ただしこのキヴォトスはネットミームに汚染されてるものとする   作:流石兄者

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なんと、伝説の超三毛猫様の『HENTAIの野望〜キヴォトス同人誌化珍道中~』とコラボさせていただきました!
URLはこちらになります。
https://syosetu.org/novel/311789/

いやまさか、コラボして頂けるなんて…。
ありがとうございます!全力で書かせて頂きました!

スバルさんのキャラを、ちゃんと再現出来ているでしょうか?心配だ…。

同時に執筆を始めたため、ある程度展開が似ているところはありますが、だいぶこちらはシリアス寄りで、モカちゃんとスバルさんメインです。


〔コラボ〕ただし今日のキヴォトスには間島スバルが来ているものとする

 ヴァルキューレ公安局局長は今日も忙しい

 

 バァン!!! 

「ヴァルれ! 止まキューレ公安局だ!!!!!!」

「クソッ、通報されたか!」

 

 この世界のカンナは触った扉と離れた場所にある扉を『繋げる』ことができる。その能力は広く知れ渡っており、『すぐに通報される強盗等の犯罪をするのは割に合わない』と皆が考え、原作よりも治安が良くはなっている。

 

 バァン!!! 

「ヴァルれ! 止まキューレ公安局だ!!!!!!」

「畜生来やがった!」

「だからアタシはやめようって言ったんだ! 『公安局の変異体』がすぐ駆けつけてくるんだから!」

 

 しかし、どこにでもおバカというものはいるもので。考えが至らず襲撃をしてしまう奴らを捕らえるために、カンナは今日も勢いよく扉をあけるのだ。

 

 バァン!!! 

「デトろ! 開けロイト市警だ!」

「ん"! (不覚)」

「28か所の銀行強盗だぞ! 確実に稼ぎたかったんだろ!」

 

 

 まあ、そんだけバンバン開けてたら、閉め忘れもある訳で。

 

ザザッ  ザザー

 

 長いこと忘れられていたこの扉は、空間が歪み、別の場所に繋がってしまい

 

「あ……? なんだ、ここ?」

 

 他の世界線の住人、間島スバルさんがそんな扉を見つけてしまったところからこの話は始まります。

 

 

「なんでプレアデス性団の部室の扉が、外に繋がってんだ……?」

 恐る恐る扉の外を見まわす。周りの建物を見た感じは、D.U.のどこかだろうが……。

 歩いている町の人も特に変なところはない。状況に困惑していると、人ごみの中に知り合いを見つけた。

 

「こ、コハル?」

「? 私を呼んだかしら?」

「なあコハル! なんか、部室の扉が──

「あなた誰? なんで私の名前を知ってるの?」

「……は?」

 

 脳が状況を理解できず、フリーズした

 それに気づいていないのか、目の前のコハルはだんだん顔が赤くなっていき

 

「さ……さては!」

「ナンパね! 私にエッチなことする気でしょ!? いいわ、バッチコイよ!」

 

「あ、ああ……ああああああああ!」

 

 思わずその場から逃げ出す。これ以上聞いたら、自分の中の何かが壊れる気がした。

 急いで自分がきた扉の前まで戻り、開ける。

 

「……嘘だろ」

 

 そこは部室ではなかった。埃っぽい倉庫のような場所。慌てて閉め、もう一度開ける。

 

「は、はは……」

 

 やはりそこは、部室ではなくて。

 冷や汗を流しながら走り出す

 

『さて今回は、ミレニアムで今大流行している鼻からエナジードリンクを摂取するという行為について、専門家の方を交えて議論していきたいと思います。エナジードリンクに詳しい小鈎ハレさん。今日はよろしくお願いします』

 

 家電量販店のテレビからは狂ったようなニュースが垂れ流されていて、思わず耳を塞ぎ情報を拒絶した。

 

(先生、助けてくれ……!)

 

 目指すはシャーレ 先生なら、世界がおかしくなっても変わらず生徒を助けてくれる存在だと信じて。

 

 

 

 

『さて今回は、ミレニアムで今大流行している鼻からエナジードリンクを摂取するという行為について──

 

 ええ……(困惑)そんなことしちゃあ、だめだろ! 

 あ、鬼灯モカだよ。みんなおはよー! 

 私は今1人でテレビ観てたとこ。異世界のテレビって面白いよ! 

