死んで生まれ変わる魔法   作:トマトルテ

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8話:死者蘇生

「君達は死者蘇生を見たことがあるかね?」

 

 そう言って、魔王が行ったのは攻撃ではなく召喚?

 一瞬、仲間でも呼んだのかと思ったけど、呼び出された姿は人間だった。

 ただし、その姿は何となく見覚えのある姿で。

 

「父上……」

「馬鹿な……息子よ」

 

 どこか王様に似ていた。

 

「余は死者蘇生の魔法を手にした。手土産に卿の息子を蘇らせてみたのだが……気に入ってもらえたかね?」

 

 死者蘇生。そんな荒唐無稽の言葉を口にして魔王は笑う。

 まるで、化け物が人間の真似をして笑うように不気味に。

 仲良くしようよ。そう、人間を喰った口で言いながら。

 

「……魔王よ、儂にこのような子供騙しが通じると思うか? 魔物には人間の記憶を読み取り、その者の失った大切な人間の幻影を見せるものがいると聞く。大方、似たような原理の魔法なのだろう」

 

 死んだはずの息子の登場に、一瞬だけ取り乱す王様だったがすぐに冷静さを取り戻す。

 そう、現実的に考えて死者蘇生などありえない。

 そんなこと出来るわけがない。

 

「ふむ……やはり信じてもらえぬか。まあ、無理もない。余も実際に()()()()不可能と思っていたのだからな」

 

 顎に手を当てて、しかりと頷く魔王。

 その姿は聞き分けの悪い子供に、何とか言い聞かせようとしている大人のようで。

 

「仕方あるまい。ここは実際に―――体験してもらうとしよう」

 

 どこまでも()()()()子供のようだった。

 

「一度死んでもらおうか。人間の王よ」

「王様! 下がってください!?」

 

 魔王の指が緩慢に動き、王様を指差す。

 慌てて、魔王と王様の間に割って入り、剣を構える。

 何をしてくるのかは分からないけど、ここは何としてでも王様を守らないと!

 

 ―――ドサ。

 

「……え?」

 

 後ろから人が倒れる音が聞こえてきた。

 思わず、魔王から目を離し後ろを振り向くとそこには。

 

魂を刈り取る魔法(デアトート)

 

 倒れ伏し、物言わぬ死体になった王様が居た。

 

「陛下!?」

「脈がない……それに瞳孔も…開いている! 一体何を…!?」

 

 慌てて王様に駆け寄る、魔法使いや戦士達。

 彼らの蒼白な顔で分かる。

 王様は本当に死んでいる。

 ただ、指を差されただけだというのに…!

 

「案ずるな、人間達よ。卿らの王を、死んだままにはせんよ」

 

 今しがた人を殺したというのに、魔王の声には興奮も恐れも感じられなかった。

 単なる日常の続き、息をするのと同じ程に当たり前の行為。

 それが人間と魔族の違いを如実に物語っていた。

 

死者を生まれ変わらせる魔法(リインカーネーション)

 

 そして、再び唱えられるこの世ならざる魔法。

 ドス黒い光が一瞬、辺りを包み込んで、すぐに消える。

 

「……儂は生きているのか?」

「陛下! ご無事で!?」

 

 すると、先程まで確かに死んでいたはずの王様が息を吹き返していた。

 ……本当に魔王は死者蘇生の魔法を作り出したのか?

 

「どうだね? これで余の言うことを少しは信用してくれるかね」

「……信じよう。貴様は死者蘇生の魔法を生み出したのだとな」

 

 王様の言葉に周囲が騒めく。

 それもそうだろう。そんな荒唐無稽の魔法が存在するなど誰も思わなかったのだから。

 そして、何より。

 

「魔王よ……これは自分自身にも使える魔法か?」

「無論。元々この魔法は自らを転生させるために作られたものだ」

「貴様、不死身か…ッ」

 

 魔王が決して死ぬことのない存在だと明かされたのだから。

 

「ムリだ……勝てない」

「どうやって、戦えばいいんだ」

 

 誰かが呟いた言葉が、絶望として周囲に伝播していく。

 かくいう、僕も途方に暮れることしか出来ない。

 

 不死身なんて、どうやって倒せばいいんだ…?

