免罪体質者がPSYCHO-PASSの世界を行く 作:アルトリア・ブラック(Main)
今回から加筆します。
それと、主人公の年齢に誤差が生じてますが、どうかお許しください
更生施設から出て空を見上げる。
『サイコパス100、もうすぐ行けば倉田さん、退院になります。白澤先生のカウンセリング凄いですね!』
看護師からの言葉にため息をつく。
「…理解出来ない顔してたなぁ」
サイコパス200を切っていた重篤患者を薬なしで色相をクリアにしている自分に、医師や看護師はなぜ?と言った表情を見せていた。
自宅に帰り、鍵を閉め、リビングに荷物を置き、そのまま風呂へ直行する。
法廷執行官となった常守朱はあらかたの事後処理を終わらせ、慎導灼と公安局のフロア、テラスである事を話していた。
「厚生省潜在犯更生施設医師…白澤雪絵…この人がどうかしたんですか?」
モニターを見ながら『美人な人だなぁ』と呟く灼。
「この事件で、加害者をバットで殴打して姉を助けた人」
「…すごい思いきり良い…」
その言葉に苦笑いし
「そして、貴方と同じ免罪体質者」
「!!」
その言葉にモニターから目を離す。
常守はコーヒーを飲みながら空を眺める。
「幼少期からその要素は沢山あったわ。それに、最近彼女、ちょっと危険な趣味があるみたいなの」
「危険な趣味って…」
「犯罪者の心理傾向を分析し、イメージする」
「それって…」
メンタルトレースではと言おうとすると常守も分かっていたのか
「慎導君のとは少し違うわ、彼女の場合は過去の異常犯罪者たちの心理傾向を分析し、彼らのあり方を模倣する。過去に一度、彼女の通ってた学校で集団サイコハザードが起きたの。彼女ともう一人を除いて」
白澤雪絵が誰をイメージしたのか分からないが、男子生徒達は口々に「彼女の話は面白いんだ。とても気持ち良くなれる。自分の犯罪係数が悪化したのは彼女のせいじゃない」と話していた。
彼らの色相がどんどん悪化する中、彼女が男子生徒達に必死に謝罪したため、色相悪化は防がれ、犯罪係数は下降した。
「彼女が厚生省の更生施設に勤め始めたのは想定外だったみたいだけど、局長は彼女に事件の捜査を依頼するはずよ、犯罪心理学者として」
近年起こっている事件は癖があり、局長が声をかける前にこちらから声をかけようとしたと常守は話す。
「もし、彼女が公安局に来たら、お願いね、慎導くん」
「はい!」
いつも通りの朝、アバターの鬱陶しい声を聞きながら味のしない食事を食べながらニュースを見ていると
『公安局からメールが届いてますっ!』
アバターの言葉に「え?」となる。
「見せて」
『はい!こちらですっ!』
そう言って画面を見せて来る。
《公安局刑事課一係・常守朱です。依頼したいことがあってご連絡しました》
「…依頼したいこと…?」
後半の文章を読んでピクっとなる。
メールを閉じて、深呼吸する。
「……犯罪、心理学…」
自宅の本棚に並んだ本を見上げ、少しだけワクワクしているのに頭を振る。
幼い頃から紙の本をたくさん読み、過去の本ばかりを掘り出して来た。
最初は歴史物から始まり、フィリップ・K・ディックの『高い城の男』にハマり、作品全部読み漁り、推理系の本を読む事も増えた。
更生施設のカウンセラーになったのも、施設の中にはそういう本を読み漁り、犯罪係数が上昇して入所した者もいたからだ。
正直、彼らとの話は楽しく、かなり議論出来たが、自分の犯罪係数が下がる代わりに、入所者の犯罪係数が上昇する事が増えた。
(それでも、彼はなんとか殺されていないけど…)
犯罪係数の上昇が見られれば議論は一回中止にして、治療に専念する事にした。
