カードゲームで世界が滅ぶ世界に転生してカードショップを開店したら、周囲から前作主人公だと思われている 作:暁刀魚
「みゃーみゃーみゃー!」
「エレアが、エレアが猫になっちゃったわ……」
「どうしてこやつは本当に猫耳を生やしておるのだ……」
店内は混沌としていた。
なんかエレアは猫耳が生えて椅子の上で鳴いている。
ああ、なんか頭身が低く……!
「おのれミチル……やってくれたな、まさか未来からやってきたのはすべてこのために!」
「……いやぁ、まさかここまで突飛な反応をするとは、ごめんなさい」
「謝るならやるなよ!」
「それはできないよ! だって私にとって<クリスタル・ミチル>は半身だよ! このカードなくして、最強の私は名乗れない!」
それはまぁ、そうなんだろうが。
結果としてエレアが大変なことになってしまった。
いやまて、だんだんとエレアの鳴き声が小さく――
しゅるる、ぽんっ!(エレアが元に戻って神妙な面持ちになる顔)
「――やっぱり、ミチルが結婚式をしてほしい理由って、これだったんですね」
あ、なるほど。
エレアも、正直ある程度は予想していたわけだ。
自分が結婚式をできなかった理由。
「確かに、実際に見せつけられるとメチャクチャ恥ずかしいですし、ちょっと猫になったり頭身が低くなったりしましたが……それでも!」
それを、エレアは真面目な顔で語る。
「私は、二人を応援してます……!」
「ママ……」
「エレア……」
「こやつら、雰囲気に流されて……!」
いいんだ、エレアが無事ならそれでいいんだ……
というわけで、俺達はファイトを続ける。
「ママは背中を押してくれたけど、パパのピンチは変わらないよ。ここからどうやって、私の攻撃を捌き切るのかな!? 私のターン、ドロー!」
とはいえ、現状俺がピンチなことに変わりはない。
『極大古式聖天使』は半ば相打ちに終わった。
その一つ上、最終エースである<メタトロン>が俺のもとにはいないにも関わらず。
それでもやるしかない。
「さぁ、バトルだよ! <クリスタル・ミチル>で攻撃! 攻撃時、セメタリーの『古式聖天使』、『帝国』モンスターの数だけ攻撃力アップ!」
まずはここからだ。
これが完全に通れば、一発で俺の負けだ。
そして止めようにもミチルはフィールドのカードのエフェクトを無効にしてくる。
だったら――
「手札から<薔薇楼の掃除人>のエフェクトを発動! <クリスタル・ミチル>のエフェクトを無効化する!」
「フィールドで発動してないカード……!」
「そのままサモンだ、ただし、オフェンス状態だがな」
「なら、ダメージは受けてもらうよ!」
<クリスタル・ミチル>はフィールドのエフェクトを無効にする。
だったら、手札からエフェクトを発動すればいい。
アロマさんの『薔薇楼』モンスターは、相手モンスターのエフェクト無効が得意だ。
そして――
「だったら<薔薇楼の掃除人>のエフェクト! このモンスターが破壊された時、相手にダメージを与える!」
「今度はセメタリーから……でも、この程度……!」
バーンダメージが、アロマさんの本領だ。
何にしても、これでしのぎきった。
「俺のターン!」
「さぁ、どうするつもりかな!」
俺はそこで、一気に<ミチル>打倒へのルートを組み立てる。
ミチルの特性は、攻撃力アップとエフェクト無効。
前者にしても、後者にしても、やりようはある……!