 本当に僕はこの魔王を倒せるのか。

 そんな情けない考えばかりが、頭の中を過っていく。

 

「怖気づくな、死なないだけだ。対策はいくらでもある」

 

 そんな時、力強い声が響き渡る。

 

「……エーヴィヒ」

「封印すれば良い。氷漬けにするのも良いし、宇宙に追放するのも良い。仮にそれらが駄目でも脳味噌を弄って、廃人状態にして放置でもしておけばいい」

 

 朗々と不死への対策を語るのは、エーヴィヒさん。

 やたらと実感がこもった話し方なのが気になるけど、彼の言う通りだ。

 死なないだけで、対策自体はいくらでもある。

 

「その通りだ。余は不死身となったが、それだけだ。だが、それだけで十分過ぎるではないか? それとも……余を倒す奥の手が卿にあるのかね?」

「逆に聞こう。()()持ってないと思うか?」

 

 魔王相手でも一歩も引かずに話す、エーヴィヒさん。

 

「先程、余が人間の王を殺した際に動かなかったのも、奥の手に自信があるからかね?」

「さあなぁ。そっちの方が()()()()()()()と思ったからだけかもしれないぞ?」

「ほぉ、それは面白い」

 

 クツクツと笑い、一瞬だけ南の勇者の方を見る魔王。

 しかし、すぐに目を逸らし、今度は王様の方に向き直る。

 

「話が逸れたな。この魔法を見てもらったのは他でもない。余の夢に協力をしてもらいたいからだよ、人間の王」

「夢だと? 世界征服でもするつもりか」

「いや、征服など興味はない。余は―――人間との共存を望んでいるのだ」

 

 人間との共存。

 名前を名乗ったときにも言っていたが、冗談だと思って気にもしていなかった。

 だって、そうだろう。

 共存を望んでいるのだとしたら、どうして。

 

「共存? 寝言は寝てから言うのだな。今まで散々人間を殺してきておいて、どの口が言う」

 

 人間を殺しているのか。

 この理由がまるで分からない。

 

「案ずるな、人間の王よ。そのための死者蘇生の魔法だ」

「どういうことだ?」

「この魔法はな、魂さえあれば肉体はどの種族の者でもいいのだ。人間の魂を魔族に。魔族の魂を人間に、といった具合にな」

「まさか……貴様は…!」

 

 魔王が語る言葉が僕には理解できない。

 いや、理解したくないだけだろう。

 だって、心は拒絶しているのに、頭は魔王が何を言おうとしているか分かってしまっているのだから。

 

「―――人間を皆殺しにして、魔族に生まれ変わらせる気か!?」

「半分正解だ。余の配下たる魔族も、また生まれ変わらせるつもりだ」

「貴様! それでも王を名乗る器か!?」

 

 絶句した。

 魔王の目的は、人類と魔族の共存(絶滅)

 一体、どういう価値観をしていれば、こんな恐ろしいことを考えつくのだろうか。

 

「そう、それだ。余は人間が何故(なぬゆえ)、そのように思うかが理解できん。故にこそ、人間となってその価値観を理解したいのだ」

「……化け物め」

 

 ああ、ダメだ。

 人間では魔族を理解できない。

 まるで価値観が違う。

 人に獣の心が理解できないのと一緒だ。

 

「なに、案ずることはない。これは―――救いだ」

 

 魔王がまるで聖人のように手を差し伸べる。

 

「卿らにとっても悪いことだけではない。余の力を持ってすれば、人間は永遠の命を手に入れ、死の恐怖から未来永劫解き放たれることだろう。それにだ。卿の息子を連れて来て見せたように、死人に再び会えるようになる。これは神代からの人間の夢だと理解しているが?」

 

