カードゲームで世界が滅ぶ世界に転生してカードショップを開店したら、周囲から前作主人公だと思われている   作:暁刀魚

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255 とりあえず世界を救ってみよう ①

 さて、色々とあったもののなんとなく終焉カードについては解ってきた。

 要点だけ纏めると、終焉カードとは未だ人がモンスターである世界。

 「種火の時代」を送っている世界にやって来る試練のようなもの。

 敗北すれば世界は終焉を迎え、人々はカードにされてしまう。

 ただし撃退自体は不可能ではなく、撃退できればもう一度その世界へやってくることはない。

 後、たとえ終焉を迎えてもその後に世界を再生することは可能。

 再生さえしてしまえば、カードになってしまった人も元に戻るそうだ。

 なので絢爛世界に関しては、色々と解決法が見えてきた感じだな。

 

 まぁ、どうやって再生するかとかは、今後考えるとして。

 問題は蒸気世界の方だ。

 ファイター仙人いわく。

 

『滅んだ後の世界を再生させた例はあるが、滅んでいる最中に停止した世界については前例がない。儂にも流石にそっちはどうにもならんぞ』

 

 とのこと。

 つまり、蒸気世界の方は解決策が一切見えてこないということだ。

 

『住人を退去させてから、一回滅ぼしちゃう?』

 

 と、ぶっちゃけたキアの意見も飛んできたが、まぁそれに関しては保留だな。

 正直、現状ではそれが一番ベターな選択ではあると思う。

 住人の退去自体は最初から計画されて、今も進められてるわけだし。

 それに乗っかれば問題はないわけだ。

 加えて、絢爛世界を再生することができれば同じ方法を蒸気世界にも使えるはず。

 なのだが……

 

『でも、一回滅ぼすのってやっぱり印象悪いよねぇ』

「可能なら、滅ぼすことなく終焉を防ぎたいよな」

 

 なんというかこう、そこはかとなく負けた気がするし、避けたい。

 ただまぁ、順序というのは大事だ。

 時間はまだあることだし、優先順位も見えてくる。

 

『気をつけるべきは、一度世界の終焉を停止させたことで起きる不測の事態じゃ。お前さんがいれば問題はないじゃろうが』

 

 と、最終的にファイター仙人はそう締めくくった。

 これは実際、俺も同意見。

 ファイター仙人ですら想定外の事態なのだ、終焉を停止させるということは。

 ただ、これは必ずしも悪いこととはいえない。

 仙人ですら予測できないなにかが、悪いこととは限らないからだ。

 一見悪いことでも、上手く利用すればいいことに転じる可能性だってある。

 ようは、やりようだな。

 

 何にせよ、優先順位はこうだ。

 まず、絢爛世界を救い出す。

 向こうにはハクさんのご両親やルインさんもいる。

 特にルインさんは、相当に破天荒であり、世界が滅ぶような事態に対するスペシャリストでもある。

 想定をしていないような発想をもたらしてくれるかもしれない。

 加えて、絢爛世界を救ったノウハウは絶対に蒸気世界でも活きるはずだ。

 

 それと同時に、蒸気世界の終焉に関する調査。

 モリアーティがいたことで、終焉に関する調査は遅れていた。

 今ならじっくり、クルタナとかを観察したりできるだろう。

 今度、足を運んでみるつもりだ。

 

 で、その前にとりあえず。

 ダメ元でやってみたいことがある。

 それは簡単にいうと――

 

 

「世界を終焉にもたらすカードが存在するなら、世界を再生するカードも作れないか?」

 

 

 という俺の思いつきだった。

 エレアがチョップを三回くらいしてきた。

 今はそれを、改めて話している。

 カードを作るには、ファイトエナジーが必須。

 ファイトエナジーを作るには、ファイトが必須。

 というわけで俺は、ファイトをしながらカードを作ろうと考えたのだ。

 

 相手の候補は、複数いる。

 ショルメさんや蒸気騎士団の人たち。

 ヤトちゃんとハクさんの姉妹。

 それから――

 

「……無茶だ……絶対に無茶だ……できるわけがない……!」

 

 今、俺の眼の前で頭を抱えているレンさんだ。

 候補の中から、俺はレンさんを選んでファイトを頼んだ。

 理由はいくつかある。

 一つは候補の中で、レンさんだけが自力でカードを生成した経験があるから。

 実力的にもトップクラスで、集まるファイトエナジーも多い。

 それに――

 

