カードゲームで世界が滅ぶ世界に転生してカードショップを開店したら、周囲から前作主人公だと思われている 作:暁刀魚
闇夜の翼、レンさんが出資しているカードショップである。
闇札機関に対して優先的にカードを販売する契約をしたショップで、例のビルの隣に店舗があるらしい。
自然と、そこは闇札機関の人間をホームとするカードショップだ。
ゆえに、メンバーは店長を除いて全員が十二天将。
店長も元十二天将の人らしい。
じゃあレンさんはこの店から出場してもよかったんじゃ? と思うが。
そもそも十二天将が十二人いる連中なのに、枠の一つを上司が占有するのは如何なものかと判断したそうだ。
まぁ、うちで出場枠とれてなかったらこっちで出てたと思うけど。
「と、いうわけで。本日はお手柔らかに、棚札店長」
「全力でぼこぼこにしてやれー!」
現在、フィールドの上にはホログラフ映像の少年が立っている。
闇札機関、十二天将の狼牙さんことロウさんだ。
隣には、今日初めてお会いする三十代くらいの男性が立っている。
彼が闇夜の翼の店長だろう。
店舗同士のフィールドは同期しており、フィールドの上に立っていれば相手のフィールドに映像として投影される。
現在俺の店のフィールドには俺とレンさんが立っており、レンさんは自身の部下と元部下に対してシャドーボクシングをしていた。
「同じ店長として、あなたのお噂はかねがね。本日は胸を借りるつもりで挑ませていただきます」
「ふはははは、志が低いぞ梔子! 我に勝つつもりの勢いで挑んで来い!」
いや、レンさんと店長さん――
まぁいいか楽しそうだし。
「身内が相手だから、レンさん調子に乗ってるみたいね」
「こういうところは、年相応って感じですよねー」
「うるさいぞそこ!」
フィールドの外から割と適当なことを言っているヤトちゃんとエレア。
レンさんは突っ込みをいれるが、それもまた楽しそうだ。
さて、さっそく時間になったので、団体戦を始めるとしよう。
――団体戦で大事なのは、メンバー決め。
といっても、だれをどこに配置するかはその時次第だ。
大将は俺で確定である以上、そこは悩まなくていい。
後はほかのメンバーをどうするか。
今回、だれを出場させるかについてはすでに決まっている。
レンさん、ヤトちゃん、刑事さん、ネッカ少年だ。
レンさんとヤトちゃんはいうに及ばず。
なぜ刑事さんとネッカ少年かといえば、二人が少なからず闇札機関とかかわりがあるから。
刑事さんは刑事さんだし、ネッカ少年といえば天火市最強の小学生ファイター。
闇札機関以上にこの街の事件を解決しているともいわれる相手。
機関のエージェントにとって、ネッカ少年は負けられない強豪なのである。
そのうえで、順番はこのように決定した。
先鋒、ネッカ少年。
次鋒、刑事さん。
中堅、ヤトちゃん。
副将、レンさん。
大将は俺だ。
次鋒中堅は、ぶっちゃけ適当、逆でも変わらないと思う。
ネッカ少年とレンさんはどちらも先鋒を希望した結果、じゃんけんでネッカ少年が先鋒に選ばれた。
天火市の顔みたいな少年だから、ネッカ少年が先鋒なのは妥当だろう。
まぁ、レンさんは不満そうだったが。
「向こうは先鋒が狼牙で……我は
利王というのは、以前俺とエレアが闇札機関本部を訪れた時に、入り口で案内してくれた子だな。
彼女も十二天将なので、当然強い。
「よっしゃー! 一番乗りだ、行ってくるぜ店長!」
「勝って来いよ!」
そしてネッカ少年が、勢いよく飛び出していく。
イグニッションフィールドに躍り出ると、ロウさんと向かい合った。
「ネッカくん、お会いできて光栄だ! 俺は狼牙、ロウと呼んでくれると嬉しい!」
「よろしくな、ロウ! へへ、見ればわかるぜ。ロウは強いな!」
「……君にそう言ってもらえるとは!」
少しだけ嬉しそうなロウさん。
闇札機関にとって、ネッカ少年は憧れであり、少しばかりの申し訳なさも感じる相手だ。
小学生でありながら自分たちよりも強く、自分たちよりも多くの事件を個人で解決している。
そりゃあそういう感情も抱くというものだな。
「イグニッション!」
