カードゲームで世界が滅ぶ世界に転生してカードショップを開店したら、周囲から前作主人公だと思われている 作:暁刀魚
「最初は、ミツルたちの店のデュエリストからだな」
「もうすでに、最初の紹介で、紹介するべき所は概ね紹介してしまった気もするが……」
「まぁそういうな、他にも色々あるだろう」
まぁ、確かに色々あることはあるのだが。
ショップ対抗戦に関係あるのかと言われると、正直良くわからんぞ。
とはいえ、そもそもうちはショップとして大分プレーンだから、この後紹介する店舗と比べてインパクトが弱くなるのはあるな。
最低限は語らないとダメだ。
「まず、知ってる人も多いと思うがウチの店ではショップ配信の他に、店員のエレアが生配信をしてるんだ」
「普段はゲーム配信等をしているな」
「幸い、そっちの方も人気があるのか、そろそろショップのチャンネルが登録者数五十万人を超えそうだ」
モンスターランドカーニバルで、一般知名度も大分上がったからな。
カードショップの配信チャンネルとしては、割と破格の数字になっていたりする。
といっても、マスターズは普通に金盾に行っているのでそれと比較すると霞んだりするが。
それでも、案外ドリームランドや仮面舞踏会のような濃いショップの配信チャンネルでも、登録者数は五万人とかそのくらいだったりするんだ。
そういう意味では、やっぱりうちの最大の特徴は配信チャンネルだな。
「後は、チームメンバーもそうだが、お客さんも濃いぞ。なんたってトウマ……おっと、ダイアが店に通ってくれるからな」
「おいおい、私とデュエリスト常連のダイアは別人だぞ」
HAHAHA、と二人で笑い合う。
まぁ、ここらへんも有名な話なので、知っている人は知っているだろう。
知らない人は知らないという意味でもあるが、こういう番組を見るのは割と知ってる人の方が多いと思うんだがどうだろう。
「次はマスターズについてだな。カリスマ美人店主明日原キアの店だ」
「特徴はなんといってもアレだな……」
「アレか」
「ああ……売上」
めっちゃ身も蓋もない話、マスターズはこの国で最も繁盛している個人経営のカードショップだ。
それはキアがそういう店を作ろうとしているから、というのもあるし。
何より、店の規模が売上を出すのに耐えられる規模だというのもある。
これが結構大事なんだ。
「マスターズはとにかく大きいからな、人を集められる手腕もそうだが、人を集めるためのキャパシティが店にないとどうしようもない」
「そういう分野は、基本的にカード専門店の分野だからな」
単純に、人を集めようとしたら俺の店でもキアの店くらい集められるのかもしれない。
ただ、それを受け入れるキャパシティがないのだ。
今だって、大会中は店の中を観戦仕様にして、外部にフリー用のスペースを用意して対応している。
うちの店は店舗の大きさとしては本当に可もなく不可もない感じで作ってあるからな。
フィールド二台持ちで、それでもまだ余裕のあるマスターズと比べると足りない部分は多い。
「そして、その売上を叩き出す店主の明日原キアこそ、マスターズの象徴と言ってもいいかもしれんな」
「といっても、本人が作りたいのは”最高の店”なんだ。難しいよな、最高の店って」
キアの店は素晴らしい店だ。
そのうえで、若干キアの知名度が先行しすぎているところはある。
店の特徴として挙げられるのも、まず真っ先に売上だし。
世の中には、売上を追求する店を最高の店と認めたくない人種もいるだろう。
もちろんキアはその売上に見合ったサービスと、店内の雰囲気づくりに気を配っているが。
「とはいえ、そこがカードショップを運営するところの面白いところだろう。実利だけでも、精神だけでもダメなのだ」
「どちらもが伴わなければ、最高のカードショップとは言えない……か。まったくだな」
さて、あんまり真面目な話をしてもしょうがない。
どんどん紹介していくとしよう。
「次はドリームランドだな。実はこの店、私のもう一つのホームでもある」
「さっき自分でダイアとトウマは別人だと言ったくせに」
「このことは、度々インタビューとかでも語っているからな、知っている者も多いだろう」
「スルーか」
とはいえ、ドリームランドといえばミーシアさんだ。
まず、自身の故郷を再現しようという店の雰囲気づくり。
ゆるふわドリーミーな感じが、実にらしい。
加えて、ダイアの故郷に店を建てたというのもあって、ダイアが通っているという事実も強い。
「ドリームランドは、私の目から見てもいい店だ。是非とも来店してみて欲しい」
「こいつ、番組で宣伝を始めたぞ。俺の店も宣伝してくれよ」
「ははは、十分しただろう」
そうだけどさ。
ともかく。
「こほん、それでは仮面舞踏会の紹介もしてもらおうか」
「仮面舞踏会は、この国にあってこの国にはない……ちょっと特殊な場所に建っている店だ」
「以前は、素質のある人間しか入ることができなかったが、現在ではショップの配信チャンネルで来店方法を解説しているな」
おかげで、誰でも店に来ることができるようになった。
そうなると気になるのが、変な輩がやってこないかという点だが、そこはご安心。
「とはいえ、邪な気持ちを持って店に来店しようとしてはいけないぞ。モンスターがそれを阻んでしまうからな」
