カードゲームで世界が滅ぶ世界に転生してカードショップを開店したら、周囲から前作主人公だと思われている   作:暁刀魚

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133 劇場版ヒロインの今昔 ①

 ここでちょっと、長々と昔話をしようと思う。

 本当に昔話しかしないので申し訳ないけれど。

 

 いわゆる劇場版展開というやつがこの世界には存在する。

 ホビーアニメ……というよりは、どっちかというと少年漫画によくあるアレだ。

 原作とは何ら関係ないアニオリで話が構成され、原作のいろんなキャラが活躍したりしなかったりする。

 ダークなんたらは突如として襲いかかるし、日番谷くんは処刑されるものだ。

 そういう、突如として大事件が始まることがたまにある。

 ぶっちゃけ色んなキャラを出したい劇場版展開と、一回のバトルが長くなりがちなカードゲームモノって相性悪いんだけど。

 この世界に尺なんて概念はないので、好き放題できるのだ。

 

 んで、俺が学生のころ、一度だけ俺がその劇場版展開――ダイアを主軸としたものだ――に巻き込まれたことがある。

 といっても話の中心ではなく、サブキャラの一人くらいの立ち位置だったけど。

 まぁそりゃ、ダイアを主軸にした劇場版展開なんだから、巻き込まれもするよな。

 劇場版展開なら、可能な限り色んなキャラを出したいし。

 俺みたいな日常の象徴も、ちょっとくらい活躍したっていいよな。

 

 んで、そんな劇場版展開でヒロインを務めたのが、ミーシアさんという人だった。

 ミーシア・ドリム。

 夢の世界からやってきたという、不思議な雰囲気の人だ。

 

 事の起こりは、俺やダイアの通う超絶火札中学である噂が流れ始めたもの。

 その噂は、なんでも複数人が同じ夢を見るというものだった。

 その夢は一人の少女が助けを求めるもので、内容まではわからない。

 ただ必死に助けを求めているということだけは伝わってくる、そんな内容だったらしい。

 ダイアやコハナちゃんも、その夢を見ていたそうだ。

 俺? 俺は見てないよ。

 そもそもそういう特別な夢を見ない体質だそうで、今まで一回たりとも夢を通じて誰かと交信したことはない。

 

 んで、そんな噂が流れ始めた頃、ダイアが夢の中で見た少女を現実でも見かける。

 俺達はその少女を探してみようということになり、火札中学ファイトクラブは少女の捜索を開始した。

 最終的に、ダイアが少女とドラマチックな出会いを果たし――物語はそこから始まる。

 んでその少女――ミーシアさんはこの世界の常識とかが全くわからなかった。

 そのことでダイアとコハナちゃんはとても大変そうだったけれど、まぁ何だかんだ楽しい時間を過ごしたらしい。

 

 そしてその夜、ダイア達は夢の世界に引きずり込まれた。

 俺以外のファイトクラブのメンバーが全員引きずり込まれたらしい。

 俺はそんなこと知らず、ぐっすりねていたけれど。

 んで、夢の世界でミーシアさんと再会。

 夢の世界は、それはもう素晴らしい場所で、ダイア達はそこでひとしきり楽しんだそうだ。

 けれども夢の世界は危機に瀕していた。

 そりゃ、そうでもなければミーシアさんはわざわざダイア達を呼び寄せたりはしないだろうしな。

 事情を知ったダイアはミーシアさんへ協力することを約束。

 そして夢から覚めるのだった。

 

 一方その頃、特殊点火事件対策室――特火室では、一つの事件が話題になっていた。

 ここで補足しておくと、ダイアは中学時代いろいろな事件に巻き込まれていたわけだが、その時ダイアと密接に関わっていたのが特火室だ。

 要するに、ダイアをサポートする公権力ポジが特火室だったわけ。

 ネッカ少年をサポートする刑事さんみたいな感じ。

 まぁ当時はネオカードポリスもまだまだ評判が悪かった時代だからな。

 ともあれ。

 

 特火室のエージェントである周防さんは、ここ最近俺達の周りで眠ったまま起きなくなってしまった人達がいることを知った。

 これはなにかあるぞ、ということで知り合いのエージェントに声をかけて事件の調査に乗り出すのである。

 このとき、声をかけたエージェントの中にダイアと面識のないエージェントがいた。

 ぶっちゃけそのエージェントが今回の黒幕だったりするわけだけど、その事をダイアが知るのはまだ先の話だ。

 

 んで、その後。

 ダイアは夢と現実を行き来しながら事件の調査を進めていく。

 俺は夢の世界に行けないので、現実で手伝うことしかできないが。

 

