免罪体質者がPSYCHO-PASSの世界を行く   作:アルトリア・ブラック(Main)

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連続投稿いつ疲れるかわかんない。


第9話『犯罪者と異端者・下』

一方、慎導監視官・炯監視官は執行官数名を連れて禁止区画に行く。

 

「…んー、ここで雪絵さんが倉田慎吾君を見つけてから消えた…みたい」

 

重い鉄の扉の前で言うと入江が『こんな鉄の扉あったか…?』と触れる。

 

ライトで周りを見渡していると…

 

『か、監視官…そこから先に人感センサーが反応した』

 

雛河がモニターに出て言って来る

 

「人感センサー?この下にか?」

 

『う、うん、地下2階くらいから人がいるっていうサーモグラフィーで判明してる』

 

「増築して地下に部屋でも作ったか?」

 

入江達は合図し、重い鉄の扉を押してみる。

 

しかし、微妙にしか動かず辺りを見渡していると…

 

「あ、なんかレバーあるよ?引っ張ってみても良い?」

 

「おい、勝手な行動は…」

 

「えぃ」

 

灼がレバーを引くとドアがゆっくりと開いていく

 

「………」

 

「ハハハ…」

 

「んじゃ、行きましょうや」

 

そう言って入江達が入って行く。

 

ドミネーターを構え降りて行くと、牢屋が並んでおり、異常な空間だった。

 

「なんだ…こりゃ…」

 

執行官達が前を進み、灼と炯が後ろに続く。

 

しばらく進むと…

 

「!!公安局だ!!」

 

前方を歩いていた入江がそう怒鳴ってドミネーターを向ける。

 

炯が素早く状況を確認すべく前に行くとそこには…

 

「っ…!」

 

ライブ会場を増築したような空間が広がっており、中央の舞台に男が一人血溜まりに倒れ伏しており、中年ぐらいの女が15歳くらいの青年にナイフを向けられていた。

 

「雪絵さん!!」

 

格闘したのか、青年とその中年女の間に倒れていた。

 

「そのナイフを捨てろ!!」

 

炯の大声に青年はビクつきながらも涙ながらに

 

「お、お前なんかがいるから…!僕は…!」

 

《犯罪係数オーバー300執行モード、リーサルエリミネーター。慎重に照準を定め、対象を排除してください》

 

「なぁ、監視官打っちゃっていい?もう犯罪係数300だし…」

 

入江の言葉に「この状況を説明して貰うのが先だ!」と言って青年に向けて走って行く。

 

一気に来た事に驚いたのか、青年は組み伏せられる。

 

ナイフを取り上げる。

 

「動くなよ〜おばあちゃん」

 

《犯罪係数、アンダー50執行対象ではありません。トリガーをロックします》

 

「わ、私ゃあ犯人じゃないよ!!」

 

「うるせぇ分かってる!」

 

そう口論している執行官達をよそに、別の執行官が白澤雪絵を介抱していた。

 

「保護対象、クリア」

 

灼と炯は舞台に上がると死んでいる男を見る。

 

《吉川隼斗、色相ダークイエロー》

 

そう表記されるが、おかしい傷跡が複数あった。

 

「監視官。保護対象を連れて行きます」

 

その言葉に「頼む」と言い、犯罪係数が高い方を出した青年も入江達に連行されて行く。

 

「灼、この状況をトレース出来ないか?」

 

「うーん…出来るんだけど」

 

「だけど?」

 

「さっきの青年がこの男性を滅多刺しにした後、ハッキリと『先生!僕やったよ!』って雪絵さんに言ってたのは聞こえたんだけど…」

 

うーんと悩みながら青年から雪絵を見ている光景が何もない、雪絵が喋っても灼にはノイズとして全く聞き取れなかった。

 

「雪絵さんがあの中年女と話していたのか?」

 

「うん、そうみたい、そうしたら…『お、お前がいたから!僕は!』とナイフを振り上げたと…」

 

トレースから戻って来た灼は首を振りながら

 

「にしても、雪絵先生だけはトレース出来ない」

 

倉田慎吾が雪絵を突き飛ばして気絶させてしまったのは見えたが、終始、女と何か話しているような会話がなされていたが、女の甲高く耳障りな声は聞こえて来たというのに、彼女の声だけは一切聞こえなかった。

 

「なんか、トレースする事は出来るんだけど…何でか、行動全てがわからないんだよな」

 

「そうか…とりあえず、意識が回復した雪絵さんを待ち、この女の身柄拘束から話を進めないとな」

 

雪絵は救急車の中で目が覚め、医師の話によれば頭を殴られて脳震盪を起こしただけとの事だった。

 

気遣ってコーヒーを出して貰うが、それを遠慮し捜査二係の監視官の元に行く。

 

全く見知らずの相手だが、無理もない。

 

「どうしましたか?」

 

保護された対象なだけに優しく言って来る彼に少し感謝を述べ

 

「中肉中背のどうにも頼りなさそうな男見ませんか?私達があそこに居た時、逃げた男がいるんです。」

 

「何?!一係から何の報告も入っていないぞ!執行官共!行くぞ!」

 

そう言って元気に居なくなる光景に手を振っていると、案外近くにいたのか倉田優吾の叫び声が聞こえて来る。

 

《対象を完全に排除しました》

 

ドミネーターが起動して、何のためらいなく撃ち殺した事を見送り、潜在犯がいる車の前に行く

 

