カードゲームで世界が滅ぶ世界に転生してカードショップを開店したら、周囲から前作主人公だと思われている   作:暁刀魚

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319 思わぬ所で頂上決戦! ミチル対ダイア! ①

 現在、俺とエレアは衆人環視の下、座布団の上で正座させられていた。

 なんというか、そこまで反省する必要はないけど反省するポーズは取れという圧を感じる。

 主にレンさんから。

 

「まず、この度は、突然異世界へ転移し、皆様に御迷惑をおかけしてしまい、誠に申し訳ございませんでした!」

「でした!」

 

 エレア、お前は本当に反省するつもりはあるのか?

 それにしても、衣装は着替えておいてよかった。

 アレで世界中の衆目に晒されたら、エレアが大変なことになってしまう。

 

「面をあげよ、許すー!」

「ははー!」

 

 ミチルがお許しを出して、エレアが反応して俺達は顔を上げる。

 さて、とりあえず謝罪が済んだ所で、一体これはどういう状況なんだ?

 

「二人が、何かシリアスな会話をして異世界に飛んじゃったでしょ」

「あー……」

「見た感じ、ママの冗談だったみたいだけど、私すっごく心配したんだから! ……どうしてパパも視線をそらすの?」

「ナンデモナイゾ」

 

 そもそもごまかすためにエレアを煽ったのは俺だからな。

 今回は珍しく、エレアだけの責任じゃないのだ。

 視線をそらし、ミチルの追求を交わす。

 あ、エレアと目があった。

 てれてれ。

 

「この夫婦ー! 向こうの世界で結局なんかあったでしょ、どこに行ってたの!?」

「わ、私の故郷です……」

「そりゃなんかあるね!」

 

 結果だけ見れば、ミチルの心配は杞憂でもなんでもない。

 本当にエレアは真面目な理由で、異世界に転移してしまったのだ。

 単純に、こっちの世界の人が迎えに行く前に俺達で事件を解決しちゃっただけで。

 

「まぁ、でも二人が帰ってこれたってことは、二人の間の問題は解決したってことだし、それはいいよ」

「あ、ああ……それで、この会場は何だってこんなに人が集まってるんだ?」

「それは俺が答えよう!」

 

 ずいっと、ダイアが顔を出す。

 思わず圧倒されながら話を聞くと、こうだ。

 

「二人がいなくなった後、ミチルくんとレンさん主導で、異世界への救出作戦が立案された。その中で、異世界への転移実験が行われることとなったのだ」

 

 しかしその転移実験には、かなりの危険が伴う。

 そこで――

 

「実験に参加できる人間は一人、それも異世界に転移しても何とか戻ってこれる実力のある人間だけだ!」

「そうして、最終候補になったのが私とダイア」

「どちらが実験の被験者になるかは、今からファイトで決めるところだった……と」

 

 うむ! とダイアは頷いた。

 ははぁ、なかなか大変なことになってらっしゃる。

 

「しかし、結局パパとママは帰ってきてしまった! これじゃあここまでのわたしたちの努力が水の泡!」

「……異世界転移実験ができるくらい、転移関係の技術が進んだなら、それはすごいことでは?」

「そうだねぇ。まだまだ限定的だけど、まさかこの時代にもう転移技術が発展するなんて」

 

 未来人みたいなことを言いおって。

 とはいえ、なんとなく話はわかった。

 

「つまり……このままファイトしないのは消化不良ってことだな」

「そういうことだな! さぁ、やろうぜミチルくん!」

「そうだね! さぁさぁどいたどいた、イチャコラ夫婦は観戦しながらイチャコラしててください!」

 

 イチャコラ夫婦て。

 まぁ、異世界で婚約してきたわけだから、間違ってはいないけどさ。

 というわけで俺達は、ジェット噴射座布団に載せられて観客席まで運ばれた。

 何だこの座布団。

 

『さて、色々と予定は狂ったが、皆のものが今日一番楽しみにしていたイベントが中止になるわけではなぁい!』

 

 そこでレンさんが再びマイクパフォーマンス。

 ダイアとミチルも、それぞれ所定の位置に戻った。

 いやはや、まさかこんな形でミチルとダイア――現在、俺を除けば世界で一番強いかもしれない二人のファイトが見れるなんて。

 正直、楽しみだ。

 

「さぁ、いくよ! イグニッション!」

「ああ、どこからでも来い! イグニッション!」

 

 かくして、思わぬところでの頂上決戦が始まった!

