ただしこのキヴォトスはネットミームに汚染されてるものとする   作:流石兄者

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後半です。やっぱり長くなっちゃいました。
分けてよかったー。


14話【後半】今日のキヴォトスことわざ『衝動買いをしたら七囚人に襲われる』

『問題です』

『この財布は誰の財布でしょう』

【2円しか入ってない財布の写真】

『クックック。先生でしょう?』

 

 キッショ。なんでわかるんですかね。

 

『お見事! 流石は黒服さん』

『ふむ、なるほど。今夜食事を奢ると言えば来ていただける可能性が高いですね。情報提供感謝致します』

『いえいえ。その代わりといっては何ですが、少し協力していただきたいことがありまして』

『というと?』

『ミレニアム 先生 ASMR作成』

『行きます』

『感謝』

 

「モカ、もうすぐ着くよー」

「あ、はーい」

 

 さて、これでケイさんがNTRASMR(特級呪物)を作れなくなっただろうし安心だね。

 後は私の戦いだ。

 

 私は抱えた麦わら帽子の端を不安をごまかすようにぎゅっと握りしめながら、列車から一歩足を踏み出した。

 ユウカさん、可愛いって言ってくれるかな

 

 

 先生とは校内で分かれ、それぞれ目的地に向かう。私はセミナーへ。先生はゲーム開発部へ。

 ドアの前に立ち、深呼吸。

 大丈夫。化粧室で髪型のチェックはした。おかしいところは何もない、はず。

 決心し、ドアを開ける

 

「失礼します。鬼灯モカで

「モカチャン!!!!!!!!!!!!!!!」

 わぷっ!?」

 

 入った瞬間一瞬で席から目の前まで距離を詰めたユウカさんに抱っこされ頬ずりされる。

 これは、縮地!? 

 やっぱユウカさん接近戦のほうが強いん──あ、いい匂いがする。あったかい。だめ。好き。

 

「よく来たわねモカちゃん! リオ会長から聞いたわ。夕方までずっと一緒に居られるなんてしあわせ~! そのワンピース似合ってるわね写真撮っていいかしらはいチーズ!」

「へ?! あ、ピ、ピース……!」

「ユウカ。わざわざ来てもらったんだからいいとこ見せなさい」

 ユウカさんのマシンガントークにたじたじしていると、リオさんの助け舟が入った。

 リオカイチョウダ! 

 サスガダァ……カイチョウニカナウミレニアムセイナドイルワケガ……

「はい! モカちゃん。私の活躍、見ててね!」

「ひゃ、ひゃい」

 

(まさか買うお金をここで稼ぐとはね。マッチポンプをするつもりはなかったのだけれど……結果オーライってやつかしら)

 なんかすごい複雑な表情をしたリオ会長から見られながら、ユウカさんと共に席まで移動していく。

 そして──

 

「よいしょー」

 ユウカさんに抱えられた状態で席についた。

「え、あの、ユウカさん!?」

「小さな子に太ももを圧迫される感覚……たまらないわね! (私に寄りかかってもいいわよ。楽にしてね)」

「なんて?」

 現在私はユウカさんの上に座ってる状態だ。私が小さいから前は何とか見えるだろうけど、仕事できるこれ? 

 

「にはは、嫌なら嫌って言ったほうがいいですよー」

 泣き顔を一文字で表現できそうな子の声が横から聞こえてくる。あら、居たの? 

 ごめん、今私のセンサーが全部ユウカさんのほう向いてて索敵ガバガバなの。許して♡

「嫌じゃないもんねーモカちゃん」

「……はい。嫌じゃ、ないです」

 心臓がバクバクうるさい。ユウカさんに聞こえてないよねこれ大丈夫? 

 

「もう先輩が好きそうなミレニアムの子は皆、出会い頭に抱き着いてくるユウカ先輩が鬱陶しすぎて見つけ次第発砲するようになっちゃいましたからねー。

 いやーついにデリヘルに手を出しちゃいまし──いでっ!」

「コーユーキー?」

「痛い痛い! だって先輩を受け入れるどころかわざわざお洒落して来るなんてそう思──ぎゃあああああああああ!?」

 

 デデデデデデリヘル!? 

