免罪体質者がPSYCHO-PASSの世界を行く   作:アルトリア・ブラック(Main)

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今更ですが、結構残虐描写ありです。想像しやすいように書こうとした結果グロになります。ハイ

変更点→オリ主の容姿、黒髪から白髪へ
    松本勇人→松崎勇人


第6話『恵比寿一軒家惨殺事件・上』

その夜…雪絵は自宅で松崎勇人の経歴を眺めていた。

 

《松崎勇人、ーー学院を卒業。サイコパスC判定。交友関係はシビュラシステムの性格診断で斉藤昭美さん柚原義樹、倉田静江との関係が良好とされる》

 

その文を見てハッとなる。

 

(…倉田静江?倉田慎吾くんのお母さん…行方不明扱いになっているのは、斎藤昭美さんと柚原和彦さんの二人で、交流関係良好とされているのは柚原義樹さんと倉田静江さん…なんか変な関係だなぁ)

 

担当していた患者の家族が殺人犯の可能性がある人物と関わりがある。その意味だけで厄介な匂いを感じる。

 

データをパッパッと出しながらその違和感を見つめる。

 

「んー…斎藤昭美さんに友人がいるけど…この人の所在も不明かぁ…」

 

過去の事件を引っ張り出し見比べてみる。

 

(正式に決まったわけじゃないからなぁ)

 

犯罪心理学者としての素質があると判定されただけであって、正式な異動命令はまだ受けていない。

 

そもそも、監視官ではないので好き勝手に捜査資料を閲覧できる権限はない。あくまで犯人候補の人間と話をし、犯罪をしたかの取り調べを軽く担当するだけにすぎない。

 

「………」

 

似たような事件の犯人を思い出すために頬杖をつきながら地面を眺める。

 

《子供の責任は親の責任だろう?社会人ともあろう者がその責任すら取れないのかな?君は特に警察官、どちらが悪いと思う?》

 

VHSの砂嵐のような光景が浮かぶ、砂嵐の中ノイズのように話す男の声が聞こえてくる。

 

優しく語りかけるような男の声、この世界であの犯罪者のように人を複数洗脳できるのだろうか?

 

シビュラシステムは人の精神を裸にし、人の心のあり方を解き明かす。相手が洗脳を得意とした男であるとシビュラが判明したら犯罪係数は上昇するだろうか?

 

《子供をしつけるのが親の仕事じゃないか、この責任はどうしてくれるんだい?子供に躾できないならお仕置きしないといけないなぁ》

 

バチバチと電気が走る音がする。その音を聞いた彼ら彼女らは怯え、自分に罰が与えられる前に与える側になった方がいいと決断するだろう。

 

《ウンウン痛いね、頑張って!》

 

愉快そうに笑う男の声が響き渡る

 

彼ら彼女らの悲鳴が聞こえそうになった時…

 

《白澤雪絵さーん、就寝時間が差し迫ってまーす!》

 

機械音が響き渡り、砂嵐が消えていく。

 

「……目が痛い…」

 

考え込みすぎると一種のドライアイになったような感覚になり、目が痛くなってから頭痛が起きる。

 

「…早めに寝よ」

 

 

 

 

《おはようございます!今日の白澤雪絵さんのサイコパスは70!ストレスが少し溜まってますか〜?ストレスケア薬剤をお勧めします!》

 

アバターの言葉を聞きながら目覚める。

 

頭を掻きながら起き上がり、ボサボサな状態でリビングに向かう。

 

その後ろをアバターが着いて来て、明かりをつける。

 

《今日の食事は〜…》

 

アバターの言葉を無視しながらテーブルの上に書き殴った書類の山を見る

 

(…今日は仕事休みだから、公安局に朝から行こうか悩んだけど…この犯人は間違いなく…)

 

松崎勇人のデータを出し、水を飲みながら眺めていると…

 

《公安局からメッセージが届いてます!》

 

「見せて」

 

慌ててボサボサな頭をセットし直す

 

《はーい!》

 

そう言って画面を見ると、公安局監視官・炯監視官が出て来る

 

『朝早くに申し訳ありません。白澤先生、今大丈夫ですか?』

 

