カードゲームで世界が滅ぶ世界に転生してカードショップを開店したら、周囲から前作主人公だと思われている   作:暁刀魚

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290 霧の都の大決闘! 店長対ヤト ③

 <エンシェント・アリアン>と<エクス・メタトロン>。

 互いに、相手のカウンターエフェクトとサモンを無効にするモンスター。

 バトル時の効果はそれぞれ受け身な<アリアン>と攻撃的な<メタトロン>で異なっているが、類似性がある。

 俺がハクさんに渡したものが、巡り巡ってヤトちゃんの元へ。

 そして、今の<エンシェント・アリアン>に至ったカードだ。

 

「バトル時に、カウンターエフェクト<蒸気騎士団の支援(パンクナイツ・サポート)>を発動! セメタリーの『蒸気騎士団』モンスター一体の攻撃力をフィールドのモンスターに加算! 更に一枚ドロー!」

「対象とするのは……」

「当然、<獅子心王リチャード>よ。これで<アリアン>は<エクス・メタトロン>の攻撃力を大きく上回る!」

 

 <アリアン>と<メタトロン>の攻撃力は同一。

 そこに<メタトロン>は自身のエフェクトで攻撃力をアップできるが、<獅子心王リチャード>の攻撃力を加算した<アリアン>の前では焼け石に水だ。

 横に並べるモンスターを増やしても届かない。

 だったら――

 

「まずは<メタトロン>のエフェクトで自身の攻撃力をアップ!」

「当然、それだけだと<アリアン>には届かないわ!」

「続けて、カウンターエフェクト<スリーカウント・デストラクションアップ>!」

 

 デッキの上から三枚めくり、その中のモンスターの数だけ打点を上げるカードだ。

 類似カードに<ファイブカウント・ビルドアップ>があるが、それと比べると上昇する攻撃力が高い。

 ただし――

 

「この攻撃力上昇で、自身のもともとの攻撃力を上昇量が上回った場合、攻撃力を上昇させたモンスターはこのターンの終了時セメタリーに送られる」

「<メタトロン>が<アリアン>の攻撃力を上回るには二枚のモンスターカードが必要」

「ただし、三枚めくってしまうとターン終了時にセメタリー行きだ」

 

 というわけで、俺はデッキをめくっていく。

 一枚目、モンスター。

 二枚目、モンスター。

 ――よし、ここまでは順調だ。

 

「これで、<メタトロン>は<アリアン>を上回った」

「……まだ三枚目があるわ!」

「解ってるさ。三枚目――っく! モンスター!」

 

 結果、メタトロンがセメタリーに送られてしまう。

 その時、地面に穴が空いた。

 

「店長って、こういうデッキトップめくるエフェクトの勝率悪いですよね!」

「こらエレア! セメタリーから顔を出すんじゃありません!」

「エレアってどういう生態してるのか、たまにわからなくなるわよね」

 

 にゅっと現れたエレアをセメタリー兼自宅に戻しつつ。

 俺は気を取り直して<メタトロン>の攻撃力を上げた。

 

「とはいえ、大きなダメージにはなるだろう。行け! <メタトロン>!」

「<アリアン>は1ターンに1度、戦闘では破壊されない!」

「だが、ダメージは受けてもらう!」

 

 ここまでの戦闘で、最も大きなダメージだ。

 一気にヤトちゃんのライフが減る。

 とはいえ三桁を割るほどじゃない。

 鉄壁になると大変だからな。

 

「……はぁ、はぁ。結果的に耐えることしかできなかったけど、<メタトロン>はしのぎ切ったわよ」

「おっと。それはどうかな? 俺は<古式からの新生>を発動!」

「……最終的にはそれか!」

 

 フィールドの『古式聖天使』をセメタリーに送り、別の『古式聖天使』をサモンするカードだ。

 呼び出すのは――

 

「このカードによるサモンは条件を無視できる。さぁ、俺も君を呼び出させてもらおう!」

「……っ! まさか!」

「<大古式聖天使 コンダクター・ヤト>!」

 

 現れるのは、『古式聖天使』のヤトちゃんだ。

 二人のヤトちゃんが、フィールドで向かい合う。

 

「話には聞いてたけど、本当に『古式聖天使』の私がいるのね」

「その攻撃力はセメタリーの最も攻撃力の高いモンスターとおなじになる。<エクス・メタトロン>の攻撃力だ」

「……<アリアン>の攻撃力は、先程の戦闘でもとに戻ってるわ」

「<コンダクター・ヤト>で<エンシェント・アリアン>を攻撃!」

 