 コ〇スぞ~~~~~~~! (MOKATV)

 私の発言次第でセミナーを戦場にする事だってできるんだぞ‪(前科あり)ってことで、はいヨロシクゥ! (半ギレ)

 まあそんなことしたら戦場の渦の上に座ってる私もただでは済まないんだけどさ。

 

 アイアンクローを食らわせた後、ユウカさんは電卓や書類をテキパキと整理していく。

 それを終えると私の頭を少し撫で、そして……

 とんでもない速さで仕事を片付け始めた。

「!?」

 書類の山から川が流れるように紙が移動し

 書き終えた書類は魔法がかかっているのかと思うほどつぎつぎと宙に浮き、そして綺麗に積み重なる。

 ペンは残像を残し、電卓の表示する数字は常に変動していた。

 

「これは、予想以上の効果ね」

「ユウカ先輩、どうしちゃったんです?」

 コユキさんがドン引きした表情でこちらを見ている。私も聞きたいな、ナニコレ? 

 この高速移動してる腕に触れた瞬間ミンチになったりしない? 大丈夫? 

 

「ユウカは自分好みの幼い女の子が関わると能力が劇的に上昇する。アビ・エシュフと拮抗した時に立てた推測は正しかったわ」

「にはは、先輩、マジですか……」

「会計じゃなくC&Cに……いえ、制御できないわ。やめましょう(英断)」

 

「~♪」

 顔を上げると、外野二人が好き勝手言っているのをまるで気にせずニコニコで仕事をするユウカさんの顔がある。

 ふーん。『好みの女の子』、ねぇ。

 

 ……えへへ。安心した。

 

 ゆっくりと瞼を閉じ体を預ける。鼻歌が心地いい。

 あったかくてなんだか、眠たいね。

 

「──!!」

 

 なぜかユウカさんが微振動を始めたが、かえってその揺れが眠気をさらに誘い、

 私は意識を手放した。

 

 

 

 

 頬に刺激を感じ、目が覚める

「わあ、すごい伸びてますね」

「うふふ、かわいい」

「ひゃにひゅるんふぇふか」

 目を開けると、ゆるっゆるの笑顔で私の頬を餅のように伸ばしているユウカさんとニヤニヤ笑うコユキさんがいた。

 すっげ、こんなに伸びるんだ私のほっぺ。いよいよヒマリさんと一緒に受け始めた上田先生流護身術の効果が出始めたかな? 

 帰ったらゴムゴムのパンチこっそり試してみよ。

 

「終わったわよモカちゃん」

「あれ!? ごめんなさい! こんなに寝ちゃって……」

「いいの、色々捗ったわ(意味深)」

「先輩?」

「んん゛っ! も、もう時間ね。送っていくわよ」

 コユキさんが美食テロリストに車を爆破された時のような目でユウカさんを見ている。

 すごいなこの構図。元のキヴォトスじゃ絶対見れないよ。

 しばらくジト目で見つめていたが、ふと何かを思いついたような顔をした後、こちらにイイ笑顔を向けた。

 

「にはは! お疲れ様でしたモカさん! 今度来たときはユウカ先輩があなたを隠し撮──

 

 一蹴。

 笑顔のまま放たれた蹴りは、めちゃくちゃ気になる言葉を言いかけたコユキさんをくの字に曲げ、部屋の隅に追いやった。

 

「じゃあ、行きましょっか」

 

 ヒェッ! コユキさん、なんか痙攣してない? 大丈夫あれ? 

 ……まあいっか。悪いね、美人のお誘いが最優先だよ! 

 

 ユウカさんが手を伸ばしてきたので、おずおずと握る。

 え、ちょ、さらっと恋人つなぎにされた! あわわわ、う、嬉しいけどちょっとペース早くない!? 

 

「ふふ、どうしたの?」

「え、あ、いや、にゃ、にゃんでも」

 

 

オッハー!(クソデカ大声)この辺にぃ、怪人114514面相が来てるらしいですよ! モカもいきますよーイクイク!」

 

今凄いイイ感じの雰囲気だったでしょうがぁ!?  馬に蹴られちゃえ! キヴォトス人なら死なないだろうからさ! 

