カードゲームで世界が滅ぶ世界に転生してカードショップを開店したら、周囲から前作主人公だと思われている   作:暁刀魚

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186 ミーシアの夢

「――そうだ、キアと言えば」

 

 ふと、ミーシアさんにキアのことで呼び止められて。

 俺はあることを問いかけたくなった。

 それは、ミーシアさんとキアの本戦最終戦にも関わることだ。

 

「どうしたの、ミツル」

「ミーシアさんにとって、最高のカードショップってなんだ?」

「ああ、それ」

 

 その問いは、キアが最終戦でミーシアさんにかけた問いだ。

 ちょうど俺が仮面さんに同じようなことを問いかけていた頃、キアもミーシアさんに問いかけていたらしい。

 後々になって、配信で知ったことだが。

 

「キアにも答えた――夢の叶う場所、それが私の答え」

「ああ、それを。……もう少し、ミーシアさんから聞きたくなって」

「ミツルはねっとりしてるね」

「どういう意味ですか!?」

 

 いや、本当にどういう意味だよ?

 

「しつこいという意味を、できるだけいい意味に置き換えてみた」

「全然置き換わってないような」

「……何となく分かるような気がします」

 

 わかるのか!?

 エレアが、一体どういう意図でそれを理解できるのか、俺には疑問で仕方がないよ。

 

「いやほら、ファイター仙人にファイトをせがんだりとか」

「ファイトの最中、しゃぶり尽くすように相手の全力を引き出したりとか」

「なんか変な意味に聞こえてくるから止めてもらえる!?」

 

 そういう意図は一切ないからな!?

 あくまで、気になったから問いかけてるだけなんだから。

 

「解ってる、ミツルはエレアちゃん一筋だし」

「ですねー」

「ねー」

「絶対わかってない……!」

 

 話を戻そう、このままだと一生終わらないぞ!

 

「ミーシアさんにとって、最高のショップは夢の叶う場所。それはまぁ、なんとなく解る」

「私は夢想郷の住人だからね、ドヤ」

「夢を、昔からずっと見続けてきた。……ってことだよな」

 

 俺の言葉に、ミーシアさんが首肯する。

 自分の夢も、他人の夢も。

 ミーシアさんは見続けてきたんだ。

 夢想郷とは、そういう場所だと聞いている。

 

「夢想郷にはいろんな夢があった。いい夢も、悪い夢も」

「そしてこの世界にやってきて、一人の人間として生きていくことになった時……」

「私は、夢をみんなにも見て欲しいと願うようになった」

 

 俺の言葉を、ミーシアさんは引き継いだ。

 

「夢を見るということは、(きぼう)を抱くということ。悪夢(ふあん)をはねのけようとするということ。そのための原動力を、私はカードショップで作りたかった」

「カードショップは、楽しい場所だからな。でも、ファイトに負けると悔しい場所でもある」

「ん、カードショップには夢がある」

 

 夢も悪夢も一括りにして。

 カードショップという楽しいで満たす。

 夢を叶えるとは、そういうことだとミーシアさんは言う。

 

「ファイト仙人が言ってた、その夢はとても簡単で困難な道程だって」

「店を構えた時点で最初から叶っている願いでもあり、同時に追い求めたらキリがない願いでもあるからな」

 

 単純な話、質というのは求めたらキリがないという話でもある。

 特にサービスというやつは形がないから、いくらでも上を目指せてしまう。

 一つ一つにこだわりと信念を込めて、それでも足りないくらいの情熱でもって包んでも。

 まだ、包みきれないくらいに。

 

「ミツルは、この問いに答えがあると思う?」

「さてな、……キアは、究極普遍の答えがあるんじゃないかと言っていた」

「そもそもこのショップ対抗戦で、それをいい始めたのはキアだったね」

 

 まず、ショップ対抗戦の発端がキアとダイアなのだ。

 キアがダイアに、「最高のカードショップとは何か」という問いをして、ダイアが「最高は決められなくても最強は決められる」と答えたことでこの対抗戦は始まった。

 ……と、予選の時の振り返りで二人が言っていた。

 なんとなく、それ以前にも聞いたような聞いていないような話だった。

 多分、それっぽいことは少し話をしていたと思う。

 ともあれ。

 

「ぶっちゃけた話、この対抗戦の主役はキアだ」

「だろうね」

「俺はきっと、キアの因縁……父親たちとのことには関わらないと思う」

「いつものことですね」

 

