免罪体質者がPSYCHO-PASSの世界を行く   作:アルトリア・ブラック(Main)

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最近の外、お風呂か?


第4話『裁かれない悪』

『行方不明少女が槙島の自宅にいたのか?』

 

宜野座に報告する

 

「はい、幸いにも怪我はしていません。公安局に一度戻って彼女を保護してから槙島追跡に追いつきます」

 

彼女の犯罪係数は0を出している。あの事件の時でさえ彼女の犯罪係数は0を出していた。

 

兄を撲殺したあの瞬間も

 

(…7歳だからただお姉さんを助けるためにしただけだったら…)

 

そう思っているとドミネーターを介してシビュラシステムが話しかけてくる

 

《彼女の思考は測定不能であり、限りなく槙島聖護に近い思考を持っているでしょう》

 

その言葉にハンドルを握っていた手に力が入る。

 

後ろにその少女が乗っているのを確認する

 

「お姉さん」

 

「!どうしたの?」

 

少女は朱の表情をジッと見て

 

「…シビュラシステムってなぁに?」

 

子供らしい言葉で聞いてくるが、彼女の目を見てまるで槙島聖護と話しているような感覚になる

 

「それは…」

 

7歳の子供に理解できるような説明が見つからなかった事もあるが、何よりも正体を知ってしまった以上、隠すことへの罪悪感が湧く

 

「……シビュラシステムの正体、知ってるよ」

 

「!!」

 

自動運転にしているから助かったが、思わずブレーキをかけそうになる。

 

「…人間の脳の集合体。免罪体質者の集まり、シビュラが裁けない悪を取り込んでシステムの一員にしている」

 

「…それをなんで…」

 

「槙島さんから聞いたよ、動画付きで、チェグソンさんが最後に撮った動画に載ってた」

 

少女はそう言ってまっすぐ朱を見てくる

 

「動画…?」

 

「お姉さんの反応的に、シビュラの正体を知ってると思ったけど、あってた?」

 

そう微笑んでくる彼女の隣に槙島が見えて仕方ない。

 

この少女は、なんだ

 

そう思っていると

 

《常守朱監視官、彼女を保護し、我々の元に連れてきてください》

 

「!!」

 

そう言ってプツリとドミネーターが停止する

 

 

 

 

それから常守朱さんに案内されてやってきたシビュラシステムの中枢

 

脳髄プールと言って差し支えない光景

 

『あんなものに認められてなんになる』

 

槙島さんの言葉が脳裏を過ぎる。

 

彼らに言われたのは、自分が免罪体質であるということ

 

(…真実を知ったから問答無用で殺されるのが普通だけど…)

 

どうやら彼らは7歳と言う肉体年齢を鑑みてまだ成長過程にあると判断したらしい。

 

「こんな存在が社会を支えて行っている存在なんて反吐が出る。でも、貴方達がいなければ決してこの世界は完成しなかった。でも私は貴方達を認めない、裁けない人間を取り込む事は問題の棚上げに他ならない。数百年前では裁けた犯罪者が裁けなくなる世界なんてまともじゃない」

 

免罪体質であるが故に兄を撲殺した件はなかった事になるなんてそんなこと認めたくない。

 

「人を殺した私を裁けない、そんな貴方達に取り込まれるなんて認めない」

 

そう言うとシビュラが、彼らが笑い出す

 

「っ…」

 

後ろにいた常守朱が息を呑む

 

笑うような、軋むような彼ら彼女らの声に少し疑問が湧いた

 

「藤間幸三郎、彼もあなた達の一員だよね」

 

そう言うと常守さんは初めて知ったのか、えっ、と驚いていた。

 

《はい。ですが、彼の脳は槙島聖護によって破壊されました》

 

その言葉に「それは良かったわ」と返す

 

《何故ですか?》

 

代表と思える者の言葉に笑う

 

「どうして、そんなことも分からないの?どうして、私の言葉を理解出来ないの?」

 

嘲笑うようにあえて言う。実に彼ら彼女は滑稽だ。

 

藤間幸三郎は単なる猟奇犯罪者だ、確かに精神構造は普通の人間とは全く違うだろう。

 

しかし、藤間幸三郎の情報を槙島さんに見せて貰った時『確かに斬新だが、こういうことを考える人間は2000年台にもいただろう』と言うことだ

 

確か、学校の校門に少年の首を置いたりする犯罪者

 

それらが免罪体質だと思うとゾッとするが、そういう猟奇犯罪者の思考なんて分かり切っている。

 

それをシビュラシステムは理解してない。

 

本当に滑稽でお笑い種だ

 

「結局あなた達って自分に理解出来ない思考回路をした人間を取り込んで理解力を拡張してるだけ、本当につまんない。自分たちで知ろうとしないなんて」

 

脳髄プールに近づき触って見る

 

気色悪い

 

「収穫の時はまだだろうけど、私はあなた達の事は拒絶しないであげる」

 

そこに収まる可能性があろうとも

 

『君はこれを見てもこの社会を信じるかい?』

 

槙島さんの言葉が脳裏に過ぎる

 

「見逃してくれてありがとうございます。種を植えるのがいつか分からないけど…その時は」

 

ニコリと笑い

 

「お出迎えしてくださいね」

 

沢山物事を見て知って、彼らを自爆させてやる。

 

常守さんの方を見ると、複雑な表情をして見ていた。

 

正義が具現化したような彼女なら、きっと何か出来るかもしれない。

 

