6Vメタモンと擬人化ポケモン   作:3148

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ポケモンバトルをすると言ったな、あれは嘘だ(デデーン

小説書くのって、難しいよね(白目

というわけで、一応バトルシーンです、いつもの御都合技と個体値解釈、擬人化が問題ないよって方はどうぞ!


第十六話 ポケモンバトル!

 「……こいつは、どういうことだ?」

捜索が不発に終わって意気消沈して戻ってきたら、ターネとアヤとシアが出かける準備をしている。なにより、人みしりのターネがフードを外して、それに対して納得しているアヤがいる。

「シン、準備して、コジョを捕まえた奴と連絡が取れたの」

つまり、どういうことだってばよ。

 

 かくかくしかじか

ターネが事情を話したことから、コジョを捕まえたのがアヤの先輩であることまで全て説明した。

「成程、百%罠の訳だけどどうする?」

待ち合わせ場所は、相手が指定している。山の中腹の、ポケモンバトルを行う広場だ。見晴らしがよく、逆に言えば奇襲を行う事も難しい場所だが、まだ接触するチャンスがあるということだ。

「……いかないという選択肢はないと思います。まっすぐ下山して、他のところにいかれたら手の出しようがない」

迷ってる暇はない、ということだ。

 

 広場の片隅の大きめの石にトレーナーは腰かけていた。

「早かったじゃないか、シンさん?」

シンの姿をみるとゆっくりと腰をあげ、睨みつける。

「コジョは、どこにいる?」

はちきれんばかりの怒りを隠す事も無く、ゆっくりと間合いを詰める。

「怖いな、焦らなくてもここにいるさ」

その手から、モンスターボールが開かれる。特有の光から現れたのは、コジョだった。

「……さぁいけ、コジョンド!」

虚ろな瞳のコジョが、ゆっくりとシンと向き合う。

 

 それは、モンスターボールの中、手足を丸めて小さくなっている。瀕死の状態になったポケモンが、自己防衛の為に行う本能的なものだ。

(私は……どうなったんだ?)

思考が霧がかっている様な感覚、何かを考えようとしても、途中で途切れてしまう様な、夢から覚める途中のような。

(そうだ、懐かしいモンスターボールの中だ)

再生力の特性で、傷ついた体が治っていくのを感じる。今まで何度も感じて、体が覚えている。

(次に此処を出た時はきっと、バトルの時なんだな……)

朦朧とした意識の中で、コジョは疑問を持つことはなかった。

 

 コジョンドの蹴りを手甲で受け止める。数メートル後ずさりするが、大きなダメージには至らない。

「随分と、楽しそうだな」

頬が釣り上がっている、まるで獲物を前に牙をむいた牙獣のようだ。いや、実際にそうなのだろう。

(まだポケモンバトルに未練があったからな)

 コジョのかかと落としを避けると、地面が割れる。実際に直撃すれば命はないだろうな。空振りしたその懐に飛び込む、フックをぶち込む。

「……くっ」

人よりも若干リーチの長いコジョの体では、密着した戦闘は苦手になるのだろう。すぐさま一歩引き下がろうとするのを追い詰める。

「まだ、まだぁ!」

連打を続ける、ポケモンの技で例えるのならばインファイトになるのだろうが、それほど錬磨された技術ではない。

「こ……のっ」

離れようとするコジョと追い詰める自分。圧倒的な膂力差を埋めるにはこれしかない。相手の土俵に上がってしまっては地力に差があるこちらに勝ち目はない。足元が揺らいだのか、コジョがバランスを崩す、すぐさま右ストレートを繰り出す。

ズンッ

コジョの腹部に拳が突き刺さるが、所詮は人間の拳、気絶には至らなかった。そして反対にコジョの掌が、俺の腹部へと伸びていた。

(……やられた)

彼女のこの技を、何度見ただろうか。至近距離から繰り出されるそれは、振動を伝え相手を麻痺させる事も出来る。

 格闘タイプ はっけい

密着状態から体のバネで繰り出されるそれは、肉体を浸食し、内臓器官までダメージを与える。衝撃自体は然程無いものの、コジョのレベルまで至ってしまえば、凶器だ。ましてや貧弱な人間の体など、紙切れに等しい。

「……」

たった一撃で、瀕死の状態に陥った。

 

 (まだ……倒れる訳には、いかない!)

