免罪体質者がPSYCHO-PASSの世界を行く 作:アルトリア・ブラック(Main)
公安局が港に炙り出され、無数の犠牲者を出し、エリアストレスも上昇させた。
雪絵も駆り出される始末であったが、雪絵に割り振られる仕事は一係に比べれば軽いものも多く、執行官も割と大人しい分類を当てられた
9歳の監視官と一係には通達しているが、他の執行官には15歳と教えられている。
シビュラの配慮らしいが、心底どうでもいい
エリアストレスの対象になった病院に行き、執行官達が話を聞いている中、入院者の名簿を見せてくれる
(…こういうの監視官であってサイコパスが低いと助かるんだよなぁ)
適当に書類を見て目当ての人物の名前を見つけて、その人物の手術歴などを頭に叩き込む。
(…無法地帯すぎ…でもまぁこういうのは足がつくんだよな)
目当ての物を持って外に出て、画面をハッキングして私が入室したカメラ映像は消しておく
(ありがとうチェグソンさん。持つべきはハッカースキル!)
心の中で感謝しつつ執行官達の方に行く
「あのおばあちゃん、あーちゃんみたいって言ってましたね」
そう言って来る執行官の女性を見る。病室の前で話しつつその執行官に後は任せる
「孫みたいな歳の差ですからねー」
門崎美穂、25歳、つい最近潜在犯になったばかりの女性で、色相の回復の見込みはないと言われていたが執行官としての素質はあると言われてよくペアになっていた。
外で待っていて貰い、もう一度病室に入る。
(これって軽犯罪かな?いや殺人かな?ま、なんでも良いか)
この世界は本当に歪んでいる。執行官の命が軽いなんて
「かわいそうに」
「何か言ったかい?」
そう言われ「あ、なんでもないです」と返す
「帰りましょうか」
ニコッと笑ってバックを背負い直す
〜数時間後〜
「ただいま戻りました」
そう言って分析室に入ると『お帰りなさい』と常守と唐之杜から言われる
霜月美佳は見るからに嫌悪感を露わにするような表情、山のようにあるエリアストレスの対処に疲れたような顔をしていたが、常守朱は疲れているような素振りは見せず、画面を見ていた。
「みんな揃ったみたいですね、では、始めます」
そう言って飛行機事故の被害者たちの成長復元ホロが完成したと言う。
向島がカムイのホロの一つだとやっと一係の面々も理解する。
(さて、ここからが問題だな…)
東金執行官をチラッと一回見てすぐモニターを見る
モニターを見つつすぐ隣にいた雑賀先生に見られているような気配を感じる
「?なんですか?」
「いや、君はなんというか、この状況を見ても驚かないってことは知ってたのかね?」
そう言われ全員がこっちを見て来る
「まぁ、そうじゃないかなーって」
「なんで言わなかったのよ!?」
霜月の言葉に雪絵は笑いながら
「子供の言うことだから信用出来ない、って言ってたの貴女ですよね?」
「っ!!」
霜月美佳はまだ食ってかかろうとしていたのか、常守に止められる
「雪絵ちゃんに関しては後で聞きましょう。とりあえず、唯一の生存者の所に向かいましょう」
そう言って去って行く彼女らを見送る
いなくなったのを見て雑賀先生がメガネを2回上げる
「実際会ってみるのは初めましてかな、槙島雪絵」
そう言われ『はい、初めましてですね』と返す
「君は、なんというか…精神年齢が20代後半のような思考をしている。いや…なんというか、狡噛から聞いた槙島聖護の特徴と近い気がするな」
槙島さんの名前が出て来てピクッとなる
「ふむ、槙島聖護に関しては親しい間柄、友人と行った所か」
「すっごいですね、雑賀先生」
そう褒めると『癖だよ癖』と言われる
「今回のカムイの行動を…いや、存在を君は大まかに可能性として上げていたんじゃないか?あえて言わなかったのは…」
「シビュラに黙ってろって言われたんですよ」
「それって…」
唐之杜に振り返って聞かれる
「ふむ…君とシビュラは凄く近しい関係にあるな、おそらく槙島聖護も…まぁ、なんであれ、後で常守に叱られるな」
そう言ってコーヒーを飲む雑賀先生
「あれ?深入りして来ないんですね」
シビュラに口止めされたということと伝えると
「世の中にゃ知らなくて良いことが山のようにあるんだ、アンタに深入りしたら執行されそうだしな」
深入りしたくないなと両肩を僅かに上げながら言う雑賀先生
「…そんな無闇に犯罪係数って上がるものですかね」
「お前さんみたいな、クリアな存在にゃ絶対に分からんだろうさ、俺にはお前さんの色が仮に変化するとしたらベンタブラックだと思うがな」
そう言われ、向島に言われた事を思い出し思わず微笑む
「そんなブラックホールみたいな」
「知識の吸収面においてはベンタブラックそのものだろう」
そう言われ笑う
「褒め言葉として受け取っておきます」
一係が帰還し、常守朱は憔悴し切っていた。
無理もない常守葵の耳がプレゼントされたのだから
東金執行官が笑っている顔をカメラ越しに見てウワァとなる。
常守朱が局長から見せられた遺体に絶望しているのが見え、今言いたい気持ちにもなるが、堪える
常守朱の色相は一気に上がったが、また再び落ち着く
心の中で決心がついたのだろう。
彼女は本当に凄い。社会秩序なんていうあやふやな物に命を掛けている。
社会から否定されてもより良い世界のために足掻き続ける正義の天秤
『彼女は、普通の人間とは違う、その引き金にかけている手に重みを感じている』
槙島さんの声で再生される
槙島さんなら、この進展は喜ぶだろうか?