 

 

ー数日後ー

 

 

狡噛が槙島を殺害し、そのことをシビュラに報告してから常守はまっすぐ公安局に戻って来る

 

泣いている暇はない、唐之杜に頼んでいた問題があったのだ

 

「お帰りなさい。朱ちゃん、良いの?休まなくて」

 

気遣ってくれる唐之杜を見て泣きそうになるが、微笑みながら

 

「大丈夫です。立ち止まっているわけには行きませんから」

 

そう言ってモニターの前に行く

 

「彼女はどうですか?」

 

彼女・白澤雪絵は7歳という年齢でありながら免罪体質であり、その脳をシビュラから狙われている少女

 

そして、槙島聖護の下で犯罪を見て来た少女

 

「んーとね、どこから言えば良いのか、彼女、犯罪係数が低いだけじゃなく、IQもかなり高いの」

 

「どれくらいですか?」

 

「一回目、2回目の時は測定不能。三回目でやっと出たんだけど、おおよそ200前後、理数系も高校生レベルは難なく解答しているの、それだけでもまぁ驚きなんだけど…」

 

タバコを吸いながら椅子に深く腰掛ける

 

「一応ね?本人に許可は取ったのよ?それに公安局局長のお墨付きもあるんだけど、彼女の脳内の平穏時何を考えているのかメモリースクープに掛けたんだけど、物の見事に機械がぶっ壊れたワケ」

 

「…機械の方が、ですか?」

 

そんなことありえないはず、そう思っていると伝わったのか唐之杜も

 

「…システムがエラーを起こしたのかと思って局長に相談して変えたんだけど、他の機械もほぼエラー」

 

唐之杜は別室で本を読んでいる彼女を写して

 

「それに、彼女と話した執行官の犯罪係数が上昇、最大289まで、もうなんというか…少女の見た目をしている別人って感じ?まぁ、彼女を施設に入れるっていうのも良いと思ったんだけど…」

 

「…集団サイコハザードを起こしたら取り返しのつかないことになりますね」

 

その言葉に唐之杜は頷く

 

 

あれから自分の身柄は公安局に留め置かれることになった。

 

(…シビュラシステムからしてみれば、近くに置いておきたいんだろうけど…)

 

まるで、エスターの正体が発覚した時のような嫌悪感の眼差しにまぁ不快だったものの、別段問題はなかった。

 

「君は本当に事件が好きなことだな」

 

「………」

 

局長のガワを被ったシビュラシステムがいつのまにかそばにいた

 

「今回はどんな事件がお好みだぃ?」

 

数多の免罪体質者の脳があり、その中で選抜して義体に入っているのだろう。

 

だからこそ、表情では読み取りにくい

 

義体だから推測もできないが、ここ最近、複数のシビュラシステムの話し方を聞いて来てなんとなくわかって来た事はある。

 

まず、女性と男性の違い、殺人鬼か普通の人間かという違い

 

「連続少年少女誘拐殺人事件」

 

「…おや、また古いものを」

 

「………」

 

義体とはいえ、目まで嘘をつくように出来ていないのか少しだけ分かり、身振り手振りでも少しだけ分かるようになった。

 

「少年少女を殺すのは楽しかった?沢渡慎二さん」

 

「………」

 

モニターに映った男性を映す

 

「身長182㎝、中央省庁経済省に勤めていた。それに幼い頃から犯罪係数は上昇する事なく、親兄弟からは愛されて育った。それに相反し、小動物を殺すなんて事も見られた」

 

書いてある通りに読みつつ、後ろに立っていた局長の背後に男が立っているようにイメージする

 

「それによって周囲の犯罪係数が上昇、それから察するに…」

 

モニターを消し、目の前に立つ

 

「自信過剰で厚顔無恥、最後の一人を殺すまで自分の天下だと思ってた」

 

そう言うとふぅとため息をつかれる

 

「賢すぎるのも難点だな、まぁ、概ね正解と言ったところか」

 

(…不快に思ってるな…)

 

「なぜ分かった?」

 

「"顔の動きも目の動きも全て、精神によって変わる。最も愚鈍な男でも、主人の眼つきで主人が自分に腹を立てているのかいないのか見分ける事ができる"」

 

「デカルトの情念論か、この義体も人間らしく作ってしまっているのが難点だったか」

 

(…こんな奴が免罪体質か…遡るに1962年〜2000年までの犯罪者はいないと思いたい…)

 

入口の方に向かいながら

 

「貴方みたいな犯罪者1900年代にはごまんといたよ

 

そう言って廊下に出る

 

テクテクと廊下を歩く

 

そこにある機械は私が犯罪を起こしても、通り過ぎる監視官を殺しても反応しないだろう。

 

エリアストレスとやらで判明してしまうかもしれないが

 

(遺体は見つからなければ犯罪ではない、なんてね)

 

 




【その後の彼女】
槙島雪絵
その後は霜月美佳より若い年齢で公安局の刑事になる。
本編よりも若い年齢でメンタルキラートレースが出来るようになっており、犯罪係数が0のままシリアルキラーなどの言動を模倣出来るようになっている。
本編と違って実在していない犯罪者(例・バビロンの曲瀬愛)の思考にもなってしまう点はある。
チェグソンのハッカースキルと槙島の体術を教わっていたので本編よりも化け物
本名は白澤雪絵だが、槙島の姓を名乗り続けている。
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