触手と粘液は使いよう 作:ぬぇへへへ……
ところでさ。一般ピープルがさ、娯楽も無い、現実逃避ができる状況じゃない、ストレス発散も出来ない、トラウマ想起するような状況下に置かれてさ、下手に力がある状況に置かれた結果どうなるかわかるかな?
そう、キチゲ発散だよね(満面の笑み)
前世。あ、前の世界って意味な?
ともかく、前世の何処かの漫画のキャラはこう言いました。
『不幸とは畳みかけるようにやってくるのが常である』
細かいところが違う? 許せナルト、色々曖昧になってンだ。
まあ何が言いたいかと言うとだ。またしてもバッドニュースのタイムってワケだ。
「全員ただちに武器を捨てて、おとなしく出てこい!」
おーおー、どうやら俺達を誤解しているみたいでワーンと怒声が響きますわぁ。
しっかしアレだな。こうしてうすぼんやりした光と密閉した室内ってのは倫理観ゆるキャラな狸おやじ(言葉通り)と、その取り巻きに好き勝手弄られた時の事を思い出すな。
『ウーム…気まぐれに拾ったもののあまり価値を見出せないな』
『まあまあ、取り敢えず採血して結果を見てから判断しましょう』
あー駄目です駄目です駄目よダメダメ。そんなこと思い出しちゃいけません。おかーさんそんな意識に育てた覚えはありません。いやおめーに育てられた覚えもねーよ。と言うかなんだよ意識を育てるって。
「貴様らは町民を拉致し、彼らの財産を略奪した! その一部始終を見てきた!」
好き勝手言いなさるぅ。こちらの言い分を微塵も聞く気はなさそうですなぁ。まるで前世の上司みてーだな? お、ちょっと嫌なところを思い出してきたゾ。
いやまあ、気持ちもわからんでもない…気がしないわけでもない。あれ、自分でも何考えてんのかわかんねえなコレ?
「直ちに投降し、貴様らが匿っている『化け物』と我が町民を引き渡せ!!」
あー?
何つったアイツ?
………………………う~ん?
あ、無理。我慢の限界。
▼ ▼ ▼ ▼
此処で本来の流れを説明しよう。
本来ならミアロの説得により現領主ピカールは納得し、町民を引き連れて領主館へ護送。
唯一つ。現在の状況において、変数(イレギュラー)の存在がその流れを狂わせた。
「今だ! 掛かれぇ!」
「全員殺しても構わんが目標はなるべく生かせとのオーダー(命令)だ!!」
突如として夜闇から現れた、ピカール達が本当に対処せねばならない下品で無価値で恥知らずなクズ共。その一人が放ったクロスボウの矢は的確に先が無いと知りつつも夢を諦めない善良なる若き医師の命を奪う――筈だった。
青年の横に『褐色の肉の蔦』が現れ、その矢の進行を遮り、弾き飛ばした。
矢を切り捨てようとした領主ピカールも、命の危機を感じたミアロも、襲い掛かった傭兵達も。誰もが呆気にとられ、そして悍ましい気配をセーフハウスから感じ取った。
一歩、一歩。ゆっくりと扉を開け、外に出たその正体。小柄な人影。うつむいてその表情を読み取ることは出来ない。
肉の蔦の元をたどるとその人影の背中。一本だけではない、うじゅうじゅと粘液を垂らし、幾重にも分裂した蔦が不気味に蠢いている。
それはふらり、ふらりと頭を揺らしながら歩き、衛兵隊を取り囲む傭兵達の前に立つと徐に肩を震わせた。
「…っぷ、ククク…なんだアイツ?」
「カッコつけておいて俺達にビビってるみてーだ。こりゃボーナスは確定だな」
それを自分たちを恐れていると確信した傭兵たちの嘲笑が響く中ただ一人、沈黙と警戒を強めた男がいた。
最初にその男と遭遇し、撤退を選んだサルカズの傭兵。あの時以上の得体の知れなさに脳内の警告が強く響く。
そしてそれは的中した。
「…っ!?」
男が横に跳んだ。コンマ一秒後、男の頭があった場所に肉の蔦が空中を這い、背後にいた傭兵の頭を掴んだ。
当然幾重にもそれがある以上、半数以上の傭兵が様々な形で捕まり――――
「―――――――~っッッヴアァァッハハハハハハハハッハハハハハハハァ!!! アッハ! ヒャッハッハァ!!!」
嗤い声が響き、血と肉でできた花が咲き乱れ、それを芽吹かせた肉の枝は極彩色に色付いた。
