カードゲームで世界が滅ぶ世界に転生してカードショップを開店したら、周囲から前作主人公だと思われている   作:暁刀魚

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216 小学生ロボファイターズ ①

 土日、カードショップ的には書き入れ時なわけだが、今週末に関しては少し毛色が違う。

 ショップ対抗戦後の繁盛もすっかり落ち着いて、出入りする客こそ増えたものの概ねいつもの日常が戻ってきた今。

 俺達は蒸気世界でも行動を起こすべきなのだ。

 

 個人的にやりたいと思ってることは二つ。

 一つは……今はちょっと難しいので置いておくとして。

 もう一つは単純に、デュエリストの常連と一緒に蒸気世界を探索することだ。

 先日の探索で、最低限の蒸気世界に関する知識を俺達は手に入れた。

 そこで、次はもっと蒸気世界を歩く人間を増やして、更に情報を仕入れようというところ。

 ショルメさんから話を聞いてもいいのだが、せっかくの異世界。

 やはり自分の足で見て回るほうがいいだろう、ということになった。

 

 といってもまぁ、個々人の予定というのもある。

 店だって変わらず営業を続けなければならないし、色々と大変だ。

 とりあえず、店に関してはエレアとメカシィが見るとのこと。

 俺は完全に蒸気世界の方で探索組の保護者をしてくれ、だそうだ。

 土日どっちかは俺も店を見ようかと思ったのだが、店長の代わりに保護者するのはちょっと荷が重すぎるとエレアが固辞。

 最終的に、ダイアかシズカさんが探索組に入る時は、俺が店の方を見るということになった。

 

 で、今回のメンバーは俺、ヤトちゃん、そして――

 

「おおー、ここが異世界かぁ」

「はしゃぐなよ、ネッカ」

「そっちこそ、変なもんに影響されんなよ、クロー」

 

 ネッカ少年とクロー少年だ。

 ヤトちゃんは必須、手が空いてる時には基本こっちの世界に来るようにしている。

 そしてネッカとクローの二人も、こっちの衣服を身に着けているわけだが――

 

 あれだな、パズーだな。

 ラピュタの。

 カードゲームじゃないんかい。

 

 というわけで、こっちの世界の二人くらいの年頃の少年が着ているポピュラーな服を選んだらラピュタになった。

 まぁ、似合っているのでいいだろう。

 

「んで、探索と言っても基本はネッカとクローのやりたいことをやるわけだが」

「私達は、もう結構探索してるしね。二人は何をしたいの?」

 

 一応年長者ということもあってか、ヤトちゃんも保護者モードだ。

 しっかりものなので、こういうのは結構堂に入っている。

 ちなみに、俺は二人が何をしたいのかは知っているぞ。

 

「へへーん、店長たちの話を聞いてたときから、ずーっと考えてたんだよ」

「そうそう。向こうの世界じゃ俺達、ファイアスターターにしか乗れないからさ」

「……ああ」

 

 そんな二人の言葉に、ヤトちゃんも合点がいったようだ。

 すなわち、二人のやりたいことは――

 

 

「アルケ・ミストに乗る!」

 

 

 完全に、ピッタリ。

 二人の言葉が唱和した。

 

 

 □□□□□

 

 

 簡単に言うと、イグナイト・サイクルは免許制だ。

 高校生になったら免許が取れる。

 移動に便利なので俺も取ったが、最近は乗ってないな。

 エレアと二人で移動することが多いもんだから。

 

 んで、小中学生用のファイアスターターってものが存在する。

 それこそファイブディーズでルアルカが使っていたアレだ。

 俺はこれに関して特にアイデア出してないんだけど、まぁ子どもが使うならデザインはスケボーになるよな。

 

「やっぱさー、ファイアスターターじゃなくてイグナイト・サイクル乗りてぇよなぁ! 大人はずるいぜ」

「危ないってのはわかるけど、もう少し小学生の頑丈さを信じてほしいよ。で、その点アルケ・ミストは誰でも乗れるんだろ?」

 

 イグナイト・サイクルに乗りたいネッカ少年とクロー少年。

 背伸びしたい年頃な二人は、特に年齢制限の存在しない乗り物であるアルケ・ミストに目をつけたわけだ。

 なんでも、この世界だとそもそも就業年齢が低く、若い時分でもアルケ・ミストに乗って作業する必要があるんだとか。

 あと、アルケ・ミスト自体もバイクであるイグナイト・サイクルと違って装甲などに守られているから怪我をしにくい構造なのも大きい。

 二人の年齢でもアルケ・ミストに乗るのは珍しくないとショルメさんが言っていたので、自然とそうなった。

 