 なんか時々狂った内容のニュースが流れてきてビビるけど、最近は慣れてきたのかそれすら面白く感じるしね。

 先生は昨日ゲマト……じゃなかった、先生ファンクラブのメンバーと飲み会で飲みすぎたみたいで、今ダウンしてるんだよね。

 おかゆ作ってお水と一緒に持って行ったけど、かなりグロッキーだったよ。

 ミネさんももうすぐ来るし、大丈夫だとは思うんだけど……

 

 バァン!!! 

「先生!!!!!!」

「ひゃあ!」

 

 何事!? なんか知らない子がいきなり……てゆーか本当に誰? 

 ショートの金髪に一本の黒いメッシュ。紫色の片翼でトリニティの制服を着た女の子。

 こんな子原作にいなかったはず……

 とうとう姿まで違う子が!? これもうわかんねえな(諦め)

 

「……まさかあんたが先生か?」

「い、いえ違います。私はシャーレの職員です」

「職員!? おかしい、職員なんていなかっただろ……

 ん? 

 

「……先生に何か御用ですか? 先生は今体調不良でお休みです」

「まじかよ……」

「あの、私でよければお話聞きますよ?」

「あーいや、たぶん信じちゃもらえないからな……」

 

 ふむ、『おそらく原作にいない』『本来はシャーレに職員なんていないと知っている』『信じられないような事態に動揺している』

 これってもしかすると、もしかするかもしれませんよ? 

 

「まあ、まずは話してみてくださいよ。例えば……」

「このキヴォトスがおかしいことについて悩んでます……とかね」

 ふふ、かっこよく決まった! 

 この子は多分、新しくこの世界に転生してきた、私の後輩ちゃんだね! 第一印象もかっこいい切れ者先輩になったし、これからが楽しみだねぇ。

 まあ、ほんとに相談されたら困るけどね! 私が一番相談したいもん! 

 

 ちらりと後輩ちゃん(?)を見ると、目を見開き、なにやら震えている。だんだんとその目には涙がたまっていき、ギリッと歯を食いしばる音がして

「お前が原因か……?」

 という声が聞こえた。

 あれ、流れ変わったな(震え声)

 

「お前がキヴォトスをイカレさせたのか!? 先生はどうした!? 答えろ!?」

「わあああ違います違います!! 誤解です!」

 

「私転生者! 私転生者──!!!!」

 

 やっぱりさ、やるもんじゃないね。キャラじゃないことは(震え声)

 

 

 

 

「なるほど、このキヴォトスはあんたが来る前からイカレてて、俺がそこに迷い込んだと」

「はい、そうです。そして迷い込んだ原因はおそらく、カンナさんの能力だとおもいます。そして……」

 

「勘違いさせてすみませんでしたぁ!」

 まさか転生者ではなく『転移者』だったなんて……

 突然連れてこられた狂ったキヴォトスに先生不在、そしてなんか知ってそうな怪しいヤツの三拍子揃ったらそりゃ疑われるね。

 

 

「いや、謝らなくていい。というか、この世界に住んでんのか。……お前も大変だな」

「わかってくれますか!!!!!!!!!!!!」

「うお!?」

「もうずっと誰かに共感してほしかったんですけど、このことを話せる人が居なくて……うう……」

「お、おお……大変だったな」

「は”い”!!」

 

「ほら、鼻かめ」「チーン!」なんてやり取りをしてたら、この騒動の原因だとわかったときに連絡しておいたカンナさんが部屋に入ってきた。

 

「やあダニエル!」

「おはようございます。カンナさん」

「お前ダニエルって名前なの? 意外だわ」

「いえ、私は鬼灯モカです」

「……あだ名?」

「あー、いや、なんて説明したらいいんだろ……」

 

 そんな会話をしているなか、カンナさんは転移者さんの方に向き

「やあ、ダニエル!」

 と言った。説明をさらに難しくするのやめてくれませんかね(半ギレ)

 

「俺も!? いや、俺は間島スバルってい──」

「ダニエル! 君を助けに来たんだ!」

「いやだから違──」

「ダニエル! 嘘じゃない! 私を信じてくれ! 君の力になりたいんだ!」

「……スゥー。いいか、俺の名前は──」

「なにか不満がおありですか?」

「擬・昇竜──」

「待って待って待って! 悪気はないはず! 多分!」

 なんかアッパーの構えを取り出したスバルさんを慌てて止める。

 あなたスバルさんって言うのね! (Miちゃん)もっとまともに自己紹介したかったよ! 

