触手と粘液は使いよう   作:ぬぇへへへ……

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 儂はこれしか思いつかなかったんじゃぁあああ!!!


 Who wii knowを聞きながら見ることをお勧めします(重大なネタバレ)


十七本目

 ―――――詰み。

 

 伊能の脳内はその二文字で埋め尽くされていた。

 絶対不可侵領域――彼のよく知る単語に変えればATフィールドの強度は虫食いだらけの原作知識しか持たない伊能でさえよく知っている。

 

 原作においては地図を書き換える程の威力を持つ兵器でさえ足止め程度にしかならず、対抗策は同じくATフィールドで中和し直接本体のコアと呼ばれる器官を破壊すること。これにより漸く使徒の生命活動を止めることが可能となる。

 だが悲しいことに、彼の現状の知識にはATフィールドの存在は理解できてもそれがどのような仕組みで、どの器官によって発生しているかなど知る由もない。

 知識を得るためには一度抜け出した――彼が知識と共に吐き出し、それが成長した姿である少女と一体化する必要があるが、その選択は全てを諦める事と同じことである。

 

 どうすればよいのか。ネガティヴな、或いは諦めるという選択肢が頭の中を占める中必死で考え―――もう一つの対抗策を思い出す。

 ATフィールドの強度以上の火力で破壊するという文字通りの力業。

 しかし、彼の残っているネットワークで得たくだらない知識の中には、そんな生物は存在しえない―――否。いる。いた。いてしまった。

 実在する生物に限定していたのがそもそも間違いだったのだ。相手が実在しない存在の模倣ならば、此方もそれに則ればよい。

 簡潔な言い方をすれば、『化け物には化け物をぶつければ良い』のだ。

 『ソレ』が脳裏によぎった瞬間、伊能はそれしか方法が無いと、元来極限状況に置かれれば盲目的になりやすい彼は今回もその例に漏れずに陥った。

 脳裏の今までの考えをかき消したその答えを実現するべく、伊能の身体が変化していく。

 

 背中に現れた無数の触手がお互いを絡め取り合う。しかしそれはただの触手ではない。発電器官を備えたものだ。

 無数に絡まった触手が後方に垂れ、それは一つの太い肉の蔦となりその上に幾多もの小さな補助発電器官が生成された。

 そうして完成したソレは、肩甲骨から尾てい骨を超え、凡そ本体である伊能よりも長大なものになる。

 補助器官はその発電器官の上でサンゴの枝の様に隙間なく生え、時折蠢いた。

 

 それらを生成し終えると発電状態に移行。

 最後尾より開始されたそれは鯉の遡上の如く肩甲骨まで上り、伊能の背が青白く輝いた。

 その過程において余剰に発生したエネルギーを補助器官が受け取り、補助器官同士で増幅されて再度本体へ送られていく。

 膨大に生成されたエネルギーは放出器官である口内ただ一点に蓄積され、莫大なエネルギーはやがて陽電子を生み出すに至る。

 

 その間も少女に動きはない。ただ観察し、伊能の得た能力を学習するのみである。

 そこには命を脅かされる危機感も恐怖も無く、只々目の前の事象を知りたいという好奇心だけが存在していた。

 

 収束した陽電子を放出するべく伊能の口が開かれる。

 ゆっくりと上下に開き、人間の可動域を優に超えると下顎が二つに裂けた。

 やがてそれらがほぼ平らに、すなわち180度になるまで開ききると、露わになった陽電子の塊が広い室内を不気味な紫の光で照らす。

 

「……綺麗」

 

 少女の呟いた言葉は過剰に生成された電気の放電音でかき消され、伊能の耳に届くことは無い。仮に届いたとしても本人の状況を鑑みれば、どの道理解できないだろう。

 その身は発電で発生した熱と電気による感電で絶えず焼かれ続け、それを上回る速度で再生されている。

 それは伊能本人に耐えがたい痛みを与え、気を失うという逃避すら許さず、痛みによって気を失う度に痛みによる強制的な覚醒を促された。

 最早痛みなのか別のナニカなのか感知する知性すらとうに消え、口内に留まり続けてる『熱』を開放することだけしか本能には残されていない。

 

