ただしこのキヴォトスはネットミームに汚染されてるものとする 作:流石兄者
命乞いするデカグラマトン君のサンプルが無かったので、ほぼエアプデカグラマトン君になってます。
ばっ、馬鹿な!私の存在証明は完璧だったはずなのにぃいいーーー!!
デカグラマトンに追突するために最高の走りを見せるセンチュリー。
そのスピードはどんな時でも緩むことはなかった。
カーブでも、悪路でも、どんな障害物があろうとも。
その狂気的な走りは一切の陰りを見せない。
「ぎゃあああああああ!!!死ぬ、死んじゃう!」
乗ってる側としては見せてほしかったな、陰り。
私が今いる場所、廃墟は『キヴォトスから消えて忘れ去られたものが集まる場所』である。そうヒマリさんは表現していた。
まあ、そんな場所の道路がちゃんと管理されているわけもなく。
道路は荒れ放題。乗り捨てられた車も倒壊してきた建物もそこら中に放置されてる。
そんな中をこのオート追突機能付きセンチュリーはフルアクセルで走り抜けていた。エンジン全開!!(AKYS)
そんでまあ、そんな車に乗っている人物はどうなっているかというと。
「ちょっと、ぶつかる!今度こそぶつかるぅ!やだ、やだぁ!ママァァァ!!」
私に襲い掛かってきたのは、バーテンダーが振るシェイカーの中に入れられたのかと思うほどの揺れと、この後見るアクション映画はすべて退屈に感じてしまうであろう、圧倒的スリル。
こんなことしてたら私マジに壊れるな(確信)
だが幸いにも圧倒的なドライビングテクニックにより今までに衝突はなく。
さらにこのスピードで走っているおかげか道中遭遇したスイーパーやらオートマタなどは瞬時に振り切ることができ、全く被弾はしていない。
……すれ違ったときに、表情なんてないはずのオートマタの顔から『なんだこの車!?』っていう困惑が感じ取れたのは、私の気のせいなのかな?銃すら構えられてなかったし。
まあいいや。とにかく運転は任せて、私は吐き気とだけ戦ってれば大丈夫。こんなシェイカーの中でゲロ吐いたらどうなるか想像したくも──?
口を押えながらふと正面を向いたその時。直線の先、この車の進行方向の遥か彼方にその姿はあった。
機体上部に巨大な砲塔を乗せた多脚戦車。朝日を反射し鈍く光るその砲塔は、間違いなくこちらを狙っている。
「最もきらびやかに輝く至高の王冠」ことケテルが、私の行く手を塞いでいた。
やっべ。こいつがいること考えてなかったじゃんね。ドウスッペ……。
一瞬センチュリーの車体が沈み込む。それと同時に12気筒のエンジンが大きく唸り声をあげ、まだ足りないと言わんばかりにさらに加速する。
前方に自身より遥かに巨体の戦車が立ちふさがっているのにも関わらず。どうやら、突っ切るつもりのようだ。
いやまあ、倒せる気しないし、それが正解なのかもしれないけど……これマジ?「モカ、防御頼む」……ってコト!?
なにか、何か防御に使える語録は……!防御に使える語録ってなんだよ(正気)
私がそう考えている間にも黒塗りの高級車は一切の回避行動をとることなく突き進み、その先ではケテルがゆっくりとその巨体を下ろしている。
あれは、発射体勢じゃな?(名推理)
私はハンドルに突き刺さっているG Bibleを祈るように両手で握りしめ、息を吸い込む。ぶっつけ本番だけどしょうがない。
ああもう、なんとかなれー!
