カードゲームで世界が滅ぶ世界に転生してカードショップを開店したら、周囲から前作主人公だと思われている   作:暁刀魚

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199 アロマでアウローラなラストファイト ②

 アウローラさんのデッキとアロマさんのデッキの相性は、ハッキリ言ってアロマさんが圧倒的に不利だ。

 フィールドのモンスターエフェクトを無効化するカードを主軸にしているのに、アウローラさんはカウンターエフェクトと手札からのモンスターエフェクトを主軸に戦う。

 おかげで、出会った当初は一方的にアウローラさんがアロマさんに勝利していたわけだ。

 

 とはいえ、それは昔の話。

 すでに二人の間では、多くの因縁と経験が消化されている。

 端的に言って、モンスターとしてのアウローラさんが出てくるまでの流れは、完全なジャブだ。

 

「モンスターとしてのアウちゃんも、麗しいですわね!」

「……少し、照れますね。ですが、それで遠慮すると思ったら大間違いです。私自身で<茨姫騎士>を攻撃!」

 

 攻防は続く。

 『極光精霊』にはそれぞれ役割があり、<アウローラ>のそれはリソースの回収と戦闘。

 今回は後者の役割でもって、<茨姫騎士>の戦闘破壊を試みるのだ。

 しかし、場には<庭園>の破壊によってサモンされた<門番>。

 <門番>には手札を捨てることで破壊を防ぐ効果があり、更にアウローラさんへバーンダメージを与えた。

 

「ですが、アロマも戦闘ダメージを受けてもらいます」

「……痛み分けですわ!」

 

 ここでアロマさんにターンが移る。

 <庭園>こそ破壊されたものの、アロマさんのモンスターはすべて健在。

 途中、<門番>がセメタリーに送られたりしつつアロマさんはカードを展開。

 

「わたくしは、<薔薇楼の守護剣士>をサモン! 今回のファイトはアロマ・ユースティアの全力ファイト! ヒールも、プリンセスも関係ない! 出し惜しみなしの究極アロマですわー!」

 

 <守護剣士>はアロマさんの新たな大型モンスター。

 <茨姫騎士>よりも重武装で、鎧に茨がまとわりついているのが特徴だ。

 

「<守護剣士>のエフェクト! <極光精の楽園>を破壊しアウちゃんにダメージを与えますわ!」

「くっ……!」

 

 <極光精の楽園>の弱点は、<楽園>自体に一切の破壊耐性がないということ。

 その分、あらゆる下級の『極光精』モンスターにサーチ、サルベージ効果がついているわけで。

 ようするに<極光精の楽園>は、まさしくオーロラのように淡く消えてしまう存在なのだ。

 その後、<楽園>が消えたことで<アウローラ>のモンスターエフェクトが無効となる。

 反撃とばかりに<茨姫騎士>が攻撃。

 しかしアウローラさんも負けてはいない。

 手札からのモンスターエフェクトで、戦闘ダメージこそ受けたものの<アウローラ>をフィールドに残したままこのターンを耐えきった。

 

「……ターンエンドですわ」

「反撃開始、です。私のターン」

 

 カードをドローして、アウローラさんはカードをプレイする。

 モンスターの<アウローラ>をフィールドに残したことで、アウローラさんは新たなモンスターのサモンが可能になる。

 手札の『極光精』モンスターを捨てて<楽園>を回収したアウローラさん。

 そして彼女は、<アウローラ>を素材にあらたなモンスターを顕現させる!

 

「来て! <大極光精霊ウンディーネ・イクス>!」

 

 アウローラさんの『極光精霊』は<楽園>と自身をセメタリーに送ることで、任意の『大極光精霊』をサモンできる。

 ただこれをすると、<楽園>の耐性がなくなってしまうので前のターンのアウローラさんは慎重だった。

 だが今は、モンスターエフェクトの無効は<茨姫騎士>しかできない。

 

「<ウンディーネ・イクス>は相手モンスターのエフェクトを受け付けない! そして自身の効果で、相手フィールドのカードをすべて手札に戻します!」

「それは困りますわ……! <守護剣士>のエフェクト! フィールドのモンスターを破壊しますの!」

 

 <守護剣士>には手札を捨てることでモンスターを破壊するエフェクトがある。

 当然バーンダメージだってついてくる。

 しかも自分のターンでも相手のターンでも使える。

 守護って言う割には、エフェクトがすべて攻撃的なのが<守護剣士>だ。

 しかし、<ウンディーネ・イクス>は相手のエフェクトを受け付けない。

 なら、一体<守護剣士>は何を破壊するんだ?

