カードゲームで世界が滅ぶ世界に転生してカードショップを開店したら、周囲から前作主人公だと思われている   作:暁刀魚

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180 姉妹対決! 進化する痴女と進み続ける妹 ①

 思い返せば、仮面舞踏会との対決は謎に身内同士の対決が連続して発生した。

 身内、という意味ではドリームランドも似たようなものなのだけど。

 こっちはやたらと血縁が多い。

 仮面さんも実は俺の親戚だったりしないよな?

 従兄弟ってほど近くはないかもしれないが、多少なりとも家につながりがあるくらいは普通にありそうだ。

 従兄弟の従兄弟の従兄弟の従兄弟のそのまた従兄弟とかそのくらいの。

 それほぼ他人じゃんってくらいの。

 

 話を戻すが、ここまでは従姉妹同士の対決が連続した。

 だが、最後に待っているのは姉妹対決だ。

 ハクさんとヤトちゃん。

 誰もが認める、仲良し姉妹の対決である。

 

 まぁ、血はつながっていないのだが。

 

「ついにこのときが来てしまったわね……」

『ふふ、私達の乱痴気騒ぎが世界中に広まってしまうのね……』

「痴態って言わなかっただけ、姉さんを評価するわ……」

『うふふ、ありがとね。ヤト』

「褒めてない!」

 

 そして、今。

 フィールドの上で、ヤトちゃんとハクさんが向かい合っている。

 いつも通りパンクな感じのヤトちゃんに、痴女としか言いようがないロックな服装のハクさん。

 ある意味で似た者姉妹といえなくもない二人が、今。

 

「まぁいいわ……今日も、この間みたいに勝たせてもらうわよ!」

『今日は、この間みたいな痴態はお見せしませんよ、ヤト!』

「痴態って言った!」

『私のことですから』

 

 構え、

 

「ええい、イグニッション!」

『イグニッションです!』

 

 ファイトを始める!

 

 

 □□□□□

 

 

 ファイトは順調に推移していく。

 ハッキリ言って、お互いの実力は拮抗していた。

 月兎仮面として覚醒したハクさんは強い。

 絶好調のネッカ少年とどっこいの出力という、中々破格なスペックをしている。

 だが、ここ最近ヤトちゃんはハクさんとのファイトに限っては完全に勝率を五分としていた。

 理由は単純だった。

 

「やっぱり、月兎仮面になって姉さんは強くなった! 劇的にね」

『ええ、ファイターとして文字通り一皮むけて、その痴態をあまねく世界に晒せるようになった私は、こうして強さを手に入れました』

「だからこそ……私にとっては、ちょうどいい目標だったのよ!」

 

 ()()()()()()()()()()()()()

 身も蓋もない言い方をすれば、それが理由だ。

 強者とのファイトはファイターを成長させる。

 そこにハクさんに対する妹としてのヤトちゃんの高い理解度と、ヤトちゃん自身がここ最近頭角を現しているのも合わさって。

 ヤトちゃんは、対ハクさんとのファイト戦績を五分に近しいレベルまで引き上げていてた。

 もちろん、ヤトちゃんの実力はまだまだ荒削りだ。

 対ハクさん以外の戦績は、「闇札機関」でのランク戦でトップを取れていない辺り、未完成であると言えるだろう。

 それでも――

 

「姉さんに対しては、こうして真っ向勝負ができてるわ!」

『ああ、私のことがヤトに丸裸にされてしまってるのね!』

「言い方! ええい、やりなさい! <獅子心王リチャード>!」

 

 ヤトちゃんの攻撃が、ハクさんに突き刺さる。

 大ダメージを受けたハクさんが、大きく吹き飛んだ。

 

『くっ……やりますね、ヤト!』

「姉さん……その格好!」

『ふふふ、ついに見せてしまいましたね……月兎仮面ダメージモードを!』

 

 そして、起き上がったハクさんの姿に変化があった。

 服のあちこちがボロボロになり、露出が増えているのだ。

 本人の言う通りの、ダメージによる露出差分みたいなものである。

 以前はエクスチェンジスーツで似たようなことをしていたが。

 ついに、本来の月兎仮面としてのスーツでも似たようなことができるようになったらしい。

 ううむ、なんて人だ。

 

「衣装が少し変化してた時点で、絶対あると思ってたわ、姉さん!」

『ああ、そんな目で見ないでください、ヤト。興奮してしまいます!』

「はっ倒すわよ!」

 

 そういえば、衣装自体がマイナーチェンジしていたのはこの機能が実装されたからだったのか。

 まあ確かに、ハクさんのやりそうなことといえばまさにその通り。

 少し考えればわかりそうなもんだが、そこまで考えが回るのはやはり妹であるヤトちゃんだからこそだろう。

 

