カードゲームで世界が滅ぶ世界に転生してカードショップを開店したら、周囲から前作主人公だと思われている   作:暁刀魚

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336 祝福の中に完結する物語、ミツル対ミチル ②

「……厳しいな」

 

 そこまでの展開を見て、ぽつりと零す者がいた。

 ダイアだ。

 

「厳しい……って、ほとんど互角じゃないですか? むしろミツルさんのほうが押してると思いますけど」

()()()()やって互角なのが、厳しいんだ」

 

 エレアの素直な感想、けれどもダイアの顔は渋いまま。

 

「俺やクロー、皆のカードをデッキに組み込んで、今の店長とミチルのねーちゃんは()()()()なんだよな。こっからファイトはもっと激しくなるぜ」

「……少しずつ、差が開いてくってことか」

 

 ネッカの言葉に、クローが頷く。

 今の店長は、多くの人の思いをカードとして受け取っている。

 それは間違いなく、過去今までのファイトの中で、今の店長が()()()()ということにほかならない。

 

「――<メタトロン>さえいれば、な」

 

 だがそれは、彼の手に<メタトロン>があったなら、の話。

 レンの言葉に、エレアは黙り込んだ。

 今の店長のことを誰よりも理解しているのが、エレアだからだ。

 

「……それでも私は……このファイトが最高のファイトになると思います」

「……そうか。君がそういうならば、きっとそれは正しいんだろうな」

 

 エレアは祈る。

 今はただ、祈ることしかできない。

 店長に対しても、ミチルに対しても。

 エレアは等しく祈っていた。

 このファイトが、お互いの人生において、最高のファイトの一つになることを。

 

 

 □□□□□

 

 

「さぁ、これが私の次なる一手! まずはこの子! <極大古式聖天使 アセンシスター・ミカエル>!」

「<アセンシスター>……ってことは、一気に他の『極大古式聖天使』を呼び出すつもりか……!」

「もちろん! 続いていくよ! <極大古式聖天使 バースアブソーバー・ウリエル>! 続けて<極大古式聖天使 メガシードエコー・ラファエル>! 最後に――」

 

 立て続けの大型モンスターサモン。

 一向に衰えることのない勢いは、四体のモンスターがサモンされることで完成する。

 

「<極大古式聖天使 ハイエッセンス・ガブリエル>!」

「これが……ミチルの『極大古式聖天使』……!」

「バトル! <バースアブソーバー・ウリエル>の攻撃! 攻撃時にこのモンスターは相手のカードをすべて破壊する!」

 

 そこから、俺は立て続けにミチルの連続攻撃を受ける事となる。

 <バースアブソーバー・ウリエル>のエフェクトは<ロード・ミカエル>の耐性で受け、その後<ミカエル>は<ウリエル>に戦闘破壊。

 続く攻撃を<ガードロー・ウォール>とそれによってドローした<古式聖天使 ファイアウォール>で受け切る。

 

「相変わらず、便利な盾だね<ファイアウォール>くん!」

「俺のファイトを、これからも支えてくれる大事な仲間さ!」

 

 激しいぶつかりあい、何とか耐えきったものの相手の場にはモンスターが四体。

 対するこちらはモンスターがゼロ。

 とはいえ、手札はまだまだ潤沢だ。

 

「俺のターン!」

 

 現状、エフェクトが判明しているのは<アセンシスター>だけ。

 俺の<バースデイバース・ガブリエル>と効果が似通っているなら、<ハイエッセンス・ガブリエル>にも無効エフェクトがありそうだが……

 先程の攻防で使ってこなかったということは、発動条件が特殊なんだろう。

 なら、ここは突っ込むしかない。

 

「俺は<極大古式聖天使 アークロード・ミカエル>をサモン!」

「やっぱりきたね、<アークロード>!」

「続けて<極大古式聖天使 メガブラスター・ウリエル>をサモン! エフェクト発動!」

「させないよ! <極大古式聖天使 ハイエッセンス・ガブリエル>のエフェクト! フィールドの『古式聖天使』をセメタリーに送ることで、相手モンスターのエフェクトを無効にして破壊!」

 

 <メガブラスター・ウリエル>のデッキバウンスを無効化された。

 なるほど、フィールドのモンスターをセメタリーに送るのは、コストが重いな。

 エフェクトですべてを吹き飛ばそうとする<メガブラスター・ウリエル>に、<バースアブソーバー・ウリエル>が激突。

 二体は対消滅するように消えていった。

 

「その後、一枚ドロー!」

「……そこでドローされると、実質コストないのと同じだよな」

 

 ミチルは、当然のように欲しいカードを引き寄せられるんだぞ?

