触手と粘液は使いよう   作:ぬぇへへへ……

20 / 20
 彼是ノンベンダラリしているうちに二週間以上経ってたってマジ?


二十本目

 適者生存と言う言葉がある。

 元々は哲学者のハーバード・スペンサーが発案し、かの生物学の権威且つ、誰もが一度は耳にしたであろう偉人チャールズ・ダーウィンの著書『種の起源』にて取り入れられた造語である。

 ある一つの種の中に置いて環境に適した個性を持つ個体が生き残り、子孫を残すことができる。

 

 さて話は変わるが女性の胸部、もっと言えば乳房はそれぞれにおいて異なる大きさを持っている。

 大きいものを巨乳、反対を貧乳と形容され、異性からは欲と希望を、同性からは羨望と嫉妬をもたらす。

 一見先ほどの適者生存と何が違うのかと思うかもしれないが俺としては疑問を抱くのだ。

 

 何故貧乳が生き残っているのだろうか?

 

 適者生存の観点から見れば授乳に適している方が生き残りやすくなる。であるならばだ、乳房は大きい方が有利になる筈である。つまり今頃貧乳は淘汰され、人類の女性の殆どの乳房が一定のラインの大きさしか存在しない筈なのである。

 しかし実際にはそうはならない。貧もいれば巨も並もいるのだ。

 

 此処に人類と野生生物の決定的な差があると個人的には考えているのだ。

 貧を、巨を、並を好む――癖。この性に対する多様な好みが女性のバストサイズの多様化に―――

 

「何を考えているかはわかりませんが下らないことに思考を割くとはずいぶん余裕がありますね?」

 

 俺の個人的且つ真面目な考察はその鋭い声によって中断された。手元を見るとカップとは明らかに違う地点に着地している大量のお湯。

 

「あ…」

 

「何もない空間にカップを作り、紅茶を注ぐ技術があるなら今すぐにでも手品師に転職することを進めていましたが…どうやらその才能は無かったみたいですね」

「全く…紅茶、コーヒー問わず適切に提供するのは使用人として必要な技術です。もう一度」

 

 テキパキと処理してテーブルを元通りの状態まで戻した彼女は、光を反射して白く光る分厚い丸眼鏡を持ち上げて俺に再度紅茶を淹れ直せと促した。俺は何度目かわからない慣れつつある手つきでティーポットに水を注ぎ、火にかける。

 

 此処はヴィクトリアの首都ロンディニウム。民間アーツ研究会の狐尾とヴィクトリア王立前衛学校等、歴史ある建築物が観光の名所になっている。

 そのロンディニウムの郊外。ひっそりと建てられた。にしてはやけに格式高いホテルの一室でメイドによる指導を受けていた。因みにかれこれ一週間くらい缶詰状態である。

 

「お嬢様。カップの持ち方を間違えています。ハンドルに指を通さずに人差し指、中指、親指の三本で持ちます。また、提供された際に3時の方向に向けてから持ち上げてください」

 

 マヘリアは一見いつもの無表情に見えるがよく見ると目に光が無い。同じことの繰り返しで精神的に限界がきているようだ。

 何故こんなことになっているのか? 答えはかれこれ一週間と数日前に遡る。

 とはいっても答えを言ってしまえば場の雰囲気と悪ふざけで主従ごっこしてたらこのメイドに咎められてあれよあれよとこのホテルに連れ込まれ色々叩き込まれている訳だ。

 

「フットマン、紅茶を注いでいる位置が高すぎます。御覧なさい、テーブルに跳ねていますよ」

 

「お嬢様、ナイフの使い方を間違えています。食事休憩中は、5時の位置にナイフ、7時の位置にフォークを背を向けて。食後は、6時の方向に腹を向けたフォークとナイフを置くことがマナーとなっています」

「その他にも食事のマナーを覚えて頂きますので気をしっかりお持ちください」

 

 ああマヘリアの顔がFXで溶かした人みたいに溶けていく……

 と言うか今更だがここの宿泊費は大丈夫なのか? 俺達払えるだけの手持ちがねぇぞ。

 

「此処の費用は全額私が持ちますので、励むように。ご安心ください、一年間宿泊しても支払えるだけの蓄えはありますので」

 

 何者だよこのメイド。あとそれだけの期間指導を続けるつもりかよ。

 

 

****

 

 漸く指導がひと段落したらしい。今日一日は元々の目的である観光に繰り出す…はずだったが。

 

「フットマン、お嬢様よりも前に陣取らずに斜め後ろ、正しくは利き手が自由に動かせるように合わせてポジショニングしてください。お嬢様の様子を視界に収めつつ周囲に危険な要因が無いか常に気配りを」

「お嬢様も足の運び方は事前に指導したとおりに…そうです。その調子で」

 

 何でアンタもいるんですかねぇ…?

 俺のついたポジションとは反対の方向で俺達に指導するメイドの姿。ヴィクトリアン調のクラシカルなロングスカートを全く揺らさずに静かに歩く姿は往年の少女漫画とかに出てきそうである(偏見)

 

「もうこんな時間ですか。この時間ですと狐尾によるアーツショーが開催されている筈…」

「本日は火のアーツを使ったショーになります。終了が丁度ランチの時間になりますのでその後は近くにあるカフェで小休憩。その後は僭越ながら私がリストアップした観光所をめぐりましょう」

 

 メイドが胸ポケットからメモを取り出して今後の予定をつらつらと述べる。

 …なんかいつの間にか決められている。いや、寧ろ何も知らないこっちからしたらありがたい限りか?

 

「では参りまりょう。道中も私が適宜指導を行いますので、気を抜かないように」




人物紹介:メイドさんについて

メイドさん:色々あってクビになったメイド長。クラシックなロングスカートなメイド服と三つ編み、光で白く反射する丸眼鏡が特徴。因みに裸眼だとクッッッソ目つきが悪くなる。これが原因で威圧感が生まれてしまうのでそれを緩和するために白光する眼鏡をかけている。種族はペッロー。名前? ロベルタで良いんじゃないですかね(すっとぼけ)



 感想を頂けると作者の承認欲求が満たされて創作意欲が湧くのでくれ(強欲)

急募:合流するならどこ?(原作死亡キャラの生存に関わります)

  • 龍門(1098年10月頃)
  • シラクーザ(1099年10月)
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
一言
0文字 一言(任意:500文字まで)
※評価値0,10は一言の入力が必須です。参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。