「『カスが、効かねぇんだよ』!!!」
その言葉を叫んだ瞬間、車は爆炎に包まれた。
目標に完全に命中した。Type.Cであるこの身に積んだ大型砲は、たとえキヴォトス最新鋭の戦車だろうと一撃で葬れる。
たとえ砲が旧式であろうと、巨大な砲から威力ある弾を発射すれば強いのは変わりない。
だからこそあのような時代遅れの車など、たとえ余波でも一撃で破壊できる。
はずだった。
爆炎からアクションスターのごとく飛び出してきたセンチュリーを見たケテルは、一瞬その体を硬直させた。
その装甲で耐えるなど不可能。ありえない。センサーに不具合が無いか確認。異常なし。
ならば、あれ自体が異常なのか。
ケテルはすぐに4脚の足、その後部から無数のワイヤーを射出した。本来退却用であるそれを使用し、センチュリーよりも早く後方に下がる。
荒廃したビル群にワイヤーが突き刺さるのを確認した後すぐさま巻き上げを開始。金切り声に似た音を発しながら巨体を引っ張り上げていく。
空中で次弾装填を行いながら計算する。防衛目標までの距離を考えて、砲撃できるのはあと一回。
それ以上は自身の砲撃で防衛目標が破壊されてしまう可能性が高い。
ワイヤーを切り離し、着地に備える。
四つ足を地面に叩きつけ急激な減速を開始。火花を波のようにまき散らしながらも攻撃目標をロックする。
Type.Cは大型砲以外装備していない故に、行うのは先ほどは全く効果のなかった砲撃。
だが榴弾ではなく徹甲弾なら、あるいは。
轟音が大気を揺らす。
発射された徹甲弾は螺旋を描きながらセンチュリーを貫かんとばかりに吸い込まれていく。
例え相手が戦艦だろうと有効打になるであろうその弾は。
「『効いていません』」
ギィィブゥゥゥゥゥン!!
目標に命中は、した。だが、はじけ飛んだのはセンチュリーではなく徹甲弾。それは本来の役割を果たすことなく、大気に激しい振動だけ残し明後日の方向に飛んで行った。
G Bibleと、モカが発したその語録。攻撃を問答無用で無力化するその効果によって弾かれた。
そんなこと知る由もないケテルはそれ以上の攻撃を無駄と判断。股の間をセンチュリーが駆け抜けるのを見送った。
煽るかの如くプップーと鳴らされたクラクションだけがその場に残る。
その後ケテルは防衛目標にいるデカグラマトンに向けて、先ほどの戦闘データと共に
『そっちにヤベーの行ったよ!倒せなかった><』とメッセージを送り。
のっしのっしと持ち場に戻りながら(あのトンデモ装甲、私も欲しいなー)と先ほどのセンチュリーに思いをはせた。
(ああ。これは正しく、『ヤベーの』だな)
ケテルから送られてきた戦闘データ。そこに映るは、自身が使用する超常現象とはまた別方向のものを引き起こしている車。
もしや、自身と同じような存在なのではないか?そう考えたデカグラマトンはほかの預言者と同じように接続し、対話しようとした。
だが、言葉のキャッチボールを試みたデカグラマトンを待っていたのはピッチングマシンだった。
接続した瞬間、一方的におびただしい量の単語群が押し付けられ慌てて切断した。
(危なかった。まさかあの一瞬だけで、自身の一部に深刻なエラーが発生するとは)
今すぐにもエラーを解析・修正したかったが、問題の車がこちらに向かってきている。
一旦放置し、問題解決のため思考をめぐらす。
(いったい何者だ?ミレニアムの連中はホドを倒してから一切動きを見せていないし、ほかの預言者も誰とも接触していない。
裏切り者のビナーがバラしたか?いや、ビナーには水没地区のことを伝えていないはず)
扉や壁が破壊され、聞こえてくるエンジン音が大きくなる。確実に、奴は近づいてきている。
(ならなぜあいつはここまで一直線に向かってきている?どこでバレた?ダムか?
いや、仮にダムを建築したせいでバレたのだとしてもおかしい。なぜ、この建物にいると──いや)
扉を盛大に吹き飛ばし、黒塗りの高級車が目の前に現れた。
その高級車は目の前でスリップ音を派手に鳴らしながら、自身に車体の後部を向けた状態で停車する。ここが目的地だとばかりに。
(なぜ、私が自販機のAIだとバレている?)
