カードゲームで世界が滅ぶ世界に転生してカードショップを開店したら、周囲から前作主人公だと思われている   作:暁刀魚

359 / 373
337 祝福の中に完結する物語、ミツル対ミチル ③

「みゃーみゃーみゃー!」

「エレアが、エレアが猫になっちゃったわ……」

「どうしてこやつは本当に猫耳を生やしておるのだ……」

 

 店内は混沌としていた。

 なんかエレアは猫耳が生えて椅子の上で鳴いている。

 ああ、なんか頭身が低く……!

 

「おのれミチル……やってくれたな、まさか未来からやってきたのはすべてこのために!」

「……いやぁ、まさかここまで突飛な反応をするとは、ごめんなさい」

「謝るならやるなよ!」

「それはできないよ! だって私にとって<クリスタル・ミチル>は半身だよ! このカードなくして、最強の私は名乗れない!」

 

 それはまぁ、そうなんだろうが。

 結果としてエレアが大変なことになってしまった。

 いやまて、だんだんとエレアの鳴き声が小さく――

 

 しゅるる、ぽんっ!(エレアが元に戻って神妙な面持ちになる顔)

 

 

「――やっぱり、ミチルが結婚式をしてほしい理由って、これだったんですね」

 

 

 あ、なるほど。

 エレアも、正直ある程度は予想していたわけだ。

 自分が結婚式をできなかった理由。

 

「確かに、実際に見せつけられるとメチャクチャ恥ずかしいですし、ちょっと猫になったり頭身が低くなったりしましたが……それでも!」

 

 それを、エレアは真面目な顔で語る。

 

「私は、二人を応援してます……!」

「ママ……」

「エレア……」

「こやつら、雰囲気に流されて……!」

 

 いいんだ、エレアが無事ならそれでいいんだ……

 というわけで、俺達はファイトを続ける。

 

「ママは背中を押してくれたけど、パパのピンチは変わらないよ。ここからどうやって、私の攻撃を捌き切るのかな!? 私のターン、ドロー!」

 

 とはいえ、現状俺がピンチなことに変わりはない。

 『極大古式聖天使』は半ば相打ちに終わった。

 その一つ上、最終エースである<メタトロン>が俺のもとにはいないにも関わらず。

 それでもやるしかない。

 

「さぁ、バトルだよ! <クリスタル・ミチル>で攻撃! 攻撃時、セメタリーの『古式聖天使』、『帝国』モンスターの数だけ攻撃力アップ!」

 

 まずはここからだ。

 これが完全に通れば、一発で俺の負けだ。

 そして止めようにもミチルはフィールドのカードのエフェクトを無効にしてくる。

 だったら――

 

「手札から<薔薇楼の掃除人>のエフェクトを発動! <クリスタル・ミチル>のエフェクトを無効化する!」

「フィールドで発動してないカード……!」

「そのままサモンだ、ただし、オフェンス状態だがな」

「なら、ダメージは受けてもらうよ!」

 

 <クリスタル・ミチル>はフィールドのエフェクトを無効にする。

 だったら、手札からエフェクトを発動すればいい。

 アロマさんの『薔薇楼』モンスターは、相手モンスターのエフェクト無効が得意だ。

 そして――

 

「だったら<薔薇楼の掃除人>のエフェクト! このモンスターが破壊された時、相手にダメージを与える!」

「今度はセメタリーから……でも、この程度……!」

 

 バーンダメージが、アロマさんの本領だ。

 何にしても、これでしのぎきった。

 

「俺のターン!」

「さぁ、どうするつもりかな!」

 

 俺はそこで、一気に<ミチル>打倒へのルートを組み立てる。

 ミチルの特性は、攻撃力アップとエフェクト無効。

 前者にしても、後者にしても、やりようはある……!

 

「俺が呼び出すのはこの二人だ。<蒸気騎士団 怪盗ヤト>! <蒸気騎士団 仮面ハク>!」

 

 二体のモンスターが並び立つ。

 怪盗と仮面の姉妹。

 ヤトちゃんとハクさんが、それぞれの衣装でフィールドに降り立った。

 

「ヤトちゃん!」

「ええい白月め、結局その衣装で!」

 

 外野が色めき立つ中、フィールドのヤトちゃんとハクさんが頷き合う。

 