 戦闘中という事を考慮すればあまりにも致命的な時間を消費し、その時はとうとう訪れた。

 極限まで収縮され、高密度の塊になった陽電子が一筋の光となり少女を襲った。

 通常であれば陽電子が露出した時点でその身体は焼失し灰も残らずに消えるか、一命を取り留めたとしても陽子と電子の対消滅によって発生した重度の放射能による死は免れない。

 

 しかし少女はそれらを絶対不可侵領域によって無力化し命を繋いでいた。

 その絶対的な障壁は光線が衝突しても尚健在であった。激しく色を発しながらも脅威を退け続ける絶対的な防護壁。

 それを知ってか知らずか、伊能の生成した発電器官はより一層の光を放ち遂には回復速度を上回るほどの損傷を与えながら電力を供給し続ける。

 肌は焼け、眼球の水分は蒸発し、内臓に至るまで壊死し始め、その度に辛うじて回復されるもそれを上回る熱量によって自ら破滅の道に進みつつある伊能。

 しかしそれでも尚止めることは出来ず、残された道はただひたすらに少女の障壁を打ち破る威力に至るまでエネルギーを生成するのみである。

 

 自滅か、はたまたは撃破か。

 

 あまりの熱量に周囲は溶け始め、液状化した鉄と岩石がしたたり落ちる中決着の時は来た。

 ガラスが破れるような呆気無い音と共に障壁が消え去り、光線が少女の身体に迫り――――

 

 

▼ ▼ ▼ ▼

 

 その日はイベリアの歴史に残る一日となり、テラの大地でも指折りの怪事件の一つにも数えられる重大な災害の日でもあった。

 

 イベリア北部に存在する山脈より光が立ち上り、一部の山々が崩落。同日に約100キロに離れた場所に移動していた都市の窓が軒並み粉砕されたことからこの災害のもたらした被害とその規模は計り知れない物だろう。当然その周囲にいた寒村は軒並み消滅し、今は捲れ上がった大地の底。

 

 現地に調査に赴いた人員も同様に謎の疾患により命を落としたことから、これは人智を超えた何者かの存在を示唆しているかもしれない。

 また、壊滅的な被害を被った災害の中心地よりも数十キロ離れた場所にある村落の生き残りの証言では

 

『天に光が昇り、山々が膨れ上がって破裂して崩落した』

 

『アレは天災ではない。怒りだ。この大地の行く末を嘆き、苦しみ、怒りに呑まれた神の怒り』

 

『我らは大地の終焉。その始まりをこの目にしたのだ』

 

『神は来る。怒りと共に、大地の底より現れ、汚れた地上を浄化するだろう』

 

 と言うものが多かった。かの集落には古来より独自の神話が語り継がれているが……この災害はその前触れだとでもいうのだろうか。

 我々クルビアミステリー調査隊は引き続き今世紀最大のミステリーとも呼ばれるこの一連の事件を調査し、いつか真実を読者諸君に届けることを約束しよう。

 読者、いや調査団の諸君よ、引き続き来週の記事を期待して待て!!

 

 週刊クルビアミステリー調査団報告誌 第2016729号掲載記事より抜粋

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 こんな三流記事を見ている暇があるなら仕事をしてください。ドクター。 ―――とある可憐で優秀且つ聡明なCEO




 やった本人の感想
 
「も う 二 度 と や ら ね ぇ」(迫真)

 スカジどうすんねんと言う声が聞こえそうなのであらかじめ言っておきます。




 いつから研究所が一つだけだと錯覚していた?

イノー君のぶらり一人放浪記要る?

  • ん、要る。一つずつ順番に情報を流すべき。
  • ん、要らない。さっさと龍門に帰るべき。
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