カードゲームで世界が滅ぶ世界に転生してカードショップを開店したら、周囲から前作主人公だと思われている   作:暁刀魚

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326 結婚式開催を目指して

 いよいよ、結婚式も間近に迫ってきた。

 プランもほとんど完成し――まぁ、99%考えたのはキアだけど――後は開催を待つだけ。

 普通なら、ここから開催に対して問題が発生することなんてそうそうないだろう。

 前世ならば。

 

 しかしここはカードゲームの世界。

 日刊世界の危機が当たり前の世界。

 問題は、思わぬところからやってくる。

 それも山程。

 

「大変です! シズ姉とアリスちゃんが乗った船が行方不明になりました!」

「レンねえがお仕事のために、お金持ちの所有する孤島に行ったら嵐でクローズドサークルになっちゃった!」

「ちょっと、ナギサがまた別の異世界に飛ばされちゃったんだって!」

 

 なんだってそんな立て続けに危機が頻発するんだよ!

 と思うものの、この世界ならこれくらい日常茶飯事だ。

 何故か天火市で事件が起きてないので、これでもまだおとなしいくらいである。

 最低でも週に一回は日曜朝みたいな事件が起きる街だからな。

 被害者は八割ネッカ少年。

 

「とりあえず一つずつ片付けていくぞ。まずナギサは放っておけ、なんだかんだアイツは強いからなんとかする」

「だよね。でも問題は蒸気世界支店の方だよ。ジャックちゃんとモリアーティだけじゃ回しきれないよ?」

「デビラスキング辺りを、臨時でこっちに貸してくれないか?」

「ナギサまで引き抜いておいて、デビキンまで引き抜きとか、ミツルにぃってば節操なし!」

 

 いや、そういう問題じゃないだろ。

 とはいえ、流石にキアの店も人手を貸せる程余裕はないみたいだ。

 とりあえずデュエリスト蒸気世界支店については、ショルメさんに話を持っていこう。

 ……ライオ王子が手を上げそうだなぁ。

 ちなみに、前に話題に出ていた俺達が離れた後、ナギサと一緒に店を切り盛りしていたのはモリアーティとジャックちゃんだ。

 大丈夫? と思うかもしれないが、今のモリアーティに終焉としての力は残っていないらしいので大丈夫だそうだ。

 まぁ、多分そのうちまたなにかやらかすけど、何とかなるだろうってくらいの大丈夫感。

 

「レンさんはアレだ、多分殺カード事件が発生するやつだな。まぁレンさんなら大丈夫だろ……」

「レンねえの探偵役、生で見たかったねぇ」

 

 殺カード事件、被害者がカードにされてしまう事件だ。

 この世界の人間は頑丈なので、ちょっとやそっとのことじゃ死なない。

 人によっては、なんか死んだはずなのに翌週には復活してくる。

 そうでなくとも、シーズン終わりには復活してしまう。

 なので殺すにはカードにするしかない。

 カードにしてしまえば、カードになっている間は死んだも同然。

 もとに戻すには犯人を見つけてトリックを暴き、ファイトに勝利しなくてはならない。

 

 十中八九、探偵役はレンさんだ。

 レンさんほどウチの常連で探偵役が似合う人はいないんじゃないか?

 次点でネッカ少年かな。

 目を輝かせて自分を指さしてるエレアは座っててくれ。

 俺? 俺はほら、そもそも事件に出くわさないから。

 

「それで、シズカさんとアリスさんの乗った船が行方不明、だったか」

「どうしましょうどうしましょう! せっかく二人に予定を合わせてもらったのに!」

「まぁあの二人なら問題はないと思うが……そもそもどうして行方不明になったんだろうな?」

 

 行方不明にも、色々パターンがある。

 船が丸ごと行方不明になった場合、一番に考えられるのは秘境に迷い込むパターンだ。

 なんというかこう、メアリー・セレスト号じゃないけど。

 ある時、それまで船に乗っていたはずの人たちが忽然と姿を消すなんてことは、この世界だと実際に起こる。

 そういう場合は、たいてい秘境に連れ込まれてしまっているのだ。

 そこで待っているのは、とんでもないホラー体験……なんだが。

 

「聞いた話によると、二人の乗った船は宙に浮かんでいたとか……」

「それキャトられてない? イグニッション星人系列の連中に」

「はっ!」

 

