特別な青春を、キミと   作:おいしいこっぺぱん

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ep.2 この時点で怪しかったんですか?

あぁ スズ スズ

私の可愛い ■

いつか、貴方が…………

 

「ん~~~~~っ……」

 

朝5時。

普段はこんな時間に起きる訳もないのだが、流石に寒すぎて目が覚めてしまった。

なんだか不思議な夢を見ていたような気がするが…憶えていない。眠りが浅かった所為だろうか。

今はまだ大丈夫だが、このままこんな生活を続ければいくらこの体が頑丈だったとしても絶対に何処かで倒れてしまう。

 

「だからこそまずやるべきなのは…」

 

衣食住の安定化だろう。

衣食はとにかくお金が必要だ。早い内に働く場所を見つける必要があるだろう。

その為にも住…自分の身元とハッキリさせておかなくてはいけない。

 

「どう~…したもんかなぁ。」

 

主人公ってどうしてたんだっけ……えーっと…

初日で連邦生徒会長に編入手続きしてもらってたな……

 

「連邦生徒会の所に行けばなんとかして貰えるかなぁ~………」

 

とりあえず目的地はサンクトゥムタワーに決まった。

あそこなら迷わず向かう事が出来るだろう。ここからも見えるし……

正直、連邦生徒会ならきっとなんとかしてくれるだろうと思っているので

次に考えるのはどの学校に行くかだ。

ゲームの序盤では、どの学園に転入するかを聞かれてミレニアムサイエンススクール、トリニティ総合学園、ゲヘナ学園の3校から選ぶ事になる。

 

ストーリーの難易度で言えば一番楽なのはゲヘナ。風紀委員会√以外であれば難所らしい難所は風紀委員長ぐらいしか無い上、彼女はブルアカで有名な6つもある難所の中で一番難易度の低い相手だ。

ゲヘナに在籍している生徒も優秀であり、主人公の能力が一番上がりやすいのもあそこだろう。

しかしゲヘナは普通に生活するのなら一番無い。治安が悲惨過ぎる。そもそも私が主人公かどうかもわからないので戦闘能力が上がる保証がない。

そのうえ治安は悪いがストーリーは一番明るい。あそこなら放っておいて良いだろうし、必要な時に介入するだけでなんとかなるはずだ。

 

治安の話をするのなら、恐らく一番安定しているのはミレニアムだ。

技術力も凄まじいので、生活で不便を感じる様な事はないだろう。

しかし難易度が高い。一番高い。なんと言っても難所の1番目と3番目がミレニアムストーリーに居るんだから。

しかし主人公が関わらなければストーリーは動かないので、しばらく様子見が許されるはずだ。

 

だから…トリニティ!勝手に話が進む上に放置しておくと不味いトリニティにまず関わるのが一番良いだろう。

 

 

「無理ですね。」

「そうですかぁ……………………」

 

サンクトゥムタワー。連邦生徒会の生徒に「編入って出来ますか?」と聞いた所、名前と住所を聞かれ答えられず、素直に「忘れました」と言った結果無理と両断され今に至る。そりゃ、そう。

聞けば連邦生徒会は現在連邦生徒会長が行方不明になっており、機能する権限も少なく毎日ドタバタしているようだ。

連邦生徒会長が行方不明…やっぱり私の知る世界とは少し違うのだろうか…

しかし、少し遠くに居るが目立つキャラデザをしている彼女達に見覚えがある。

ならば行方不明になったのは私も知っている彼女だろうか。

ゲームとは歴史が異なっている?時系列が少し後だったりする?

それとも

 

「やぁ」

「わひゃっ!?」

 

そんな考え事をしていると、肩にポンと手を乗せられ声を掛けられる。

急な声掛けに驚き大きく体を震わせて身構えながらそちらの方を見る。

 

「…って、アレ!?昨日の……!?」

「や、奇遇だね。連邦生徒会に何か用があったの?」

 

そうして顔を見れば昨日、空腹に倒れた私を助けてくれた親切なあの人がそこに居た。

相も変わらず優しそうな彼は笑顔を浮かべたままこちらを見ている。

 