「んで、そのショルメさんは、二人のためのアルケ・ミストを調達するために技師さんに話をつけに行っているそうだ」

「私達は現地集合ってことね」

「よっしゃー、行こうぜ!」

「あ、おい待て! いくらスチームボードがあると言ったって、パイプの上を走ったら危ないだろ!」

 

 アルケ・ミストはまだできていないが、スチームボードは結構な数をショルメさんから譲ってもらっている。

 こっちの世界のお金とか大丈夫かと思うけど、安いスチームボードはパンより安いんだとか。

 その分粗悪だったけど、メカシィにメンテしてもらったので今は壊れる心配はない。

 

「それはそれとして、こっちの世界のお金を集める必要はあるよな」

「そうねぇ。簡単なものならショルメさんが用意してくれるらしいけど」

 

 流石に、専用のアルケ・ミストともなると、そこそこ値段はするだろう。

 一番簡単なのはカードを売ること。

 もしくはカードと交換すること。

 一応今回は、そのためのレアカードを何枚か持ち込んでいる。

 これで足りるといいんだが。

 

 作ったほうが早いんじゃないかって?

 それはさすがにこう……ダメじゃないかなぁ。

 エレアからめちゃくちゃ叱られそうだし。

 さて、ショルメさんからもらった地図を頼りに、パイプの上を跳んだり跳ねたりして目的地へやってきたわけだが――

 

「と、そろそろつくぞ」

「よっしゃあ、ここから競争な!」

「あ、おい待てネッカ!」

 

 と、少年二人が駆け出そうとしたところで。

 

 

「ダメじゃダメじゃダメじゃ――――!」

 

 

 何やら、頑固そうなオヤジの叫び声が聞こえてきた。

 なんか、俺達が向かっている場所から声が聞こえるぞ。

 これは……うん、アレだな、よくあるやつだな。

 

 

 □□□□□

 

 

「どこの馬の骨ともわからんやつに、儂はアルケ・ミストを作ったりはせん!」

「まぁまぁそう言わずに御老体。何でもその二人は、非常に将来有望なファイターらしいんだ」

「だとしてもじゃ! 儂は儂の気に入った相手にしか仕事をするつもりはない!」

 

 頑固親父とショルメさんが喧嘩していた。

 もうなんというか、想像通りの光景がそこには広がっている。

 いるのはヒゲを蓄えた気難しそうな爺さんだ。

 少しイメージと違う部分を上げるとすれば、作業着ではなくゆったりとしたローブを身にまとっていることか。

 アルケ・ミストが”錬金術”によって作られているなら、このほうが自然なのだろうけど。

 

「っと、わざわざ来てもらったのに申し訳ないね、店長さん。こっちは見ての通りさ」

「いやまぁ、こうなることはショルメさんとしても読めてたんだろう? なら、この後の展開も想像通りのはずさ」

 

 なんて話をして、ショルメさんと合流する。

 そこからは頑固オヤジがネッカ少年とクロー少年に気が付き。

 二人が元気よく挨拶した後、ダメじゃダメじゃと頑固親父が二人を否定して。

 ムッとした二人が、頑固親父とファイトすることになった。

 

「とはいえ、二対一は流石に御免被るのう。悪いが、こちらも助っ人を呼ばせてもらうぞ」

「へへ、構わねぇぜ。どんな奴でもかかってこい!」

「店長以外ならな!」

 

 俺はダメなのか……助っ人と言われて思わず前に出そうになったのを、慌てて引っ込めた。

 ヤトちゃんはでしょうね、みたいな感じ。

 エレアなら慰めてくれるだろうか……慰めてくれないだろうなぁ。

 

「いでよ、ゴーレム!」

「お、おおー!?」

「これは……土の人形!?」

 

 盛り上がる二人の前に、土の人形――ゴーレムが現れる。

 なるほど、錬金術が結構発展してるみたいだけど、ああいうこともできるんだな。

 まぁアルケ・ミスト自体が一種のゴーレムみたいなものらしいし、できるのは当然なんだろうが。

 

「んじゃ、こっちも行くぜ、クロー!」

「足を引っ張るなよ、ネッカ!」

「そっちこそ!」

 

 んで、ネッカとクローもスチームボードを構える。

 郷に入っては郷に従え、二人はこっちの世界のボードを使うことにしたようだ。

 俺も使ってみたいんだがなぁ、スチームボード。

 エレアが店長だけはイグニスボードの方が映えますって言って聞かないもんだから……。

 

 

「イグニッション!」

 

 

 おっと、どうやらファイトが始まるようだ。

 ネッカとクローの異世界初陣、見せてもらおうかな。




ネッカ蒸気世界編の導入みたいなお話。
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