カードゲームで世界が滅ぶ世界に転生してカードショップを開店したら、周囲から前作主人公だと思われている 作:暁刀魚
<エンシェント・アリアン>と<エクス・メタトロン>。
互いに、相手のカウンターエフェクトとサモンを無効にするモンスター。
バトル時の効果はそれぞれ受け身な<アリアン>と攻撃的な<メタトロン>で異なっているが、類似性がある。
俺がハクさんに渡したものが、巡り巡ってヤトちゃんの元へ。
そして、今の<エンシェント・アリアン>に至ったカードだ。
「バトル時に、カウンターエフェクト<
「対象とするのは……」
「当然、<獅子心王リチャード>よ。これで<アリアン>は<エクス・メタトロン>の攻撃力を大きく上回る!」
<アリアン>と<メタトロン>の攻撃力は同一。
そこに<メタトロン>は自身のエフェクトで攻撃力をアップできるが、<獅子心王リチャード>の攻撃力を加算した<アリアン>の前では焼け石に水だ。
横に並べるモンスターを増やしても届かない。
だったら――
「まずは<メタトロン>のエフェクトで自身の攻撃力をアップ!」
「当然、それだけだと<アリアン>には届かないわ!」
「続けて、カウンターエフェクト<スリーカウント・デストラクションアップ>!」
デッキの上から三枚めくり、その中のモンスターの数だけ打点を上げるカードだ。
類似カードに<ファイブカウント・ビルドアップ>があるが、それと比べると上昇する攻撃力が高い。
ただし――
「この攻撃力上昇で、自身のもともとの攻撃力を上昇量が上回った場合、攻撃力を上昇させたモンスターはこのターンの終了時セメタリーに送られる」
「<メタトロン>が<アリアン>の攻撃力を上回るには二枚のモンスターカードが必要」
「ただし、三枚めくってしまうとターン終了時にセメタリー行きだ」
というわけで、俺はデッキをめくっていく。
一枚目、モンスター。
二枚目、モンスター。
――よし、ここまでは順調だ。
「これで、<メタトロン>は<アリアン>を上回った」
「……まだ三枚目があるわ!」
「解ってるさ。三枚目――っく! モンスター!」
結果、メタトロンがセメタリーに送られてしまう。
その時、地面に穴が空いた。
「店長って、こういうデッキトップめくるエフェクトの勝率悪いですよね!」
「こらエレア! セメタリーから顔を出すんじゃありません!」
「エレアってどういう生態してるのか、たまにわからなくなるわよね」
にゅっと現れたエレアをセメタリー兼自宅に戻しつつ。
俺は気を取り直して<メタトロン>の攻撃力を上げた。
「とはいえ、大きなダメージにはなるだろう。行け! <メタトロン>!」
「<アリアン>は1ターンに1度、戦闘では破壊されない!」
「だが、ダメージは受けてもらう!」
ここまでの戦闘で、最も大きなダメージだ。
一気にヤトちゃんのライフが減る。
とはいえ三桁を割るほどじゃない。
鉄壁になると大変だからな。
「……はぁ、はぁ。結果的に耐えることしかできなかったけど、<メタトロン>はしのぎ切ったわよ」
「おっと。それはどうかな? 俺は<古式からの新生>を発動!」
「……最終的にはそれか!」
フィールドの『古式聖天使』をセメタリーに送り、別の『古式聖天使』をサモンするカードだ。
呼び出すのは――
「このカードによるサモンは条件を無視できる。さぁ、俺も君を呼び出させてもらおう!」
「……っ! まさか!」
「<大古式聖天使 コンダクター・ヤト>!」
現れるのは、『古式聖天使』のヤトちゃんだ。
二人のヤトちゃんが、フィールドで向かい合う。
「話には聞いてたけど、本当に『古式聖天使』の私がいるのね」
「その攻撃力はセメタリーの最も攻撃力の高いモンスターとおなじになる。<エクス・メタトロン>の攻撃力だ」