 まぁ、今はいい。

 ミチルの感じからして、恐らく<ハイエッセンス・ガブリエル>がエフェクトを使えるのは後一回。

 自分自身をセメタリーに送って無効化してくるだろうな。

 

「俺は続いて、<極大古式聖天使 バースデイバース・ガブリエル>をサモン!」

「むう、そっちも<ガブリエル>……」

 

 これで、ミチルが<ガブリエル>のエフェクトを使っても、こっちの<ガブリエル>で無効化可能だ。

 

「続いて<極大古式聖天使 ハイエクシード・ラファエル>をサモン! そのエフェクトでセメタリーの<メガブラスター・ウリエル>をサモンだ」

「当然止めるよ! <ハイエッセンス・ガブリエル>自身をセメタリーに送って、無効!」

「<バースデイバース・ガブリエル>は手札を一枚捨ててそれを無効にできる!」

「まだまだ! 手札から<古式聖天使 バーンアウト>を捨てる!」

 

 <バーンアウト>、『大古式聖天使』モンスターがいる時に手札から捨てることでエフェクトを発動できるモンスター。

 相手モンスターを破壊できるモンスター……!

 

「私が破壊するのは――<メガシードエコー・ラファエル>!」

「自分のモンスターを!?」

「<メガシードエコー・ラファエル>のエフェクト! このモンスターが破壊された時、フィールドのモンスターをすべて破壊する!」

 

 まずい、ここで<バースデイバース・ガブリエル>が破壊されたら無効エフェクトが使用できない。

 対して<ハイエッセンス・ガブリエル>は既にセメタリー。

 モンスターエフェクトを無効にするエフェクトに意味はないが、ミチルにカードをドローされてしまう。

 しかも、それだけでは終わらない……!

 

「これによって破壊された<アセンシスター・ミカエル>のエフェクト! 相手のカードを破壊することで自身の破壊を免れる! 破壊するのは、当然<アークロード>!」

「<アークロード>は、1ターンに二回まで破壊を免れる。一回目は<メガシードエコー・ラファエル>。二回目は<アセンシスター・ミカエル>の破壊だ!」

 

 そして、二回目には手札コストが必要となる。

 代わりに相手モンスターを破壊できるが――

 

「<アセンシスター・ミカエル>のもう一つのエフェクト! 破壊された時、セメタリーの『大古式聖天使』をデッキに戻すことで、1ターンに1度だけサモンできる!」

「破壊耐性が、復活するわけだ……!」

 

 <アセンシスター・ミカエル>の復活効果は、名称ターン1回を持っている。

 いわゆる「このカード名のエフェクトは1ターンに一回しか使えない」みたいな感じの。

 だが、破壊耐性の方にそれはない……!

 

「ならここしかないな……<ガイアストラ・ナーガ>のエフェクト!」

「……レンねぇのカード!」

「このカードが手札から捨てられたターンに使用できる。相手モンスター一体のエフェクトを無効だ!」

 

 これにより、<アセンシスター・ミカエル>の破壊耐性を無効。

 <アークロード・ミカエル>で破壊できるようになった。

 

「そのまま攻撃だ! <アークロード・ミカエル>!」

「攻撃力は同じ、相打ちにするつもり!?」

「相打ちにしないと、また復活してくるだろ!」

 

 激しいぶつかりあいの末、二つの<ミカエル>が破壊される。

 結果として、俺はミチルの『極大古式聖天使』を倒すのに自分の『極大古式聖天使』をすべて消費する形になった。

 ノーマルサモンももう行っているので、こちらはフィールドがら空きでターンを回すしかない。

 ……厳しいな。

 

「俺は、カウンターエフェクトを二枚セッティング、ターンエンドだ!」

「ターン終了時! <メガシードエコー・ラファエル>のエフェクト! このモンスターはターン終了時に、自身とこのターン破壊された『極大古式聖天使』を、エフェクト無効でサモン!」

 

 <アセンシスター・ミカエル>と<メガシードエコー・ラファエル>がフィールドに戻って来る。

 エフェクトが無効にされているとはいえ、まずい状態だ。

 ターン終了時だから、セッティングしたカウンターエフェクトで妨害もできない。

 

「更に! サモンした二体のモンスターでさらなるモンスターを呼び出すよ!」

「まさか……<メタトロン>!」

「ううん、その前に……!」

 

 その前に?

 『極大古式聖天使』の後に出すモンスターはそこまで多くないはずだ。

 この状況で、<メタトロン>以外に呼び出すモンスターなんて――

 

「……()()()

「ふふ、解ったみたいだね」

「やめろミチル! そのモンスターはまずい!」

「もう遅いよ! だって、()()()()()()()()()んだから――!」

 

 こいつ、ダイアとのファイトでサモンしなかったから、配慮していると思ったのに――!

 

 

「行くよ! <極大古式聖天使 クリスタル・ミチル>! 私、オン、ステージ……!」

 

 

 よりにもよってここで、<クリスタル・ミチル>を呼び出しやがった――!

 

「みゃ?」

 

 ふと、声がする。

 エレアが、なんか首を傾げていた。

 まずい……!

 

「みゃ、みゃーーーーーーーーー!!?!?!?!?!?!?」

 

 ()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 そんなエレアに、ミチルはいたずら大成功といった様子の笑みを浮かべていた。

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