「ここにいる『ビアマイスター』モンスターとは、必ず友好的に接するんだぞ」
なにせ、彼らを怒らせると最悪秘境の中を永遠に彷徨うこととなるからな。
まぁ、流石に死ぬ前に元いた場所へ吐き出されるそうだけど。
「そして、何と言っても特徴は仮面を被らないと入店できないという点だ」
「仮面自体は入店時に配ってくれるから問題ない。何より仮面舞踏会を訪れるファイターは仮面ファイターが多いからな」
「全国津々浦々の仮面ファイターと戦ってみたいという人は、ぜひ訪れてみてくれ」
さて、次は……スピリッツだな。
「そういえば、この大会にはカード専門店からも選抜チームが送り込まれている。その中で、決勝トーナメントに駒を進めたのがスピリッツのチームだ」
「この国最大級のカード専門店だからな、さもありなん」
「で、そのスピリッツ選抜チームが、”事業監査部特命チーム”だ。スピリッツの事業監査部が凄腕揃いなのは有名だが、こうしてショップ対抗戦の決勝に進出してくるとはな。凄いことだ」
うむ。
俺とダイアは二人でしみじみ頷いた。
カード専門店は、店長資格なしでショップを運営できる都合上、店長の質はまちまちだ。
というかカードショップの店長というよりは、あくまで小売業の店長って感じだからな。
ショップみたいに高額カードは扱えないし。
「なぜ事業監査部の特命チームが選抜チームに選ばれたかと言うと、少し前までスピリッツ内部で悪魔のカード事件が発生していたからだな」
「一応、事件は解決しているから安心してくれ」
まぁ、なんか俺がいつの間にか回収してましたが、はい。
「さて、残るチームは3つ。まずひとつはカードショップ”パワー・オブ・パワー”だな」
「カードは攻撃力がすべて、という店長の思想に共感した店員とお客で構成されたチームだ」
「すごいぞ、全員がライフ20000を一発で削りきれる爆発力を秘めている」
こういう、チーム全体で作戦を立てて挑むカードショップというのは、結構いた。
以前戦った、店長以外は自爆で進めて、店長がそれによって発生したライフ差を攻撃力に変換する作戦のチームとかな。
ただ、そういうチームはやはり個人の技量が少し劣るところはある。
単純に総合力の高いチームには、押し切られてしまうのだ。
そのため、こういうチームで決勝まで上がってこれたのは彼らだけである。
そして、パワー・オブ・パワーが上がってこれたのも必然だ。
一人ひとりがライフ20000を一発で削りきれるということは、全員がそれだけの実力を持っているということ。
つまり、この店はそもそも総合力が高いチームでもある、ということだ。
まぁ、脳筋だな。
「続いては、カードショップ”ネオカードポリス本部支店”。ネオカードポリス内部に作られたカードショップのメンバーだ」
「プロのエージェントだけで構成されたチーム、強敵だな」
ある意味ズルじゃないか、と思うかもしれないが。
それを言ったら俺が店長として参戦できてしまうデュエリストが一番ずるいので禁句だ。
んで、これまた特定組織のメンバーで固められたチームだ。
ある意味ではスピリッツの事業監査部特命チームもこれに近い。
他に言えば、闇夜の翼も実質的にはこれだ。
メンバーがほぼ闇札機関の十二神将だからな。
ただ、やっぱり総合力という面では一部の強豪に劣る事が多い。
決勝に進めたのも、エージェント最大手であるネオカードポリスの店だけだ。
「最後は、
「ネット通販のカードショップは、扱い的にはカード専門店と同じなんだが。サイバースペースはちょっと特殊だな」
サイバースペースは、なんというかこの中だとかなり特殊なチームだと思う。
まず、ネット通販のカードショップというのも、この世界には存在する。
前世にだってあったし、それ自体は不思議じゃないだろう。
ただこれは、この世界だとカード専門店と同じくくりになる。
運営が店長資格を持っていないからだ。
そしてカード専門店が選抜枠を手にするには、結構な規模で運営されている必要があり――ネット通販のみでその要件を満たす店舗は、残念ながらこの国には存在しない。
ただ、サイバースペースは違う。
運営者が店長資格を持っていて、個人でイグニッションフィールドを所有する金持ちなのだ。
こうなると、
カードショップを開店する要件が、店長資格とイグニッションフィールドなのだから。
世の中には、店長資格を持っていながら店長にならない奇特な人間もいるんだよ。
ナギサとか、まぁあいつは店長資格そのものは持ってないけど。
「サイバースペースは、店長資格を持つ富豪の
「こういうチームはサイバースペース以外にも色々あったんだが、最終的に残ったのはサイバースペースだけだったな」
「それはまぁ……その、なんだ」
全国から強豪ファイターを募る、という発想は良かった。
この国には様々なファイターがいて、中には在野の才能も眠っていたりする。
そういうファイターを発掘するのは、かなりいい線行っているだろう。
が、しかし。
「……本気で強いファイターは、まぁ誰もがホームになるショップを持っているものだからな」
ダイアや、シズカさんだってそうだ。
何なら、他国のチャンプであるアリスさんすら、仮面舞踏会というホームをこの国に持っている。
なので、メンバーが集まったのがサイバースペースしかなかった、というのが実情なのであった。
惜しい。