 

「えっと、カンナさんは……決まった言葉でしか会話出来ないんです。ですので悪気はないんですよ。多分……(小声)」

「えぇ? なんだよそれ……」

 私にもわからん。

 

「や……やあ……やあスバ……」

 お、おお!? なんかカンナさんすごい震えてるけど、初めて正しい名前を!? 

 

「やあスバエル!」

「惜しいッ!」

 

 やっぱりダメだったよ。

 

 

 

「ここだ。俺が来た場所は」

 スバルさんの先導でこちらの世界に繋がった扉の前まで来た。

 カンナさんがその扉に触り、目をつぶる

 

「私は新型です(アピールポイント)。失敗はプログラムにないんだよ」

 扉がガタガタと震えだす。それに少し恐怖を感じ後ずさりしたが、やがて収まり、カンナさんが離れ

 

「事件解決!」

 扉は開かれた。そこは、どこかの教室のように見える。

 

「おお、間違いない! プレアデス性団の部室だ!」

「プレナパテス? (難聴)」

「いや、プレアデスだ。俺はトリニティで漫研のサークル長をしていてな。こういう本を書いている」

 と言って一冊の本を差し出してきた。

「はぇー漫研ですか。いいですね。私は絵心がない……の……で……」

 受け取った本の表紙には『俺の優雅な幼馴染』と書かれていた。ペラペラとめくっていくと、ユウカさんによく似た人が……その……

「エッッッッッッッッ!?」

 なことをしていた。

 

「トトトトトリニティでこの本を!? 嘘でしょ!? というかユウカさんじゃないですかこれ! ナマモノ!?」

「どうだ? 俺の処女作なんだが」

「どう? どうって……」

 一度ページを戻し、最初から読んでみる。ストーリーはユウカさん(によく似た人)と主人公の恋愛模様とエッチシーンを描いたものだった。

 絵もストーリーも素晴らしいものだと思う。だが素晴らしいが故に、読み進めるごとに脳が軋む音がした。

 

「ユウカさん……誰ですかそいつ? 私をお姫様だって……かわいいって……嘘だったんですか?」

 視界がにじむ。ほんが よく みえない

 

「脳が破壊されている!? 地雷踏んじまったか!」

 手から本が消え、両肩をつかまれる感覚がした。

「いいか落ち着け、大丈夫だ。これはあくまで創作物で、ユウカは寝取られたりはしていない!」

「そうですよね。ユウカさんはロリコンだから……こんなことにはならないはず」

「ああそうdそうなの!? 

 

 なんとか呼吸を整え、涙を拭いた。

「すみません、お騒がせしました」

「気にすんな、よくあることだ。脳破壊された奴の蘇生にも慣れてる」

 よくあるのか……(困惑)やっぱり実在の人物がモデルだからかな? てか蘇生って何? 

 

「さて、これで帰れるってわけか」

 そういって開かれた扉と向き合ったスバルさん。そうだよね、スバルさんには帰るべき場所があり、待っている人もいる。

 ここにいるべきではない。わかってはいる。いるけど……

「そうですね……」

 

 やっとできた仲間だと思った。思ってしまった。この狂ったキヴォトスも、悩みを話せる人がいればもっと楽しく生きていけると。

 ダメだ。最後くらいは笑顔で見送らないと。

 

「会えてよかったです! スバルさん! どうか、お元気で」

 

 うまく、笑えているだろうか

 

「…………」

 私を見て、何か考えているスバルさん。どうしたのだろうか

「スバエル!」

「スバルだっつってんだろ。あん? これは……鍵?」

 鍵を渡したカンナさんは、開かれている扉を閉め、鍵を指さしながら

「開けろ!!!!」

 と言った うっせ! 