運転しているのか、車の中の映像が流れる

 

「はい、大丈夫です。何かあったんですか?」

 

『はい、昨日の失踪事件、現場から出て来る人がおらず、今朝現場に踏み込みました。その際に三名の遺体が発見されました』

 

炯監視官の表情は少し嫌そうな顔をしていた為、その遺体がただ見つかっただけじゃないだろうと思い

 

「もしかして、バラバラで見つかりましたか?」

 

『!!』

 

そう言うと炯監視官は驚いたような表情を見せる。

 

『なんで分かったんですか?』

 

ひょっこりと横から灼監視官が出て来る。

 

画面が二つになる。

 

「半世紀以上前に起こった殺人事件の犯人と性格が似てまして、状況も何処となく似通った部分があったので、こうなるかなと思ったんです」

 

まさか、本当にバラバラ遺体として見つかったとは思わなかったが。

 

『…現場にいた倉田静江が犯罪係数300で執行、同じく現場にいた松崎勇人と鈴木真理恵の身柄を拘束して今事情を聞いてます。先生、今日は休みですか?』

 

倉田慎吾くんの母・静江がその場で執行された事を聞き、今後、慎吾くん自身にも話を聞かなければならなくなるだろう。

 

「はい、休みです。今から行きます」

 

『お願いします』

 

そう言って電話が切れる。

 

書き殴った紙を取り出し、起こった事を書く。

 

「…書いても仕方ないけど…」

 

半世紀以上前に起こった事件を書いたところで、今起きた事件と類似するとは限らない。

 

むしろ、この世界は犯罪係数が全てであり、あの世界よりも最悪な展開になりかねない。

 

事実、炯監視官の話では『二人の身柄拘束』という話が出て来ただけで執行したという話は聞かない。

 

《今のサイコパスは10!ホワイトカラーですね〜!》

 

場違いにもアバターの声が聞こえて来る。

 

 

 

〜同時刻〜

 

 

白澤雪絵という人物は監視官の仕事をしていて初めて会った異質な子供だった。

 

両親を殺害した兄を躊躇いなく後ろから殴ったといわれる雪絵さんの姿を、彼女の姉・白澤江美さんから『恐ろしくてたまらなかった』と聞いた時から私の中では『槙島聖護が幼い頃、こんな感じだったのではないか』と思った。

 

それに関しては狡噛さんからは『人の死に関わり続けた槙島聖護と人の死に関わってしまった彼女を比べても仕方ない』と言われたのを思い出した。

 

(怪物は生まれた時から怪物じゃない。ちゃんと愛情を持って接すれば普通に世に溶け込む事ができる)

 

半世紀以上前にそう言った記者がいたという本を読んだ事がある。

 

彼女は免罪体質者だ。

 

この世界において、犯罪を起こしても、それが犯罪係数として出ないという者がいる。

 

私の親友を殺した男が目の前で人を殺しても色相が濁らなかったように、彼女は人を殴ってサイコパスが0を叩き出した。

 

本来なら0なんて数値はなかなか出せない。

 

出せるのはせいぜい赤ん坊ぐらいじゃないかと言われてるぐらいだ。

 

彼女が更生施設の医師になってから、サイコパスが悪化した者や回復した者が沢山いるという報告を受けた。

 

彼女は自分の能力を測り切れていない。彼女の才能が槙島聖護のようにならない事を祈るしかない。

 

霜月美佳は部下から上がって来た内容を見て吐き気が止まらなかった。

 

ストレスケア薬剤を今日で幾つ消費したか分からないし、薬剤の数を数えるのすら嫌だった。

 

『連続失踪事件』は白澤雪絵の言う通り、簡単に片付いた。

 

しかし、問題だったのが、その事件の内容だった。

 

行方不明として通報されていた斎藤昭美とその友人であった柚原和彦が死亡。

 

当初、所在不明ではあったが、その家に入った形跡のなかった柚原和彦の兄である柚原義樹も死亡していた。

 

「あー…!もう嫌になる!」

 

錠剤を食べながら白澤雪絵が来るのを待っていた。

 

