カードゲームで世界が滅ぶ世界に転生してカードショップを開店したら、周囲から前作主人公だと思われている   作:暁刀魚

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288 霧の都の大決闘! 店長対ヤト ①

 俺とヤトちゃんがファイトを行う。

 終焉にアクセスするためのエネルギーを生み出す戦いだ。

 クルタナが修復されれば、少しずつ終焉はこの世界から消えていくだろう。

 その前に、俺達はこの世界に溜まった終焉の力を利用して向こう側にアクセスしなければならない。

 そのためには、ヤトちゃんとのファイトが必須であり、ファイトエナジーも多く集める必要がある。

 だからこそ、俺達のファイトは蒸気世界中に中継されないといけないのだ。

 先日のショルメさんとヤトちゃんのファイトは、その実証実験でもあった。

 

 加えて今回は、火札世界にもこのファイトを中継している。

 火札世界の人間には、状況がさっぱりだろうが。

 俺もヤトちゃんもショップ対抗戦でそこそこ知名度を稼いでいる。

 ファイトエナジーの足しにはなるだろう。

 

 かくして、多くの人々が見守る中、俺とヤトちゃんのファイトは始まろうとしていた。

 俺達がボードを構えた瞬間、転移が発生する。

 クルタナの前は狭いからな。

 ビッグベンの入口。

 蒸気世界の中央広場、俺達が初めてショルメさんに案内された場所へ戻ってきたのだ。

 

「戻ってきたぞ」

「思ったより終わるのが早いですね」

「……まさか、なにかやったのか? あの店長」

 

 レンさん、ハクさん、そしてショルメさんが俺達を迎えてくれる。

 ショルメさんの推理が俺の蛮行を暴こうとしているので、それより先にファイトを始めてしまおう。

 

「こうして、真面目なファイトをするのはいつ以来かな」

「案外、私と店長が何かをかけて大事なファイトをする機会って、これが初めてかもしれないわね」

 

 真面目なファイト、という括りであれば。

 俺とヤトちゃんが初めて出会ったときのファイトは間違いなく真面目なファイトだ。

 だとしたら、これが二回目か。

 

「あの時は、実力を出し切った上で全然貴方に届かなかった」

「まぁ、こればっかりはそうかもね」

「ええ……でも、今の私は違う。あの頃とは段違いに強くなったわ」

 

 かつてのヤトちゃんだって、決して弱くはなかった。

 あの頃のヤトちゃんが、俺に勝つ展開だって可能性としてはあるだろう。

 でも、今のヤトちゃんは、見違えたという他ない。

 今のヤトちゃんは、それくらい成長している。

 

「だからこそ、今こうしてそれを店長にぶつけられることが嬉しいの」

「俺も、先達として、店長として。冥利に尽きるよ」

「そう言ってもらえると嬉しいわ。――だから!」

「……!」

 

 ヤトちゃんの雰囲気が変わる。

 笑みを浮かべ、挑戦的にこちらを見ている。

 自分は強いという絶対の自信。

 強者の風格だ!

 

「貴方が推してくれたことへの恩! 私の勝利という形で返すわ!」

「むしろそれをはねのけることで、ヤトちゃんへの激励に代えさせてもらおう!」

 

 さぁ、こちらもそれに返すぞ。

 強くあれ、先達であれ、()()()()()

 この恩返しファイトを、最高のものへと変えるのだ!

 

 

「イグニッション!」

 

 

 二人の声が完全に一致して。

 俺達のファイトが始まる。

 

 

 □□□□□

 

 

 最初のターン、俺の先鋒は当然<ロード・ミカエル>だ。

 <ゴッド・デクラレイション>を含む二枚のカウンターエフェクトをセッティングして、ターンを終える。

 

「なんというか……これは問いかけね。提示された課題を、如何に乗り越えるか」

「何度だって、誰にだって問いかけるさ。<ロード・ミカエル>は俺のフェイバリット、それに後ろで構えるカウンターもな」

「なら、私はこう返させてもらう!」

 

 ヤトちゃんのターン。

 カードをドローしながら、ヤトちゃんは最初の一手を打つ。

 

「カウンターエフェクト! <ハート・ファントムシーフ>!」

「いきなりそれか!」

「別に、無効にしてもいいのよ?」

 

