触手と粘液は使いよう   作:ぬぇへへへ……

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 はい、ちょっと色々調べ物に手こずっていました。申し訳ない。

 あとモスティマ及び色んなキャラのキャラ崩壊を起こしているかもしれないという予防線を張っておきます。
 モスティマに関しては特に崩壊してるかもしれない…


五本目

――1097.07某日:シエスタ

 

 白い砂浜、涼しくも熱く照り付ける日の光が降り注ぐ青い空、そして――そんな中流れる音楽。

 

「おお~! 噂には聞いてたけど、実際に見るとそれ以上やな!!」

 

「だね。あ、あっちで歌ってるの、最近話題のグループじゃない?」

 

 ペンギン急便の面々は通りで行われているライブの熱気に当てられ、興奮冷めやらない様子で周囲を見渡していた。

 

「…イノーはいないみたいだな」

 

 その中を見渡しながテキサスは手に持っていた端末を手にぼそりと呟いた。

 

「なら決まりだな。今のうちに流す曲の吟味でもするか」

 

 彼女達を率いているエンペラーがデータの入った端末を操作してあれこれと選出し始める。

 

「しっかし、相変わらず聞き慣れねぇな。いくつか似たような響きはあるが、どうにも微妙にアクセントが違う。それに使っている言語もばらばらだ。ヴィクトリアっぽい言葉にこいつは…極東の言葉か?」

 

「……大丈夫なのか?」

 

 ヘッドフォンで曲を聴いているエンペラーに問いかけると何ともないように答えた。

 

「なんだ、アイツに与えたテメェの知識が信用できねぇか?」

 

「心配することはねぇ、アイツには十分すぎるほどの装備を持たせたし、何よりモスティマが傍にいる。よっぽどの『不運』と『踊らない』限りいずれここにはつくだろうさ」

 

 

▼ ▼ ▼ ▼

 

 

――1097.7某日:サルゴン某所

 

 ヤッベェ。ずっとその一言が頭の中を埋め尽くしている。

 どうしてこうなったのか、それは1週間くらい前の事だ―――

 

 

▼ ▼ ▼ ▼

 

 

「えぇっと…今ここだから…あと1週間、多く見積もっても10日ぐらいで着きますね」

 

 地図と睨めっこし、ナビを使いながら俺は助手席にいる彼女に問いかける。

 

「うん、ちょっと時間はかかったみたいだけど、始めて外に出たにしては上手く予定を組んでいるじゃないか」

 

 私は寄り道しすぎて1週間ぐらい遅れたよ。と笑いながら答えるモスティマ先輩。いやなにしてるんすか。

 いやしかし、一人つけてくれて本当にありがたい。いやマジで。安心感が違うわ。

 あくまでも一人で行く事を前提にしているので、運転の交代やら詳細な道筋、天災トランスポーターからの情報の受け取りなどはしないものの、簡単な正誤の判定はしてくれるし何より話し相手になってくれる。しかも貴重な体験談もあるので退屈しない。

 モスティマ先輩からの話に相槌を打ち、時にはいろんな都市のタブーやらグルメやらを聞いて想像の中の料理に舌鼓を打っているとコツン、と何かが当たる音がした。

 最初は巻き起こった砂利の中の大きめの石が当たった音かと思っていたが、それにしてはやたら数が多いし何なら音も大きくなっている。

 何が起きているのかと確認の為に車を止めようとして

 

「止めない方がいいよ」

 

 モスティマ先輩の静止の一声にブレーキを踏もうとした足を元の場所に戻した。

 彼女を見ると真剣な目でサイドミラーを見ている。

 俺も同じようにサイドミラーを見て――言葉を失った。

 空が黒い。分厚く不吉な重々しい雲、そこから降る黒い石。

 

「先輩、これは――」

 

「うん、天災の前兆だね」

 

「クソッタレ!!!」

 

 全力でアクセルを踏んだ。体にGが掛かり強制的に座席に背中を押し付けられる。

 

「何か情報聞き落としましたっけ!?」

 

「ううん、私も聞いてたけど特に天災の出現の情報はなかった。これは突発的な天災だね」

 

「何でだよぉお、もぉおおお!?」

 

 叫びながらも手に握ったハンドルを切りながら兎に角、本格的に天災に巻き込まれる前に一目散に車を走らせた。

 

 

▼ ▼ ▼ ▼

 

 

 という訳で、途中まで順調だったシエスタへの道程の最中に突発的な天災にかち合い、それから逃げて何とか一命を取り留めたものの、指定された日時何てとっくに過ぎているだろうし、おまけに―――

 

「モスティマ先輩、どうですか?」

 

「う~ん……無理っぽいね、完全に壊れてる」

 

 移動手段の車は走行できるが、位置情報を伝達、及び通信を行うための設備が天災が発生した時の磁場的な何かでお釈迦。

 幸いにして予備の燃料と物資はあるが…現在地点を割り出さない限りどうにもならん。

 

「で、ここ何処すかね?」

 

「わかんない!」

 

 終わった。

 いやわかんないじゃねぇよ! そんな笑顔で言う事か!?

 

「まあそんなに悲観することも無いさ。ほら、あそこに太陽があって、あっちの山脈が見えるとなると…大体ここかな? で、ここからこっちに行くと確かロングスプリングってところに付くはず。そこからシエスタ――に行っても既にフェスティバルは終わってるだろうね、ならこの際この旅を楽しむ方向にシフトしちゃおうか」

 

 楽しむに楽しめねぇ…ボス、頼むから変な曲だけは絶対に選ばんといてくださいよ……ほんま頼んますわ。

 再び車のエンジンを点け、モスティマ先輩の指示に従って俺達は街へ向かった。

 

 車を走らせて数時間。天災から逃げて来た時の疲れが溜まったので何処かで休憩を取ろうという話になり、見つけた町で休憩しようとした。

 そう、『休憩しようとした』のだ。車を停め、地面に足を点けた瞬間に鼓膜を叩いた、タタタタ…という、何かが断続的に破裂するその音。俺はその音を何回か聞いたことがある。

 カスみたいに薄れた前世の記憶の中、戦争映画やらあるいはゲーム。この世界では特異な武器の一つであり、一つの種類を除いてエクシアやモスティマのような種族にしか扱えない武器。

 

「…先輩、これって」

 

「確実に面倒ごとだね。どうする?」

 

 それは勿論、助けに行く。

 俺の浅はかな考えを読んだように彼女は冷や水をぶっかけた。

 

「いいかい、今の君はトランスポーターだ。トランスポーターの仕事は何かな?」

 

「…荷物、及びに情報を目的地に期限まで運ぶ。こと」

 

 強制的に冷静になり、詰りながらも吐き出したその言葉に先輩は笑みを浮かべる。

 

「だね、ならここで一つ選択肢を与えよう」

 

「余計な騒動に首を突っ込んで職務に支障をきたすか、職務に忠実に従って救える筈の『誰か』を見殺しにするか」

 

 ――さあ、どうする?

 彼女の双眸が暗い車内で妖しく光り、俺を貫いた。

 

 

 

 

 俺は、俺は―――




 モスティマの元ネタ的には正しいのかもしれない。アークナイツのモスティマ的には間違っているかもしれない。
 教えてくれ、俺の中のモスティマは微笑みを浮かべたまま何も答えてくれないんだ。

イノー君のぶらり一人放浪記要る?

  • ん、要る。一つずつ順番に情報を流すべき。
  • ん、要らない。さっさと龍門に帰るべき。
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