カードゲームで世界が滅ぶ世界に転生してカードショップを開店したら、周囲から前作主人公だと思われている 作:暁刀魚
ここ最近、変な噂が俺の周りを飛び交っている。
曰く、不審な仮面の女を見た。
一体何兎仮面なんだ……
ハクさんは数日前から行方不明になっており、家にも帰っていない。
こりゃどう考えても確定だろう……と言う空気が漂う中、ヤトちゃんはかなり気を揉んでいた。
と言うのもハクさんが、月兎仮面の衣装を脱ぎ捨てたまま失踪してしまったからだ。
朝、起きてこないハクさんを不思議に思ってヤトちゃんが見に行ったら、部屋には脱ぎ捨てられた痴女衣装だけが転がっていたらしい。
何てこったい。
ハクさんの衣装は魔法少女みたいに変身することで着脱が可能だ。
そしてどこかでハクさんが着脱を行えば、家にある衣装はそこへ転送される。
転送されないと言うことは、この数日ずっとハクさんは変身状態ということだ。
やっべえ。
「ほんと、どこ行ったのかしら、姉さん」
「全く足取りがつかめないんだろ? 噂だけが広がってるのに」
「そうね。闇札機関やネオカードポリスだけじゃなくて、父さんと母さんも捜索したのに見つかってないわ」
「プロのヒーローでもダメなのかあ」
そりゃ、本気でどうにもならないなあ。
ちなみにここで、俺は一発で状況を解決する方法があるんだが、自粛していた。
要するにハクさんをドローしてサモンすればいいんだけど、全裸のハクさんをサモンしかねないのだ。
流石にそれはこう……色々よろしくないだろう。
「そういえば、もう夜だけどエレアはまだ帰ってこないの?」
「ああ、絵日記のネタ枯渇がひどくて、その息抜きで散歩に出かけてるんだよ」
「……私、ここで一時間くらい色々やってたわよね?」
現在時刻は二十時半。
そろそろ店仕舞いという時間帯で、外はすっかり真っ暗だ。
ヤトちゃんは来たる失踪したハクさんとの対決に備えて、デッキの調整に店までやってきていた。
ついさっきまでクロー少年も店に居て、二人はフィールドを使ってスパーリングをしていたのだ。
「……ちょっと心配になってきたな。大変なことにはなってないだろうけど、変なことにはなってるかもしれん」
「奥さんなんだしもうちょっと心配してあげても……」
「今のエレアは自分の頭身を下げることで、危機的状況を奇怪な状況にできるから、そこは問題ない」
「信頼してるのね……」
うん。
とはいえ、状況確認は必要だ。
俺は早速バックヤードまで引っ込む。
まあないとは思うが、人にお見せできない状態でサモンされる可能性もあるからな。
ヤトちゃんしか居ないけど、一番見せたくない相手がヤトちゃんだろう。
俺は……妥協してくれ。
「というわけで、来い! エレア!」
イグニスボードを構えて、カードをドローする俺。
それはいうまでもなく、エレアのカードだ。
最近ちょっと頭身が下がったデフォルメイラストな偵察兵の方のエレアのカードがドローできた。
んで、呼び出すと……
「こ、これは……!」
俺は、そこでこれまで俺たちが見逃していた、ある
◽︎
「ええと、姉さんがどこにいるかわかったって、ほんと!?」
「正確にいえば、ハクさんが見つからない理由が判明した。この状態でハクさんを探せば、自然とどっかで見つかるはずだ!」
「そ、そうなの!? と言うかエレアはどうなったの!?」
「自室で寝かしてる! ファイトに負けて被害に遭ったからな、多分ここで決着つけるまで起きてこないよ!」
俺たちは夜闇を駆けていた。
店はどうせもう誰もこないので少し早めに店仕舞いして、ハクさんを探しに出たのだ。
と言うのも、サモンされたエレアの状態が、一発で今のハクさんがどうなっているかをはっきりさせる状態だったからだ。
これで状況は、事件解決パートに入ったと言える。
あとはファイトでハクさんを倒せば解決のはずだ。
「な、ならいいけど……とりあえずエレアはどうなったの!?」
「この辺りは人目が多い……あっちだ!」
「いやだから、エレアはどうなったの店長!」
すまんヤトちゃん!
