たあいのないはなし 作:にっきちょう
「バカ寒いな」
「暖房つけな?風邪ひくぞお前。なーんで毎度頑なに暖房つけねえんだよ。エアコンの機能にもあるし金に余裕が無い訳でも無えだろ」
「いやいや…俺はエアコンの機能も電気代も気にしてる訳じゃないから。むしろコレって風邪対策なのよ」
「何言ってんのお前」
「良いか?まず風邪をひきやすいタイミングはわかるだろ」
「季節の変わり目の話か?だから温度差を作んないようにしてるって話?」
「季節の変わり目が理由なのは正解だけど温度では無い」
「温度以外に理由があると?聞こうじゃありませんの」
「よーし完璧な理論を教えてしんぜよう。じゃあまず風邪の原因に着目するワケよ。寒さで免疫がどうのこうのはさておき、要は免疫が働くというのは病原菌が体に入ってるからだろ」
「想像以上にまともな切り口で来たな」
「で、夏には風邪をひきにくいのは湿気が多いもんだから病原菌が空気中に少ないのが理由なワケよ」
「まあそうらしいね。だから乾燥する時期は加湿するのがいいって言われてるんだろうし」
「つまり冬は乾燥しているから病原菌……ホコリやらが宙に舞いやすい」
「そりゃそうだけども」
「つまりエアコンのカビやホコリを放出すんのはやべえ」
「ハイ?」
「いやだからね?エアコンについたカビだのホコリだのがさぁ、暖房機能で風を送り込んだら湿気で落とされる事なく部屋ん中に放出されてしまうワケよ」
「どんな構造のエアコンでもなかなか無いだろそんな事」
「でも事実こないだつけたら白っぽい粉みたいのがぶわっとだな…」
「要はお前が度がすぎるレベルでエアコン掃除してないだけでは?」
「俺の建前を一文で破壊してくんなよ!」
「この話のどこに建前があったよ!建前にすらなってないよ!掃除しろよきったねえ!フィルターだけでも洗え!今すぐ!」
「このクソさみい時期に水仕事をさせんじゃねえよ」
「お湯で洗えば良いだろうがよ」
「フィルター歪まない?」
「お前んちのエアコンのフィルター蝋で出来てんの?」
「蝋で出来てるのがあるのか?」
「知らねえよおまえんちのエアコンに使われてる材質とか。でも暖房も使う器具のパーツに蝋は使わねえだろうよ」
「俺だって知らねえよ自分ちのフィルターの材質とか」
「私だって知らねえけどお湯で溶けない事くらいはわかるわボケ。不安ならぬるま湯にすれば良いだろ。どんだけ洗いたくねえんだ」
「だって開けた瞬間ホコリが舞う事が確定してるじゃんよ」
「それはお前の負債だから甘んじて受け入れろ」
「受け入れたら風邪ひくんだよ!」
「物理的にホコリ体内に受け入れろって意味では無えよ!マスクしろ!」
「マスク無えようち…なあ、買ってきてくれね?」
「おまえさては私が家に来たついでに掃除も手伝わせるつもりだな?」