カードゲームで世界が滅ぶ世界に転生してカードショップを開店したら、周囲から前作主人公だと思われている   作:暁刀魚

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【番外編】社会科見学in闇札機関

「というわけで、これから闇札機関の普段の仕事内容を説明するぞ!」

「おー!」

 

 その日、俺たちはレンさんに連れられて闇札機関の本部にやってきていた。

 ちなみに“たち”っていうのは俺とエレアと、それからネッカやクローら小学生組である。

 なんか今度闇札機関で社会科見学をするって話をレンさんとネッカ少年がしていて、そこにエレアが口を挟んだのだ。

 何でも、以前行った時は施設しか紹介されてないから、色々見たいらしい。

 絵日記やエッセイのネタ集めって側面もあるんだろうな。

 んで、小学生組に俺とエレアが同行することになったわけ。

 ちなみに、小学生組はレンさんが案内するのに対して、俺たちを案内するのは……

 

「というわけで、今日はよろしくね。エレア、店長」

「よろしくお願いします!」

「よろしく、なんか悪いなヤトちゃん」

 

 ヤトちゃんだ。

 ちなみにハクさんはいない。

 どこ行ったんだろうな、あの人。

 ちなみに月兎仮面の衣装は全て脱ぎ捨てられていたという。

 こわっ。

 

「いいのよ、なんか大人二人を中学生が案内するってのも変だけど」

「それは今更じゃないですか! なんならヤトちゃん私よりしっかりしてると思いますよ!」

「理由が理由だけに微妙にツッコミにくいのやめような?」

 

 ずっと帝国で働かせられていたエレアが言うと洒落にならないから。

 普段のエレアが適当だって言うのはそうだが。

 

「まあそれはそれとして、実際闇札機関って普段どんな仕事してるんですか?」

「えーと確か、前回は日常の風景を見てもらったのよね?」

「ああそうだな、ノリが学校の部活って感じだった」

 

 闇札機関は学生エージェントだけで構成された機関だ。

 大人は全員事務員などの裏方なので、どうしても普段のノリは学生のそれに準じたものとなる。

 

「と言ってもねえ、うちって普段からパトロールとかしてるタイプの組織じゃないし」

「アレ、そうなんですか? 夜闇に紛れてビルの上を飛び回りながら悪の組織に備えてると思ってました」

「そこまでガッツリとしたエージェント組織じゃないし。レンさん的には、そう言うのかっこいいからやりたいみたいなんだけど。公認の組織で学生を深夜労働させられないから」

「ああ……」

 

 一応、事件が発生した時はその限りではないらしい。

 でも普段はそもそも夜に仕事をさせられないし、そもそもそう言うのはネオカードポリスの仕事だ。

 闇札機関の役割は、主に学生にエージェントの仕事を体験させて経験を積ませつつ、養成することらしい。

 

「だからどっちかいうと、ランク戦で実力を磨くのが仕事なのよねえ」

「漫画でたまにある、身内で競争ばっかりやってる漫画みたいです!」

「面白いわよね、身内で競争しかしてないのに」

 

 なんて話をしつつ、俺たちが向かうのは資料室だ。

 単純な話、組織の見学をする場合普通に行くと前回と同じく、食堂やファイトスペースを紹介されることになる。

 と言うか、小学生組はそっちを見学することになっているのだ。

 そちらはすでに見学したことがある俺たちは、こうして別の方向性から組織を知ろうとしているわけ。

 

「しかし、秘匿組織なのに小学生に見学させてもいいんですかね?」

「ああ、ネッカやクローはエージェント資格を特例で付与されてるから、権利があるんだ。周囲の友人達を含めて、天火市少年探偵団とか呼ばれたりすることもあるな」

「たまに新聞で見かけるわよね。少年探偵団の活躍」

 

 ZEXALでいうところのナンバーズクラブみたいに、子供だけで集まって事件を解決しようとする動きはこの世界にも存在する。

 大抵は危ないから、と大人に止められて解散させられてしまうんだけど、ネッカ少年達のようにすでにプロ級の実力を持つ小学生は、特例でエージェント的な活動が認められていたりするのだ。

 と言うか、そういう小学生って放っておくと事件に巻き込まれるので、何かしらの権限がないと後処理が大変と言う問題もある。

 なんていうかこう、ホビアニあるあるが現実になった結果、制度化が必要になったみたいな世知辛さを感じるな……

 カードで世界が滅ぶ世界にも、現実はあるのだ。

 