 ただ――

 

「最高のショップとは何か、その答えを出す場に俺は居合わせるんだと思う」

「でしょうねぇ」

「平常運転」

 

 相槌が適当だぞ、君たち。

 

「とにかく、俺はこの問いについて考えなくちゃいけないわけだ」

「がんば」

「がんばです!」

 

 まぁ、何だな。

 これ以上、ここで話をしていてもそれこそキリがない。

 ともかくこれで、本戦最終戦の仮面さんと合わせて。

 ここ最近で俺が関わった店長の”答え”が聞けたわけだ。

 俺自身の答えと、キアの答え。

 ああ後、仙人の答えと……それから、ナギサの答えも参考になるか。

 ともかく、種は拾った。

 後はこれを、いい感じに形にするべく頑張るとしよう。

 

 

 □□□□□

 

 

 で、その後。

 ネッカとクローが戻ってきて、ミーシアさんが受付を済ませて。

 しばらく、俺達はそのまま雑談に花を咲かせていた。

 そんな時、

 

「はっ、そろそろトウマの挨拶が始まる! 行かなきゃ!」

「お、おう」

 

 ミーシアさんが、時計を確認して飛び出していった。

 クローは、その後を追いかけていく。

 

「決勝で会うの、楽しみにしてるからな!」

「負けるなよ!」

「そっちこそ!」

 

 なんてネッカと言葉を交わして、去っていった。

 んで、ダイアの挨拶が始まるってことはそろそろ開会式が始まるってことだ。

 俺達も、会場に向かうこととしよう。

 そうこうしているうちに時間は過ぎて。

 

 

『――と、いうわけで俺からの挨拶は以上だ! みんな、ショップ対抗戦を楽しんでくれ!』

 

 ダイアが、短くも長くもない挨拶を終えて、そう宣言する。

 会場には多くの観客が詰めかけていて。

 俺達は、選手としてその中にいる。

 みれば、ドリームランドや仮面舞踏会も一同に介していて。

 それから、マスターズの姿もある。

 

 ただキアは、難しそうな顔をしていた。

 もしかしたら、どこかで父親と会っていたのかもしれない。

 もしくは良空さんか。

 どっちにしろ、難しい話をしていたのだろう。

 俺は、応援することしかできないが。

 どうか、頑張ってほしい。

 

『さて、挨拶が終わったら、いよいよ決勝トーナメントの抽選だ!』

 

 歓声が上がる。

 開会式のメインイベントは、間違いなくこれだろうからな。

 

『抽選はランダムで行われる。第一試合から第四試合まであって、第一試合と第二試合がAブロック。第三と第四をBブロックとするぞ!』

 

 つまり、第一試合の勝者と第二試合の勝者が準決勝でぶつかるということだ。

 第三と第四もまた然り。

 まぁ、当然といえば当然だな。

 

『では、早速抽選を開始する! 第一試合、最初に選ばれるカードショップは――』

 

 ダイアの後ろには、モニターがある。

 そのモニターには、現在すべての枠が空欄になったトーナメント表があり。

 第一試合の一番手。

 一番左上の位置にある枠が、今まさに決定しようとしていた。

 

 

『――デュエリストだ!』

 

 

 で、選ばれたのが俺達。

 スポットライトがこちらに当たる。

 歓声を浴びる中、抽選はさらに続く。

 第一試合、俺達の相手は――ネオカードポリス本部支店。

 

「あー、これはアレですね」

「アレだなぁ」

 

 俺とエレアは、こそこそそんなことを言い合う。

 第二試合の対戦カードは「サイバースペース」と「パワー・オブ・パワー」。

 

「因縁が……因縁がBブロックに固まっていきます……!」

 

 俺達は、なんというかアレだ。

 蚊帳の外に置かれたわけだ。

 

 そして第三試合は――

 

『マスターズ!』

 

 と、

 

『仮面舞踏会!』

 

 俺と因縁のあるカードショップのうち、マスターズと対戦経験のない仮面舞踏会がマスターズとぶつかることとなった。

 そうなると自然と、第四試合のメンバーも決定する。

 

 第四試合、スピリッツ事業監査部特命チームと、ドリームランド。

 そして、第三試合の勝者と第四試合の勝者が準決勝で激突する。

 なんとも、色々と起こりそうなトーナメント表に、俺は苦笑する他ないのだった。




というわけで反対側に詰め込まれるデュエリストとかの皆さん。
決勝開始まではもう少しあります。

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