 その中で明かされる衝撃の真実。

 実はミーシアさんは夢の世界のお姫様であり、今回の事件はミーシアさんが外へ出ようとしたことで起きてしまったことらしい。

 ミーシアさんは常に夢の世界から出ることができず、ずっと一人で生きてきたそうで。

 そんな彼女が、たまたま夢の世界から外に出られる道を見つけてしまったら。

 まぁ、そりゃ出ますよね、外に。

 原因はミーシアさんでも、あまりにも境遇が悲惨すぎて誰も彼女を責めることはできなかった。

 

 結局、事態をどうにかするにはミーシアさんを再び夢の世界の檻の中に戻すしかない。

 そう結論づけるしかなかったダイア達は、せめてミーシアさんが思い出を残せるようにと彼女を夏祭りに連れ出す。

 そこでミーシアさんは色々と思い出を作って、それからダイアに惚れた。

 劇場版ヒロインだもの、しょうがないことだ。

 

 しかしここで急展開。

 黒幕がミーシアさんを狙って襲いかかってきたのだ。

 周防さんの救援が間に合って、なんとかダイアたちは助かったもののミーシアさんは囚われの身に。

 これを救い出すため、ダイア達は夢の世界へと向かうのだった。

 

 当然俺は置いていかれたわけだが、黒幕の一味が外の世界で何やら悪いことをしているのを見つけてしまう。

 これを止めるため、俺はファイトを開始する。

 それと同時刻、夢の世界でもダイア達と黒幕一味がファイトを始めた。

 

 そこからは激しい死闘が繰り広げられるわけだが、最終的にダイア達が勝利。

 けれども黒幕の最後の切り札がミーシアさんを飲み込み、ミーシアさんがラスボスとなってしまう。

 対抗するダイア、自分ごと黒幕の切り札を倒して欲しいと願うミーシアさん。

 ダイアはそれを拒否してミーシアさんを救出。

 黒幕の切り札もぶっ倒して大団円となった。

 

 しかも、幸いなことに黒幕を倒したことでミーシアが夢の世界に残らなくてすむようになった。

 結果、ミーシアさんはこっちの世界で暮らし始めて、今も元気に生活している。

 いやぁめでたしめでたし。

 本当によかったなぁ。

 

 

 □□□□□

 

 

 という話を店長から聞いたエレアは、途中から猛烈に嫌な予感がしていた。

 途中までは、ハラハラ・ドキドキの展開に胸を躍らせていたがある一点から嫌な予感のせいで話に集中できなくなってしまったのだ。

 具体的には、店長が現実世界で黒幕一味とファイトし始めたところで。

 

 ――――その一味の人、いったいどうして現実に残ってたんですか?

 

 なんかこう、黒幕が嫌がらせのために残した、最悪の事態を引き起こすトリガーだったりしませんか?

 最後の方、やたら何事もなく大団円になってますけど、何か店長やらかしてませんか?

 というわけで、早速レンさんに聞いてみた。

 帰ってきた答えは――こんな感じ。

 

『夢想郷事件のことか。アレは元々、夢想郷はファイトエナジーがやたらと眠る鉱山のような場所だったのだ。それを黒幕組織が独占しようと夢の民(ミーシア)を利用し悪さをしたのが始まりだ。

 最終的にそれは最強の民(ダイア)に防がれるわけだが、本来なら黒幕一味が悪あがきをして、夢想郷と現実のリンクを切ってしまうはず……だった。ここまで言えば解るな?』

 

 とのこと。

 どうやらリンクが切れてしまうとダイア達が帰れなくなってしまうらしい。

 それを解決するには、お姫様であるミーシアがダイアを送り出すしかなくなる。

 そうなると、ミーシアは夢の世界からでられなくなるわけだが。

 だったら今度はこっちからミーシアに会いに行くとダイアが宣言。

 再会の約束をして、ミーシアはまた一人になる――というのが、本来の筋書きだったらしい。

 なんでそこまで正確にわかるのかというと、レンさんの“一族”の占いの結果だとか。

 が、そこで店長が悪あがき要因を事前に排除。

 何事もなく、ミーシアは助かってしまう……と。

 もちろん、それ自体はどう考えても良いことなのだが。

 

 次からは店長がこういう展開に巻き込まれることはなくなったんだろうな、と思うエレアであった。




ほぼ過去回想回。
たまにはこういうのもいいかな、というのと。
後劇場版展開やりたかったんですよね……突如としてオールマイトと真逆の信念を持つダークマイトが襲いかかってくる感じの……
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