カードゲームで世界が滅ぶ世界に転生してカードショップを開店したら、周囲から前作主人公だと思われている   作:暁刀魚

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198 アロマでアウローラなラストファイト ①

「――終わりましたわね」

「……終わりましたね」

 

 黒幕が消え去り、後に残ったのはアロマとアウローラの二人だけ。

 静謐な空間で、二人は余韻に浸っていた。

 

「わたくし、逢魔様との決戦でも思いましたの……デビラスとの最終決戦の場は、どこか美しさがある、と」

「…………それは」

 

 空には星と極光が広がっていて。

 幻想的な空間だった。

 デビラスキングとの戦いでも、ネオデビラスとの戦いでも、最後はこういう空間でのファイトとなった。

 何でも、この空間はデビラス達が最も力を出せる空間なのだとか。

 そしてアロマの言葉を聞いたアウローラが、反応を見せる。

 

「……少し、嬉しいです。アロマに、そう言っていただけると」

「えーと? あ、もしかしてこの空間って……!」

「はい、私の故郷に近い空間なんです」

 

 アウローラは異世界のモンスターだ。

 デビラス達と同じ世界の出身で、この光景はアウローラにとって馴染みのある光景だという。

 

「アロマ達の世界に来て、いろんなことを経験しました。あの世界には、楽しい思い出がいっぱいあります。でもやっぱり……私の故郷は、この世界なんですよね」

「わたくし、いつかアウちゃんの故郷にお邪魔してみたいですわ!」

「その時は歓迎しますね」

 

 それから二人は、他愛のないことをぽつりぽつりと話し始める。

 デビラスキングのときとは違い、封印ではなく黒幕が消滅したからか、空間からはじき出されることはない。

 むしろ、この空間自体が消滅するまでにしばらく時間がかかりそうなくらいだ。

 果たして試合に間に合うだろうか、なんて話もするが。

 たいていこういうのはちょうどいいタイミングで向こうに帰還できるものだから、二人はそこまで心配していない。

 

「――そういえば、どうしてアロマは棚札店長を師として仰いだのですか?」

「師匠店長様をですの?」

「はい。キアちゃん店長だって、師匠にふさわしいくらい凄い店長だと私は思います」

 

 ふと、話題はアロマの”師匠”に関する物へと移る。

 師匠店長。

 棚札ミツル。

 デュエリストの店長を師匠と呼ぶのはなぜなのか。

 アウローラは、そのことをアロマに質問したことがなかったのだ。

 流石に、ミツルの第三回ファイトキングカップでのファイトがアロマを変えたということくらいは知っているが。

 

「普段から親身になって接してくれますし、ネオデビラスが襲撃してくれたら店をあげて迎撃もしてくれました」

「アレは、とても心強かったですわね」

 

 ネオデビラスの迎撃。

 以前、ミツルとミーシアが店長集会に行った時、キアが開催するはずだったセミナーが開催できなかった件。

 その時の話だ。

 

「もちろん、キアちゃん店長様だって素晴らしい方ですわ? 尊敬しております」

「でもそれは、師匠としてではない……ってことですか?」

「そうなりますわねぇ。キアちゃん店長様はほら、”お姉ちゃん”みたいですから」

 

 要するに、親しみを持って接する年の近い関係だと、アロマはいいたいのである。

 ちょうどキアはアロマが「お姉様」と呼ぶアリスと同い年だが、気安さでいうとキアの方が近い。

 アウローラはこれをアリスが知ったら、アリスは泣き崩れるだろうなぁとそんなことを益体もなく考えた。

 

「師匠店長様は、なんといいますか……遠いのです。もちろん、悪い意味ではないですわよ?」

「なんとなく解ります。……”憧れるのに”ちょうどいい遠さってことですよね?」

「まぁ、そうですわね」

 

 距離感とか、立ち振舞とか。

 あと、年齢とか雰囲気とか。

 アロマにとって、両親を除きもっとも頼りになる大人は彼なのだ。

 もちろん、これもアリスが知ったら泣き崩れるだろう。

 

「だから、わたくしにとって師匠とは師匠店長様だけなのですわ。きっと、わたくしが師匠店長様に救われていなくとも、私は師匠店長様に師事していたでしょう」

「アロマにとって、この世界に師匠となりうる人は棚札店長だけだったんですね」

「はい! 私にとって、名前をアウちゃんと呼ぶ親友がアウちゃんだけなのと同じように!」

 

 そうして、二人は笑い合う。

 他にも色々な話をした。

 やがて世界の崩壊が加速すると、いよいよ二人は外に帰った時の話を始める。

 

「――なんとなく、思うんですの。これからも、私とアウちゃんはずっと親友でいつづけると」

「それは、私も思ってます」

「でも、きっと――()()()()()()()()()()()()大事なファイトをするのは、これが最後になると思いますわ」

 

 マジカルファイターが最後、とはアロマもアウローラも全く考えていなかった。

 きっと、第三のデビラスは現れる。

 だがそれはそれとして、アロマとアウローラがマジカルファイターの立場で正面から激突することは、きっともうない。

 

「わたくしは今日を振り返った時、焼き付いた記憶が()()()()思い出せるくらい素晴らしい日にしますわ!」

「わたしはあの空に浮かんだオーロラのように、これから続く長い旅路の中で、この一瞬が最も輝かしい一瞬だと思える日にします!」

 

 そして二人が構えると同時、世界は崩壊する。

 気がつけば、アロマとアウローラはショップ対抗戦の会場に。

 戦いの舞台に立っている!

