泥に塗れた私たちへ   作:Ray May

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今までとこれからと、ですっ!

 

 

 

 ――本当にすごかったですよ!!

   私、部屋で一人で盛り上がってましたもん!!

 

 

 

 ――私のことはいいのよ。

そっちはどうだったの? トレーニングは順調だった?

 

 

 

 ――心配するべくもないです!

   この間もほんの少しですけど、タイムが縮まりました!!

 

 

 

 ――……そう。

まぁ、少しずつでも前進するのが大事よ。……

 

 

 

-◆◇◆-

 

 

 

 フェアリィルナとソードクレインが転校して、既に半年が過ぎた。

 

 放課後の廊下。フェアリィは寮室へ、クレインはトレーニングへ向かう途中の、僅かな時間。二人はいつものように、雑談に興じている。

 

「早いものね。ここを見てでっかーいって叫んでたのが懐かしいわ」

「そうですか? ついこの前叫んだとこですけど!」

「何言ってるのよ。もう半年近く前のことでしょ?」

「へ? 言いましたよ? 一昨日くらいにちょうど」

「あんた……私の与り知らないとこで何してんのよ……」

 

 そんな何度も叫ぶことあるか、と呆れながらも、まぁこの子ならあり得なくもないか、などと妙に納得もする。ともあれ……フェアリィルナの様子は、特段変わった様子はなさそうで、クレインはほっと胸を撫で下ろしていた。

 不安なところは合ったのだ。自分が遠征している間、挑んだ試合の結果は……知り及んでいたから。

 

「他の皆さんの勢いもすごいですよ! キタさんも、ダービーの雪辱を果たそうと気合い入れてるみたいです! 今度の菊花賞はすごいことになりそうですよ……!!」

「菊花賞か……」

 

 菊花賞。10月頃に開催される、クラシック戦線の最後を飾る一戦。自分たちが転校してきたのは11月。それを迎えるころには、転校から一年まであと少しになる。

 本当に時間というのは──早い。こうして過ごしていって、気が付けば卒業を迎えているのだろうな、とクレインはぼんやり考える。それと同時に、少し気になりもする。いざその時を迎えた時、自分は自分の思い描くような人物になれているだろうか、と。

 

 最悪、理想通りのウマ娘になっていなくともいい。少なくとも自分が――納得出来る自分で居られているだろうか、と。

 

 ……悔いを残さずに。

 走り切れているのだろうか、と。

 

「? クレインさん?」

「ん」

「いえ! ちょっと暗そうだったので! 大丈夫かなーと!」

「……うぅん。平気よ。気にしないで」

 

 ──時間が来る。

 ──日々が来る。

 

「それより、私たちも次に向けて頑張らないとね。まずは夏合宿からかしら」

「そうですね! 私も最弱なりに、頑張らせてもらう所存です! ……」

 

 ──時間が過ぎる。

 ──日々が過ぎる。

 

「――、――……」

「――! ――……!」

 

 来て、通り過ぎて、その果てで――

 何度も振り返り、思い出すことになる。

 

 ……二人にとっての。

 

 

 

 

 

 忘れられない一年が、

始まる。

 

 

 

 

 

Uma-musume

泥に塗れた私たちへ

run into the mudness

 

承章

 

-fin-

 

 

 

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