「だいたい、いつも思うんだけどどうしてそう、いちいち過激な方向に進むのよ!」

『ヤ、ヤト……! それは私がその方が興奮するから……!』

「やり方なんて、いくらでもあるでしょ!? 今回だって、ただこうしてダメージ差分で脱ぐより、ちょっとパーツを足した元の状態のほうが、私は好きよ!」

『!?』

 

 ハクさんが、とてつもない衝撃を受けたといった様子でピシャリと止まる。

 ファイトを見ていたエレアも、ヤトちゃん何言ってるんですか!? と驚いていた。

 いやまぁ、とんでもねぇ大胆発言である。

 

「露出はただ増やせばいいってもんじゃないでしょ!? 姉さんが敢えて着飾る方向で衣装をマイナーチェンジさせた時、私すこし感心したのよ!?」

『なっ……そうなんですか!? ヤト!?』

「だって……網タイツってパンクでしょ!?」

 

 パンクなのか……?

 俺とエレアは顔を見合わせて首を傾げる。

 ヤトちゃんの中ではパンクらしい。

 ヤトちゃんのパンクって何なんだろうな……。

 

「私にとって、パンクっていうのは黒くてかっこいいってことなのよ。姉さんは白いけど、マイナーチェンジで衣装に少し黒が増えたわ!」

 

 あ、ヤトちゃんが教えてくれた。

 な、なるほど。

 それなら確かに、ちょっとヤトちゃんのパンク心をくすぐるのも解るような……いややっぱりちょっとわかんないです。

 

「昔からそうだったわ、姉さん。姉さんと私は趣味が真逆だった。白い落ち着いてるけど露出のために胸元が大胆な服が好きだった姉さん。パンクファッションに傾倒した結果、たまにおヘソとか出してた私」

『ヤト……』

「思い返せば、昔から私達って正反対だったのね……」

 

 ……あ、もしかして二人は真面目な話をしてらっしゃる?

 やばい、ハクさんの露出云々から話が始まった関係で、そっちにスイッチ入れるのが難しくなってる。

 というか無茶だって! そこから真面目な話に行くのは無茶だって!

 

「私にとって、露出は結果よ。でも、姉さんにとって露出は目的だわ」

『そうですね……思い返せば、昔から私達って、そういう姉妹でした』

 

 と、とにかく。

 ハクさんとヤトちゃんに血の繋がりはない。

 数年前にハクさんがヤトちゃんを拾って、それ以来少しずつ二人は姉妹になっていった。

 そして今、ハクさんとヤトちゃんが姉妹であることを疑うものはいない。

 元々、二人の容姿がそこそこ似通っているというのもあるだろうけれど。

 やはりその根底にあるのは、二人が姉妹として築いてきた絆があるからだ。

 

「姉さん、教えて? どうして姉さんはそんなに()()()()の?」

『焦ってる? いえ、そんな。私はそんなつもり全然――』

「焦ってるわ。側から見てる私には解るの。もちろん、それは本当に小さな焦りなんだけど」

 

 ヤトちゃんにしかわからないような焦り。

 元々、ハクさんの様子が少し変だというのは、俺もなんとなく気づいていた。

 やたら姉であることに拘って、ヤトちゃんに勝負を挑んだり。

 今回の衣装マイナーチェンジだって、何かしら意図があってのことだろう。

 ただまぁ、その理由が何であるかまでは、俺も想像することしかできなかったのだが。

 

『私は……確かに、焦っているのかもしれません』

「……やっぱり」

『月兎仮面になって、私は強くなりました。これからも、強くなっていくと思います。でも、それはヤトだって同じこと』

 

 実際、ヤトちゃんは強くなった。

 メキメキと頭角を現し、今やネッカ少年やアロマさんにも負けないくらい強くなっている。

 一人のファイターとして、運命を切り開く存在(しゅじんこう)として。

 もう十分に、ヤトちゃんは一人前だ。

 

『だから、私は多分――』

 

 故に。

 

 

『ヤトに置いていかれるんじゃないかって、不安なんでしょうね』

 

 

 ハクさんは、そう吐露する。

 それこそが、ハクさんの抱えていた本音。

 こうしてショップ対抗戦でヤトちゃんと戦うことを選んだ、本当の理由だったのだろう。

 

 ……あ、やっぱりこのまま真面目な話に移行するんですね。

 俺はなぜかエレアにほっぺたをつねられながら、そう考えるのだった。




というわけで、ここまで仮面舞踏会での身内対決がギャグ進行だったので、今回はシリアスです。
シリアスじゃないと思ったら、それは店長ってやつの仕業なんだってエレアが言ってました。

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発売は9/30日! 是非是非よろしくおねがいします!
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