 シズカさんは、以前ダークイグニッション星人に改造手術みたいなものを頼もうとしていた。

 その縁で別のイグニッション星人が営業を仕掛けてきていても不思議じゃない。

 とりあえず、ホラー案件じゃないならよかった。

 シズカさん、ホラー苦手だからな……

 

「まぁなんか、ここらへんは自力で何とかしそうだな」

「レンねえ以外は、皆大人だもんね。レンねえもレンねえだし」

 

 レンさんは、レンさんだしな。

 とすると、やっぱり問題は――ちらりと、視線を手元のスマホに移す。

 

 

『怪盗ヤトVS怪盗マンハッタン、二度目の対決は引き分け。最終決戦間近か!』

 

 

 ヤトちゃん達が、目下最大の問題だろう。

 以前、ヤトちゃんはご両親の誘いで海外へ渡った。

 目的は海外で起きている事件の解決。

 その事件というのが、この「怪盗マンハッタン」だ。

 マンハッタンに突如出現したこの怪盗は、様々なレアカードを盗み取っていくらしい。

 それを解決するため、ヤトちゃん一家は海を越えたのだが――

 

「まさか、未だに事件が解決しないとは……」

『ごめんなさいねぇ、思った以上に相手が強敵だったのよぉ』

 

 と、そこで連絡が入ってくる。

 相手はシルバーさん、ヤトちゃんのお母さんだ。

 

「シルバーさん、そっちは大丈夫そうですか?」

『今のところはね』

 

 流石に結構な時間がかかったことで、ヤトちゃん一家とは密に連絡を取っている。

 四人の中で比較的手隙なシルバーさんが、現在連絡役を買ってでてくれていた。

 

『ヤトは次こそ倒すって息巻いてたけど、今のところ一敗一分。かなり分が悪いわぁ』

「今のヤトちゃん、すっごく強いはずなんですけど。それでも勝ちきれないんですか?」

『だめみたいね。ハクとは何故か戦ってくれないし。私達じゃ手も足も出ないし』

 

 どうやら、そうとう怪盗マンハッタン相手に苦戦しているようだ。

 ハクさんとヤトちゃんが、二人がかりで挑めれば勝てるのだろうが、流石に怪盗マンハッタンも解っているようだ。

 それと――

 

『それに、失礼しちゃうわ。ハクに対して”あんな露出の多い相手と戦えるか”だなんて。ハクはちょっと露出が多いだけじゃない!』

「ちょっとどころじゃないと思うけどなぁ」

 

 なんやかんや、対になる衣装だし露出も多いけど、ヤトちゃんのそれはある程度バニースーツの怪盗モチーフで説明できる。

 だけどハクさんは完全にアレだ。

 色々とだめな感じだ。

 しかし、シルバーさんにしてみればアレもヒーロースーツの一種なのだろう。

 やっていることは確かに、ヒーローそのものだしな、ハクさん。

 

『まぁ、まだもう少し時間はあるし、アタクシ達でなんとかしてみるわ。アタクシ達も、あなた達の結婚式は楽しみにしてるんだもの』

「ありがとうございます」

『特に、あのダイアくんを倒した未来の娘さんと、カードトスでファイトするんでしょ? 興味深いわぁ』

 

 そこは、一応確定ではないんだけど。

 まぁ、ほぼほぼ確定みたいなものだよな、みたいに扱われている。

 運命力は、人々の期待を裏切らないのだ。

 

『私は結婚式のとき、身重だったからカードトスでファイトできなかったのよねぇ。あの時は、あの人とルインちゃんが戦ったんだったわねぇ』

「へぇえ、そうだったんですねぇ」

 

 と、そこで話がそれる。

 ちなみに、カードトスがタッグファイトじゃない理由はこれだ。

 奥さんが身重だと、流石に無理をさせるわけには行かないからな。

 

「それで、ミツルにぃ。もしヤトちゃん達の件が間に合わなかったらどうするの? 大丈夫だとは思うけどさ」

「ああ、それなら心配ない」

 

 話がそれたので、確認とばかりにキアが聞いてくる。

 俺は隣でスマホを弄っていたミチルを持ち上げて、言う。

 

 

「ミチルを現場に投入する」

 

 

 事件解決能力の高いミチルを放り込めば、流石に解決しない事件はないだろう。

 「にゅん」みたいに声を漏らして、何故か猫耳カチューシャを付けて猫目になったミチルが得意げにしている。

 キアは何故か少し引いていた。

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