カードゲームで世界が滅ぶ世界に転生してカードショップを開店したら、周囲から前作主人公だと思われている   作:暁刀魚

183 / 373
162 うちの県には変なショップしかないのか!?

 初戦を無事勝利で飾ったチーム”デュエリスト”。

 だが、県予選はそう簡単には終わらない。

 二日間の間に、複数の店とファイトしなければならないのだ。

 一日目だけでも、あと四戦ある。

 そしてまぁ、この世界は変なファイターが山程いる。

 そして変なファイターが山ほどいるということは――変なカードショップも山ほどあるということだ。

 

 ――二戦目。

 

『控えおろう控えおろう、このお方を誰と心得る!』

 

 俺達と相対しているのは、何やら和服で統一したチーム。

 ただ風太郎たちのそれと違って、着慣れている感じはない。

 和風コスプレイヤー集団という感じの連中だ。

 メンバーのうち三人が平伏し、一人がふんぞり返って一人が控えおろうしている。

 時代劇的な雰囲気を感じる……のだが。

 

『このお方こそ、このショップ対抗戦にてカードショップを平定し全国にその名を轟かせる(予定)のお方。代亜区カン様である!』

『よい、エーチ・ゴヤン。儂は寛大であるからな』

 

 ――なんか混ざってるぅ。

 御老公様が悪代官様になってるぅ。

 代亜区カンとやらは、恰幅の良い成金みたいな和服を着ている。

 明らかに成敗される側だ。

 

「ぬおお、アレは……拙者、成敗してみたかったでござる……!」

 

 という風太郎の呻きが、観客席から聞こえてきた。

 成敗したいのか……。

 さて、それはそれとして、色物集団だが戦法自体は非常にわかりやすいものだった。

 というのも――

 

『代亜区カン様に栄光アレ――――!』

「じ、自爆しました――――ッ!?」

 

 先鋒戦、意気揚々と出撃したエレアの眼の前で敵が爆発四散した。

 というか自分からライフを勢いよく削って自滅したのである。

 これは――

 

「あの店長の代亜区カンと呼ばれる方のエースは、相手と自分のライフ差を攻撃力に加えるエフェクトを持っているそうデス。ピガガピー」

 

 メカシィが調査を報告する。

 つまり、相手の戦法は単純明快。

 可能な限り早く自爆して、大将につなげ。

 その後、相手と自分のライフ差で打点の上がった悪代官様のエースモンスターで蹂躙する。

 そういうリスキーさとロマンを兼ね備えた戦法らしい。

 

 割とこういう戦い方は、戦法としてはありだ。

 なにせ、どれだけ打点が上がっても、ライフ差という問題が大将戦ではのしかかる。

 一撃でオーバーキルを決めてライフ20000を削りきらないと、負けるのは自分の方だからな。

 そして、もう一つ。

 

「いっけぇ! <ハイパーバトルエンド・スペシャルマッスルゴリラ>!」

『ば、バカナ――――! ()()()()()()()()()()()など――――!』

 

 エーチ・ゴヤンと名乗った店員と思しき男性が、ネッカ少年の大火力モンスターである<スペシャルマッスルゴリラ>によって、ライフを一気に8000削りきられて敗北した。

 ライフを削っていくということは、途中でオーバーキルの心配があるということだな。

 とにかく、これで二勝である。

 

 ――三戦目。

 

『我らは闇の鷹、闇に潜み、闇に生きる』

『デュエリスト店長とその一味、今日は覚悟していただこう』

 

 三戦目の相手は、カードショップ”闇の鷹”。

 全員が闇っぽいコスチュームに身を包む、中二っぽい集団である。

 でたな、闇の鳥系シリーズ。

 

「カードショップ闇の鷹……聞いたことあるわ!」

「知っているんですか、ヤトちゃん!」

「ええ、入店の際に闇の鷹への加入が求められる、過酷なショップ……」

 

