カードゲームで世界が滅ぶ世界に転生してカードショップを開店したら、周囲から前作主人公だと思われている   作:暁刀魚

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335 祝福の中に完結する物語、ミツル対ミチル ①

「イグニッション!」

「イグニッションだよ!」

 

 二人のファイターが、互いにファイトの開始を宣言する。

 お互いに手札を手に、先行は――ミチルだ。

 

「私は<大古式聖天使 シスター・ミカエル>をサモン。カードを三枚セッティングしてターンエンド!」

 

 立ち上がり、ダイアのときと同じくミチルはカウンターエフェクトを三枚伏せた。

 そのすべてが神の宣告だとしたら、俺はそのすべてを乗り越えなくてはならない。

 もしくは――

 

「俺のターン! まずはこいつから行くぞ。手札の<古式聖天使 キックスターター>のエフェクト! 手札の別の『古式聖天使』モンスターを見せることで、サモン!」

「……モンスターエフェクトによるサモンかぁ」

 

 <ゴッド・デクラレイション>はモンスターエフェクトを無効化できない。

 なので、手札からモンスターエフェクトを発動することでサモンされるモンスターのサモンは無効化できないのだ。

 

「続けていく。このエフェクトで<キックスターター>をサモンした時、デッキから<古式聖天使 イグナイトサイクル>をサモン!」

「げっ! 『エンシェント』のエフェクトでサモンされるとカウンターエフェクト破壊してくるやつ!」

「まずは……一番左のカウンターエフェクトだ!」

「私の<ゴッド・デクラレイション>がー!」

 

 案の定、<ゴッド・デクラレイション>が破壊された。

 それにしても、まさか<イグナイトサイクル>がカードになるとはなぁ。

 なんか俺が考案者です、みたいで恥ずかしいぞこのカード。

 そして、残るカウンターエフェクトは後二枚か……

 

「俺は、この二体を素材に<大古式聖天使 ブラスター・ウリエル>をサモン!」

「フィールドのカウンターエフェクト全滅させてくるやつ! 当然<ゴッド・デクラレイション>だよ!」

「これで二枚……! 俺は<古式の帰還>を発動! <イグナイトサイクル>を再びサモン!」

 

 <イグナイトサイクル>は『エンシェント』のカードでサモンすれば、カウンターエフェクトを破壊できる。

 だが、今回蘇生に使用したのは<古式の帰還>、カウンターエフェクトだ。

 

「……発動するカードはないよ!」

「なら、俺も<イグナイトサイクル>のエフェクトは使用しない。続けていくぞ」

 

 ()()()()()()()()()()()()()()()()()

 やはりな、あのカードは<ゴッド・デクラレイション>じゃない。

 

「俺は<大古式聖天使 ロード・ミカエル>をサモン!」

「ここで使わないと、<バースデイバース・ガブリエル>が出てきそうだね。……カウンターエフェクト! <デクラレイション・ランチャー>!」

 

 <デクラレイション・ランチャー>。

 発動すると、<ゴッド・デクラレイション>をデッキからセットできるというカードだ。

 どこぞの恐ろしいカードのサポートカードみたいだな。

 

「このカードが破壊された場合、セットするだけじゃなくて、そのターンそのまま<ゴッド・デクラレイション>を発動できたんだけどな……!」

「流石にアレを見せられて、そのまま素直に<ゴッド・デクラレイション>が三枚並ぶと思う方が無警戒すぎるだろ!」

 

 <ゴッド・デクラレイション>三枚は、確かに奇襲性という意味では完璧だ。

 何も知らない相手、知っていても対策できない相手なら簡単に封殺できるだろう。

 だが、俺だって<ゴッド・デクラレイション>の使い手、その対策くらいわきまえている。

 ゆえにこそ、ミチルだってそれを利用した罠を張ったわけだからな。

 

「でも、どっちにしろ三枚目の<ゴッド・デクラレイション>は伏せられる。このターンは使えないけど、処理しなきゃいけないことに変わりはないよ!」

「このターン使えないのが致命的すぎるだろ」

「そう言われるとそうなんだけどさー!」

 

 ともあれこれで、俺のフィールドには<ロード・ミカエル>が、ミチルのフィールドには<シスター・ミカエル>が並んだ。

 お互いの<ミカエル>が向かい合う状況。

 最初の攻防としては、これ以上ないほどの相手だろう。

 

「……ワクワクしてきたな、ミチルの<ミカエル>を見たときから、ずっとこうして<ミカエル>同士をぶつけたいと思ってたんだ」

「ふふ、こっちはこれまでに何度もパパの<ミカエル>を相手してる、そう簡単に勝てるとは思わないことだね!」

「バトル! <ロード・ミカエル>で<シスター・ミカエル>を攻撃!」

 

 お互いの攻撃力は同じ2300、このまま行けば相打ちだ。

 しかし……!