「というわけで、ここが資料室ね。これまで闇札機関が関わってきた、いろんな事件のことをまとめているわ」

「うわー、いっぱいあります!」

 

 膨大なファイルが、広い室内にところ狭しと詰め込まれている。

 なんというか、圧巻な光景だ。

 

「……まぁ、今の時代デジタルで資料はいくらでもまとめられるから、こうして紙にまとめてるのは半分くらい趣味なんだけどね」

「残り半分はバックアップか。まぁなんというか、レンさんに限らずここの人たちこういう雰囲気好きそうだしなぁ」

 

 ここに、闇札機関の歴史が眠っているという「それっぽさ」が大事なんだろう。

 エレアもわかるマンとなって、うんうんと腕組みをしながら頷いていた。

 

「一番最近の事件は……蒸気世界の事件になるのか? といっても、アレは直接機関が関わってないけど……」

「レンさんのお母さんに関わる事件ですし、機関の事件としてまとめておいていいんじゃないですか?」

 

 俺達は話をしながら、資料室の資料に目を通していく。

 資料は時系列順にまとめられているのか、一番端の資料にたどり着けばそこが最新の事件になっているはずだ。

 と思って見てみると……

 

「あれ、蒸気世界の事件じゃないな」

「やっぱ毎日世界が滅びかけてるわけですし、もうちょっと手前にあるのかもしれませんね」

 

 いいながら、俺達は資料を少し遡って確認する。

 適当にファイルを抜き出して中を見ると、天火市で中高生がダークファイターによって生贄にされる事件が発生していたらしい。

 最悪、邪悪の化身とよばれる悪魔のカードの封印が解かれてしまうところだったそうな。

 これもまた、世界滅亡案件だ。

 まとめられている資料は、どれもそんな危険度の高い資料ばかり。

 天火市で起きている事件がほとんどだ。

 だけど……なんか……

 

「全然身に覚えがないな……」

「事件起きすぎじゃないですか!?」

 

 俺達の結婚式直前にも、ヤトちゃん一家が外国で事件に巻き込まれて、到着が遅れかけてたことがあったわけだけど。

 それにしたって事件が多い。

 なんだったら、俺達が結婚式をしてた日にもなんか事件が起きてるぞ!?

 えーマジか知らんかった……

 

「ん、どうしたのふたりとも、そんなに資料を食い入るように見て」

「あ、ヤトちゃん! 何してたんですか?」

「ここに入れるよう頼まれてた資料を持ってきたの、ほら」

「うお、すごい数」

 

 ヤトちゃんがここに俺達を案内するということで、ついでに資料を放り込んでくれと誰かに頼まれたらしい。

 その数……えっと、十個くらいある!

 

「なんというか……普段こういうエージェント組織にかかわらず暮らしてると、全然実感しませんけど……この世界事件多すぎません!?」

「まぁ……その分解決するファイターの数も多いし、私たちは普通に回せてるわよ。ヤバいのは事務のほうね」

「そっちかぁ……」

 

 ファイターなら畑からいくらでも取れるけど、書類仕事は一朝一夕では身につかない。

 そういうところで、仕事ができる人に負担がかかるのはどんな社会でも変わらないんだなぁ。

 といっても、俺も書類仕事なんてやったことないから、手伝えることもないんだけど。

 前世から根っからの接客業畑でして……

 

「というか、最初の目的は蒸気世界の事件の資料を見ることだったんですよ!」

「ああ、それ? えーっと……あの辺りだったかしら」

「遠いな!?」

 

 ヤトちゃんは、俺達がいる時系列最新の資料の隣の隣の隣の隣の棚を指さした。

 まってくれ、蒸気世界の事件を解決してから二ヶ月経ってないぞ!?

 

「……ああ、もしかしたらふたりとも勘違いしてるかもしれないけど」

「けど……?」

 

 そこで、ヤトちゃんはどこか遠い目で語る。

 

 

「……ここにある資料、一年で部屋が一杯になるから、一年たったら破棄されるのよ」

 

 

 まじかぁ…………




コミカライズ版第二話①更新です。
コミカライズ版は色々使用カードが変わってたり変わってなかったり。
漫画版GXみたいなものです。

https://comic-growl.com/series/e8295aa9b2071

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