カードゲームで世界が滅ぶ世界に転生してカードショップを開店したら、周囲から前作主人公だと思われている   作:暁刀魚

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322 思わぬ所で頂上決戦! ミチル対ダイア! ④

 ある意味でそれは必然だったんだろう。

 世界に終焉をもたらすその力は、最終的に俺の出した答えによって役目を終える。

 そして、俺の子どもとして生まれ落ちるのだから。

 姉であるミチルが、その力を使いこなしても何らおかしくはないのだ。

 

 そうして現れたモンスター。

 <終焉の聖天使 メタトロン-デウス・エクス・マキナ->。

 この頂上決戦の締めくくりに相応しいモンスターだ。

 

「……思ったんですけど、カードトスってありますよね」

「あるな、どうしたんだ急に」

 

 カードトス。

 前にも言ったけれど、結婚式の締めくくりに行うファイトのことだ。

 おそらく、その対戦相手はミチルかダイアになるだろうというのが、俺達の推測。

 なんだけれども。

 

「もしかしても、もしかしなくても。このファイトの勝者が、カードトスの対戦相手になりますよね?」

「まぁ、運命力が傾くからなぁ。勝ったら間違いなく、この後俺とカードトスのファイトをするだろ」

「……勝てますか? 店長。<メタトロン>がない状態で、<メタトロン-デウス・エクス・マキナ->に」

 

 どうやら、エレアはそのカードトスでのことを危惧しているようだ。

 確かに、俺には現在<メタトロン>が存在しない。

 ミチルと俺のデッキで、根幹となるエースモンスターの存在は種類が異なるものの。

 最終的に<メタトロン>へと行き着くことは変わらないからな。

 しかも、加えて<メタトロン-デウス・エクス・マキナ->まで出てきたら。

 確かに、勝ち目は薄いだろう。

 

「まぁ、それについては色々と考えるさ。ただ一つ、エレアに訂正しなきゃいけないことがある」

「訂正……ですか?」

 

 ポン、とエレアの頭を撫でてから、俺はファイトに視線を向けて言った。

 

 

「このファイトで、ミチルが勝つと決まったわけじゃない」

 

 

 そう、まだファイトに決着はついていない。

 最後まで、その行方はわからないのだ。

 

 

 □□□□□

 

 

「――<デウス・ドラグバニシメント>のエフェクト! 相手モンスターがサモンされた時、相手フィールドのカードすべてをセメタリーに送る!」

「させないよ! <メタトロン-デウス・エクス・マキナ->がフィールドに存在する時、相手のフィールドのカードはエフェクトを発動できない!」

「やはり、そうなるか……!」

 

 この状況における、最大の焦点はやはり<メタトロン-デウス・エクス・マキナ->の無効化エフェクト。

 あらゆるエフェクトの発動を封じるなんていう、このとんでもないエフェクトはダイアにとって特効だ。

 なにせ、デッキの根幹である<心火の楽園>を無効化されてしまうのだから。

 

「さぁ、これが最後のバトルになるよ! <メタトロン-デウス・エクス・マキナ->で<デウス・ドラグバニシメント>を攻撃!」

「……そのモンスターには、こちらのモンスターの攻撃力を加えるエフェクトがあったな」

「そうだね。だからこの攻撃が終われば、私の勝ち!」

 

 一気に、<メタトロン-デウス・エクス・マキナ->の攻撃力が跳ね上がる。

 会場がどよめき、<デウス・ドラグバニシメント>へと攻撃が迫る。

 さぁ、これが最後の攻防だ。

 どうするダイア、お前が何の手も打てないなんてことはないよな!

 

 

「――それは、どうかな」

 

 

 ――無論、ダイアに手がないなんてことはない。

 当たり前だ、こいつはダイア。

 逢田トウマ。

 日本チャンピオンにして、俺がもっとも強いと信じる男――!

 

「カウンターエフェクト! <スリーカウント・デストラクションアップ>!」

「そのカウンターエフェクト……! でも、<メタトロン-デウス・エクス・マキナ->がいる限り、フィールドのカードはエフェクトを無効に――」

「それは、カードのエフェクトが()()()()()()()()()()()()()()!」

 

 そうだ、<メタトロン-デウス・エクス・マキナ->にだって欠点はある。

 普通、こいつがいる限りカウンターエフェクトは発動できないと思うだろう。

 だからこそ――!

 

「私は、手札の<グランシオン・デスティニーソード>をセメタリーに送り、エフェクトを発動! このモンスターは<デウス・ドラグバニシメント>が戦闘を行う時、手札からセメタリーに送り、フィールドのカードを一枚破壊する!」

「<メタトロン-デウス・エクス・マキナ->には、破壊耐性があるよ!」

「私が破壊するのは――<()()()()()()()()()()()()()()()()()()>!」

「――なっ!」

 

 そう、こうすることで<スリーカウント・デストラクションアップ>は破壊されセメタリーに送られる。

 その後、逆順処理で<スリーカウント・デストラクションアップ>のエフェクトが発揮されるのだ。

 このとき、フィールドにカードが存在しない以上、<メタトロン-デウス・エクス・マキナ->では無効化できない!

