擬人化って、真面目に考えたら超怖いよね、ポケモンの世界的に。
普段暮らしている街にいるのが、ポケモンなのか人間なのか、区別がつかなくなったら、それだけでポケモンの世界の住人は恐怖なのかなぁ、って思います。
そんな妄想話で、個体値、技の独自解釈、擬人化おっけーな方はよろしくどうぞ!
「おっ、また来たのか」
「おじゃましてます」
山小屋でだらだらしていると、シンが戻ってきた。夕食の準備をしていると、端末から音がする。
「珍しいな、メールなんて」
慣れた手つきで、シンが操作をすると顔色が変わった。
「どうしたんですか、なにが……」
「見るな!」
血相を変えたシンは、端末に向き合い続けている。
「……なにが、あったんです?」
「悪いな、今日は帰ってくれ」
仕方が無く、アヤは山小屋から出る事になった。
アヤが山小屋を出て、すぐさまシンが山へと飛びだしていった。
「……帰れって、言わなかった?」
山小屋の屋根の上で様子見していたことがターネにばれていたらしい。
「なにやら只ならぬ様子だったので、手伝えることがないかと思ったんですけど」
シンの慌てっぷりを見る限り、余程の事らしい。
「教えてあげる……あなたが信用出来るなら」
シンが居なくなった山小屋で、ターネと二人きりになった。
「もしもの時は、シアには見られたくないもの」
どうやらシアは外に出ているらしい、今まで見た事も無い、余裕のない表情のターネは私を睨む。
「貴女がここを知った理由を教えなさい、話はそれからよ」
「……どうして、そんな事を聞くんですか?」
バチッ
ターネから電流の様なものが流れた様に見えた。深くかぶったフードからは、表情はうかがえない。
「いいから答えなさい、話はそれからと言ったわ」
「本来なら、話す訳にはいかないのですが、そういう訳にはいかないみたいですね」
一呼吸をおく。守秘義務に反することを知りながら、話さなければ手遅れになってしまう、そんな予感があった。それは同時に自分もそれに対して不信感があったからだった。
「シンについての情報はスポンサーから聞きました。この山に住んでいること、山の整備やトレーナーの指導で生活費を稼いでいること、他にも過去の経歴なんかも資料にはありましたね。そこまで情報がありながらどうしてこんな依頼が私に来たのかは、分かりませんが」
「……やっぱり、貴女が」
「とある研究所からの依頼でした。金額も情報も確かなものだったので、悪くはなかったのですが、どうしてこんな依頼をされたのかを、彼方達に出会うまで分からなかったのですけどね」
再び、電流が走る。
バチバチッ
指先がビクリと痙攣する。
「貴女が……コジョを」
「依頼は、彼方達の取材でした。どんな生活をしているのか、住んでいる山はどういった地形なのか、噂されているポケモンの傾向など……情報を集めてくれば、記事にしても構わないといった内容です。シンや貴女といる内に、何かあるんだ、ということは分かりましたが……それが何かまでは、まだ分かりませんね」
ターネの表情は読み取れないけれど、真っ直ぐ見詰める。嘘はついていない、自分の置かれている状況を誠実に話す。おそらくターネは、私を疑っている。
「……信じて下さい」
今起きている事件の元凶ではないか、と。それでも私は、今何が起きているのかが分からないのだ、理解する為には、彼女の協力が必要不可欠だ。
「はぁ、嘘はついてないみたいね。何言ってるかよく分からなかったけど」
フードを浅く被り直して、ターネは緊張をといた様だ。先ほどまで感じていた電流の様なものはなくなっていた。
「とりあえず、現状を教えてあげる。コジョが誰かにさらわれてしまったの、それでシンが焦ってる。どこの誰がさらったかも分からないし、どこに居るのかも分からない……貴女が何か知っていればよかったんだけど」
「……残念ながら、そんな事になっていただなんて初めて知りました」
ターネが端末を操作し、メールの画面を開く。何か添付ファイルが入っている以外、何も書かれていないメールだ。
「……何か知ってるのね?」
見た瞬間、驚いた事を見透かされた。
「知ってるのは、差出人だけですよ。どうして知り合いからメールがシンに届くのかは分からないですが」