 

 突如現れたアリスさんの怪力に引っ張られズルズルと部屋から離れていく。やだ、力強い……! 

「は? え、ちょ、怪人114514面相ってなに!?」 

 ついにこの世界に野獣先輩でも来たの!? やべぇよやべぇよ……

 苦笑しながらも手を大きく振ってくれるユウカさんに手を振り返しながら、怪人とやらが野獣先輩じゃないことを祈り始めた。

 

 

 

『先生へ

 今夜7時14分22秒に

 あなたのASMRを盗みに行きます

 フフフフフフフフフフフフ

慈愛の怪盗』

 わぁ! これはわかりやすいワ! 

 なんでASMRのデータなんか狙ってるんですかね(困惑)怪盗の名が泣きますよ。 宝盗んで、どうぞ。

 

 アリスさんに連れてこられたのはゲーム開発部の部室。

 中では先生と元ゲマトリアメンバーが勢揃いしており、皆が困った表情をしながら予告状を眺めていた。

 私に気づいた黒服さんに予告状を見せてもらったら、さっきの怪文書が書いてあったってわけ。

 ……怪人114514面相って、淫夢語録で変換された慈愛の怪盗だったんだね。ビビるわぁ! (レ)

 

「モカさん、来ていただいて感謝しますよ」

「我々は戦闘が不得手だ。いや、ベアトリーチェならあるいは……?」

「碌に神秘がない今の状態じゃ、せいぜい片腕を変化させるので精一杯でしょうね。盾になるのが関の山です」

「ベアー。防御頼む」

「誰がベアーですか!」

「そういうこった!」

「そうだよ(便乗)(2コンボ)」

「そういうこと(フルコンボ) ごめんねモカ。私今お金ないから大人のカード使えなくって」

 ア! (スタッカート) そうじゃん! 代償お金だから大人のカード使えないじゃん! やっべぇ、思ったより事態は深刻そうだね。

 

「アリスさんと私で戦力は2人。もう少し欲しいですね」

「カンナには連絡したよ。もうすぐ来るとおも

 

 バァン! 

「やあダニエル! 君を助けに来た!」

 来たわね。ほんと頼もしいなこのお巡りさん。

「これで3人……いけますかね?」

「ファンクラブ会員を招集することもできます。戦力としては期待できるでしょう。ですが……」

「その中に慈愛の怪盗が紛れ込む可能性がある。奴の素顔が分からない以上、変装されたら見分けがつかないだろう」

「そういうこった!」

 

 ……なるほど。だけど、それなら大丈夫。

 その状況を逆手に取ろう。

「ファンクラブ会員の方を呼んでください」

「モカ? だけど……」

「私が見破ります」

 せっかく転生したからね。

 1回くらいは『原作知識(チート)』とやらを使ってもバチは当たらないでしょ。

 

 

 黒服さんにより、ファンクラブのサイトに情報が流れた。

 先生純愛ASMRのデータが慈愛の怪盗に狙われているという情報が。

 すると黒服さんの投稿完了からわずか数分で部室にどんどん人が集まってきた。

 

「ん、先生ファンクラブ会員No.465番の砂狼シロコ。先生を襲……守りに来た」

「ムフフ正義実現委員会なのは夕方5時まで。それ以降は先生ファンクラブ会員に変身するッス」

「私こそがファンクラブ会員NO.1のキキョウだ! 死んで平伏しろ!!!!」

 

 うぁぁぁぁ先生ファンクラブ会員の群れがゲーム開発部を練り歩いている! 

 アキラさん以外の不穏分子も入っちゃっ……たぁ! 

