからの言葉を思い出す

 

「特別ではないですよ」

 

この世界で免罪体質者は犯罪係数を測定できないことからシビュラはそれらを取り込んできた。

 

要は『自分達じゃ手に負えない者を取り込むだけ』

 

理解出来ないのなら理解出来ない人間を取り込み理解力を拡張しようとしているのだろう。

 

「取り替えの効くただの人間です」

 

そう言うと松本雄二は微笑み

 

『やはり、本物は違うなぁ』と意味深なことを呟く

 

 

 

 

 

 

松本雄二から聞かされた話は正直にいえば理解出来ない話題が多かった。

 

「つまるところ、人の脳みそから人の脳みそへ灰白質を移しているって言ってたわけね」

 

唐之杜からの言葉に霜月美佳が「結局、非人道的なのに変わりないじゃない」と

 

「でも、灰白質をある程度取り除くだけで犯罪係数が下降するなんて…」

 

如月真緒の言葉に他の執行官達も頷く

 

「このことが世間に判明したら酷いことになりますね」

 

炯がそう言いながらニュース画面を見せる

 

「手術を受けた人間はみんなサイコパスが下降するという所だけを鵜呑みにした民衆が自分や家族にも施術してほしいって訴えがネット上にもアップされてんなぁ…脳みそ弄くり回されてんだぞ」

 

入江が嫌そうな顔をする

 

「というか、慎導監視官は?」

 

「白澤さんを探しに行きましたよ」

 

如月真緒の言葉に炯がため息をつく

 

 

「………」

 

雪絵はタバコを吸いながら本を読んでいた

 

自宅の本棚から引っ張り出した大きめの本で超有害本として最後の一冊扱いになっていた。

 

本をペラペラめくりながら、本の中の情報と松本雄二が話していた内容を思い出す

 

「タバコ吸いながら本は燃えるんじゃないですか?」

 

慎導灼の声が聞こえてくる

 

「灰は落としませんよ」

 

そう言ってタバコの火を消す

 

「雪絵先生、これ返します」

 

本を手渡してくる

 

「あ、もう読んだんですか、早いですね」

 

そう言って受け取ると灼が目の前に座り、キラキラした目で『凄い面白かったです。この続編ってないんですか?』

 

ワクワクしたように言う灼に笑いながら『ないですよ』と言って本を見る

 

『1984年、ジョージ・オーウェル』と書いてあった。

 

「この本ってとんでもなく支配的な世界ですよね、前に雪絵先生に借りたフィリップ・K・ディックの本も面白かったですけど」

 

「あと、おすすめの本ありますか?」

 

灼の言葉に雪絵はバックからゴソゴソと探す

 

「これとか良いですよ」

 

そう言って見せたのは『殺人出産』と書かれた本だった。

 

「………見るからに危なそう」

 

その言葉に雪絵は『そりゃあね』と返し

 

「10人産んだら1人殺して良い世界ですよ、人口減少に歯止めが効かなくなり、その特典を付けたんです」

 

「……相殺してません?その条例だと」

 

「まぁそうなんですけどね、それが面白いんですよ、この小説。しかも三部作で後半三つも価値観が変わりますよ」

 

そう言って『読みます?』と聞くとなんだかんだ言って手に取る

 

『やはり、本物は違うな』

 

最後の展開にヤキモキするーと呟く灼を見て松本雄二の声がフラッシュバックする。

 

(…もしかして…)

 

 

 

 

 

「無知は力であり、戦争は平和、自由は屈従であるとはよくいう…過去の小説家は未来予知でも持っているのかな」

 

松本雄二は笑いながら本を手に持ち、チカチカしている廊下を歩きながら笑う

 

「何も知らないこと、興味を持たないことは平和だ」

 

ドシャッとシビュラだったものを地面に捨てる




もう直ぐ最終回、次はまだpixivの方で書いているので無しです。

番外編も書きたい。

友人に『心を母親の体内に置いて来たんか?』と言われてしまった…(心外)

人の心が分かるから書けるのに〜
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