 

「あ、ああ」

 そういいながら鍵穴に鍵を差し込み、扉を開ける。するとプレアデス性団の部室に繋がっていた。

「……まさか」

 別の扉で試したが、結果は同じ。

「これがあれば、いつでも帰れるってわけか」

「私は新型です(誇り)普通ですよ。では」

 そういって扉をあけ、カンナさんはキヴォトスのどこかへと消えた。カンナさんはクールに去ったぜ……

 

「なあ、モカ」

「はい?」

「いったよな、俺は漫研のサークル長をしてるって」

「ええ……」

「だから、常に創作のネタは探してるんだ。次の本を書くためにな。そして俺は今、別の世界線のキヴォトスというネタの宝庫に来ている」

「……!」

「でも案内人が必要だ。だから」

 

「一緒に来てくれるか? モカ」

「はい!」

 

 私はすぐに、どこを案内するか必死に考え始めた。

 スバルさんがそんな私を微笑ましく眺めているのに気づかずに。

 

 

 

 

 

「そういや、大事なことを聞き忘れてたな」

「?」

 トリニティ行の列車の中で突然スバルさんが話を切り出した

 

「モカ、お前はどんな男がタイプだ?」

「はいぃ?」

 え、男のタイプ? 大事な話なのこれ? ま、まあでも聞かれたからには答えるか……

 

「えーと……私は前世が男だったので、できれば女の人がいいのですけれど……。しいて答えるなら渋くて頼れるイケおじ、ですかね。ほら、この人になら抱かれてもいいって感じの!」

「ふむ、それは性癖ではなく許容だな。なら、女だったら? まあ、さっきの脳破壊されっぷりを見る限り、予想はつくが……」

「う、そうですよね……。お察しの通り、ユウカさんです。誰にも言わないでくださいよ!」

「あー、たしかこの世界のユウカはロリコンだったよな? 

 ロリコンに恋したロリか……ネタになりそうだ! 

 どういう経緯で好きになったか教えてもらっていいか?」

 そういってメモ帳を取り出すスバルさん。なんか恥ずかしいな……。顔が熱くなるのを感じる。

 

「えっとですね……ユウカさんはいつも私のことをかわいがってくれるんです。まあ、同時にセクハラもされるんですけど。

 でもユウカさんは前世の私の推しで、セクハラされてもなんだか嬉しくて。でもその時はまだ『推しと触れ合えて嬉しい!』くらいだったんです」

「ほうほう」

「ある時、カンナさんが惚れ薬を飲んで暴走した事件があったんですよ。カンナさんの能力が厄介で、私はピンチに陥りました」

後で惚れ薬の件を詳しく。それで?」

「その時にユウカさんが颯爽と現れて『私の大切なお姫様に何してるのよ!!』って……えへへ……」

 かっこよかったなぁユウカさん。セリフめちゃくちゃ聞き覚えがあるやつだけど、それでもかっこよかった。

 

「なるほど、なるほど。それで惚れたってわけか」

 カシャッ

「そうなんですよぉ! あの時の光景を見せてあげたいで……カシャ?」

 音がした方向を見ると、何やら……わっるい顔をしたスバルさんがスマホを構えてた。

「ほれ、これ見てみ」

「はい?」

 出された画面を見たら、そこには両頬に手を当て顔を赤く染めながら楽しそうにしている黒髪黒目のロリがいた。

 この写真にタイトルをつけるとしたら「恋に目覚めたロリ」だろうか。

 というかこれ、まさか

「……私?」

 嘘でしょ……!? (SIRNSSZK) 私今こんな恋する乙女の顔してた!? 

「いいネタありがとな」

 その言葉に返事を返すことなく、私はしばらくフリーズしていた。

 

 

 その後私たちは様々な場所を訪れ、知り合いや友人を紹介していった

 

 トリニティ──

 

 

「やあモカ、また私のセクシー講座を受けに来たのかい?」

「いえ師匠。今回は師匠に合わせたい人が──」

「待て待て待て」

 そういいながらセイアさんから離れたところに私を運んだスバルさん。脇の下に手を入れて持ち上げるのやめてほしいな、それ子供を運ぶ時のやつでしょ? まあ私イブキちゃんより小さいんだけどさ

 

「あれ誰?」

「あー、セイアさんです。本物ですよ」

「そうか……やっぱりセイアか」

 信じられないよね。理解できる(共感の司祭)

「あ、アッハッハッハwwwwww」

 腹を抱えて笑い始めたスバルさん。いいなー、私も同じ立場だったら笑えるのに(死んだ目)

 

「こ、こんにちわ。百合園さん」

「やあ、大丈夫かい? もしかして私のセクシーさに当てられてしまったのかな?」

「ヒィwwww苦しいwwwww」

「何故笑うんだい? 私はセクシーだよ?」

「エホッ!! もうやめてくれwwww」

 