 

「では、改めて行くぞ! 私は<スリーカウント・デストラクションアップ>のエフェクトで、デッキから三枚カードをめくる! その中のモンスターの数だけ攻撃力を上昇させる!」

「ターン終了時にそのモンスターはセメタリーに送られる……けど」

「ここで決着をつければ、何ら問題はない……! 加えて<ディスティニーソード>はカードを破壊した時<デウス・ドラグバニシメント>の攻撃力を上げる!」

 

 これによって、条件は整った。

 ダイアが<メタトロン-デウス・エクス・マキナ->を上回るのに必要なモンスターの数は三体。

 デッキからめくったカードが、すべてモンスターならダイアの勝利だ。

 

「ふ、ふふ……そっか、そっか。すごいねダイアは。これが全盛期のダイアなんだ」

「そう言われると、少し照れるな」

「解った、カードをめくればいいよ。でもその前に、私も一つだけ手を打たせてもらおうかな」

「何?」

 

 この状況において、ミチルができることは少ない。

 だからこそ、ミチルもまた、自分のできる最大限のことをするのだ。

 

「カウンターエフェクト<エンシェント・スタートアップ>、このカードで、プレイヤーはカードを一枚ドローできる。<メタトロン-デウス・エクス・マキナ->は『極大古式聖天使』としても扱うから、発動条件は満たすよ」

「……まさか」

「知ってるみたいだね。不思議なことに、このカードってカードをドローできるプレイヤーを選択できるの。つまり――()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 非常に不思議なカードだが、これには色々と理由がある。

 これは俺が以前ネッカ少年とガチファイトを繰り広げた時、使用したカードなのだ。

 ネッカ少年のデッキじゃんけんを封じるために、何かいい感じのタイミングで使えたカード。

 あるよね、そういうカード。

 汎用としても使いやすいところが魅力である。

 

「だから、ダイアもドローしてよ! もしかしたら、それが私達の運命を変えるかもしれない!」

「……いいだろう、拒否できるカードはないからな」

 

 そうして、ダイアはデッキに手をかける。

 

「ドロー! 引いたカードは……<グランシオン・バニシングフライ>だ」

「それは『エンシェント』じゃないから、追加ドローはできないよ」

「ならば、<ディスティニーソード>で<スリーカウント・デストラクションアップ>を破壊し、その処理に移る!」

 

 結果として、ダイアはこれで四枚のモンスターをめくる必要が出てきた。

 ミチルの選択は、有効に働いたと言えるだろう。

 そのうえで、最後を決めるのはダイアのデッキにかかっている。

 

「……一枚目、モンスター!」

「……次は!」

「二枚目――モンスター!」

 

 ここまでは、ダイアもスムーズにモンスターを引き当てる。

 残る一枚は――果たして。

 

「……」

「……」

 

 観客が固唾をのんで見守る中、ダイアはデッキに手をかける。

 ミチルも、もはや余裕はない。

 汗を流しながら、ダイアを見ていた。

 

「三枚目!」

 

 そうして、引き抜いたカードは――

 

 

「…………<心火再熱>、モンスターではない!」

 

 

 かくして、状況は決定する。

 <デウス・ドラグバニシメント>は<メタトロン-デウス・エクス・マキナ->の攻撃力を上回ることができなかった。

 

「これで……! 決めろ! <メタトロン>!!」

 

 即座に、ミチルが<メタトロン>に指示を出す。

 <メタトロン>と<ドラグバニシメント>の壮絶な戦いは、最終的に<メタトロン>が<ドラグバニシメント>を破壊――

 

 

 ファイトは、ミチルの勝利で決着がついた。

 

 

 □□□□□

 

 

 観客たちが歓声を上げる。

 俺もエレアも、今はただ二人の戦いに拍手を送ることしかできない。

 そんな中でミチルは――

 

「…………勝った」

 

 どこか、信じられないような声で呟いた。

 なんとなくだが、解る気がする。

 こういった大観衆の中で、勝つか負けるか、ギリギリのファイトを繰り広げるというのはそれだけ大変なことだ。

 何より、アレだけ飄々としていたが、心の何処かでダイアに勝てるかわからないという気持ちもあったのだろう。

 

「まずは、おめでとうミチルくん。……だが、次は負けないぞ」

「……ふふ、そうだね。次も私が勝つよ、ダイア」

 

 そんなミチルに、ダイアは爽やかに声を掛ける。

 さすがはチャンピオン、こういうところは様になってるな。

 二人はそうして、がっしりと握手をする。

 さて、これで……ダイアとミチル、俺を除くとおそらくこの世界で現状最も強いファイター同士の戦いに決着がついた。

 だからこそ、次は――

 

 ミチル、お前と最後のファイトを、俺はすることになるんだな。

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