 答えは、決まっている。

 

「まさか――」

「わたくしは、<()()()()>を破壊! そのままセメタリーに送られ……エフェクト発動ですわ!」

「……<薔薇楼の茨天使>!」

 

 そう、<茨姫騎士>の自壊だ。

 これにより、アロマさんは最強エースである<薔薇楼の茨天使>を呼び出すことができる。

 <ウンディーネ・イクス>のバウンスエフェクトが処理された後に<茨天使>がサモンされた。

 しかしアウローラさんだって負けていない。

 アウローラさんは再び<楽園>を発動。

 さらなる『大極光精霊』をサモンする。

 呼び出すのは――

 

 

「なら、私も切り札を使います! <大極光精霊アウローラ・フレグランス>!」

 

 

 すなわち、自分自身だ。

 かくしてここに、二人のエースが並び立つ。

 いざ、最後の攻防――そう思った矢先。

 

「……そして、私はカウンターエフェクトを一枚セッティング。これでターンを終了します」

「あら……攻撃しなくてよろしいんですの?」

「わかっているくせに、今のアロマはちょっとずるいです」

「ふふ……わたくしのターン!」

 

 ――アウローラさんは動かなかった。

 なぜか? 理由は幾つかある。

 一つは、あそこで攻めてもアロマさんを倒しきれないこと。

 そうなった場合、攻めるには<茨天使>のエフェクトを使用させる必要がある。

 <茨天使>のエフェクトは手札を一枚捨てることで、相手のエフェクトを無効にして破壊する。

 そして無効にしたのがモンスターエフェクトだった場合、破壊したモンスターのエフェクト分ダメージを相手に与えるのだ。

 だが、本命はこちらではない。

 その後、『薔薇楼』カードを手札に加えるのだ。

 加えるカードは、当然<薔薇楼の庭園>。

 そして――

 

「わたくしは、<薔薇楼の守護剣士>を再びサモン!」

 

 厄介なことに、<守護剣士>は自分フィールドのカードも破壊できる。

 すなわち<庭園>を破壊して、その破壊時エフェクトを起動できてしまうのだ。

 本当にどこに守護要素があるんだろうな? こいつ。

 

「さて、誘いとわかっていても……! <守護剣士>のエフェクトでセッティングされたエフェクトを破壊しますわ!」

「カウンターエフェクト! <極光精再展開>! <極光精の楽園>を配置し、一枚ドロー!」

 

 かくして、アウローラさんのフィールドが完成する。

 これが最後の攻防だ。

 

「バトル! <茨天使>で<アウローラ・フレグランス>を攻撃!」

「<アウローラ・フレグランス>はバトル時に攻撃力を上げます! <楽園>の効果で、これは無効化されません!」

「であれば、<茨天使>のエフェクト!」

 

 <茨天使>の一つ目のエフェクトは、<楽園>のエフェクトで<極光精霊>モンスターがエフェクトの効果を受けないため使用できない。

 故に、もう一つのエフェクトを起動するのだ。

 

「セメタリーの<薔薇楼>カードをデッキに戻すことで、相手フィールドのカード一枚のエフェクトを無効! 無効にするのは、当然<楽園>ですわ!」

「私は、<アウローラ・フレグランス>のエフェクトを発動! セメタリーの『極光精』モンスターを手札に戻し、戻したモンスターのエフェクトを<アウローラ・フレグランス>のエフェクトとして適用します!」

 

 つまり、普通に手札から<極光精>のエフェクトを使うと<茨天使>の無効エフェクトで無効化されてしまう。

 だが、<アウローラ・フレグランス>が発動したことにしてしまえば、<楽園>のエフェクトが適用されるのだ。

 

「<グレムリン>を手札に戻し、そのエフェクトにより<茨天使>を手札に戻します!」

「……ここですわ! <守護剣士>のエフェクトを発動! ()()()()を破壊しますの!」

「自分自身を……!? アロマ、そんな戦法今まで使ってこなかったですよね……!」

「ええ、本邦初公開ですわ……!」

 

 手札を一枚捨てることで、<守護剣士>がついには自分の守護すら放棄して破壊される。

 このとき、アロマさんは<守護剣士>のバーンダメージを受けることになるが、<茨天使>のそれとは違い固定ダメージなのでそこまで痛くはない。

 そして、

 

「……このモンスターは、『薔薇楼』モンスターが破壊された時……セメタリーからサモンすることが可能ですわ!」

「何をサモンするというのです!?」

 

 アロマさんは()()()()()()そのカードをサモンする!

 

 

「こちらですわー! <大古式聖天使(エンシェントノヴァ) ソーン・セントプリマ>!」

 

 

 そう、<茨天使>の他人の空似モンスターこと、<ソーン・セントプリマ>。

 今回のファイトに向けて、俺がアロマさんに渡した秘密兵器だ。

 

「……やっぱり、彼はいい師匠ですね」

「ええ、自慢の師匠店長様ですわ!」

 

 ――かくして、状況は決した。

 <アウローラ・フレグランス>のバトル時打点上昇エフェクトを使えば、<ソーン・セントプリマ>の打点を<アウローラ・フレグランス>が上回れる。

 しかし、それをすると<ソーン・セントプリマ>のエフェクトで<アウローラ・フレグランス>が破壊され、その攻撃力分のダメージを受ける。

 ならば、この場合エフェクトを使用せずに破壊されたほうがダメージは少ない。

 それでも、アウローラさんのライフを削り切るには十分だ。

 

「トドメですわ! <ソーン・セントプリマ>!」

「<アウローラ(わたし)>は、最後まで前を向いて貴方とファイトする! 来てください!」

 

 そして、バトル。

 結果――先鋒戦は、デュエリストの勝利に終わった。




<茨天使>の『薔薇楼』をデッキに戻すエフェクトは、二章で店長戦の際に使えなかったエフェクトですね。

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