ようやく見えたその顔。その眼光に宿った瞳孔は横位一文字に広がり、恐慌に陥った傭兵達を愉しそうに見下していた。
運よく四肢のどれかがもぎ取られる程度で済んだものも蔦から垂れた粘液が断面に触れた瞬間、泡を吹き藻掻き苦しむ。
狩人と獲物。その立場は一瞬で逆転した。
~~~~~
此処で少し話を変えよう。
ヒョウモンダコと言う海洋生物を一度は聞いたことはないだろうか。
特定の地域で見かける危険性の高い海洋生物としてその名は広く知られている。
凡そ10~15㎝の大きさしかないこの生物はサメの様な牙など当然持っていない。ならば何故恐れられているのか。結論を述べるならばその毒性だろう。
テトロドトキシンと言う毒を知らないものはいないだろう。
主にフグが持つ毒として一般的に知られてはいる。しかしその特権を持つ生き物は他にもいる。
その一つがこのヒョウモンダコである。
普段褐色で目立たず、岩などに擬態している本種であるが、危険が迫れば青い斑点状の警戒色で威嚇し、知らずに近づいた観光客やダイバーに噛みつき、その毒を注入する。
テトロドトキシンの危険性は言うまでもないだろう。その致死量は1~2㎎。ヒョウモンダコの小柄な体躯でもその量を注入するには十分である。
更に言えばこの種が持つ毒は他にもあり、ハパロトキシン、セロトニン、ヒスタミン、ドーパミンなど保有している毒は数種類ある。
~~~~~
話を戻そう。伊能翔也が不本意で入手してしまった特異的な体質。それは単に触手を放出し、粘液を纏わせるだけのものではない。
『彼が持っている海洋生物の知識から触手、粘液の構成を変える』と言うこの大地に置いて異形ともいうべき能力である。
彼が今まさに体現させた特徴はまさしくヒョウモンダコを基にしたものである。
本来無意識化で制限していたソレはトラウマの想起、過剰な抑圧に加え、現実逃避もその発散先も無いまま溜まりつつあった情動がガソリンに、領主ピカールの止めの一言で暴発し、狂気に陥ったことで暴走状態となり、発現したのだ。
「アハハハハハハハハハハハハ」
脳内に生成されたドーパミンにより、高揚した気分に従い嗤う。彼は只々嗤う。己を侮り、嘲笑を浴びせて来た愚かで身の程知らずな獲物を。
ヒュン、と触手が振るわれ彼を狙っていた一人の術士に粘液がまとわりついた。
「っ!? この! 気色わりぃモン擦り付けやがって!!」
「待て! それに触れるな――」
サルカズ傭兵の警告を聞く前に、付着した粘液を払おうと素手で触れ――
「ガ!? カッ!? オ、ゴォォ…」
哀れにも周囲に転がる哀れな屍と化した。
本来ならばここまでの毒性を持たないテトロドトキシンは、テラの環境に『適応』するべくその凶悪性を増していたのだ。
「――っ撤退! 撤退だ! 総員、直ちに撤退せよ!! 契約は今を以て破棄する!! これ以上コイツを相手どることなどできん!!」
サルカズ傭兵の言葉に全員が蜘蛛の子を散らす様に敗走。残ったのは未だに毒に苦しむ者、既にこと切れたものと――――
「あ、ああっ! ま、待ってくれ、おいて行かないでくれぇ!!」
あまりの恐怖に身が竦み、情けなく地面に転がる哀れな男。
そこで漸く伊能の笑い声が止まった。
脳内のドーパミンが尽き、今度はセロトニンにより鎮静と脳内の優先順位の入れ替えが行われる。
――この場で必要な事。残党狩りでもなく、あの発言の代償を求める事でもない。情報。そう、情報の確保。
脳内で決定された最優先事項のままに、目の前の情報源にヒタヒタと歩みを始めた。
ショージキすまんかった。色々やる気勇気元気が出た結果の暴走でございます。
因みにキチゲ発散している間ずっと頭の中で声が響いています(後 付 け)
此処で正気に戻らなければそのうち声に呑まれて「もう終わりだ猫のキヴォトス」状態になります。(別ゲーの反応集並感)
ちなみにヒョウモンダコ云々は色々Wikiとか調べて書きました。違ってたら?
ワイが死ぬ()
イノー君のぶらり一人放浪記要る?
-
ん、要る。一つずつ順番に情報を流すべき。
-
ん、要らない。さっさと龍門に帰るべき。