 

「会員Noはあくまで登録順です。序列では無いのですがね……」

 困惑した声色でそう話す黒服さん。あ、そうなの? あんなに自信満々に言ってるから何かしら順位があるのかと……

 

「ダニエル。君と話がしたい」

 そう言いながらカンナさんが手招きしてくる。なにか分かったのだろうか。

 トコトコと近づいてみると、耳元に口を近づけてきた。

(ダニエル、私は(会員No)28だ)

 そう小声で告げた後顔を離し、渾身のドヤ顔を見せられる。

 可愛いね♡仕事して♡

 

「先生ファンクラブ会員NO.810の錠前サオリだ。よろしく頼む」

「おや、サオリも来ましたか。ちょうどいいです。あなたも手伝いなさい」

「マダム!?」

「先生ファンクラブ会員NO.514の清澄アキラです。失礼しますね」

「能力で会員No.2をとったセイアだよ。未来予知をこんなことに使ってすまない」

「ホントに卑怯じゃんね」

「あの、ミカさん私帰っていいですか? 私ヒフミファンクラブなので……違うので……」

「おや。奇遇ですねナギサさん」

「あ、黒服さんお久しぶりです! いやーこの前発売されたヒフミさんTシャツ、略してヒフT。 良いですよね……」

「良い……」

 

 いた。

 仮面の代わりにメガネをかけて帽子を被り、髪をポニーテールにまとめ服は違和感のない地味めな服装。

 私が顔と名前を前世で知っていなかったらこの変装は見破れなかっただろう。

 ……原作では、先生を信頼して先生にだけ教えた情報。それをこんな形で使うことに罪悪感がないわけじゃない。

 

 ごめんね。

 

 私は先生の裾をグイグイ引っ張った。これが事前に決めていた合図。

 それに反応した先生はシッテムの箱を取り出し、私に小声で指示を出す。

「よし。モカ、これは世界一強力な拳銃です!(EXスキル)を使って」

「了解」

 

 シッテムの箱と接続された私に特殊な力が流れ込む。

 たとえ私が銃弾一発でも喰らったら戦闘不能になるような、そんな満身創痍な状態だとしても最高の動きができるように体を動かしてくれる。

そんな力(EXスキル)

 私はそれに身を任せるだけで良い。

 マグナムに装填されている最初の1発。

 それにありったけの神秘を込め、アキラさんの頭に撃ち込んだ。

 

「グゥッ!?」

 

 私の突然の発砲に周囲は騒然とする。一部の人以外は。

 アキラさんは痛みと驚愕で朦朧としている。後数秒で袋の鼠になることも知らずに。

 

「……なぜ分かったのか教えて貰ってもいいですか、お嬢さん?」

 七囚人の1人、慈愛の怪盗。そんな人物が今、私を脅威と認識している。

 その事実に気づいた瞬間、背筋がゾクゾクするような快感が走る。

 あれ、今私カッコイイんじゃない? 誰か録画とかしてないかな!? 

 あ、どうしよう! 気の利いた返ししないとダメじゃない?(謎の使命感) やば、なんも考えてなかった! えーと、えーと……

 

「そうですね。女の勘、とかどうです?」

 まあ私はTSロリなんですけどね、アキラさん。

「……ほう」

 

 あぁ^〜 たまらねぇぜ。

 ずる(知識チート)して気持ちがいい! (転生者特有の闇落ち) 

 もう一度やりたいぜ。至急メール(予告状)くれや

 

 まるで映画のワンシーンを演じているかのような状況を味わっていると、その隙をつきアキラさんが動く。

 人の隙間を縫うように華麗に走り抜け、自らが入ってきた扉へ。

 

 しかしそこにはカンナさんが『扉を開けて』待っていた。

 

 扉と扉を繋げる能力。それによって繋げられた先は矯正局。

 牢屋直通ルートが完成していた。

「君はショックを受けた! なあそうなんだろう、ダニエル?」

 不敵な笑みを浮かべながら手招きをする。出口は1つ、潰された。

 

 焦った表情で反転し、今度は反対側へ。

 唯一となってしまった出口。窓に近づいたその瞬間、樹木の根のようなものが一瞬で覆い尽くし、進行を妨げる。

 発生源は神秘を振り絞り息も絶え絶えのベアトリーチェさん。その腕だ。

 そしてベアトリーチェさんの体を守るように、サオリさんが仁王立ちする。

「ここは通行止めです。観念しなさい、クソガキ」

「マダム、大丈夫か? もう年じゃ……」

「はあああああ!? このっ撤回しなさい! あなたの夕飯をカレー抜きカレーライスにしますよ!?」

「本当にすまない!」

 