「俺は<怪盗ヤト>のエフェクトを発動! フィールド、セメタリーの『蒸気騎士団』モンスターをデッキに戻し、その効果をコピーする! コピーするのは、<仮面ハク>!」

「こっちの攻撃力に、迫ってくるね! 当然無効だよ! <クリスタル・ミチル>のエフェクト!」

「続けて、<仮面ハク>のフィールドを離れたときのエフェクト!」

「――そっちが本命だったんだね!」

 

 そうでなけりゃ、セメタリーからデッキに戻しても発動できるカードをフィールドに並べたりはしないからな。

 

「デッキ、アペンドデッキから『仮面道化』もしくは『蒸気騎士団』モンスターをセメタリーに送り、フィールドのモンスターの攻撃力をセメタリーに送ったモンスターの攻撃力分上げる!」

「……でも、それくらいなら十分対応できるよ! カウンターエフェクト! <スリーカウント・デストラクションアップ>!」

 

 デッキからカードを三枚めくり、その中のモンスターの数だけモンスターの攻撃力を上げる。

 代わりに、攻撃力を上げたモンスターはターン終了時に破壊されるカード。

 ダイアがファイトの最後につかったカードを、今度はミチルが使うか。

 とはいえ、それに関しては俺も対抗策がある。

 

「だったら、俺も<スリーカウント・デストラクションアップ>を発動だ!」

「同じカード……ってことはめくりあいってことだね。だったら、私はこのカードも発動する! <エンシェント・スタートアップ>!」

 

 これもまた、ダイアとの攻防で使用したカード。

 自分に使用してカードを掘るか、それとも俺に使用するか。

 ミチルならおそらく――

 

「パパ、カードを引いて!」

「いいのか? 敵に塩を送りかねないぞ」

()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()もん、解ってるくせに!」

 

 俺に対する信頼から、俺にカードを引かせることを選ぶ。

 この状況、俺が<仮面ハク>のエフェクトを使用したことで、打点は<クリスタル・ミチル>より<怪盗ヤト>の方が高い。

 だから、俺がミスらないとミチルは三枚モンスターをめくっても俺に勝てない。

 なら、俺のテンポを崩すことで、ミスを誘発させてくるだろう。

 

「なら、ドローさせてもらうぞ。俺がドローしたのは……」

「……!」

「<()()()()>!」

「<心火再熱(グランシオン・クロッシング)>、ダイアのカード!?」

 

 当然それは、モンスターカードでもなければ、『エンシェント』カードでもない。

 結果として、本当にミチルは敵に塩を送る形となった。

 

「なんで!? パパならモンスターを引き当てるはず!」

「確かに、普段の俺ならそうだろうな。でも、今の俺のデッキは皆のカードを入れて()()()()()()()。そういう歪みは、必ずどこかでファイトに影響を及ぼす。今回は、それがいい方向にころんだみたいだな!」

「……これが、最強のパパを相手にするってことか!」

 

 そのまま、俺とミチルは<スリーカウント・デストラクションアップ>の処理に映る。

 

「一枚目、モンスター!」

「こちらもモンスターだ!」

 

 そして、二枚目、三枚目をめくり――

 

「お互い、全部のカードがモンスターです!」

 

 エレアが結果を叫んだ。

 つまりこの場合、勝利するのは――俺だ。

 

「何とか、流れを引き寄せてきているな……! 行け! <怪盗ヤト>!」

「っく、迎え撃って……<クリスタル・ミチル>!」

 

 激しいぶつかりあい。

 ヤトちゃんとミチルは、お互いに激しく相手を攻撃し、最終的にヤトちゃんがミチルを倒す。

 

「あーん、この時代でもヤトねぇに負けるなんて!」

「俺は最後に<蒸気騎士団任務完了>を発動、<怪盗ヤト>をセメタリーに送り、二枚ドローだ!」

 

 <スリーカウント・デストラクションアップ>はターン終了時に対象となったモンスターを破壊してしまう。

 そうするくらいなら、こうしてドローするべきだ。

 ヤトちゃんもそれを解っているから、こちらを見て頷くと、姿を消した。

 というか観客席に戻った。

 

「俺はカウンターエフェクトを二枚セッティング、これでターンを終了だ!」

「やってくれたね……パパ。でも次は、こうは行かないよ。私のターン!」

 

 全く以てその通り。

 ここで<クリスタル・ミチル>を倒したということは。

 次に出てくるのは当然――

 

 

「さぁ、行くよ相棒! <極大古式聖天使 エクス・メタトロン>! このファイトに、決着を付けるんだ!」

 

 

 かくして、ミチルのフィールドに。

 俺の最強エース、これまで多くのファイトを共に乗り越えてきた相棒が、降臨した。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。