内臓を潰されたせいか、口から大量に出血する。至近距離にコジョにかかるが、そんなことを意に介することはない、ポケモンバトルではこれでボールに戻って、試合終了だ。

「まだ、まだぁあ!」

試合終了になるのは、あくまでポケモンバトルの話だ。人間は瀕死になったところで、小さくなる事もなく、ただひたすらあがくだけである。

「なっ……!?」

人間と闘った事のないコジョは、戸惑っていた。攻撃していいのか、引くべきなのか、その判断が付かず、中途半端に位置のまま、シンの攻撃を許してしまう。両手を腰だめに構えて、手刀の構え。

(……貫手か!?)

何故か見覚えがあるその技が、危険であると理解する。両手で構えているが、放たれるのは一方のみ、右か、左か、その判断を間違えれば腹部に風穴があいてしまう。

(……右だ!)

何故か、習慣になっていた組み手が脳裏に浮かぶ、いつも相手になっていた人間の貫手の型を、覚えている。

ヒュンッ

風を切る音と共に、大型のナイフの様な貫手が迫る。左手で掴み、半身に身をひねりながら軌道を逸らし、避けた。

「……はっ!」

避けた、そう思った次の瞬間、違和感が襲う。

(……違う!)

勢いを殺す為に、掴んでいた左手が引っ張られる。貫手は囮で、すぐさま引き戻される右手に、体勢を崩してしまう。

前に傾いた瞬間、シンの膝が視界をふさぎ、衝撃が脳を揺らす。

 

 跳び膝蹴りが、コジョに決まった。仮に人間相手であんなものを決めてしまったら、下手をすれば死んでしまう一撃だ。だが、ポケモンであるコジョならば、それで絶命することはない。

「……うそだろ?」

茫然としているトレーナーは、ターネの平手に気付けなかった。

パァン

手に持っていたモンスターボールがはたき落とされると、瞬時にシアが氷柱でそれを壊す。

「なっ、お前ら!」

気をとられている一瞬に、勝負がついていた。

 

 (やられた……)

はっけいで痺れた体じゃあ、威力が乗り切っていなかった。なおかつ、あの体勢でも体のバネで衝撃を殺すコジョの能力にも見誤っていた。半ば意識が飛んでいるはずだが、何千と勝ち抜いてきた経験が、コジョの体を動かす。

ノーマルタイプ ちきゅうなげ

この技は、力を使うものではない。ただ、技術によってのみ、重力に任せて地面に投げる技だ。威力を決定づけるのは、力でも防御力でもなく、この技を使うものの経験によってのみである。

理解できたのは、自分が地面に叩きつけられたことと、牙を見せ、笑みを浮かべているコジョの顔だった。

「……」

 

 意識を失っていた訳ではない。何も考えられなくなっていた訳ではない。ただ、少しだけもやがかかったように、思考が曇っていただけだ。戦闘においては、考えるよりも先に体が動いてしまうから、問題など無かった。久しぶりのバトルに心が躍る。肝心の相手はフィジカル的には大したことはないが、経験豊富な為か、厄介な動きをしてくる。ことごとく攻撃を避けるなど、過去に会った事の無い相手だ。技の切れも悪くない、もう少し力があればここまで良い勝負にはならなかっただろう。

 最後の一撃は心地よかった。読み通りの、すてみの一撃。肉を切らせて骨を断つというものだ。

 徐々に意識が晴れだしてからも、闘いを辞めようと言う気にはならなかった。むしろ、戦意が湧いて、決着がつく事が惜しいと思える程。

「……」

掠れる様な声を最後に、膝をついた。勝利の余韻と共に、頭の中に警鐘が鳴る。何かを忘れている、いや、考えない様にしているのだ。

「……あ」

間の抜けた声、腹の底から力が抜けていく様な感覚、気付いていたのに、理解していなかった。

「あ……あぁ」

その手に掛けたのは、最愛のパートナーではなかったのか。

アアアァァアアアァァアアァァ

 