かくしてファイトが始まる。
ファイトは終始ネッカ少年が優勢で、それをロウさんが受け流す展開。
しかしなんというかそれは、どこか遠慮のようなものが感じられる。
「……ロウの兄ちゃんがなんで、そんな遠慮してるのかはわかんないけどさ」
「……!」
「ロウの兄ちゃんは、強いぜ! もっともっと、ガンガン攻めていけるって!」
「……そうだね、どうやら俺は、慎重になりすぎていたようだ」
どうやら、ロウさんはネッカ少年だけでなく、周囲のことに対して慎重になりすぎていたらしい。
受験が控えていて、神経質にならざるを得なかったのだろう。
ネッカ少年のアドバイスにより、攻勢を取り戻したロウさん。
しかしネッカ少年も負けてはいない。
二人の激しい攻防は――ネッカ少年が、ライフを100残した状態で、ロウさんのライフを4200削り切った。
つまり、現在俺たちのチームはライフ16100、闇夜の翼は15800。
大接戦だったな。
「……ありがとうございました!」
「またやろうな!」
二人はさわやかに挨拶をする。
続く次鋒、刑事さん。
相手は……中学時代にやんちゃをしていて、刑事さんのお世話になったことがあるらしい少年。
結果として委縮してしまい、終盤は本来の調子を取り戻したが前半の遅れを巻き返せず刑事さん勝利。
「最初から品行方正にしていれば、こんなことにはなんねえんだよ」
「うっす……」
なんか、ブーメランになりそうなことをいう刑事さんと、受け入れる坊主頭の少年であった。
そして中堅、ヤトちゃん。
当然といえば当然だが、相手は先輩だ。
今だとヤトちゃんが成長しているからどちらが上とは言えないが、厳しい相手には違いない。
が、組織内でやるとランク戦にかかわるからやれない挑戦的な戦術を先輩が試し――失敗。
実質相手の自爆のような形で、ヤトちゃんが勝った。
「ランク戦では負けないからー!」
「こ、こっちのセリフよ!」
ただ、ここまでかなり一進一退の攻防で、ライフ差は1000くらいしかない。
次のファイトではどうなるか。
「ふっふっふ、利王よ! 今日こそ貴様の年貢の納め時だ!」
「盟主のくせに生意気な! けっちょんけちょんにしてやるっすよ!」
うーん突っ込みどころ。
一応配信されてるんだから、盟主呼びはやめなされ。
というわけでレンさんとリオンさんのファイトである。
リオンさんは、焼けた肌がよく似合うスポーティな少女。
八重歯をのぞかせて、レンさんと向かい合っている。
「ではいくぞ、イグニッションだ!」
「イグニッションっす!」
かくして始まったファイト。
押しているのはリオンさんだ。
やはりレンさんは、通常のファイトだと苦戦しやすい。
だが、最後。
リオンさんの勝利で終わるかと思われたファイトは、思わぬ方向に進んだ。
「我は負けぬ! たとえ勝てねども! あきらめぬ! カウンターエフェクト、<デストラクション・ブースター>!」
あれは……モンスターを破壊してお互いにダメージを受ける破壊する輪っかだ!
つまりレンさんの狙いは……。
「あ、相打ちねらい!?」
「団体戦ルールならば、十分に価値はある! われは<ガイアストラ・タラスク>のエフェクトにより、自身が受けるエフェクトによるダメージを半分にする!」
「あー、ずるいっす!」
かくしてレンさんは、自分のダメージを最小限にしつつ、リオンさんのライフを大きく削って俺にバトンを渡した。
結果――
「……ええと、俺は<大古式聖天使 バニシング・ドラグメントベータ>のエフェクト。相手モンスターを破壊し、その攻撃力分のダメージを与える!」
後攻1ターン目にサモンしたダイアのモンスターのそっくりさんでさくっと相手を焼いて勝利した。
だって……通ると思わなかったんだもの!
ちなみにダイアのモンスターのそっくりさんは、それだけでデッキを組めるくらい持ってるぞ。
ちなみにこの世界には闇の翼とかそんな感じのショップがいっぱいあります。
破壊するものの形態数くらいあります。
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