 人間の脳に安堵と敬意を覚えさせる。

 そんな話し方で、魔王が僕達を信用させようとする。

 だが、そんな言葉など、魔王の悍ましい夢の前では何の意味もなさなかった。

 

「貴様らで殺しておいて、再び会えるようになるだと? ふざけるのも大概するがいい」

「…? 生き返ったのだから、それでよかろう。いや、もしや卿の息子が魔族になったと思っているのか? 安心するがいい。卿の息子は生前の肉体のままだ。少し手間はかかったが、墓から死体を持ち出してそのまま利用したのだ。何も案ずることはない」

 

 欠片たりとも侮辱するつもりはない声色で魔王が話す。

 王様(父親)に、お前の息子の死後の安寧すら踏みにじったのだと。

 悪意など欠片もなく。

 

「魔族ならば魔力さえあればいいのだが、人類は死体を使うか、ホムンクルスでも作るかして、容れ物を用意しないとダメでな。余の魔法で腐敗などは消してあるが……他に何か気にすべき点があったかね?」

「もういい、黙れ。魔王、貴様はこの世に存在していい生物ではない」

 

 無表情で、抑揚のない声で、肌が焼ける程の殺意を込めて王様が杖を構える。

 だというのに、魔王は何が失敗したのかと子供のように無邪気に首を傾げるだけ。

 

「ふーむ、卿が怒っているのは分かる。だが、なぜそれ程までに怒りを抱いているのかが理解できん。人間の王よ、その感情をどうか言葉にしてくれないか?」

「化け物に語る言葉などない」

「それは困った。では、王子よ。卿から父に頼んでみてはくれぬか?」

 

 逆鱗に触れていることを理解できないのか、それとも竜など恐れるに足りないのか。

 魔王は今度は、王様の息子に声をかける。

 それに対して王様の息子は、気丈に笑い。

 

 

「父上―――私諸共お撃ちください」

 

 

 自分諸共、魔王を討つように頼んだ。

 

 瞬間、先程の比にはならない量の魔法が撃ち込まれていく。

 きっと、王様の息子の肉体は塵も残らないだろう。

 でも、それでいいんだ。

 これならもう、死体を弄ばれることはないだろうから。

 

「実に面白い。何故このような行動に出たのか、余には欠片たりとも理解できん。だが、理解できないからこそ、それが分かった時に共存への道が開けるのだ」

 

 だが、魔王にはそんな人間の機微など理解できない。

 攻撃を受けているのにもかかわらず、心底楽しそうに笑うだけだ。

 やっぱり、通常の攻撃は魔王には効かない。

 そうなると。

 

「君達は下がっていたまえ、魔族を殺す魔法(ゾルトラーク)

「陛下、ここはお任せください。魔族を殺す魔法(ゾルトラーク)

 

 あの南の勇者とエーヴィヒの2人が使う、見たこともない魔法しかない。

 四方八方、いや上下も含めた全方位から収束された魔力の弾丸が撃ち込まれていく。

 それを魔王は、避けたり防御したりして防いでいる。

 

 ダメージは相変わらず一切与えられていない。

 だとしても、僕達の攻撃とは違い、あれは攻撃として成立している。

 

「やはり、この術式……クヴァールのものよりも精錬されているな。()()()()()?」

8()0()()()

「たったの? やはり、人類の発展力は目を見張るものがあるな」

 

 でも、このままだとジリ貧だ。

 魔王にとっては未だに戦いにはなっていない。

 遊びだ。子供の児戯に付き合っているだけだ。

 せめて、もう一手攻撃を増やせたら――

 

 

『―――魔族を殺す魔法(ゾルトラーク)

 

 

 ()()()()()()、魔法が飛んでいく。

 それは2人のものに比べたら、精密性に欠けるものだったけど。

 

「フリーレン…!」

「無駄もない、完璧な術式だ。おかげで真似をするのも難しくなさそうだ」

 

 それは確かに新しい一手だった。

 

