原作と関わらないように生きようとしたら、メインヒロイン全員知り合いだった   作:荒星

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第10話

 年も明けた一月中旬の朝早くの学校。目覚まし時計がズレてしまっていて1時間ほど、早く学校に来てしまっていた。

 

「うわぁ……寒。いつも廊下は肌寒いけど、朝早いと余計に寒いなぁ」

 

 そんなこんなで玄関から廊下に差し掛かかり暫く歩いて居ると、向こうから先輩が何かを運びながらこちらに向かってくるのが見えた。

 

「え? 先輩? こんな朝早くにどうしたんですか?」

 

「ん? 有馬君じゃないか。君こそこんな時間に登校しているとは驚きだな」

 

「いえ、僕は時計がズレていて早めに起こされた挙句。更に早く起きたせいで寝ぼけながら支度してたんでそのまま家から出てきちゃったんですよ。一時間早いってことに気が付いたのは学校の外付け時計見てからでした……」

 

「なるほど、そうだったのだな。因みに私はちょっとした手伝いだよ。これを理科室まで持っていくんだ」

 

 先輩は肩を竦めながらそう言うと、ビーカーや様々なモノの入った箱を少し持ち上げて見せる。

 

「そうなんですね……僕持ちますよ」

 

「いや、これは私が任された仕事だからな」

 

「いえ、僕に持たせてください。どうせまだまだ時間ありますからね、とても暇です。それになんとなーくそういうの見ちゃって手伝わないのは、気まずいし居心地が悪いんですよ、僕が。てな訳で大人しく手伝われて下さい」

 

 僕がそう言いながら荷物を譲り受けると、先輩は微笑む。

 

「ふふふ、やっぱり君は本当におかしな人だな。……ありがとう」

 

 

 

 

 

 

 理科室に荷物を運び終わり、僕達は生徒会室で暇を潰していた。

 

「ほら有馬君、紅茶だ」

 

「ありがとうございます」

 

 少し肌寒い生徒会室に、紅茶の湯気が立ち昇る。僕は、手を温めるようにカップを手で包んだ。

 

「いやー、温まっていいですね」

 

「そうだろう?」

 

 それにしても、先輩はいつもこんな時間に学校に来ているのだろうか? そりゃあ部活の生徒は多少居るけども、好き好んでこの時間に学校に来る生徒なんてほぼいない。

 

「ところで、先輩っていつもこの時間に来てるんですか?」

 

「ん、ああ。私は基本いつもこの時間に居るぞ?」

 

 先輩はカップに口を付けながら、何てことなさそうに言う。

 

「え、そうなんですか? なんでこんな時間に……」

 

「いや、家に居づらくてね。いつもこの時間に来て、適当に暇を潰しているんだ」

 

 あれ、なんか僕聞いちゃいけない事聞いちゃった感じ……?

 

「あ、その。えっと……」

 

「気にすることはない、単に家庭環境的に気まずいだけさ。私の父はちょっとした財閥の当主でね」

 

「そうなんですね……」

 

 なんだろう。この話の流れ、どこかで見たような……。いや、気のせいだろう。けど、そもそも今の人生の10歳までの記憶も、僕の前世の記憶もどっちも何となくあやふやなんだよな……。

 大丈夫か? 僕。そう思いながら何かを思い出そうとして、一瞬ズキリと痛んだ頭を抑え、先輩の話の続きを聞く。

 

「ただ、父と言っても私は妾の子だ。いや、正妻が亡くなってから私の母は後妻に収まったから今はそう言えないのかもしれないが。ただ、正妻が亡くなったと言っても跡継ぎたる長男は既に居てな」

 

 先輩は皮肉気に微笑む。

 

「元々私は妾の子だったから、屋敷での扱いもそれ相応で最初から居場所なんてなかった。それについては良かったんだ、生まれた時からだったせいで慣れていたし。私は優しい母さえ居れば良かったんだ。けれど、後妻に上手く収まれたせいで母も欲が出たんだろうな……」

 

「それって」

 

「ああ、跡目争いという奴さ。そのせいで元々悪かった家の中の空気が最悪でね。更に言うと、最初から悪かった兄との仲も余計に悪くなった。兄は……私も仲が悪いからそう見えるのかもしれないが、小さい頃から余りいい性格とも言えないのでね。別段それについてはさほど問題ではない、だが」

 

「……」

 

「何よりも、後妻に収まるまでは優しかった母が豹変した事が一番辛かった。昔は、確かに親子揃って除者扱いだったさ。けど正妻が死んで立場を手に入れてから、母は立場に固執するようになった。そして、次に跡継ぎを産んだ親という立場を得るために、私に厳しく当たるようになった」

 

 先輩は一度紅茶を飲んで一息置くと、続きを語り始める。

 

「それからは……習い事や塾にも入れられたし、学校の成績と色んな事ができないとご飯を抜かれて一日中外に立たされる事もあった。だが、どこまでやっても私は凡人でね。母の期待に応えられず気がつくと全て諦めていて、私は次期当主に相応しく優れた人間だと言う無駄なプライドだけが残っていた。そのプライドも、それのお陰で友達も出来ずに周囲から孤立してしまい、ポッキリと折れてしまっていたがね。まぁ、そうやって何もせずに何もかも諦めたせいで母とも折り合いが悪いのさ。だから、家には余り居たくない。そんなところだな」

 

「そう……だったんですね」

 

「情けないだろう? 諦めて逃げて、流れ着いた先が今の独りぼっちでどうしようもない私。そういう事さ」

 

 そうやって、先輩は自嘲気味に言う。だけど、僕は……。

 

「どうしようもなくなんて、無いです。僕は先輩がどんな人か知ってます。それに、独りぼっちでもないですよ。少なくとも僕は、隣で支えます。尊敬してますし、何よりも先輩に助けられてますから。だから僕を頼って下さい。ってなんか口にすると恥ずかしいですね」

 

「そう、か……私は……独りじゃなかったんだな……」

 

 俯いてしまった先輩を、僕は黙って見守る。

 

「ありがとう、有馬君。頼りにさせてもらうよ」

 

「はい、任せてください」

 

 僕は胸を張って先輩にそう言い切った。

 

 

 

 

 その後、何事もなく学校が終わり放課後。僕は、同じ学年の生徒に呼び出されていた。




 土日が暇になったのに何故投稿出来なかったかだって? それはね……物語シリーズが悪いんですよ……。元々金曜から見返してたんですけど、偶々見つけた生放送でまさかの新作発表。FGOでマリーオルタ当てたから邪ャンヌの為の石集めつつ、興が乗って物語シリーズ全部一気に見返したら時間が溶けてました。申し訳ない。
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