 かくして、<エンシェント・アリアン>は戦闘破壊される。

 本来なら同時に<コンダクター・ヤト>も破壊されるが――

 

「俺は手札の<古式聖天使 カロル>のエフェクトを発動、自身をセメタリーに送ることで『古式聖天使』の攻撃力を上げるぞ」

「……っく、見事にやられちゃったわね」

 

 とはいえコレでターンエンド、ここからはヤトちゃんのターンだ。

 

「私のターン! たしか、<コンダクター・ヤト>はファイト中に一度だけ、セメタリーの使用していないカウンターエフェクトを一枚使用できるんだっけ」

「そうだな」

「そして店長のセメタリーには、未使用の<ゴッド・デクラレイション>がある。となると――」

 

 通常の方法でモンスターをサモン、もしくはカウンターエフェクトを使用しても無効化されてしまう。

 工夫が必要だ。

 

「私は、手札の<蒸気騎士団 探偵ショルメ>のエフェクトを発動、フィールドにモンスターが存在しない時、このモンスターは自身のエフェクトでサモンできる!」

『やれやれ、ようやくボクの出番というわけか』

「待たせたわね! 私はデッキから『蒸気騎士団』カードを一枚手札に! 加えるのは<蒸気騎士団 錬金術師ジョン>よ! そのままサモン!」

『儂もか、忙しいの』

 

 ショルメさんとジョンさん。

 これで、現行の蒸気騎士団は全員ヤトちゃんに”喚ばれ”たか。

 とはいえ、問題はここからだ。

 

「俺は<コンダクター・ヤト>のエフェクトを使用しない」

「なら、<錬金術師ジョン>のエフェクト! 手札から――」

 

 ……来るか。

 

 

「行くわよ! <蒸気騎士団 怪盗ヤト>!」

 

 

 ヤトちゃん自身も、サモンされる。

 手札にいたということは、ジョンさんを<ゴッド・デクラレイション>でセメタリーに送っていたら、<怪盗ヤト>のサモン条件を満たされていたな。

 ともあれ。

 

「バトルよ! <蒸気騎士団 怪盗ヤト>で<コンダクター・ヤト>を攻撃!」

「その攻撃力で、どうやって<コンダクター・ヤト>を突破するつもりかな!」

「こうするのよ! <怪盗ヤト>のエフェクトでセメタリーの――<仮面ハク>のエフェクトをコピー!」

 

 <仮面ハク>のエフェクトは……打点上昇。

 更に、<怪盗ヤト>はコピーした『蒸気騎士団』の攻撃力を自身に加える。

 ということは――

 

「攻撃力は、これで二重に強化されるわ!」

「<コンダクター・ヤト>を上回ってきたか!」

 

 このままでは、<ショルメ>と<ジョン>の攻撃を受けて俺は負けてしまう。

 だったら――

 

「いよいよ、このカードを使う時が来たみたいだな」

「……何をするつもり?」

「時は来た、今こそ俺達の力で、この世界の終焉を束ねその根源へと至る!」

「……まさか」

 

 そう、俺はここで<コンダクター・ヤト>のエフェクトを使う。

 セメタリーに存在する、このファイト中に未使用のカウンターエフェクトを使用するのだ。

 

「俺は――<終焉覚醒>を発動!」

「いつのまに……!」

「<バースデイバース・ガブリエル>のコストだよ」

 

 <終焉覚醒>。

 モンスターを終焉へと近づけるカード。

 終焉の根源にアクセスする上で、このカードは欠かせない。

 

「……そういうことなら、念の為ここで使いましょうか! <パンキッシュ・ショータイム>!」

「いいね、そういうことなら……」

 

 <終焉覚醒>で新たにサモンされるモンスターを警戒して、ヤトちゃんは自身の最終エースを呼び出すことにしたようだ。

 結果として、<怪盗ヤト>と<コンダクター・ヤト>は同時に進化することとなる。

 さぁ、これが最後の攻防になるだろう。

 

 

進化(パンキッシュ)! <無双の蒸気騎士団(パンクナイツ・パンキッシュ) 怪盗ヤト-マエストロ->!」

「終焉へと至れ! <極大古式聖天使 コンダクター・ヤト -D・E・M->!」

 

 

 終焉と進化の戦いだ。

 最後まで楽しんでいくとしよう!

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