「……流石は余を打ち倒す、パーティーの一員だ。もう、自分のものにしてみせたか」

「見様見真似だよ。これを作った奴が天才じゃなかったら、こんなに早く真似れなかった」

「そうか。それはクヴァールも喜ぶだろう」

「クヴァール? もしかして、この魔法は――」

 

 ここに来て初めて驚いた表情を見せる魔王。

 それはほんの一瞬だった。でも、一瞬だとしても確かな隙だ。

 

「今だ! エーヴィヒ!!」

「接近戦…? 人間の身体で、余に―――その腕輪は!?」

 

 今まで近づくことすら出来なかった魔王に、エーヴィヒさんが肉薄する。

 その手にはどういう訳か、()()()()()()()が握られていた。

 

「奴め! 遅れて来たのは、“支配の石環(しはいのせきかん)”を持ち出しておったからか!?」

「“支配の石環”? 実在したんだ」

 

 “支配の石環”。

 それが何かは分からないけど、王様やフリーレンの反応からして、有効打になるんだろう。

 エーヴィヒさんは、一瞬の隙を突き、その“支配の石環”を魔王の腕にはめ――

 

 

 

人を殺す魔法(ゾルトラーク)

 

 

 

 られることなく、魔王の魔法で跡形もなく消し飛ばされてしまった。

 

「エーヴィヒィイイイッ!? 貴様、儂の配下をよくも!?」

「ほぉ、魔法では“支配の石環”を破壊できんか。もっとも、簡単に破壊出来たら拘束具としての意味がないから、当然ではあるか。ふむ……少し試してみるか」

 

 怒りの叫びを上げる王様のことなど、眼中に無いのか“支配の石環”を拾って、手で弄ぶ魔王。

 そして、何かを思いついたのか、再び魔法を唱える。

 

死者を生まれ変わらせる魔法(リインカーネーション)

 

 死者を生まれ変わらせる魔法を。

 死者を愚弄する、心底汚らわしい魔法を。

 

「……なん…だと?」

()()()()()()、魔族エーヴィヒ」

 

 そして、蘇らせたある1人の魔族に対して皮肉たっぷりに声をかける。

 人間から魔族に生まれ変わらせた、エーヴィヒさんに。

 

「もはや、死は逃げ道にもならん。全ては余の手の平の中だ」

「どうやって…?」

「ただ単に卿よりも早く魔法を使っただけだ」

「く! 死んで爆発する魔法(エクスプロジィオーン)――」

「無駄だ」

 

 ガシリとエーヴィヒさんの頭を掴み、身動きを封じる魔王。

 そして、手に持っていた“支配の石環”をエーヴィヒさんに無理やりはめて、命令を下す。

 止めようと、南の勇者や王様達が攻撃を仕掛けるが分厚い魔力でシェルターを作り、全て塞がれてしまう。

 

「魔王ゲーテが命ずる。魔族エーヴィヒよ。出来るだけ多くの人類と魔族を殺――」

 

 

「お待ちください、魔王様」

 

 

 現れたのは魔王には劣るが、それでも強大すぎる魔力。

 口まで布で覆い。目の部分しか肌が見えない占い師のような恰好の魔族が突如として、出現した。

 

「シュラハトよ、余の裁定に異を唱えるか?」

「あれが未来を見通す、全知のシュラハト…!」

 

 魔王にシュラハトと呼ばれた魔族が、一瞬だけ僕の方に目を向けるがすぐに目を逸らす。

 あれが僕が魔王を打ち倒すという未来を見たという魔族か。

 

「魔王様、その命令は非常に危険です」

「ほぉ、何故(なにゆえ)だ?」

「簡潔に言えば、その男は()()()()()()ことで、人類と魔族を皆殺しにします」

「世界を滅ぼす? ククク、確かにそれは問題だな。共存の舞台がなければ余の夢が叶わぬ」

 

 淡々とそれが事実であるという風に語る、シュラハト。

 いや、実際に未来が見えるのなら、事実になる可能性があるんだろう。

 でも、世界を滅ぼすなんてそんなこと可能なんだろうか。

 