「クックック。根性見せましたねベアトリーチェ」

「今夜の打ち上げは私が奢ろう。頑張れ」

「頑張れじゃないですよ! あなたも頑張るんですよ! (半ギレ)」

「そういうこった!」

「そういうことならやりなさいよ!!!! (全ギレ)」

「ふむ、なら私が」

 

 デカルコマニーさんがゴルコンダさんを持ったまま1歩前に出た。

 

「その方が慈愛の怪盗。今度発売予定の先生純愛甘々甘やかしASMRを独占しようとした盗人です」

 あ、甘々で甘やかしなんだ。

 

「なにっ」

「まったく。キキョウを出し抜こうなど、身の程を弁えない駄犬には教育が必要です」

「……猫では?」

 

 ゴルコンダさんの指摘により正体を知った会員達がアキラさんを取り囲む。

 

「なるほど。これでチェックメイトという訳ですか」

 周囲を見渡しながらそう言ったアキラさんの目は、言葉とは裏腹にまだ諦めていないように見える

 ……この状況を打開する? 

 思い出せ。ゲーム開発部とトキさんの追跡を振り切った時、アキラさんは何をした? 

 アキラさんが懐に手を突っ込む。

 よし。合っているかの確証はないが、一か八かだ。

 

「煙幕です!」

「しゃあっ」

 警告の叫び。

 私のその言葉にいち早く反応してくれたのはイチカさんだった。

 懐から取り出したのは球状の物体。おそらく煙玉とみていいだろう。

 あとはそれを叩きつけるだけ。だが、その動作はイチカさんにとって遅すぎた。

 

「灘神影流『霞打ち』

 目にも止まらぬ速さで繰り出される突きの連撃『霞打ち』。

 片手で煙玉を持つ手を打ち払い、もう片方の手で煙玉をキャッチする。おー激しい(レ)

 

 煙幕は阻止した。しかし相手も七囚人。

 アキラさんが無事な右手を突き出すと、そこから無数の薔薇の花びらが放たれる

 

「はうっ な、なんだぁっ」

 薔薇の奔流で顔を覆い隠し、追撃を阻止する。

 

 だが、あくまで止まったのはイチカさんのみ。

 

「ん、不遜。地に伏せるべき。

あっち向いて、ホイ

 

 今すぐにでも「YES I AM!」といいそうなポーズを取っているシロコさん。

「ガハッ!」

 アキラさんの体がまるで見えない何かに押しつぶされたかのように地面に叩きつけられる。

 シロコさんの指は、下を指していた。

 

「駄犬にしては上出来です」

「ん、狼(訂正)」

「スタンニードルランチャーの的になれること、光栄に思いなさい」

「よし、じゃあぶち込んでやりますよ!」

 何とか立ち上がろうとするアキラさんを狙うのは、愉快な遠足に忘れてきたら叱られそうなランチャーと、炎を纏う日本刀。

 

「降参しないなら、折るね☆」

 そして、指を鳴らしながら近づいてくるミカさんだった。

 

「……降参、ですね」

 

 

 こうしてミレニアムで突如発生した大捕り物は幕を閉じた。

 

 

 

 

「君は分析に回されて、バラバラに解体されることになるんだぞ。君は廃棄されるんだ! (アンドロイドジョーク)」

「えぇ……!? (驚愕)せ、先生! たすけてください!」

「しないから! そんなことさせないから!」

 

 カンナさんに手錠をかけられ連行されるアキラさん。

 矯正局にぶち込まれる前に、一つ聞いてみることにした。

 

「なぜ盗もうと? 待っていれば販売されるし、データだから売り切れもない。どうして……」

 その問いに、アキラさんはこちらを一瞥することなくいった。

 

「私もまた、純愛ASMRに踊らされただけの犠牲者の一人に過ぎないって事です」

 

 そしてまた歩き出す。矯正局へとつながった扉へ。

 

 

 

「……ほんとに解体されませんよね?」

「大丈夫じゃないですか? ……多分」

「多分!?」

 訂正。振り向いて怯えた顔で聞いてきた。

 カンナさん優しいよ? 一緒にスマブラしたもん。(ロリ特有の判断基準)

 

 

 

 

 

 

 アキラさんを見送った後、私は先にシャーレに帰ってきた。先生は元ゲマトリア男? 衆と飲みに行っちゃった。

 さて、ヒナさんはもう起きてるかな? 