こう言うのはなぜか勿体ぶる方が発見率が高くなるんだ。
マジで何それって感じだけど、ちゃんと統計的にも証明された法則なんだよ。
だからとにかく、あえて思わせぶりに動くことで、俺はハクさんの発見率を上げていた。
なお、この世界にはこの統計を知らなくても、勿体ぶる人が圧倒的大多数である。
レンさんとか。
「……なんか、圧迫感があるわね」
「多分、近いんだろう。この辺りには人気がない、露出するには最高の場所だ」
「真面目な顔で店長が変な解説すると笑っちゃうから、やめてもらってもいい?」
「ごめん」
そうこうしているうちに俺たちはあたりを引いたらしく、周囲に気配に圧迫感が生まれる。
強いファイターの威圧感は、人を慄かせるものだ。
これもまたその一種……に思えるが、多分違う。
なぜなら今のハクさんは……
「それで、教えてもらえるのよね。エレアがどうなってたのか」
「……俺たちがハクさんを見つけられなかったのは、全裸になってることを警戒したからだ」
「……そうね、ところでエレアは……」
「
俺はゆっくりと周囲を見渡して、観察する。
ここは公園、いかにも何かでそうで、周囲には誰もいない。
すると後ろから、ザッという足音が聞こえた。
「姉さん!?」
ヤトちゃんが叫び振り返る、そこには、
「ふごご、ふごごごふごご」
イグニスボードを構えて、全身をぴっちりスーツに覆われて顔をラバーマスクで隠した変態がいた。
「うわああああ!?」
ヤトちゃんがガチビビりした。
まあうん、想像以上にすごい光景だったからな、俺もちょっとビビる。
「ハクさんはきっと……露出しないことに目覚めたんだ」
「ろ、露出しないこと!?」
「ふごごごごごごご」
何言ってるかわっかんねえ……まあ多分同意してるんだろ。
「露出は興奮するけど、一切の露出がない不審者スタイルも興奮する……そう考えたんだ」
「ええ……」
あ、ぶんぶんと顔を縦に振っている。
あってた……あってて欲しくなかったなあ。
俺はこれを、エレアの惨状から推理したんだ。
ちなみにエレアは簀巻きにされてました。
本当はもっとぴっちりラバスーを着せられて拘束されるはずだったんだけど、三頭身になったことでそれを回避したのだろう。
「……ねえ、店長。聞きたいんだけど」
「なんだ?」
「私…………これとファイトしないといけないの?」
「ふごご!?」
あ、言っちゃった!
これって言っちゃった!
普段のハクさんは受け入れられていたヤトちゃんも、流石に今のハクさんはアレなんだろう。
気持ちはわかる。
しかしそんなヤトちゃんの冷めた視線に、何やらハクさんは反応していた。
これ呼ばわりでびっくりしただけだよな?
興奮してないよな?
「いやそもそも……ファイトできるの? 発声できないじゃない」
「ふごご!?」
「そこ考えてなかったの!?」
ハクさんがガチでしまったと言う雰囲気を醸し出している。
まったまった、ファイトしないと事態が解決しないのに、ファイトできないんじゃ意味ないぞ!?
えーい、しょうがない。
俺はイグニスボードからカードをドローすると……
「よしできた。マイクとスピーカーだ。マイクをラバーマスク内部に取り付けて、スピーカーから声が発声できるようにしたぞ」
「ねえ、これ突っ込むべきかしら。突っ込んだら負けじゃないかしら。姉さん以上の理不尽が今まさにこの瞬間私の目の前で行われてないかしら」
かくして!(強引な仕切り)
ついに発見された怪人「何も露出してない仮面」と、ヤトちゃんのファイトがここに始まろうとしていた!
「締めないで! 今まさに起きている天地創造を無視して締めないでぇ!」
「イグニッション!」
後半(存在しない)に続く!
漫画更新されてまぁす!
https://comic-growl.com/series/e8295aa9b2071
ちょっと忙しくてすっかり遅れてましたが更新されてまぁす!
なお次回の番外編は不審者関係なので本当に後半はないです。