「…そんな飴玉みたいに…体に良くないわよ」

 

唐之杜からの言葉に『飲まなきゃやってられないです』と返す

 

「…それもそうね」

 

しばらくすると…

 

「失礼します」

 

炯監視官と灼監視官が迎えに行ったであろう白澤雪絵も現れる。

 

雰囲気はダウナー系の女性と言ったら良いのか、銀色っぽい白髪がやや肩下まであり、目の下に隈がある白澤雪絵が現れた。

 

「お待たせしました。遅くなってすみません」

 

「それは良いんだけど…隈酷くない?あなた」

 

その言葉に彼女は苦笑いし

 

「昨日夜更かししたので…」と言って来る。

 

更生施設の医師を務めており、心理カウンセラーとして数多の患者を治療したり悪化させたりしている異質な存在だ。

 

「………」

 

先輩である常守朱とこの世界そのものであるシビュラシステムから『彼女は先天性免罪体質者』と聞いた。

 

現に彼女が起こした事件、兄の頭を鉄バットでフルスイングした事件で彼女は犯罪係数ゼロを叩き出した。

 

それだけではなく、残虐な過去の事件を見ても犯罪係数が上昇することなく冷静に見ていた。

 

「霜月監視官?」

 

「!」

 

弥生執行官の言葉で我に返る。

 

「始めてください」

 

その言葉で唐之杜がモニターに事件現場を映し出す。

 

霜月美佳は何度も現場を見ていたため、顔を逸らす。

 

「まずね、被害者は柚原和彦、斎藤昭美、柚原義樹の三名が遺体で発見…と言っても柚原義樹以外の遺体はなく、部屋の排水溝からかなりの量の血が採取されて死亡が確認されたわ」

 

「遺体がバラバラにされて発見されたと…」

 

「………」

 

霜月は眉一つ動かさず冷静な目でモニターを見ている白澤雪絵に『狂ってる…』と感じる。

 

「それで、柚原義樹の解体作業でもしていたのか現場にいた倉田静江が犯罪係数300オーバーでドミネーターで死亡。別室にいた松崎勇人と鈴木真理恵の身柄を拘束して今話を聞いてるわ」

 

「その倉田静江、執行前に何か持ってました?例えばノコギリとか」

 

そう言う雪絵に炯監視官は眉を顰めながら、思い出したのか

 

「……ブルーシートにノコギリとトンカチを持ってたな、近くには鍋があった」

 

「その鍋から血痕出ました?」

 

淡々と言う雪絵に唐之杜がモニターを変え

 

「正解、3人分の血痕が見つかったわ。おそらく解体して鍋で煮込んで証拠隠滅しようとしたんじゃないかしらね…」

 

「別室にいた松崎勇人と鈴木真理恵は犯罪係数上昇しなかったんですか?」

 

「…二人とも規定値を超えなかった。鈴木真理恵は犯罪係数85、松崎勇人も90と上昇すると思ったが…」

 

炯監視官が唐之杜を見ると画面を切り替え、事情を聞いている松崎勇人と鈴木真理恵の二人を移す

 

「…松崎勇人は犯罪係数が下降傾向にある。今は65だ、鈴木真理恵の犯罪係数は85で止まったままだ」

 

雪絵は二人の表情を交互に見つめ

 

「…コレ、容疑者は二人なんですよね?」

 

「あぁ…執行された倉田静江一人で解体したとは思えない…それに、松崎勇人はさっきから『私は命じただけ、やるならやれと言ってやったのはあの人たちだ』と明らかに犯罪の場面に居合わせた話をしてる。鈴木真理恵に関しても同じだ」

 

「…だけど、犯罪係数が上昇しないからこのまま解放されるってなるんだけど…そうするのは愚策も良い所よね」

 

唐之杜の言葉に炯が頷く。

 

「わかりました。それじゃあ…」

 

雪絵は監視官達を見て

 

「二人のサイコパスを上昇させてくれば良いんですよね」

 

そう言って部屋から出ていく。




コメントありがとうございます。いつもはげみになってます。


ネットって顔見えないけど、残したモノは残るからね?
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