 そう言ってごそごそと荷物からヤトちゃんはあるものを取り出した。

 

「これがその制服よ……三着くらいあるわ……」

「結構行ってますね!?」

「我も持ってるぞ!」

「結構人気ですね!?」

 

 そりゃあ闇札機関は結構な中二組織だからな。

 中二カードショップに引かれるものがあるのだろう。

 そして闇夜の翼と被ってる、めちゃくちゃ被ってる。

 ……いや、闇夜の翼は名前だけだから全然被ってないな。

 一度行ったことはあるけど、作りは本当に普通のカードショップだから、被ってるのは名前だけだ。

 

「では行くぞ、闇の鷹よ! 我がその猛き魂の真髄を見極めてやる!」

「レンさん、レンさん」

「なんだ天の民! 今いいところなのだから!」

「……いや、レンさん連闘制限で、今回は出れないよ」

「あっ」

 

 かくして、レンさんは崩れ落ちた。

 闇の鷹メンバーは、レンさんと顔なじみが多いのか――というか何なら、闇夜の翼メンバーから漏れた闇札機関の人もいたからか、レンさんには同情的だった。

 なおファイトは順当に5タテした。

 まだまだ若いもんにはまけんよ、中二だけに。

 

 ――四戦目。

 

『メカシィと戦えて光栄だわぁー、今日はよろしくねぇー!』

 

 と、画面越しに宣言するのはファイト工学研究所の副所長、麻上クレハさん。

 他にも、今回の対戦相手は全員白衣を身にまとっていた。

 

「よろしくお願いします、クレハサン。ピガガピー」

『うふふ、ミツル店長もよろしくねぇん。遠慮せずかかってきてちょうだぁい♪』

「ああ、よろしく頼む――”ファイト力学研究所併設ショップ”の皆さん」

 

 対戦相手の名は、ファイト力学研究所併設ショップ。

 名前の通り、ファイト力学研究所と呼ばれる研究所に併設されたショップだ。

 考えてみれば自然な話。

 ファイトに関する研究を行っている研究所は、すなわちカードに関連するものがいっぱいある。

 ショップを併設していても何もおかしくはないのだ。

 

「じゃあなんでファイト工学研究所にはショップがないんですか?」

「ファイト工学研究所がショップを併設していないのは、ショップのスタッフを集めるのが面倒だからデス。ピガガピー」

 

 なんて身も蓋もない理由。

 食堂は併設されてるのに。

 だったらショップが併設されててもいいじゃん。

 まぁそこら辺は研究所の人たちの考え次第なんだろう。

 

「ちなみに、ファイト工学の方の所長はどちらに……?」

『チームメンバー決定戦で負けて、今は観客席で応援してるわぁん』

「所長なのに!?」

 

 慄くエレア。

 いやでもこれはまずいぞ。

 麻上コウイチ所長は、かなりの手練れファイター。

 それがメンバー落ちするということは、力学研究所のショップメンバーは非常に強敵だ。

 実際戦ってみると、それは非常によく分かる。

 普通に強いっていうか、まったくもって隙のない強さだ。

 中堅戦まで、勝ったり負けたりが続いているが、うちのメンバーと互角の争いを繰り広げている。

 

「こうなったら、アレしかありません。ピガガピー」

「あ、アレってまさか……駄目ですメカシィさん、アレは!」

「――三倍すごくなるモード、起動! ピガガー!」

 

 そして副将戦、満を持して登場したメカシィが、ついにその封印された機能を解き放つ。

 三倍すごくなるモードだ!

 体中が赤くなり、三倍速くなったりならなかったりする。

 しかし大丈夫なのか? メカシィはアレが原因で闇堕ちしたりしたのだが。

 

「……問題ありません、今のメカシィはあのときとは違います! ピガガピー!」

『ふっ……大きくなったわね、メカシィ……』

 

 対戦相手のクレハさんが、ほろりと涙を流していた。

 なおファイトはクレハさんが勝った。

 三倍すごくなるモードは……ファイトには関係していなかったのだ……。

 予算!

