カードゲームで世界が滅ぶ世界に転生してカードショップを開店したら、周囲から前作主人公だと思われている 作:暁刀魚
「さて、ファイターの諸君! ショップ対抗戦は楽しんでくれているだろうか! 私は逢田トウマ、みんな知っての通り日本チャンピオンだ! そして、ショップ対抗戦のスペシャルオブザーバーでもあるぞ!」
スタジオでカメラが回る中、ダイアが張り切ってMCをしている。
それを俺は、出番を待ちながら眺めていた。
「今回は、皆にショップ対抗戦をもっと楽しんでもらうため、こうして番組を用意させてもらった。ぜひとも、番組を最後まで楽しんでいってもらいたい!」
おお、おお……なんか、リアルでダイアがMCをしているのを見ると、感動だ。
昔は読めない漢字で詰まったり、台本をど忘れして勢いで乗り切っていたあのダイアが……。
こんなにも完璧にMCをしているなんて……!
人知れず感動していると、周囲に促される。
「さて、今回はこの番組に、特別ゲストを呼ばせてもらった! でてきてもらおう、現在のショップ対抗戦優勝候補、カードショップ”デュエリスト”の店長! 棚札ミツル――!」
というわけで、今回俺はゲストとして、ショップ対抗戦に関する番組に呼ばれている。
ダイアの紹介通り、俺は優勝候補だからな。
今回に限らず、色んなところで雑誌の取材を受けたりもしたぞ。
さっそく、スタジオに俺は足を踏み入れた。
「はじめましての方が多いかな、カードショップ”デュエリスト”店長、棚札ミツルだ。今日はよろしく頼む」
「はじめましてじゃない人は知ってる人も多いと思うが、私とミツルは同じ中学の同級生でな、ライバル関係なんだ!」
なんて、軽く自己紹介をする。
といっても俺の紹介なんて、デュエリストがどんなところかと、第三回ファイトキングカップで三位に入賞したことくらいしかない。
専用のPVまで流されたキアと比べれば、扱いは若干適当と言えなくもない。
まぁ、そもそも流す内容がないんだからこればっかりはどうしようもないが。
「それじゃあ、早速だがかけてくれ。今日はミツルと私の二人で、ショップ対抗戦の本戦を振り返っていくぞ」
「ああ、よろしく頼む」
スタジオに用意された椅子に腰掛けて、二人で早速話を始める。
今回の放送の趣旨は、ダイアが言った通り本戦の振り返りだ。
「と、その前に。まずはミツルからも県予選の振り返りをしてもらおうかな」
「前回はキアがゲストだったからな、俺からも聞いておこうってことか」
さて、この放送。
実は二回目の放送である。
一回目のゲストは、すでに何度か触れている通りキアだった。
内容は当然、県予選の振り返り。
何故俺が呼ばれなかったのかと言うと、これにはいくつか理由がある。
一つは単純に知名度、マスターズもデュエリストも優勝候補筆頭だが、単純な知名度になるとマスターズに軍配が上がるからな。
もう一つは、単純に俺よりキアの方が全国のショップ事情に詳しいからだ。
俺も流石に、本戦まで勝ち上がってくるショップなら知ってたり知らなかったりするが、県予選規模となると流石に無茶だ。
そういうところを網羅してるのは、流石キアと言えるだろう。
「で、俺の県予選に関する振り返りだったな。まぁ、一言で言えば最終戦での敗北は俺が不甲斐なかったからだ、今後は敗北しないよう努力する」
「これに関しては、本戦できっちり有言実行されたな。全戦全勝、おめでとう。本戦では君とキアしか成し遂げていない記録だぞ」
他にも色々と、県予選で振り返れることはあるのだが、基本的には自分の生配信でも語った内容だしな。
もともとこれは本題でないので、あまり深堀りはされなかった。
「では次に、本戦の感想について聞かせてもらおうか」
「そうだな……濃いチームが多かった」
「チーム海の家は濃かったな、皆元気そうで良かったが」
「トウマはあいつらと面識あるんだな」
多分、俺が知らないところで何かしら事件がおきていたんだろう。
割とよくあることだ。
「最終戦に関しては、俺達は割と運が良かったよ。相手がアリスさんを始めとして、トップクラスの実力者だったけど、因縁のある身内がチームにいたからな」
「実際、ツカサ氏とアリスが敗北したのは、デュエリスト戦だけだったからな。お陰で二人は全勝記録を逃してしまっている」