 本当に、いいなぁ……

 

 

 その後、セイアさんを上手いこと言いくるめたスバルさんは、自分がいかにセクシーかを語り続けるセイアさんの動画を撮っていた。

「俺んとこのキヴォトスにいるセイアに観せるのが楽しみだぜ……」

「うわ、わっるい顔」

 

 

 

 アビドス砂漠──

 

 

「なあモカ」

「なんですか?」

「これが……お前が見せたかった光景か?」

 そういいながらスバルさんが指をさした先には──

 

「いっけぇ! アビドスワーム君!」

「GYAOOOOOOO!」

 

 アビドス砂漠を爆走するビナーと、その上で楽しそうにしているマキさんがいた。

 

「まあ確かに、俺の世界じゃありえない光景だがな。あまり同人のネタには──」

「尊いでしょう? マキビナです」

「マキ……なんだって?」

「美しい……。これ以上の芸術作品は存在し得ないでしょう」

「……モカ?」

 

 私たちは少しの間、その光景を眺め続けた。

 

「どう? (アイデア)出そう?」

「無☆理」

「そっかー」

 

 いいカップリングだと思ったけど、趣味に合わなかったかな? 

 

 

 

 サヤさんの実験室──

 

 

「刮目するのだ! ぼく様特性! 惚れ薬! 

「おお……これが!!!!」

「効果は目撃者の1人である私が保証するよ」

「あー、カンナさんの事件か?」

「そう」

 

 マキビナがあまり刺さらなかったみたいだから連れてきたけど、間違いではなかったみたいだ。

 瓶の中に入ったショッキングピンクの液体をまじまじと見ているスバルさん。

 

「すげえ……まさか本物を見れるとはな」

「エッチな本ご用達アイテムだからねえ、スバルさんはなじみが深いんじゃないかな?」

「あんまりこういうのは本で使ったことはねえが、いやでも、テンション上がるなあ! 

 よかった。これも空振りだったらどうしようかと。

 

「そこまで喜ばれると気分がいいのだ! いっぱい見せてやるのだ!」

 

パーフェクト睡眠薬! 飲んだ瞬間眠ってしまい、後遺症もない! さらに水に溶かしたら瞬時に透明になるのだ!」

「おいィ? (BRNTさん)」

 サーッ! (迫真)

 またこの人キヴォトス崩壊クラスシナリオを引き起こしそうな薬作ってる(震え声)完全に盛る用じゃん。悪意しかないじゃん。

 シロコさんの手に渡ったら先生が狩られちゃってキヴォトスが滅びそうなんだけど、なんかキヴォトスに恨みでもあるのかな? 

 

ヤンデレ薬! 飲んで初めに見た人間にそれはそれは重い愛情を抱くのだ!」

 もはや疑いようがないね。両親をキヴォトスに殺されてるじゃんね。先生に盛られたらえらいことになるんですけど(半ギレ)

 

好感度反転薬! 飲んだ人間は今まで築き上げてきた好感度がひっくり返るのだ! 愛は憎しみに、憎しみは愛に!」

 キヴォトスに一族郎党皆殺しにされてる可能性まで出てきたねこれ。滅ぼしにかかってるわ。アヴェンジャーサヤだわ。

 ◇このヤンデレ薬とのクソコンボは……? 

 

 

「これ全部でいくらだ?」

「嘘でしょスバルさん!?」

「いやいやいや、研究資料だから! 飲ませたりしないから!」

「ほんとぉ?」

 そんなド〇クエのスライムみたいな顔されても説得力ないんだけど……

 

 結局全部購入していったスバルさん。怖いのは、思ったより高くなかったこと。お手頃価格かぁ……やばくない? 

 

 

 

 ミレニアム──

 

 

「あ、そこにいるのはモカちゃん!!!!!」

 

 ユウカさん!? やばい、今はスバルさんが……! 

 

「モカちゃん! 会いたかったわ!」

 そう言いながらいつものように私を抱きしめ、頭やおしりを撫でまわしてくる。

「あ……あの、今は──」

「大好きよ、モカちゃん」

「……キュウ」

 耳元で囁かれた。

 あたまがふっとうする

 うれしい

「わ、わた、わたしも! ユウカさんのことが──」

「あ~いいねぇ! いいよぉ!」

 

 耳に入ってきた声に一気に現実に引き戻された。

 慌てて後ろを後ろを振り向くと、どこかから取り出したスケッチブックにものすごい勢いで何かを書いているスバルさんが見えた

 めちゃくちゃいい笑顔しながら描いてる……というか今までで1番筆が進んでる! 