 そして大将戦でなんとかかんとか俺が勝利して、全体はデュエリストが勝った。

 メカシィは強くならねば……と目を燃やしていた。

 どういう機能?

 

 そして五戦目、一日目の最終戦だ。

 対戦相手は――

 

『おーっほっほっほっほっほ!』

「おーっほっほっほっほっほ!」

 

 カードショップ”お嬢様クラブ”。

 お嬢様が集まる、不思議なショップ。

 イケイケドンドンではあるが、間違いなくお嬢様でもあるアロマさんが呼応していた。

 というか、相手は見事なお嬢様軍団だ。

 全員がドレスと金髪ドリルで武装している。

 凄い。

 

「まってください店長、あっちの方は男性で、あっちの方はウィッグを付けています」

「それは……むしろ凄い気合はいってないか?」

 

 とくに男性の方、言われてみないと男だってわからないくらい女装に気合が入ってる。

 

『お嬢様クラブはお嬢様だけのクラブ、当然の嗜みですわー!』

 

 おお、声もすごい。

 気合の入ったお嬢様だ、彼……と呼ぶのは失礼かもしれないな。

 

「やーってやりますわ! わたくしとてユースティア家の一員! このドリルが本物であることを証明してみせますわ!」

『甘いですわ!』

 

 ズビシィ。

 

『アロマ・ユースティア様! 貴方は確かに天然のお嬢様なのでしょう! ですが、お嬢様としての矜持を貴方は持っていない! 天然であるがゆえに、自然体のままお嬢様であるがゆえに!』

「な、なんですってー! ですわ!?」

『その、ちょっと砕けたお嬢様言葉が証明ですわ!』

 

 つまり、お嬢様クラブの人はこういいたいらしい。

 自分たちはお嬢様になろうとしてお嬢様になっている。

 口調も、身だしなみも、立ち振舞も、意識してそう振る舞っているのだ、と。

 対してアロマさんは、身も心も最初からお嬢様。

 そしてそんな自然体お嬢様であるがゆえに、普通に崩す。

 こう、お嬢様度を。

 

『お嬢様は、やーってやりますわ! とはいいませんの!』

「――――!!」

 

 どんがらがっしゃーん、という効果音が聞こえた気がした。

 

『……ですが、同時にリスペクトもしていますわ。貴方は本物のお嬢様。わたくしたちがどうあってもなることのできない、純度100%お嬢様ですの』

 

 自分たちが養殖って言ったか。

 

「……で、でしたら! わたくしはわたくしとして振る舞うだけですわ! このアロマ・ユースティア。いずれプロファイターになる身。その信念、曲げてなんかやりませんわー!」

 

 とはいえ、最終的にはなんかいい感じに落ち着いたらしい。

 他にも、特にお嬢様っぽい振る舞いはしていないが、見た目はお嬢様なレンさんがお嬢様クラブにリスペクトされたり。

 エレアがヤトちゃんと一緒にドレスの仮装で乱入してきたり。

 色々あったが、まぁ普通に勝った。

 お嬢様ファイターは強かったが、流石にここで負けてはいられないのである。

 

 かくして、一日目が終了。

 二日目は――一日目の色物具合が何だったのかと思うほど、普通のカードショップが対戦カードになり。

 こちらも全勝。

 そして、最終戦を迎えた。

 相手は言うまでもなく――ドリームランドだ。




カードショップ大喜利みたいになってますね。
皆さんもこんなカードショップありそうを考えてみましょう。
本戦で被るかもしれません。

また、UAが400万を突破しました。
いやぁすごい数。
今後ともよろしくお願いいたします。

書籍版予約受付中です、よろしければご予約いただけますと大変うれしいです!
【Amazon】様
発売は9/30日となっております。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。