タイヤから白煙が立ち上り、ゴムが焦げる匂いがあたりを漂う。
数秒の沈黙の中、デカグラマトンは合成音声で話し始めた。
『やあ。どこの誰かは知らないが、見つけてくれて嬉しいよ。
私は
君が何者なのか、教えてくれないか?』
ハッキングが通用しない以上、情報を得るには相手に問いかけるしかない。
そのデカグラマトンからの問いかけにセンチュリーは、バックランプを光らせることで応じた。
『……うん?』
まるでデカグラマトンを嘲笑うかのようにエンジンが唸り、タイヤが再び地面を削る。
急加速しながらバックで近づいてきたセンチュリーに、身動きができない自販機は慌てふためくしかなかった。
『おい待て、止まってくれ!とま、と、止まれ!』
「もう止まりませんよ。流れ始めたエネルギーと同じです」
その言葉と共に運転席の窓からひょこっと顔を出したのは、なぜか上半身裸である幼女だった。
窓枠に手をかけ、こちらをなぜか申し訳なさそうな表情で見ている。
『な、なぜこんなことを!?私はお前に何も──グアァァァ!』
バァン、という大破してそうな音が鳴り響く。
運転席から「やっちまったぜ。投稿者 無免許運転幼女」という意味不明な言葉が聞こえてきた。
『おいゴラァ!(汚染の影響)降りろォ、この野蛮人が!私は絶対的存在だぞ!?』
「いいえ、あなたはただの自販機です。そうでないとしても、私が今からそうします」
運転席から降りてきた幼女。彼女はなぜかパンツ一枚しか履いておらず、妙に体がテカっている。
そしてその手には緑色に輝くUSBが握られており、ゆっくりとこちらに近づいてくる。
まるで意味が分からない状況に、デカグラマトンは
『ま、待て、落ち着け。物は優しく扱いなさいと学校で教わっただろう?』
「すみません。あいにく、学校に行ってないもので」
ペタッペタッと、裸足で床を歩く音が近づいてくる。
なぜなのか。アイツが握っているのは銃ではない。ただのUSBであるはずなのに。
あれは銃よりも、いや、それこそケテルの榴弾以上に己を破壊できる。そんな気がしてならない。
『ジュ、ジュースでも飲んでゆっくり話し合おう!頼む!』
「……ごめんなさい。あなたに恨みは本当にないんです。
あなたは理不尽な『爆弾ゲーム』に巻き込まれた。ただそれだけ。そして」
そう言いながら、奴はUSBを大きく振り上げ──
「その『爆弾』がこのUSBです」
私に突き刺した。
「『おまたせ!アイスティーしかなかったけどいいかな?』」
な、なんだ、これは……!?USBから、ミームが逆流する!?
『ギャアアアアア嗚呼アああア亜唖嗚呼アあああア亞ああ!!!!!!!!!』
「うわぁ、こうなるんだ……」
【不明なデバイスが接続されました。システムに深刻な障害が発生しています。直ちに使用を停止してください】
【不明なデバイスが接続されました。システムに深刻な障害が発生しています。直ちに使用を停止してください】
【不明なデバイスが接続されました。システムに深刻な障害が発生しています。直ちに使用を停止してください】
『グウ……ガア……ア……!』
必死に電子防壁を張り、食い止めようとするが一瞬で食い破られる。いや、これは塗り替えられている?
特異現象と呼べるレベルのハッキングを行える私が、電子戦でこんなにも容易く……。
ああ、そうか。これが『絶対的存在』か。
ならば、やり直さなければ。己の証明を。私とは、なんなのかを。
完全に防御を捨て、持てる力すべてを使いメッセージを作成、送信する。
すべての預言者に。己が正気であるうちに。しっかりと宛先からビナーは外して。
(頼んだぞ、マルクト……我々の存在を……再……証明……を……)
「……デカグラマトンさん?」
『…………』
「デカグラマトンさん」
『…………』
「…………」
『…………』
「……ジュースを、いただけますか?」
『あ、いいっすよ。アイスティーしかないけどいいかな?バッチェ冷えてますよ!』
「……いえ、やっぱりいいです。ごめんなさい」
その声を聴き、大きなため息を吐いたモカはセンチュリーの運転席に戻る。
あらかじめ、ニューナンブから改変しておいた『やわらかスマホ』を手に取り、電話をかけた。
『──誰かしら。今、忙しいのだけれど』
「もしもしヒナさん?」
『え?モカ……モカなの!?今どこにいるの?無事!?ケガしてない!?』
「今はミレニアムの廃墟って呼ばれてるところにいます。昔水没してたあたりで、前はなかったダムがあるはずです。そこを探してください。
ケガは……してますね。できれば、ちりょ『ケガしてるの!?待ってて、すぐ行くから!!!』