「そう、ならその人の事を教えてくれる? そうしてくれれば私達にとってとっても助かるわ。それと……添付ファイルは見ない事をお勧めするわ、きっと後悔する」
「そう言われて……見ない訳にはいかないですね」
本能なのか、経験なのか分からないが、頭の中で警鐘を鳴らしている。それは危険だと、掻き鳴らしている。理由は分からない、いや必要ないのかもしれない。ただそれを知る事が出来る唯一のチャンスであること、それを知ってしまうと戻れなくなるかもしれないと言う事を、感じている。
カチッ
キーボートを叩く音と同時に、一つの画像が表示された。それと同時に、腰が抜けて尻餅をつく。膝に力が入らない、立ちあがろうにも、意思とは裏腹に、体が動かない。
「……ああ」
一瞬遅れて、脳が理解を拒んでいる事を理解した。それが何かは分かっているのに、頭にもやがかかったようにそれについて考える事を拒否しているのだ。
それが夢だと気付くのに、時間は掛からなかった。何故なら、一度それを見た事があったからだ。
「君のギャラドスは、弱いね」
そいつはジャッジと名乗っていた。
「体は小さくて、ギャラドスとしては貧弱と言っても良い。知能は高いが、本来あるはずの攻撃力も防御力も体力も、最低といってもいい」
言われるまでも無く、俺は知っていた。長年相棒として旅をしてきたこいつに、才能が無い事は良く知っていた。
「こんな言い方しか出来なくてすまない。勿論、この子を否定するつもりはないし、パートナーとして大切にされているのも……みればわかる。それでも、このギャラドスは、ポケモンバトルには向いていない」
今でもそいつの言葉が頭から離れない。それまでポケモンバトルでは悪くない成績を残してきたはずだ、それができたのもコイキング時代から気を長く付き合ってきたこいつのおかげだって、自分でも分かっていた。ぐにゃりと視界が歪んで、画面が切り替わる。
「そのギャラドスよりも、このコイキングを育てた方が、ずっと強くなれる」
モンスターボールを手渡された。そいつが言うには、そのコイキングはより強いポケモンを生みだす為の研究の一端で、相棒がコイキングだったころと比べると、その動きですら力強く感じた。
「君だって、強くなりたいだろう?」
俺は強くなりたかった。その為に、弱っちいコイキングだって根気強く育てて、育て上げたんだ。他の奴が強くなっているの、いつか抜かしてやると、息巻いていたんだ。だから、その誘いに乗ってやろうと思っていた。思っていたんだ……
夢から覚めると、木陰で眠っていた。手元には幾つかのモンスターボールがあって、休んでいるギャラドスと先程捕まえたやつに目がいく。
「……俺には、トレーナーになる資格がなかったんだろうな」
重い腰を無理矢理あげると、どこともなく歩きだす。憎めない後輩から送られてきたメールに返信を返すのに、随分と時間がかかってしまった。
その画像が偽物だという考えは浮かばなかった。撮影したものを取り扱う仕事をしているのだ、そう言ったものが存在することは知っているし、画像を加工する術は自分も持っている。だからこそ、画質も悪く不鮮明なそれが、本物だと言う事を理解してしまった。
「……人が、モンスターボールに入ってる」
その画像は、コジョがモンスターボールに収まっているものだった。
「いいえ、違うわ。人がモンスターボールに入ることはない、それは人じゃない」
そう言ってターネがフードをとると、丸みを帯びた長い触角が垂れ下がる。その姿はまさしく。
「タブンネ……ですか」
「そうよ。人の姿に似てはいるけれど、私達はポケモン。かつてあの人のパートナーとして旅した……ね」
どうやら、私と話をしている間もずっとその触覚で私のことを聞いていたらしい。心臓の音や緊張状態で嘘をついているかどうか、判断出来るようだ。
「協力してくれないかしら、コジョはいじっぱりで馬鹿だけど、大切な仲間なの」
読了ありがとうございました。
折角の休みの日だから、年賀状書こうかなぁと休み前に思っていたのに、気付けばそんなこと出来る時間がなくなってた、主にゲームのしすぎですた。
本当に、社会不適合者なんだなぁと思いつつ、よければもう少しお付き合いいただければ幸いです。