「み、みないでぇ!」

「お、その手で顔隠すのエッチだな! ちょっとそのままで!」

「みないでってばぁ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

「え、こっちの世界の大人のカードってそんな代償なの? なんか……重いけど軽いな!」

「そうなんですよー! 絶妙な重さの代償だからか、先生の引き金もちょっとだけ軽くって。いやまあ、助けられてはいるんですけど!」

 帰りの電車で転生者トークを繰り広げる私たちを、夕焼けの淡い光が包み込む。周りには乗客がおらず、こんな会話を繰り広げても問題はない。

 

 ……楽しいな。話題がひとつ減る事に、心の重しもひとつ減っているような気がする。ずっと誰かに話したかったのかも。

 

 でも、もうすぐスバルさんは帰ってしまう。

 抱えている悩みを相談するなら、今だろう。

 同じ転生者にしか出来ない相談を。

 

 

「あの、スバルさん」

「ん? なんだ」

「スバルさんは、強いですか?」

「……ああ。自分で言うのもなんだが、強い」

 最初は私の唐突な質問に怪訝な顔をしていたが、私の顔を見て表情が引き締まる。

 ……私どんな表情してるのかな

 

「私、最初から豊富な神秘を持っていて、それをコントロールすることも容易くできたんです。もしかしたら、『転生特典』ってやつかもしれませんね。原作通りなら、とても強力な武器だった。

 だけどこのキヴォトスでは、なまくらのナイフでしかなかったんです」

「ここでは超能力や謎技術を大抵の生徒が持っていて、それに全く太刀打ちできない。おまけに私はまだ、銃弾が怖い! 

 私は、臆病で弱いんです! 

 他の生徒の方がよっぽど頼りになる!!

 

 こんな風に相談するつもりではなかった。

 もっと気楽に、もっとおちゃらけた感じで。

 わざわざ空気をぶっ壊すつもりなんてなくて。

 だけど、口から溢れ出た言葉はもう止まらない。

 

「だけど先生は、いつも私を選ぶんです。選んで、くれるんです」

「『私じゃなく他の生徒を連れてきていたら、大人のカードを使わなくても済んだのに』そんな場面が何回もあったのにもかかわらず」

 

「なんで、私なんかを連れていってくれるんでしょうね。先生は」

 

 自虐に塗れた言葉。その言葉を受け止めたスバルさんは少し表情を緩め、私の頭をワシワシと撫でた。

 

「この世界の先生にまだ会ってねえが、なんでお前を連れまわすのかなんとなくわかるわ」

 

 穏やかな表情で、私に語りかける。それはどこか、先生みたいで。

 

「俺は、最初は弱かったんだ。中等部までは前世の記憶が無くて、それまでの俺は『一般的なトリニティ生』だった。

 だが俺がエロに目覚め信仰するようになってから、誰にも俺の邪魔をさせないためにありとあらゆる修業をした。

 そして手に入れたんだ。立ちふさがるものすべてをなぎ倒す力を」

「だがな、それと引き換えに俺は恐れられた。『魔王』と呼ばれ、避けられている。

 幸運にも理解のある仲間には恵まれちゃいるが、あいつらがいなかったら俺は、1人で孤独に突き進み続け、どこかで人知れずにぶっ壊れてたかもな」

 

「力を求めるのは結構だが、手に入れた結果が必ずしもハッピーエンドになるとは限らないぞ」

 

「…………」

 

 なら、わたしは、どうしたら──

 

「発想を逆転させるんだ」

「……え?」

「パワー担当は腐るほどいるんだろ? なのにお前が選ばれる。それはなぜか? パワー以外をお前に求めてるんだよ!」

「それは、一体?」

 

 

「エロだ」

「エロォ!?」

「ハッハッハッ! 冗談だ」

「えぇ……(困惑)」

 

 あーびっくりした! ロリコンはユウカさんで充分だよ! 

 まあ私は銀髪でも褐色でもないし、エロはありえないよね。……ないよね? 