しれっと、アリスさんの正体を完全に周知のものとして扱っている俺とダイアである。
後々抗議されそうだが、まぁ敗北した以上文句は言えまい。
ちなみに本戦を全戦全勝で終えたのは俺とキアだけだ。
意外なところだと、ナギサとシズカさんは全戦全勝ではない。
というのも――
「では次に、他ブロックの内容に移ろう。まずは何と言ってもAブロック、ドリームランドとマスターズの最終戦だ」
「Aブロックも濃いよなぁ」
なんと、Aブロックにドリームランドとマスターズが配置されたのである。
これまた優勝候補の激突だ。
結果は――
「知っての通り、勝ったのはマスターズだ。ミーシアも強かったが、キアくんが最終的には完勝といっていい内容だったな」
「ミーシアさんも対応はできていたんだけどな、最終局面で完全に上をいかれたのが不味かった」
勝ったのはマスターズだ。
とはいえ、ファイト自体は最後までわからない手に汗握る展開だった。
何と言っても、注目を集めたのは先鋒戦だ。
「シズカさんとナギサの対決、すごかったな」
「ああ、ふたりとも顔見知りというだけあって、そこそこ因縁のある対決だったからな」
シズカさんとナギサは、どちらもドリームランドとマスターズのエース格だ。
この国有数のファイターということもあり、ナギサの方は知る人ぞ知るって感じだが、知名度もある。
まぁ、結構な注目を集めた。
結果は――
「で、引き分けか」
「まさか、同時にダメージを受けてライフが既定値に到達するとはなぁ」
「ちなみに、大将が引き分けになった場合はどうなるか、教えてもらえるか?」
「もちろんだ」
で、ここで俺が質問。
台本通りの内容である。
「大将同士が引き分けになった場合は、まずいくつかの優先順位で判断する。一番はライフ差だ。決着がついた時にライフの多かったほうが勝ちになる」
「仮にどっちもゼロになっていた場合は……勝数を見るんだったか」
「そう、大将戦までの勝数が多かった方の勝ちだ。同数の場合は、ライフを同時にゼロにするエフェクトを使用したほうが敗北となる」
自爆技は、使ったほうが負けになる。
まぁ、妥当なところだよな。
とはいえ、本戦まで来て大将同士が引き分けになった例はないそうだが。
多分、決勝もないだろう。
「後面白かったのは――逢魔カラス氏だな、中々愉快なファイターだった」
「彼かぁ……」
そして、マスターズのチームメンバーにはあの逢魔カラスことデビラスキングが参加している。
いや、それいいのか……? と思わなくもないが。
現在の彼はアロマさんとも和解し、ネオカードポリスのお説教も受けた普通の一般人だ。
悪魔のカードも現在は使用していない……というか、すでに浄化されているらしいのでダークファイターですらない。
ただ、ダークファイターだったころの悪辣さというか……悪役っぽさは健在だが。
「まさか、クローの苦手な毛虫の仮面をしてくるとはな……」
「毛虫の仮面ってなんなんだろうな……あとやることみみっちいよな……」
まぁ、デビラスキング時代から、割と嫌がらせに関してはこんなもんだったらしいから今更だろう。
なお、仮面自体は有効だったが普通に克服されて負けた。
そりゃそうだ、としか言いようがないな。
ただ、そこからはアウローラさんとキリアさんがそれぞれアキラくんとフィレナに連勝して、大将戦もキアが勝って終わった。
ところで、ずっと気になっていたんだがダイアはキリアさんのことを認識しているんだろうか。
「さて、ドリームランドとマスターズの対決に関してはこんなところか」
「お、おう」
これは多分、タイムパラドックス的なアレで把握できてないな。
ダイアはそういうのに弱いから、まぁしょうがない。
洗脳とかされると、まっさきに犠牲になったりならなかったりするんだよ。
ギャグ度が高ければ高いほど、洗脳される確率が高くなるらしい。
「じゃあ、次は決勝トーナメントに駒を進めたチームの紹介だな」
話が移る。
御存知の通り、デュエリストとマスターズ、それから仮面舞踏会にドリームランドは決勝トーナメントに駒を進めた。
なんとなく想像がついているかもしれないが、スピリッツ事業監査部特命チームもだ。
そして、残る三チーム、これがまたなんというか……濃いんだよな。