「…怒られるの、やだなぁ」
常守さんの叱り方は怖いものだ。
「今回に関しては裁かれるかな」
いや裁かれないだろうな、と少し苦笑いする
鹿矛囲桐斗をシビュラ内部に案内する常守
「僕は…いや、彼女も自分の色を知りたがっていた」
「彼女…?」
「槙島雪絵、彼女の色は何色だと思う?常守朱」
その話題に常守は足を止める
「…どうして、彼女の名前を…もしかして」
その言葉に鹿矛囲は微笑む
「向島として活動しているときに彼女が会いに来た。自分の色は何色か、自分は人殺しなのにこの社会は裁けないマトモな世界じゃない。許されつつも嫌悪の眼差しを向けられるのはつらいものだと」
「………」
鹿矛囲が歩き出す。それに釣られて先を歩く
「彼女は怪物だよ、常守朱、彼女を放置したら第二の槙島聖護になる」
「…どうしてその名前を…」
槙島聖護の名前は公安内においても知らない人の方が圧倒的に多い。知っているのはせいぜい当時の一係と局長、唐之杜さんぐらいだ。
「彼女は槙島聖護を友人のように慕っていた。その友人が居なくなった彼女は最早、狩猟犬に成長している」
「彼女は公安局内でも最奥にいるわ、怪しい経歴なんて微塵も…」
そう言って足を止めると鹿矛囲が笑う声が聞こえる
「じゃあ、僕はどうして槙島聖護なんて名前を知っていると思う?どうして僕はこうしてシビュラシステムの存在を知っていると思う?」
「まさか…あの子が…?」
「彼女の色はベンタブラックだ。全ての色を飲み込む漆黒、そうであるが故にシビュラシステムに認識されない。白さえも飲み込む色、故に自分が白であると誤認させることが出来るだけかもしれない」
鹿矛囲は歩きながら話す『彼女にとって、僕は使い捨ての駒になったんだろうね、こうして君と話せているのも何もかも、案外彼女の掌の上かもしれない』と話し続ける
「もし、僕たちの色が何色か分かるなら、きっと彼女の色も何色か分かる。それを彼女は期待しているのかもしれない。自分の存在意義を、生まれた意味を」
そう言ってシビュラ最深部に到着する
常守朱にドミネーターを向ける東金美紗子
「お前達がお前達でいる限り乗り越えなければならない存在が目の前にいるぞ!裁けるか僕たちを!!問えるか!お前の色を!!」
《犯罪係数オーバー300執行対象です》
「なに!?」
「死ね、東金美紗子」
そう言って引き金が引かれる
そして、最深部に辿り着き、鹿矛囲桐人の色が判定される
「僕は今、何色かな?」
「鹿矛囲桐人、貴方を逮捕します」
「感じるよ、あの中にも自分の色を取り戻せて喜んでいる者達の声が、そして、彼女にも色がつくかもしれない。しかし、彼女に色がつかなかった場合、君は決断しなければならない」
彼女を殺す決断を、と
「そんな選択肢は存在しない!」
「彼女がいずれ怪物に成り果てる可能性は大いにある。それこそ…いや、血を流さない選択肢なんてものは存在しないんだ」
そう微笑む鹿矛囲、背後から男の足音が聞こえてくる
まだ続きます。久々に酒飲んだ