 その悲痛な声に反応して、トレーナーはギャラドスをボールからだした。息を飲むように、その場にいる全員が動きを止める。ギャラドスを待機させ、他の物も臨戦態勢に入っている。

「……うそ」

シンを抱えてうずくまっているコジョは距離がある事と後ろを向いているから表情こそ見えないが、それだけでも目をそむけたくなる。

「はかいこうせんだ」

「ちょ、ちょっと! 何考えてんのよ!?」

仮にも人がいる方向にはかいこうせんを撃つなど、正気の沙汰じゃない。だが、そこにいる誰もがそれを止められなかった。

 ノーマルタイプ はかいこうせん

凄まじいエネルギーの奔流が地面を抉りながら砂嵐を巻き上げていく。

 

 砂嵐が収まると、徐々に人影がくっきりとし始める。

「シン……」

ターネがふらふらと人影の方へと歩き出す。どうやら避ける事が出来なかったらしく、酷い姿になっているようだ。

「ははっ、あのコジョンドもこうなっちまったらお終いだな」

そう笑いながら、ギャラドス使いは破壊光線が通った跡を見る。どうやら、シンにはダメージは通っていないことが、地面の破壊跡から見て分かる。その代わりと言ってはなんだが、コジョンドに対しては衣服が見る影も無くボロボロになっていて、生きているのかも怪しい位、動きが無い。

スタン

気の抜ける様な音と共に空中から舞い降りた影がギャラドスの前に現れる。

「コジョンド、だと!?」

ギャラドスははかいこうせんの反動で動く事が出来ない。ギャラドスの目の前に現れたのは擬人化したコジョンドではなく、正真正銘のコジョンドだった。長い腕に二股に別れた尻尾、鋭利な眼光は獲物を射抜く。

 格闘タイプ とびひざげり

のろのろと避けようとするギャラドスの首を掴み、顎の下から額に抜けるように膝蹴り。衝撃は骨を通って脳を揺らし、目立った外傷もなく、一瞬で気絶へと導いた。

「……化け物め」

ギャラドスが倒れ込むことで巻き起こす砂煙が、コジョンドの姿を隠す。砂煙から現れたのは、擬人化したコジョンドの姿だった。

 

ギャラドス使いの男は、気絶したギャラドスをモンスターボールに戻す。

「今回は俺の負けだ」

闘えるポケモンがいなくなった訳ではない。だがそれでも、敵う気がしないというだけだ。

「みがわりか、気がつかない俺もどうかしてるぜ……じゃあな」

 ノーマルタイプ みがわり

その時々によって使われる素材はまちまちだ。土と体液によって固められた泥人形であったり、あるいはただの木であったり、その一瞬だけでも誤認するもの、あるいはポケモンが攻撃しなければいけない、と判断する様な要素を作りだす技だ。ギャラドスがはかいこうせんで撃ち抜いたのは、コジョンドが作ったみがわりの泥人形だった。衣服や身につけているものをそのまま使っているので、距離が離れていては見間違えてもしかたがない。そもそも、みがわり自体を警戒していなかったのだろう。気が付けばシンの元にはターネとシアが寄りそっている。

 何年ぶりかのポケモンバトルが、終わった。

 




読了ありがとうございました。

ポケモンの技どうなってるのか、考えるだけで楽しいんですよねw

前に書いた、ジャッジさんの下りは厳選をしている最中に思いついた事です。

「最高の個体値のポケモンを手に入れた時、一緒に旅してきたポケモンを逃がすか」

大多数の人は、逃がさないんじゃないかな、バトルで使うことはなくっても、パソコンの片隅で偶に置いてる人が多いんじゃないかな、って思ってます。

今回のギャラドス使いのトレーナーさんは、厳選をすることを選ばなかったトレーナーさんでした。
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