「……<アリアン>の攻撃力は、先程の戦闘でもとに戻ってるわ」
「<コンダクター・ヤト>で<エンシェント・アリアン>を攻撃!」
かくして、<エンシェント・アリアン>は戦闘破壊される。
本来なら同時に<コンダクター・ヤト>も破壊されるが――
「俺は手札の<古式聖天使 カロル>のエフェクトを発動、自身をセメタリーに送ることで『古式聖天使』の攻撃力を上げるぞ」
「……っく、見事にやられちゃったわね」
とはいえコレでターンエンド、ここからはヤトちゃんのターンだ。
「私のターン! たしか、<コンダクター・ヤト>はファイト中に一度だけ、セメタリーの使用していないカウンターエフェクトを一枚使用できるんだっけ」
「そうだな」
「そして店長のセメタリーには、未使用の<ゴッド・デクラレイション>がある。となると――」
通常の方法でモンスターをサモン、もしくはカウンターエフェクトを使用しても無効化されてしまう。
工夫が必要だ。
「私は、手札の<蒸気騎士団 探偵ショルメ>のエフェクトを発動、フィールドにモンスターが存在しない時、このモンスターは自身のエフェクトでサモンできる!」
『やれやれ、ようやくボクの出番というわけか』
「待たせたわね! 私はデッキから『蒸気騎士団』カードを一枚手札に! 加えるのは<蒸気騎士団 錬金術師ジョン>よ! そのままサモン!」
『儂もか、忙しいの』
ショルメさんとジョンさん。
これで、現行の蒸気騎士団は全員ヤトちゃんに”喚ばれ”たか。
とはいえ、問題はここからだ。
「俺は<コンダクター・ヤト>のエフェクトを使用しない」
「なら、<錬金術師ジョン>のエフェクト! 手札から――」
……来るか。
「行くわよ! <蒸気騎士団 怪盗ヤト>!」
ヤトちゃん自身も、サモンされる。
手札にいたということは、ジョンさんを<ゴッド・デクラレイション>でセメタリーに送っていたら、<怪盗ヤト>のサモン条件を満たされていたな。
ともあれ。
「バトルよ! <蒸気騎士団 怪盗ヤト>で<コンダクター・ヤト>を攻撃!」
「その攻撃力で、どうやって<コンダクター・ヤト>を突破するつもりかな!」
「こうするのよ! <怪盗ヤト>のエフェクトでセメタリーの――<仮面ハク>のエフェクトをコピー!」
<仮面ハク>のエフェクトは……打点上昇。
更に、<怪盗ヤト>はコピーした『蒸気騎士団』の攻撃力を自身に加える。
ということは――
「攻撃力は、これで二重に強化されるわ!」
「<コンダクター・ヤト>を上回ってきたか!」
このままでは、<ショルメ>と<ジョン>の攻撃を受けて俺は負けてしまう。
だったら――
「いよいよ、このカードを使う時が来たみたいだな」
「……何をするつもり?」
「時は来た、今こそ俺達の力で、この世界の終焉を束ねその根源へと至る!」
「……まさか」
そう、俺はここで<コンダクター・ヤト>のエフェクトを使う。
セメタリーに存在する、このファイト中に未使用のカウンターエフェクトを使用するのだ。
「俺は――<終焉覚醒>を発動!」
「いつのまに……!」
「<バースデイバース・ガブリエル>のコストだよ」
<終焉覚醒>。
モンスターを終焉へと近づけるカード。
終焉の根源にアクセスする上で、このカードは欠かせない。
「……そういうことなら、念の為ここで使いましょうか! <パンキッシュ・ショータイム>!」
「いいね、そういうことなら……」
<終焉覚醒>で新たにサモンされるモンスターを警戒して、ヤトちゃんは自身の最終エースを呼び出すことにしたようだ。
結果として、<怪盗ヤト>と<コンダクター・ヤト>は同時に進化することとなる。
さぁ、これが最後の攻防になるだろう。
「
「終焉へと至れ! <極大古式聖天使 コンダクター・ヤト -D・E・M->!」
終焉と進化の戦いだ。
最後まで楽しんでいくとしよう!