巻き戻りのウェルシュドラゴン   作:夜乃さん

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黒龍妃の禁手

最初に攻撃を行ったのは黒霧だった。

彼女は、火球を放った。

火球はグレンデルに直撃したが、特にダメージになってないようだ。

『Boost!』

俺が倍加を溜めている間に、黒霧は炎や雷、氷の魔力を次々と放ちながら紅蓮出るの注意を俺から離してくれている。

俺はその間に倍加が溜め、攻撃に移れるように準備する。

だが、俺は焦っていた。

本物のグレンデルではなく、そのコピー体でも、その鱗の防御力と奴の攻撃力の高さはよく知っている。

まるで、コカビエルの時と同じじゃないか・・・。

あの時も、今と同じよう倍加が溜まるまでは何も出来なかった。

「クソ、いい加減に反応してくれよ・・・、ドライグ・・・」

俺が今もまだ反応を示さない相棒に向かい言葉をかけるが、反応はしない。

「イッセー君危ない」

俺は視線をグレンデルに向けると、グレンデルは俺に向かってブレスを放とうとしているのが見えた。

慌てて横に飛び、一瞬遅れて俺の立っていた場所をブレスが通過していった。

俺はブーステッド・ギアを確認して倍加が解かれてないかことに安堵した。

だが、安心したのもつかの間、黒霧の攻撃を無視して、グレンデルが俺に向かって突進してきた。

俺は、すぐさま体勢を整え、その攻撃をやり過ごす。

グレンデルが振り向きブレスを放とうとしたため、避けようとしたが、俺とグレンデルの間に黒霧が移動した。

「イッセー君。動かないでね」

黒霧はそう言うと、小盾を構えると同時に

『Darkclothes』

その音声と共に、俺と黒霧は黒い霧に包まれた。

 

 

「さて、あまり時間が無いから必要な事だけ聞くね。まず、あの龍について。弱点や何か知ってることは全部教えて。そして、君の神器の能力の二つ」

「わかった。まず、あの龍はお前の神器の中にいる龍が言っていた龍の劣化コピーだ。だが、それでも攻撃力と硬い鱗に守られているため防御力はかなり高い。そして弱点は龍殺し(ドラゴンスレイヤー)の力と聖なる力だな」

「聖なる力となると、君の持っている聖剣がとどめになるかな」

「ああ、そうだな。しかも、俺の持ってる聖剣は龍殺しの力もあるから直撃できれば大ダメージにはなるな」

「そうか。まあ、あの鱗を何とかした後で君の聖剣には仕事してもらうとして、次に君の神器が持ってる能力全部教えてもらうよ」

「さっきの戦いでも使っていた10秒ごとに倍加する力と、その倍加した力を他人に譲渡する能力の二つが現状使える力だ」

禁手(バランスブレイク)は使えないのかい?」

「今は使えない」

「なら、君は倍加を溜めて止めの時に君に任せるよ」

「大丈夫なのか?」

「うん、制限時間付きだけど、一応、禁手は使えるし」

「というか、お前の神器の能力は何なんだよ」

「まだ、少しだけ時間あるし、簡単に説明すると、魔力や光力、生命力を吸収して蓄える能力と、それを引き出す能力。そして、その蓄えた力を別の力に変換する能力が主な能力だね。あと、この神器に宿っている龍がまだ神器に封印される前に使っていた闇を操る能力も含めれば4つだね」

「それで、奴に勝てる方法はあるのか」

「う~ん、五分五分くらいかな。でも、負ける気はないね。さて、そろそろ、闇の結界が消えかかっているから始めるよ」

「おう」

俺はそう力強く答えると、黒霧は笑みを浮かべた。

 

 

闇が消えると同時に、黒霧は小盾に話し掛けた。

「それじゃあ、クライ、お願いするよ」

『任せなさい。でも、10分が限度だから気をつけなさいね』

「うん。それじゃあいくよ」

『「バランスブレイク」』

黒霧の周りに闇が集まり彼女を覆っていく。

そして、彼女を覆っていた闇が晴れると、彼女の体を黒い龍の鱗でできたドレスのような衣装を身に纏っていた。

頭には変わった形をした、ティアラをつけ、胸には宝石のようなものがついたブローチをつけていた。

見た目は、完全に全身を黒い服装で纏めたお姫様のような服装だった。

「これが僕の禁手(バランスブレイカー)黒龍妃の戦闘礼装(チャージング・バトルドレス)。さあ、始めようか」

黒霧がそう言うと、ドレスから闇を放出した。

グレンデルは黒霧に向かいブレスを放った。

『Charge』

その音声と共に、ブレスは闇に吸収された。

「無駄だよ。その程度の力じゃ。それじゃあ、今度はこちらから行くよ」

黒霧は、闇をグレンデルに向かい放った。

闇はグレンデルを覆うと、

『Charge』

「ぎゃぁぁぁぁあああ」

グレンデルは悲鳴を上げている。

「いくら硬い鱗を持っていても実体を持った闇で万力のように締め上げて、さらに魔力を吸収されるのは堪えるようだね」

背筋に悪寒が走り、背中には大量の冷や汗をかいていた。

もし、今その闇に囚われているのがグレンデルでは無く俺だったらと思うと・・・。

俺は、このままなら自分の出番も無いかもしれないと、少しだけ思っていたが、グレンデルは闇を振り払った。

「流石に、あっさりとはやられてくれないか。なら、こうしよう」

黒霧が手をかざすと、黒霧の周りに闇が集まりいくつもの剣に形を変えた。

グレンデルは攻撃を阻止しようと、突進するがそれよりも先に剣が完成し、放たれた。

剣ははグレンデルの鱗を貫通することは無かったが、それでも鱗に傷をつけていった。

『Boost!』

丁度その時、30回目の倍加が終了した。

俺はグレンデルに止めを刺すために、準備しようとしたその時。

再び、天井に深緑の龍門(ドラゴンゲート)が浮かび上がった。

 

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