 

 

「――さぁ、わたくしたちの最高のラストファイトを始めますわよ!」

「ええ、忘れられないファイトにしましょう、アロマ――!」

 

 

 かくして、アロマとアウローラのラストファイトが始まる――!

 

「イグニッション!」

「イグニッションですわ!」

 

 □□□□□

 

 ――アロマさんのデッキは、言うまでもなくロックバーンを主体とした制圧系のデッキだ。

 そんなアロマさんのフィールドには<薔薇楼の茨姫騎士>、相手のモンスターエフェクトを無効化し、更には破壊耐性まで有する。

 というか、破壊してきた相手を逆に破壊してダメージを与えるというかなり強力なモンスターだ。

 それに加えて<薔薇楼の庭園>というカードが配置されている。

 発動すると<薔薇楼>モンスターをサーチし、その後はフィールドに<薔薇楼>モンスターがいる限り相手のモンスターエフェクトを無効化。

 更には<薔薇楼>モンスターがいなくてもモンスターの攻撃を一回まで無効化するエフェクトを使えるアロマさんの鉄板カード。

 あと、ターンエンドの際にダメージを与えるエフェクトを共通効果で持っていたりする。

 与えるダメージは100点だけどね、チリツモってやつだ。

 

「相変わらず、強力な布陣ですね」

「セッティングされたカウンターエフェクトもありますわ!」

「ですがこちらも……負けてはいられません! 私のターン!」

 

 そしてアウローラさんの反撃が始まる。

 

「私は<極光精ブラウニー>のエフェクト! 自身を手札から捨てて<極光精の楽園>を手札に! そのまま発動! このカードは設置型のエフェクトで、発動時に『極光精』を一体サモンできる!」

 

 すると、フィールドに美しいオーロラが現れる。

 アウローラさんのデッキは<極光精>デッキ。

 <極光精の楽園>という、アウローラさんの故郷を模したカードを中心に戦う。

 ダイアの<バニシオン>と同じフィールド主体のデッキだ。

 特殊なのは、あらゆる行動が<極光精の楽園>に依存していること。

 下級のモンスター全てに手札から捨てることでデッキ、セメタリーから<極光精の楽園>を手札に加えるエフェクトが存在するくらいに。

 そして、<極光精の楽園>は発動時に、起点となるモンスターをサモンする。

 

「来て、<極光精霊サラマンドラ>!」

 

 現れるのは、オーロラのような炎を灯すトカゲモンスター。

 いわゆる四大精霊とよばれるそれだ。

 これにあるモンスターを足した五体のモンスターがアウローラさんのデッキの起点。

 

「<極光精霊>モンスターは<極光精の楽園>がある限り、相手のエフェクトを受け付けない! 更に、<サラマンドラ>はサモンされた時、相手のカウンターエフェクトを一枚破壊します!」

「……<庭園>が!」

「更に、<極光精霊>がフィールドに居る時、手札の<極光精グレムリン>を捨てて、<薔薇楼の姫騎士>を手札に戻します!」

「破壊耐性をすりぬけますのね! させません、<薔薇楼の監獄>! このカードはモンスターがフィールドを離れるのを防ぎ、相手にダメージを与えますわ!」

 

 <グレムリン>が<姫騎士>を手札に追い払おうとするが、茨が<姫騎士>を絡め取る。

 自分のカードを守っているはずなのに、なぜか追い詰められているように見えるカードだ。

 名前も<監獄>だし。

 なお、<庭園>が破壊されたことでデッキから<薔薇楼の門番>がサモンされている。

 

「<極光精の楽園>により、手札から<グレムリン>が捨てられたので、別の<極光精>をセメタリーから手札に! そしてバトル! <サラマンドラ>で<茨姫騎士>を攻撃します!」

「<サラマンドラ>の方が攻撃力が低いですわ!」

「わかっているはずです! <ブラウニー>を捨ててエフェクト! <サラマンドラ>は<ブラウニー>のエフェクトでパワーアップです!」

「<茨姫騎士>のエフェクト! 手札を捨てることで破壊を無効! 更に破壊しようとしてきた相手を逆に破壊し、その攻撃力分のダメージを与えますの!」

 

 ――ここまでは、お互いに相手のカードエフェクトを把握したうえでの攻防だ。

 故に、次のアウローラさんの一手をアロマさんも理解している。

 

「<極光精の楽園>エフェクト! 1ターンに1度、<極光精霊>モンスターをデッキに戻し、別の<極光精霊>モンスターをサモンします! さぁ、行きますよ!」

「来てくださいまし、アウちゃん!」

 

 かくして。

 

 

「私は、<極光精霊アウローラ>をサモン! 私自身が相手です、アロマ!」

 

 

 このデッキの起点となる五体の<極光精霊>。

 そのうちの一体にして、アウローラさん自身となるモンスターが、フィールドに呼び出された。




今回のテーマはフル尺のファイト。
普段ならカットする部分もある程度やるらしいです。
何やってるかわかりにくいですが、まぁ今回だけなので雰囲気で流していただけると助かります。

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