「俺が呼び出すのはこの二人だ。<蒸気騎士団 怪盗ヤト>! <蒸気騎士団 仮面ハク>!」
二体のモンスターが並び立つ。
怪盗と仮面の姉妹。
ヤトちゃんとハクさんが、それぞれの衣装でフィールドに降り立った。
「ヤトちゃん!」
「ええい白月め、結局その衣装で!」
外野が色めき立つ中、フィールドのヤトちゃんとハクさんが頷き合う。
「俺は<怪盗ヤト>のエフェクトを発動! フィールド、セメタリーの『蒸気騎士団』モンスターをデッキに戻し、その効果をコピーする! コピーするのは、<仮面ハク>!」
「こっちの攻撃力に、迫ってくるね! 当然無効だよ! <クリスタル・ミチル>のエフェクト!」
「続けて、<仮面ハク>のフィールドを離れたときのエフェクト!」
「――そっちが本命だったんだね!」
そうでなけりゃ、セメタリーからデッキに戻しても発動できるカードをフィールドに並べたりはしないからな。
「デッキ、アペンドデッキから『仮面道化』もしくは『蒸気騎士団』モンスターをセメタリーに送り、フィールドのモンスターの攻撃力をセメタリーに送ったモンスターの攻撃力分上げる!」
「……でも、それくらいなら十分対応できるよ! カウンターエフェクト! <スリーカウント・デストラクションアップ>!」
デッキからカードを三枚めくり、その中のモンスターの数だけモンスターの攻撃力を上げる。
代わりに、攻撃力を上げたモンスターはターン終了時に破壊されるカード。
ダイアがファイトの最後につかったカードを、今度はミチルが使うか。
とはいえ、それに関しては俺も対抗策がある。
「だったら、俺も<スリーカウント・デストラクションアップ>を発動だ!」
「同じカード……ってことはめくりあいってことだね。だったら、私はこのカードも発動する! <エンシェント・スタートアップ>!」
これもまた、ダイアとの攻防で使用したカード。
自分に使用してカードを掘るか、それとも俺に使用するか。
ミチルならおそらく――
「パパ、カードを引いて!」
「いいのか? 敵に塩を送りかねないぞ」
「
俺に対する信頼から、俺にカードを引かせることを選ぶ。
この状況、俺が<仮面ハク>のエフェクトを使用したことで、打点は<クリスタル・ミチル>より<怪盗ヤト>の方が高い。
だから、俺がミスらないとミチルは三枚モンスターをめくっても俺に勝てない。
なら、俺のテンポを崩すことで、ミスを誘発させてくるだろう。
「なら、ドローさせてもらうぞ。俺がドローしたのは……」
「……!」
「<
「<
当然それは、モンスターカードでもなければ、『エンシェント』カードでもない。
結果として、本当にミチルは敵に塩を送る形となった。
「なんで!? パパならモンスターを引き当てるはず!」
「確かに、普段の俺ならそうだろうな。でも、今の俺のデッキは皆のカードを入れて
「……これが、最強のパパを相手にするってことか!」
そのまま、俺とミチルは<スリーカウント・デストラクションアップ>の処理に映る。
「一枚目、モンスター!」
「こちらもモンスターだ!」
そして、二枚目、三枚目をめくり――
「お互い、全部のカードがモンスターです!」
エレアが結果を叫んだ。
つまりこの場合、勝利するのは――俺だ。
「何とか、流れを引き寄せてきているな……! 行け! <怪盗ヤト>!」
「っく、迎え撃って……<クリスタル・ミチル>!」
激しいぶつかりあい。
ヤトちゃんとミチルは、お互いに激しく相手を攻撃し、最終的にヤトちゃんがミチルを倒す。
「あーん、この時代でもヤトねぇに負けるなんて!」
「俺は最後に<蒸気騎士団任務完了>を発動、<怪盗ヤト>をセメタリーに送り、二枚ドローだ!」
<スリーカウント・デストラクションアップ>はターン終了時に対象となったモンスターを破壊してしまう。
そうするくらいなら、こうしてドローするべきだ。
ヤトちゃんもそれを解っているから、こちらを見て頷くと、姿を消した。
というか観客席に戻った。
「俺はカウンターエフェクトを二枚セッティング、これでターンを終了だ!」
「やってくれたね……パパ。でも次は、こうは行かないよ。私のターン!」
全く以てその通り。
ここで<クリスタル・ミチル>を倒したということは。
次に出てくるのは当然――
「さぁ、行くよ相棒! <極大古式聖天使 エクス・メタトロン>! このファイトに、決着を付けるんだ!」
かくして、ミチルのフィールドに。
俺の最強エース、これまで多くのファイトを共に乗り越えてきた相棒が、降臨した。