 

「<ロード・ミカエル>は破壊された時、デッキの一番上のカードをセメタリーに送ることで、それを無効!」

「<シスター・ミカエル>は破壊された時、カードを一枚ドローすることでそれを無効! ただしターン終了時にセメタリーへ送られるよ!」

 

 お互いに、破壊を無効にするエフェクトがある。

 特に<シスター・ミカエル>はデメリットみたいな顔でドローしてきやがるぞ。

 何だあのカード。

 

「俺は更に、<ロード・ミカエル>のエフェクトで攻撃力を500アップ! 更にカウンターエフェクト<スナイピング・バトル>!」

「げっ」

「相手のセッティングされたカウンターエフェクトを指定、そのエフェクトの名前を言い当てた場合、セッティングされたカウンターエフェクトは破壊される!」

 

 当然、俺が指定するのは<ゴッド・デクラレイション>だ。

 なにせ、そもそも今フィールドにカウンターエフェクトはそれしかないからな。

 ちなみに、この<スナイピング・バトル>で破壊されたカウンターエフェクトは、エフェクトを発揮できないぞ。

 

「<ゴッド・デクラレイション>を破壊!」

「もー! <ランチャー>そのまま伏せててもダメじゃん! <古式の帰還>を無効にしなかった時点でバレるし!」

「そして、<スナイピング・バトル>でカードの破壊に成功した時、フィールドのモンスターはもう一度攻撃ができる! バトルだ!」

 

 これで、<ロード・ミカエル>で<シスター・ミカエル>をもう一回攻撃できる。

 <シスター・ミカエル>に攻撃力上昇効果はない、俺の勝利だ。

 

「行け! <ロード・ミカエル>!」

「そんな……! このままじゃ私の<シスター・ミカエル>が……!

 

 驚愕に顔を歪ませるミチル。

 迫りくる<ロード・ミカエル>に対し<シスター・ミカエル>は――

 

 

「なーんてね、じゃんじゃじゃーん!」

 

 

 なんか、どこぞの人の心がなさそうな悪役みたいな事をいって、ミチルがあるカードを提示した。

 それは――

 

「<古式聖天使 カロル>! 手札から捨てることで、『エンシェント』モンスターの攻撃力をアップする!」

「その様子だと、<シスター・ミカエル>のドローで引き当てたか!」

「引き寄せた、だよ! パパなら絶対にもう一回攻撃してくると思ってたからね!」

 

 そこはさすが、最強ファイターの運命力。

 ドローはすべて必然でできている、ってことだな。

 

「言ったでしょ、パパとは何度も戦ってるって。このパターンだって、私は過去に経験したパターンなんだよ!」

「……なるほどな」

 

 確かにそれは、厄介だ。

 俺にとって本気のミチルを見るのはこれで二度目。

 たったの二回だ。

 それに対して、果たしてミチルは本気の俺と何度戦ってきた?

 どれだけの経験がある?

 確かにそれは厄介だろう。

 しかし、それでも――

 

 

「でも、今この瞬間の俺とは、初めてのファイトになるだろ?」

 

 

 俺は、不敵に笑ってそう告げる。

 

「俺はセメタリーに送られた、<バトルエンド・クロスカウンター>のエフェクトを発動!」

「……『バトルエンド』!?」

 

 そう、『バトルエンド』。

 ネッカ少年のカードだ。

 

「今の俺のデッキは、皆のカードをデッキに組み込んでいる。その分、デッキの動きはミチルの知ってるどんな俺とも違うぞ」

「……やってくれるじゃん!」

「<クロスカウンター>のエフェクトで、デッキじゃんけんだ!」

 

 <クロスカウンター>のエフェクトは、セメタリーに送られたターンに発動できる。

 自身をデッキに戻し、デッキじゃんけんに勝利したプレイヤーの、モンスターの攻撃力をアップするカードだ。

 これで俺がデッキじゃんけんに勝利すれば、<カロル>の攻撃力アップを乗り越えられる。

 

「私は……! <古式聖天使 プロメテウス>! レベルは4!」

「俺は……<蒼穹の金髑髏>! レベルは8だ!」

「クローにぃのカード……!」

「そして<蒼穹の金髑髏>がセメタリーに送られたことで、俺はカードをドロー!」

 

 ネッカとクロー、二人の相性は基本的に悪いが、噛み合った時はとんでもない爆発力を生む。

 今回のように……!

 

「そのまま行け! <ロード・ミカエル>!」

「っく、<シスター・ミカエル>!」

 

 やがて、<ロード>が<シスター>を打ち破り、最初の攻防に決着がついた。

 

「俺はカードを一枚セッティング、ターンエンドだ」

「やってくれるじゃん……でも、ファイトはここからだよ!」

「解ってるさ、こい、ミチル!」

 

 そしてミチルのターンがやってくる。

 ここまでは、軽い挨拶みたいなもの。

 さぁ、どうするミチル。

 俺はどんな相手でも、受けて立つぞ……!

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