今担当している入所者の一人だ。
「…行ってみようかな」
歴史物から始まり、最近はデカルトやフロイトの本も読んでいた。
それに、悪趣味と言われたら終わりなのだが、犯罪事件を前の人生ではよく調べ尽くしていた。
犯人の出生、加害者家族の足跡、被害者家族のその後、犯罪が生まれた経緯。
全てを調べて理解するのが心底楽しかった。
公安局からの依頼にOKを出す。
公安局の前に着くと「霜月美佳」がやって来て案内される。
案内された部屋で待っていると、扉がノックされる。
「失礼します。お呼びしたのに遅くなってごめんなさい」
そう言って入って来た常守朱を見て立ち上がる。
「お久しぶりです。常守さん」
彼女とは幼い頃の事件をキッカケに何回か会って話したりしていたが、ここ一年以上は常守朱が勾留中の身になった事から連絡が取れなくなっていた。
「あれから施設カウンセラーになって、施設の入所者の犯罪係数を下げてるって聞いたわ。凄腕の先生って」
「凄腕なんかじゃありませんよ。ただ、彼らの話を聞いているだけです。薬を使わないで良くなる人がほとんどですよ?メンタル薬とか私は嫌いです」
そう言うと常守は微笑む。
「ここ数年、貴女が図書館から買った本の桁が3桁に届きそうだって聞いたわ。有害図書本ばっかり買ってる人がいるから調べて欲しいっていう通報があったくらいよ」
「…アハハハ…」
苦笑いしながら常守から言われたことを思い出す。
有害図書と言ってもこの世界は、全てサイコパスで保証された世界だ。自分のサイコパスが常時クリアな状態を維持している為、貸し出しNGはなかなか出されない
(…まぁそれでも、1993年に出された『完全自殺ガイド』はもうお蔵入りになっちゃったみたいだけど…)
過去の時点で有害図書扱いされている本は、図書館にあったという事実しか残っておらず、今はほとんど消滅している。入所者の所有している物を見て『最後の一冊はこれしかない』と言われるぐらい価値のある物と化している。
「それで、貴女に来てもらった理由はいくつかあるんだけど…」
そう言って紙を見せて来る。
「…かなり内容がグロイ物だけど…」
書類の山を見て不謹慎ながらも興奮してしまう自分がいるのに気づく。
「過去数百年の犯罪の本を読み漁り…心理学本も所有…有害図書も幾つか借りて、犯罪係数0…これは明らかに、槙島聖護と同じタイプじゃないかしら?」
別室で常守朱と話している女性を見て呟く唐之杜。
「…だろうな、今もサイコパスが70から一気に下降してる」
《標本事件ですか…》
《えぇ、私がまだ公安局に入る前に起こった事件よ。被害者をバラバラにして標本にし、展示していた事件》
《議員の口に記憶を司る海馬が突っ込まれてたみたいですね。なんか、殺人に意味を持たせて社会に見せつけてるみたいな…。言って良いのか分かんないですけど…自己顕示欲が結構強くて、社会全体に自分の行動を見せつけているような犯人ですね》
そう言う彼女に狡噛慎也はタバコを吸いながら「…当たりだろ」と言う。
「彼女には一切標本事件のことは伝えていないんだろう?」
宜野座の言葉に「そりゃそうよ。何せ犯人は行方不明になって世間は忘れ去った事件だし、あとこれ見て」と言って彼女のサイコパスを見せる。
「…今のバラバラ遺体の事件を見せた時だけ、彼女のサイコパスは0になったわ、これは間違いなく免罪体質って言えるんでしょうけど…」
《少年法とか殺人の法律…ですか?》
常守の言葉に首を傾げながら
《…私法律関係は一切手をつけてなくて…》
「法律関係の話になるとなんでか知らないけど、彼女大きくサイコパスが上昇するのよね…とは言っても?せいぜい90くらいだけど」