 

「まあでも、実際にパワー以外を求められるんだと思うぞ。お前しか持っていない何かを」

「そうなの、かな?」

「きっとそうさ」

 

 

 自分が弱いせいで、先生の負担になっているのが辛い。

 私を連れていく理由が、同情や情けだったら悲しい。

 でも、もし私が選ばれる理由が力以外の何かを求められいるのだとしたら。

 それを伸ばし、もっと先生の役に立てる。

 それはとっても、嬉しいことだ。

 いつか自分で気づけたらいいな。

 

 

 

 

 

 

 

 私たちはシャーレに着き、別れの時間がやってきた。

 

 スバルさんは扉の前に立ち、鍵を差し込む

 

「じゃあな、モカ。色々あったがなんだかんだ楽しかったぜ」

 彼女の手にはスケッチブックと都合のいい薬詰め合わせセットがあった。うーん怖い。薬が使われないことを祈るよ。

 

 そんな言葉と寂しさを胸に抑え込みながら、別れの言葉を言う。内容はすでに決めてあった。

 

「会えてよかったです! スバルさん! どうか、お元気で」

 言ったのは最初と同じセリフ

 

 スバルさんは私の言葉に振りむいて、満足そうに頷きながら、帰るべき場所へと歩を進め。

 役目を終えた扉は、特異性を失った。

 

 

 

 やっぱりあの時、うまく笑えてなかったんだ。

 半日遅れの答え合わせ。その結果に苦笑いをしながら、先生の夕食を作りにキッチンに向かった。

 

 

 

「お加減どうですか先生? 野菜たっぷりのポトフを作りましたので食べ──」

「モ、モカ……助け……!」

 ベッドの上には、モー〇ングレスキューに埋もれている先生がいて

「補充しよ」

 その傍には、さらに追加しようとしているミネさんがいた。

 

「モカさんだ! 会釈!!!!!!」

「なにしてんですかミネさん!?」

救護(レスキュー)!!! 

「や……ヤブ医者ぁーっ!! (KWM)」

「(突然の暴言)つらい!!!」

 

 急いでミネさんを部屋から叩きだし、モー〇ングレスキューの山から先生を救出した。

 

「モカ、助けてくれてありがとう」

「いえ、むしろすみません。ミネさんを呼んだのは失敗でした。まさかこんなことになるなんて……」

 ただのマッチポンプなんだよなぁ……†悔い改めます†

 

「ポトフ作ったんだって? 貰っていいかな」

「え、あ、はい! もちろん! すぐ持ってきますね!」

 この後めちゃくちゃ看病した。

 夜はミネさんが戻って来ないか部屋で見張ってたけど、途中で寝ちゃって気がついたら先生に抱き枕にされていた。ホいつの間に!?

 

 

 

 

 

 やあ、また会ったね。鬼灯モカだよ。

 スバルさんは元気にしてるかなと思いを馳せつつ、今日も今日とて先生と依頼をこなしているよ。

 今回の依頼は万魔殿のマコト議長から。内容は──

 

 

「あれはフライングパンケーキ!? 完成していたのか……!?」

 

 

 『巨大パンケーキの討伐』なんだけど……なんか、空飛んでない? 

 

 

「フライングパンちゃんを確認! 大きいねぇ!?」

「あんな形で、どうやって飛んでるんだ!?」

「撃ち落とせ! 対空砲火ァ!」

「射角が足りない! 戦車は下がれ!」

「なにこれ……ふざけてるの?」

「パンちゃんは……不味い……オェッ」

 

 一体の巨大なパンちゃんをゲヘナの戦車部隊や歩兵部隊が取り囲んでいるが、相手が空を飛んで移動しているせいでなかなか攻撃が当たらず、戦車も機銃を使って何とか攻撃できているという感じだ。

 こちらがあまり有効打が与えられないのに対し、パンちゃんは空から溶解液みたいな緑色の何かを垂れ流し、こちらに甚大な被害を与えている。

 どっかで見たなこんな地獄絵図。地〇防衛軍だっけ? 