「…どうして…先生は助けてくれるって言ったのに…」

 

縋るように言う彼に雪絵は冷ややかに「殺す前だったら上手く行ってたけど、殺意が沸いた時点で君は私が守れる所の外側に行っちゃったからね。人を殺して罪を償わないのなんておかしな話じゃない」

 

「そうだよ!アンタはもう真っ黒なんだよ!」

 

中年の女・倉田智枝が愉快そうに笑いながら孫である慎吾を見る。

 

そこからは家族の絆なんてものは見えなくて、倉田智枝は家族を良いように扱っているようにしか見えなくて吐き気がした。

 

「慎吾くんのお父さん、倉田優吾さんじゃなくて吉川隼斗だよね、智枝さん」

 

倉田智枝が振り向いて来る。

 

「シビュラ推奨として進めて来たのは倉田優吾だけど、静江さんは知り合った吉川隼斗の方に惚れて、浮気して慎吾君が出来た。貴女はその事を知ってて吉川隼斗と倉田優吾を支配下に置いて自分の良いように扱ったんでしょう?」

 

近くにあった椅子に座る。

 

「支配下って、あの現状を見たらそう思っても仕方ないでしょうけどね!先生だってわかるでしょ!私は女で男達を殴る腕力なんてないって!」

 

「普通の男でもバットとかそういうの使えば殴れるとは思うけど…。貴女は言葉が結構キツイ。浮気した末に出来た慎吾くんの出生を公表したくなかったら言う事を聞けって言ったんでしょう?吉川隼斗とシビュラ推奨の相手がいたみたいだし…」

 

まだ一係の人間が出て来てない事を確認する。

 

「あの部屋からでも分かるけど、貴女は結構シビュラに依存してた。毎日毎日サイコパスを計測して曇ってないか確認してた」

 

「そうなんですよ、サイコパスが濁ったら私…普通に生活出来ないじゃないですか!」

 

身振り手振りで自分は一切無実だということを伝えて来る。

 

「だからって人を拷問してクリアにするの、本当にクズだと思いますよ」

 

「なっ…!」

 

「松本勇人とは違って、貴女は家族だけに絞った。他の人に手を出さなかったのは、露見するのが怖かったから。今回慎吾くんが私に助けを求めたのも正直誤算だった」

 

表情が変わらない雪絵を見て怯えているのか、少し後退する。

 

「シビュラが貴女を白だと言っても、貴女は白じゃない。生きてる価値のない、どうしようもないクズだよ」

 

淡々と言う雪絵にサイコパス計測器を見るが、雪絵のサイコパスが『7』を出している事に驚く

 

「この世界に法律はない。だから貴女の色相がクリアな状態ならずっと罪に問われない」

 

【倉田智枝 サイコパス90】

 

慌ててストレスケア薬剤を飲む。

 

「貴女の孫息子は公安局に事情を話したら施設に送られて、300を下回らなかったらそのまま通風口から毒ガスが出て殺処分、犬みたいな扱いされて死ぬ。でも貴女は色相がクリアだから更生施設に入らず、いつも通りの生活出来るでしょうね」

 

そう言って智枝に背を向ける。

 

「貴女が次の寄生先を探すのも結構ですけど、家族という縁がない以上、あなたの色相がこれ以上クリアになるなんてないでしょう。実の娘すら見殺しにして得たものは孤独しかなかった」

 

雪絵は智枝を最後見るために振り返る

 

「自分の欲望のために、人間を道具のように扱う人間は誰にも価値を見出されずに死ぬ。楽しい事から目を覚まして現実を見た方が良いですよ、おばあちゃん」

 

 

元いた位置に戻ると、空を見上げる。

 

やって来た一係の一人・灼と炯がやって来る。

 

「お怪我が無くて良かったです。ところで、どうして一人で行ったんですか?」

 

炯の言葉に苦笑いし

 

「元患者とはいえ、まだ15歳の青年が助けを求めていたので、通報する前に行こうかなと勝手に判断して行きました。その事についてはお詫びします」

 

「貴女のご友人である由美さんが『連絡が取れない、絶対厄介ごとに首突っ込んでる』って通報を受けました。まぁ…怪我がないようで良かったです」

 

そう言って炯が報告をし始めるのを傍目に灼が

 

「ナイフを持って行ってどうするつもりだったんですか?雪絵先生」

 

「え?」

 

キョトンとする

 

「相手は複数、もしものことがあったら…」

 

「あぁ、殺す事はしないので大丈夫ですよ」

 

そう笑顔で言う、車に寄りかかりながら空を見上げ

 

「自分で言うのはアレですし、兄をバットでフルスイングした私が言うなってのは尤もですけど、昔から分別は付いている方だとは思うんですよ。どんな不利な状況でも殺した後の事を考えて止めます。ある意味それが人間らしい生き方だって」

 

やってはいけないことは幼い頃から理解していたし、この世界と知っていた世界の常識はかなり違った。

 

「ナイフを持って行ったのもあくまで心の安定の為です。この世界は普通に好きですけど、普通に気持ち悪い世界だなとも思った事あるので」

 

そう言って車のドアを開ける。

 

「後…倉田智枝さん、公安局から解放されたら多分自殺すると思うので気をつけてください。慎導監視官」

 

そう言って車に乗り込む




次は今日の20時に投稿します
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