 ある意味で、最も王道な選択だ。

 汎用カードには汎用カードをぶつける。

 特に俺みたいな妨害系の汎用カードを使用する場合、お互いが対消滅するような形になることも多い。

 

「……いいや、しないさ! 持っていくといい。怪盗ヤト!」

「へえ、じゃあありがたく。……私はカウンターエフェクト<蒸気大暴走>を発動。自分フィールドのモンスターを破壊」

 

 これはコストとしての破壊だ。

 故に<ゴッド・デクラレイション>では防げない。

 <ロード・ミカエル>のエフェクトが使われてしまう。

 

「そして、相手フィールドのカード二枚を破壊!」

「それを防がせてもらおう! <ゴッド・デクラレイション>!」

「さて、本当にこれが正解だったのかしら? <ロード・ミカエル>はデッキ一番上のカードをセメタリーに送ることで破壊を免れるわ」

 

 結果として、俺はここで<ゴッド・デクラレイション>を使用する。

 一見その判断は間違っているように思えるが……

 

「私はセメタリーに送られた<蒸気騎士団 剣客文豪ナツメ>のエフェクトを使用。相手モンスター一体を手札に戻す」

「だが、戻せるモンスターはいないな」

「ここは使用できなくても問題ないわ、本題はその後。このモンスターをサモンする!」

 

 かくして、現れるのはナツメさんだ。

 

『早速某の出番か。有効に活用してくれよ?』

「もうした! 私は<ナツメ>と<ロード・ミカエル>を素材にモンスターを呼び出す! このとき、<ナツメ>はデッキに戻る!」

 

 ナツメさんのエフェクトは、手札、デッキ、フィールド、どこからでもいいのでセメタリーに送ると相手のモンスターをバウンスしつつ蘇生してくるというものだ。

 その後はデッキに戻ってしまうが、単体で非常に強力なモンスターである。

 もしも<ゴッド・デクラレイション>を発動していなかったら、ヤトちゃんは何かしらのエフェクトのコストでナツメさんをセメタリーに送っていただろう。

 

『うむ、いいだろう。次に呼び出すのは……あの御方か』

「ええ! 貴方をここにつなげるわ! <蒸気騎士団 獅子心王リチャード>!」

 

 ナツメさんと<ロード・ミカエル>が素材となり、新たなモンスターがサモンされる。

 今はない<ドリーマーナイツ・アリアン>を除けば、ヤトちゃんの最も古いエースモンスターだ。

 

「さっそくで悪いけど、働いてもらうわよ」

『ははははは! 人使いが荒いな! だが、承った! いざ参らん我が愛機!』

 

 サモンされた<獅子心王リチャード>、その中のライオ王子が高らかに笑いながらこちらに向かってくる。

 バトルだ!

 

「俺は、カウンターエフェクト<古式の帰還(エンシェント・リボーン)>を発動! セメタリーから<ロード・ミカエル>をサモン!」

 

 ナツメさんのエフェクトで<ロード・ミカエル>が手札に戻っていたら、このカウンターエフェクトは使えなかった。

 結果、俺は<ミカエル>の破壊耐性で<獅子心王リチャード>の攻撃を対処する。

 ヤトちゃんがカウンターエフェクトをセッティングして、ターンは終わった。

 

「俺のターンだ。ドロー!」

 

 反撃開始だ。

 俺はモンスターを展開、最初に呼び出すのは――

 

「来い! <極大古式聖天使 メガブラスター・ウリエル>! サモン時に、フィールドのカード全てをデッキに戻す!」

「<獅子心王リチャード>はセメタリーに『蒸気騎士団』を送ることでそのエフェクトを受けない!」

「続けていくぞ!」

 

 俺はその後、更に<ロード・ミカエル>を素材に<極大古式聖天使 バースデイバース・ガブリエル>をサモン。

 そして、これだけでは止まらない。

 

「三体目、<極大古式聖天使 ハイエクシード・ラファエル>!」

「<ラファエル>……<ミカエル>を蘇生するつもりね」

「ああ、そして呼び出した<ロード・ミカエル>を再び素材に――」

 

 かくして、俺の盤面は完成する。

 

 

「来い! <極大古式聖天使 アークロード・ミカエル>!」

 

 

 俺のエース足る四大天使が、進化形態でフィールドに降臨した。

 さぁヤトちゃん、君はこれをどう捌く!?

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