「あ、えーっと…その…」

「あ、先生。その子、編入したいのに名前も住所も忘れてるらしいんです。少し話を聞いてあげてくれませんか?」

「…なるほど?そう言う事なら、うん。この子の事は任せて。」

「ありがとうございます。それじゃあ、私は戻ります。後は先生がなんとかしてくれますからね。」

 

そう言って連邦生徒会の彼女はニコリと微笑んでその場を後にする。

一応「ありがとうございます」としっかりと頭を下げてから…先生、の方に向き直る。

先生…ゲームでは知らない人物だが、知らない学園か、あまりストーリーに出てこない教師だったのだろう。いやでも普通の人の先生って割と重要な存在だと思うから出てもおかしくないとは思うんだけどな……

 

「それで、名前も住所もわからないの?」

「あぁ…えっと、その…はい。」

「昨日はどうしたの?」

「えっと…なるべく雨風をしのげる場所を見つけたので、そこで……」

 

あはは…と笑うが、向こうは真剣な表情でこちらを見ている。

そんな顔で見られてしまうと、笑いも次第に小さくなっていき、なんだか申し訳ない気持ちで一杯になってしまう。

 

「ごめんね、ちゃんとあの時に何も持っていない理由を聞くべきだった。」

「いや…そんな、聞かれても、答えられたかは…わかりませんし、そもそも空腹なのを助けてもらったのでだいぶ感謝してますから…!」

「…うん、とりあえずはわかった。」

「ひとまず、シャーレで保護しよう。」

「……しゃー、れ…?」

 

 

『連邦捜査部S.C.H.A.L.E』通称シャーレ

彼を顧問とし、様々な学園に干渉出来るだけの権限を持つ超法規的機関。

彼…先生から教えて貰った内容は、私が全く知らない事だった。

連邦生徒会長の失踪に合わせて先生が呼ばれたのだから、当然ではあるのだが…

そうこう話を聞いてる間に、目的のシャーレ本部に辿り着く。

先生曰く、「シャーレで保護、という形でならキミの衣食住を保証することが出来る。」戸の事。

シャーレに所属は出来ないのか聞いてみたが、様々な理由があって生徒をシャーレ専属にするのは難しいとのこと。

あまり詳しくはわからないが、政治的な理由だと。

…そういえば、学園が実質的な国みたいな物だったんだっけ…。思ってたより色々難しい世界なんだな、ここ…。

 

「まぁ、とにかく何か困った事があれば何時でも頼ってね。居住区の部屋も、空いてる所を好きに使ってくれて大丈夫だから。」

「本当にありがとうございますぅ…!!!」

 

しかしこれでとりあえず住む場所に困る事は無くなった。

次に働く場所だけど…

 

「もしよかったら、シャーレで働かない?」

「えっ、でもさっき……」

「当番として来てもらう分には何も問題ない…ハズ!」

「……???」

 

シャーレ専属の生徒は不味いが、ただの無所属の生徒がシャーレのお手伝いとして居るのは問題ない、という事らしい。

いやホント、どう言う事なのかは全くわからない。

しかし正直ありがたい話だ。

仕事を探す必要もないし、先生には今の時点でも抱える程の恩がある。

少しでも仕事が手伝えれば、恩返しになるだろうか。

こちらの表情で受けてくれると思ったのか、「じゃあ、手続きをしておくね」と書類を手に取って記入を初めるが、途中でピタリと動きを止めて…

 

「…そういえば、名前……」

「あ゛……」

「…何か、思い付いたりする?」

「あ~…えーっと……」

 

名前か…これから先、その名前で過ごす事になるだろうから、しっかり考えて―――

スズ。

 

「………………」

「……牧名、スズ。」

 

何かを、感じたような気がした。

なんだか、この名前で居なくちゃいけない、そんな感覚。

……今の感覚は、一体なんだろう…?

私が不思議な感覚に戸惑っている間に、先生はササッと名前の欄を書いてくれる。

 

「…牧名スズ…ね。わかった。それじゃあ改めて、これからよろしく、スズ。」

「………あ、はいっ、よろしくおねがいします、先生。」

 

そうして私の学園生活が今日から始まる。

目標はブルーアーカイブの世界を平和に、楽しく!

 

「頑張るぞ~~っ!」

「あ、手続きは出来てないから今日は休んでてね。」

「……はい…。」

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