 

 

 □□□□□

 

 

「来て! <大古式聖天使 シスター・ミカエル>!」

 

 ミチルの先攻で始まったファイト。

 スタートは当然ながらミチルの<ミカエル>だ。

 とりあえずこいつを立ててターン渡せ、みたいなところあるよな。

 

「更に、私はカウンターエフェクトを()()セッティング! ターンエンド!」

 

 ……三枚?

 嫌な予感がするが……気のせいだよな?

 

「では、私のターン! まずは<心火の楽園 グランシオン>をデッキからセメタリーに送り、<グランシオン・バニシングフライ>をサモン!」

「おっと、それは通さないよ。――<ゴッド・デクラレイション>!」

 

 いつだったかのファイトを思い出す立ち上がり。

 あの時は観客がエレアだけだったが、今回はこれだけの観客の中だ。

 しかも、ファイトするのはミチルとダイア。

 

「……なんだか店長、今日はおとなしいですね?」

「俺を何だと思ってるんだ。普段なら、確かに俺もあの場に混ざりたいって考えるけど……今回はどっちも俺が思う最強ファイター同士の戦いだからな」

「自分が交ざるのは無粋だ、と」

「ワクワクが勝ってるんだよ。交ざりたい気持ちは当然ある」

 

 なんて話をしているうちに、ダイアはセメタリーから<心火の楽園 グランシオン>を自身のエフェクトで回収。

 そしてそれを――

 

「<心火の楽園>を発動!」

「――――させないよ」

 

 発動させようとしたその時、ミチルの気配が膨れ上がる。

 トップファイターとしての濃密な存在感。

 まさか、ミチルのヤツ――!

 

「<ゴッド・デクラレイション>!」

 

 二枚目の<ゴッド・デクラレイション>――!

 会場がどよめく。

 ミチルは本気だ。

 本気で、ダイアを圧倒しようとしている。

 

「これで、<心火の楽園>を回収する手段はなくなったかな?」

「はは、確かに二回も発動を無効にされてはな。しかし……! 私はまだノーマルサモンを行ってないぞ!」

 

 かくして、ダイアは手札からさらなる『グランシオン』モンスターをサモン。

 しかし、<心火の楽園>による展開補助がないと、ダイアは次のモンスターを呼び出すのにさらなるカードを使用してしまう。

 そもそも<心火の楽園>が存在しないと、ダイアのモンスターは出力が幾段落ちるのだ。

 無論、それでもダイアは――

 

「さぁ、未来の<ミカエル>に比肩しろ! 私の相棒、<グランシオン・ドラグバニシメント>!」

 

 <ドラグバニシメント>をサモンする。

 このモンスターは、フィールドに<心火の楽園>がない場合、デッキ、セメタリーからそれを手札に加えることができる。

 仮にここまで、<心火の楽園>が封殺されていたとしても、こいつで立て直しが可能だ。

 しかし――

 

「――やっぱり、最初の一手は<ドラグバニシメント>だったね」

「……何?」

 

 その瞬間。

 ミチルは笑みを浮かべた。

 

 

 壮絶な、強者の笑みを。

 

 

 ぞくり、と体が震える。

 ダイアの瞳が、膨れ上がったミチルの”強さ”に目を見開く。

 先ほどのミチルは、強者だった。

 ダイアに引けを取らないほどの。

 しかし、今のミチルは――

 

 これが、最強なのではないかと錯覚するほどに、強い。

 

「私は――」

 

 ()()()

 まずい、と俺は思わず身を乗り出す。

 そして、

 

 

()()()の<ゴッド・デクラレイション>を――発動!」

 

 

 ミチルは、三枚目のカウンターエフェクトを発動した。

 サモンされようとしていた<ドラグバニシメント>が消えていく。

 これで、ダイアのフィールドにモンスターはゼロ。

 

「これが、パパにもできなかった私の必殺技――」

 

 笑みを浮かべたまま、ミチルが宣言する。

 誰もが思う、強い――と。

 

「アルティメット・デクラレイションってところかな」

 

 そんな、青眼の究極竜みたいなことを。

 だが、その強さは本物だ。

 ここまでダイアを完封してみせるなんて。

 しかし――

 

「…………素晴らしいな、ミチルくんは」

「……はは、やった」

 

 ダイアは、まだ何も諦めてなんかいない。

 

「これが、全盛期のダイア……! やっと、貴方と戦える……!」

 

 そして、ミチルもまた。

 これは()()にすぎないのだ。

 ダイアという最強を目覚めさせるための。

 さぁ、ここからだ。

 ここからが、本物の頂上決戦の始まりだ――!

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