 

 私もひたすらマグナムに神秘を込めながら撃ち続けてはいるが、このままでは弾が無くなるほうが早いかもしれない。

 

「これ以上被害が出たらまずい……」

 先生が懐から大人のカードを取り出す。

「誰を呼び出すんです?」

 リロードしながら聞いてみる。必要なのは対空攻撃ができて、なおかつ高火力な生徒。

「会ったことがない子」

「はい!?」

 え、ついに大人のカードにガチャ機能が!? 戦場でガチャするとはたまげたなあ……

「大丈夫。届いてた入部届に『俺は強い。困ったら呼べ』って書いてあったから」

「……『』?」

 

 まさか……

 

 

 先生が掲げる大人のカードが強い輝きを放つ。化け物に襲われたって断固として跳ね返す。そんな強い意志を感じる光を。

 

「光さす道となれ! シンクロ召喚!」

 ほんとにジャ〇クウォリアーとか出てきたらどうするんですか先生。

 光に飲み込まれながら、そんなことを思った。

 

 

 現れたのは、私の想像通りの人で。

 腕を組み、仁王立ちしながら愉快そうに空飛ぶパンちゃんを見ていた。

 

 

「スバルさん!?」

「ようモカ、相変わらずイカれてんなこの世界は」

 空飛ぶ巨大パンちゃんという悪夢を前にしても、不敵な笑顔を崩さないスバルさん。

 その姿は、非常に頼もしかった。

 

「まあ任せとけ、俺は巡航ミサイルを撃ち落とした女だぞ。2発もな

「2発も!?」

 ミサイルを2つも落としちゃいます!

 

 スバルさんは、背負っていた槍を手に取り、炎を纏わせる。真っ黒だが、どこか神秘的な炎を。

 

「『神槍・スピア・ザ・グングニル』!!!」

 

 スバルさんの手から放たれる寸前、槍は大気圏を突破するロケットのように赤く輝いて。

 

 次の瞬間にはパンちゃんを貫き、

 

「──────!!!!!!」

 

 その巨体を地に落とした。

 

「今なら主砲が当たるぞ! 撃ちまくれ!」

 すかさずそこを襲う戦車部隊。これで勝負は決まっただろう

 

「ま、ざっとこんなもんかね」

 そういったスバルさんは、こちらに歩いてきた。

「助かりましたスバルさん!」

「いいってことよ。それよりも、カードの力でいつまでこっちに居られるかわからんから早めに渡しとくぞ」

「……ありがとうございます?」

 そういいながら渡されたのは一冊の本。タイトルは『モカには優雅なラテアートを』

 なんかものすごいデジャブを感じながらページをめくると、

 

 私によく似たロリとユウカさんによく似た人がイチャイチャ(オブラート)していた。

 この感動の再会的な状況でエロ本渡すんですか貴方はとか、まさかこれ向こうの世界で売ってる? とか、こんな公共の場でエロ本を剥き身で渡すなとか

 色々言いたいことはあるけれど

 

「あの」

「なんだ?」

「NTR要素ないですよね?」

「安心しろ、純愛だ」

「……ありがと、です」

 

 プレゼントされたものを突き返すのは失礼だからね、しょうがないね。

 いそいそと本をしまう私を見たスバルさんは、サムズアップしながら笑っていた。

 

 

 

 アイテム説明

 

『モカには優雅なラテアートを』

 ユウカによく似たロリコンお姉さんとモカによく似たロリの甘い甘い恋愛模様と交わりを描いている。

 ユウカによく似た人をエロ本に出すためにはユウカ自身の許可が必要だが、『モカの世界のユウカ』に許可を貰うという裏技が使用された。

「お前ではないユウカに許可を貰った」は、果たして通用するのだろうか。

 

『カンナのマスターキー(プレアデス性団仕様)』

 カンナ(デトロイト)の神秘が込められた鍵。鍵穴があればどんな扉でも開けられるが、行き着く先は全てプレアデス性団の部室になっている。繋げた扉は1回閉じれば普通の扉に戻る。その部屋をよく使う人にとってはとっても便利な鍵。

 

『『ただしこのキヴォトスは』世界の大人のカード』

 シャーレ所属の生徒を今いる場所に召集できるカード。

 代償は金と社会的に死ぬ可能性。1人に付き4万、6人呼ぶと24万の支払いが発生する。そして使用後、シャーレにひっそりと『デリ(バリー)ヘル(プ)使用料〇万円 指名生徒 〇〇 〇〇』(括弧の中は省略されている)と書かれた領収書が届く。




モカちゃんガイドのキヴォトスツアーの登場キャラは『同人誌のネタになりそう』であり尚且つ『スバルさんに会わせても比較的大丈夫そう』という理由で選ばれました。
様子がおかしい生徒達から厳選に厳選を重ねています。
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