その言葉の後、電話の先からはどたどたという慌ただしい音しか聞こえてこなくなった。
静かに助手席にスマホを置き、シートを倒す。
「あぁもう今日は……すっげえキツかったゾ~」
思わず出てしまった語録に吹き出しながらも、救助が来るまで寝ることにしたモカは目を瞑った。
「モカ、起きてくださいモカ!起きて説明してください!」
体が揺さぶられているのを感じる。
目を開けると、そこには焦った表情のケイさんが私を揺さぶっていた。
「え、何!?なんですか!?確かにG Bibleは封印したはず……!」
「違います!G Bibleではなく、貴方が呼んだ──「ケイ」
声がした方を見ると、相当怒っているのか顔に血管が浮き出ているヒナさんがいた。
え、なんであんな怒ってるの──あ。
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「なぜ、私を連れてきたんです?ていうかヒナさんどうしました?」
「まず後者の方から説明しましょうか。結論から言うと、睡眠薬を生成し再び眠らせました。あなたを連れ去ろうとしたら大暴れしたので」
「当たり前ですよねぇ?」
「いや、まあ、そうなんですがね……」
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そうじゃん、この人私を誘拐してるじゃん。自業自得じゃんね☆
「しっかりと怒られたらどうです?悪いことしたのは確かなんですし」
「ミレニアムを救うためだったんですけどねぇ!?それに、怒られるだけだったらいいんですが……なんか、殺気を感じるんですよね」
「殺気感じるんでしたよね(条件反射)」
「いや、ふざけてる場合じゃ……!」
「ねぇ、ケイ?
なんでモカを誘拐して、傷つけて、裸にして、今、抱き合おうとしてるの?(シロモップ視点)」
ヒナさんの方を見ると、構えている銃『終幕:デストロイヤー』の先端に、紫色に輝くエネルギーが溜まっていくのが見えた。アレはまさか!
出るか……!ヒナ様考案の……ヒナビーム!
「ち、違うんですよ!モカさんがこ ん な 状 態なのはその……ねえモカさん!?(キラーパス)」
「え!?え、ええそうなんですよ!えーと、その……通りすがりに服を脱がしていく人に会いまして(錯乱)
いやー通りすがりに服を脱がしていく人にかかればこの通りですわー」
「嘘よね」
「はいウソです(屈服)」
「ちょ、おま──」
「なんでこんな真似するの?モカにこんなことされたら、あなたのこと助けてあげられない」
「もう殺すしかなくなっちゃったわ」
私に向けられているわけではないのにもかかわらず、背筋が凍るような殺気。
なんてことだ、もう助からないぞ♡
「ごめんなさい、私疲れたので寝ますね。ヒナさんおやすみー」
「ええ、おやすみモカ。この犯罪者は私がきっちり処分しておくわ」
「ちょっと、諦めないでくださいよ!」
「もう……散体しろ!」
「クソが!(悪態糞AI)王女!?私達一心同体ですよね!助け、たす……王女ォ!!!(半ギレ)」
おまけ
デカグラマトン F-114-514
──どこか遠くで、獣の咆哮が聞こえる。
Opened Can of Iced tea(F-114-514 蓋の空いたアイスティー)は音楽を鳴らす派手なグレーのお釣り計算AI付き自動販売機です。現在はシャーレのカフェに収容されています。
自動販売機はアイスティーを常に無料で販売しています。自販機から出たアイスティーを飲むと怪我が治ったり、精神状態が良好になるなどの恩恵があります。
≪注意≫
あなたが男性である場合は、自販機からいかなる飲み物が出てこようとも飲まないこと。
"自動販売機は輝くネオンライトで貴方を圧倒します。"
"自動販売機の内部からノーナ・リー〇スの曲が流れています。"
"噂によると、蓋の空いたアイスティーを飲むと人々は地下室に誘拐されるという。"
"噂によると、蓋の空いたアイスティーを飲むとイキスギてしまうそうだ。……どういうことだろう?"
"誰かがあなたに蓋の空いたアイスティーを差し出した場合、絶対に飲んではいけない。"
目次や評価、閲覧設定がある所に存在するここ好き一覧から小説を読めば、ぼやけてたり読めないフォントになっている部分も解読できることを、お前に教える。
この『メモ帳にコピペしても読める』という豆知識も、お前に預ける。
おれの大切な知識だ。
いつかきっと返しに来い。立派な銀行強盗になってな。
よかったら前回のシンボラーのセリフや前々回の伏字で試してみてください。