「女神も難儀な才を与えたものだな……さて、では、シュラハト。余はどのような命令を与えれば良い?」

「殺すという言葉を使わずに、人類と魔族の共存に協力しろと命じればいいかと」

「…? それは殺せと言う命令と同じなのではないか?」

 

 本当に不思議そうに首を捻る魔王。

 なんだろう。シュラハトの顔がどこか呆れを孕んだものに見える。

 

「……魔王様。人間の言う共存とはそういったものではないそうです」

「なるほど……余以外の共存の形を見るのも、また一興か」

 

 納得がいったのか、シュラハトから目を離してエーヴィヒさんに向き直る魔王。

 そして、告げる。

 

「では、エーヴィヒよ。人類と魔族の共存に尽力することを命ずる。また、一切の自害行為を禁ずる」

「……畏まりました」

 

 僕には想像することが出来ない残酷な命令を。

 

「さて、これでまた新たな楽しみが出来たな。シュラハトよ、卿がここに来たということは、首尾は上々というわけだな」

「はい。魔王様に人間の主要都市の結界を破壊していただいた結果、全七崩賢、そして腐敗の賢老クヴァールや血塗られた軍神リヴァーレなどが、人間の都市に直接攻め込んでいます」

 

 シュラハトの口から放たれた言葉に、ざわめきが広がる。

 そうだ。王都でさえ結界が破られたんだ。

 他の都市だって同じようなことになっていてもおかしくない。

 

「被害は?」

「………人間も背水の陣で抵抗しており、双方共に甚大です」

「そうか、それはいい知らせだ」

 

 人間も魔族も大量に死んでいる。

 その知らせに機嫌良さそうに嗤う魔王。

 自分の配下が死んでいるにも関わらずにだ。

 やっぱり、魔王の考えは狂っている。

 何とかして打ち倒さないといけない。

 

「勇者ヒンメルよ」

「! なんだい、魔王?」

「聞いた通りだ。我ら魔族は大規模な進軍を開始した。直にここにも軍勢が進行してくるだろう」

「……僕達が止めてみせる」

 

 勇者として、魔族の軍勢を止める。

 命の危機にさらされた人達を必ず助けてみせる。

 

「そして、僕達で必ず君を討ち取る」

「ククク、楽しみにしていよう。行くぞ、シュラハト」

「帰るのか?」

 

 満足したから帰ると言わんばかりの魔王。

 そんな姿に思わず呼び止めてしまう。

 内心では戦わなくて済むとホッとしているのに。

 

「今ここで余とシュラハトが戦っても、この都市の人間が全滅するだけだが、余の軍勢と戦えば魔族にも死人が多く出てくれる。おまけに人間の繁殖ペースならさらに死者の数は増えるだろう。余はより多くの人間と共存したいのだ」

 

 死人は出来るだけ多い方が良い。

 そんな悍ましいことを呟き、魔王とシュラハトは転移魔法で姿を消す。

 

「助かったのか…?」

 

 魔王が去り、思わず息を吐く。

 ここに来たのは気まぐれだったのかもしれない。

 だとしても、生き残った。無傷で

 

「いや、被害は出ている」

 

 でも、誰も歓声は上げない。

 ただ、みんな沈痛な面持ちで魔族になってしまった、エーヴィヒさんを見つめるだけだ。

 

「……南の勇者」

「なにかね」

 

 そんな痛い程の沈黙の中、エーヴィヒさんが南の勇者に話しかける。

 そして、どこか無機質にも聞こえる声で告げるのだった。

 

 

 

「―――俺を殺してくれ」

「……承知した」

 

 

 

 




エーヴィヒ「(死んだら支配の石環の効果が消えるかもしれないから)俺を殺してくれ」
南の勇者「(殺しても死なないから試しに殺すことに)……承知した」

他の人達「ま、待ってくれ!」


因みに支配の石環は3話で主人公が回収できなかったやつです。
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