「あれ、電気が消えてる?」

 もう別の部屋に行ったのかな? まあとりあえず着替えちゃおう。

 そう思って部屋の電気をつけた。するとなにやらベットの上で白い毛玉が蠢いて……あ、違う。あれヒナさんだ。

 もぞもぞと動いてるけど、具合が悪いんかな? 

 だとしたらまずいかも。

 

「ヒナさん、大丈夫です……か……?」

 

 体の下半分はタオルケットがかかっていて見えない。

 そっと顔のほうに近づいてよく見てみる。

 

 ヒナさんは私の枕に顔半分をうずめ、呼吸は荒い。

 涙で潤んだ目は昏くハイライトさんがお出かけしていた。

 

 ま、まさか……! 

 

「モカ」

 

 ヒナさんが上体を起こし、こちらを見ながら蚊の鳴くような声でぶつぶつ呟き始めた。

 

「ふふ、モカ。今私何してたと思う? ふふふっ……下品だけど私、モカで──

 

「ヒナさん大丈夫!?」

 ヒナさんを抱きしめ、頭と背中を撫でる。

 油断してた。ヒナさんはまた、悪夢を見たんだ。

 隈も薄くなり、笑顔も多くなったから。

『もう治ったんじゃないのぉ~?』なんて、馬鹿な考えに! 

 

「大丈夫。ゆっくり呼吸して。ゆっくり。いいですね、もう一度」

 呼吸は荒いが頻度は減ってきた。もう少し。

「モカ、だけど、私……!」

「大丈夫。大丈夫。私がずっと一緒にいますから」

「……ほんと?」

「はい。だから、落ち着いて。私はここにいますよ」

「うん……うん!」

 

強く抱きしめ返される。少し撫でづらくなるが続ける。落ち着くまで。

 

そうしていくうちに呼吸が安定してきたのが体で感じられる。

 

「…………よし、よく頑張りましたね」

 ふぅ、良かった。何とか落ち着いた。

 

 体を離し、ヒナさんの顔を見る。

 いくらか表情が明るくなったような、そんな気がした。

 

「ごめんなさい。また私はモカに迷惑を……」

「そんなの気にしないでください! 私たち友達じゃないですかー!」

「…………………………友達

 

 私たちズットモだよ☆今度一緒にプリクラでも撮っちゃうー? 私証明写真撮るあの箱しか入ったことないけど☆

 私あの箱であえて笑顔でピースしてみたいなって思ってたんだよねー

 

 まあ冗談はともかくしばらく一緒に行動して様子をみようか。ヒナさんの行きたい所を聞いて、お出かけしてもいいかもしれない。

 とにかくリフレッシュを……

 

「モカ」

「はい? どうしました?」

「私、諦めないから」

「……?」

 ん? 何を……? 

 ………………(ロード中)

 ……あ、不眠治療!? 

 いいねぇ^~! ベストを尽くせば結果は出せるってそれ1番言われてるから。

 私も協力するから、一緒に頑張っていこうね! 

「お腹が空いたわ。何か作ってくれない?」

「いいですよ! 一緒に食堂に行きましょう!」

 私はヒナさんの手を取って歩き出した。

 いつの日かヒナさんがゲヘナスヤスヤシロモップになることを夢見て。

 




ウマ娘で、レース中タイキシャトルがまじで発砲したり、グラスワンダーが薙刀振り回したり、スイープトウショウがハリーポッターの魔法ぶっぱなしたり、マンハッタンカフェがお友達使って霊的攻撃をする話を思いついたんですけど多分書いたら怒られますよね。
うーん、読みたい。

この小説を読む時、どんな先生を想像してます?

  • 男先生
  • 女先生
  • アロナ落書き先生
  • 性別不明、中性的
  • (人間じゃ)ないです
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