「そう言わないで、レンさん。これはレンさんにとってもチャンスだと思うんだ」

「むううう、わかってはいる、わかってはいるがあああ……!」

「ここ最近のレンさんは、少しずつファイトが噛み合ってきてる。その理由を探して、いつでも全力を出せるようにする……その第一歩にできればと思うんだけど」

「わかっているがああああ!」

 

 とはいえ、レンさんは頭を抱えていた。

 なんというかこう、カードを作るという行為に対して忌避感があるのだろう。

 しかし、レンさんが殻を破って「ぐえー」しなくなるためにも、このファイトは重要だと思う。

 

「カードを作るのは俺だ、レンさんはレンさんの問題に全力投球してもらえればいいよ。それに、今回は正直カード生成の方は成功する見込みは薄いからね」

「むう……そうなのか?」

「解決策もなにもないのに、”なんとかなれ”としか願わず神に祈るようなものだ。それで解決したらエージェントはいらないよ」

「そうか……いや…………そうかぁ?」

 

 そこは悩むところじゃないんじゃないかな!?

 まさかそれで解決するとは、流石にレンさんも思わないでしょ!?

 

「……そうかなぁ」

「口調が崩れるレベルで疑問に思ってらっしゃる!?」

 

 流石にそれはひどくない!?

 俺だってそこまでの理不尽は…………多分してないよ!?

 自覚がない部分は除く!

 

「うーむ、考え方を変えるべきか。あくまで目的は我のぐえー対策。そのついでになんか上手くいったらいいな、くらいの気分を乗せる……と」

「そうそうそんな感じ。一応、今できる最善を尽くすけどね?」

 

 具体的には、ファイトする場所と時間を工夫するとか。

 今、俺達が入るのは火札世界のデュエリストだ。

 時刻は九時前、この場に居るのは俺とレンさんのみ。

 これがどういうことかと言えば、よっぽどのことがない限り()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 そうすると、火札世界でファイトエナジーをタメてから蒸気世界へ移動できるわけだ。

 そのまま二つの世界のエナジーをかけ合わせて、なんかできたらいいなぁと俺は思っている。

 

 まぁ、完全に希望的観測だけど。

 後訂正、二階で今日は非番のエレアが寝てる。

 さっきちょっと見てきたけど、それはもうぐっすりでいらっしゃる。

 自分で決めた時間になれば起きてくるところは変わってないけど。

 寝てる最中に殆ど動かないクセはなくなったなぁ。

 これもいいこと、だと思おう。

 

「人は変わっていくものだ。その中で、レンさんも変化の時を迎えつつある。このファイトをそういうファイトにしよう」

「天の民……いやまて、天の民のことだ、今瞳の民のことを考えていただろう! あのぐーたらから我の変化を連想しただろう!」

「カ、カンガエテナイヨ?」

「天の民ー!」

 

 ダメだって、あんまりうるさくしちゃダメだって!

 グラグラさせちゃダメだって!

 まぁ流石に、ラブコメじゃないのでここからバランスを崩して押し倒したりとかしないけど。

 というかレンさん相手にそれはまずいって!

 

「むううううう、まあいい。天の民の言葉にも一理あることは確か」

「それじゃあ、やってくれるかい?」

「それに、この”業”は我が背負ってしまったものだ。夜刀神や白月には背負わせられん」

 

 今、カード生成を業って言った?

 

「往くぞ天の民! 我はここで貴様に勝利し、ぐえーを止める!」

「非常に端的な言葉だけど、もっとカッコつけていいんじゃないかな!?」

 

 中二病がなくぞ!

 

「ふっ……我こそは大地の守護者! 翠蓮にしてレン! これより天より我に理不尽を押し付ける、最強にして最恐の使者を討つ!」

「カッコつけてるような……なんかズレてるような……」

「ズレているのは貴様だ、いい加減自覚しろ!」

 

 ええい、とにかく俺とレンさんはファイトを始めるべくフィールドに立つ。

 

 

「イグニッションだ!」

 

 

 高らかな宣言と共に、ファイトが始まった。




流石に無理だと思うけど、店長が店長である限りとりあえずやってみないと行けないみたいな回
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