原作と関わらないように生きようとしたら、メインヒロイン全員知り合いだった   作:荒星

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第3話

「ななな、何が気に食わなかったんだ? アレか? ドヤ顔してたからか? だからってその反応はないだろう!? 私頑張った! この一年間君を驚かせようとして自分磨きと会わないように徹底してたのにどうしてだ!?」

 

 

 

 さて、何故目の前のこの残念な生徒会長がメインヒロインだって事に気が付かなかったのか僕も今なら不思議に思えるが、それには理由がある。

 

 

 

 そう、凛子さんがあまりにも『ポンコツ』だからであるッ! 誰だ貴方は! いや、良く知る人なんだけど!

 

 

 

「無視か? 無視なのか? 泣くぞ? 私泣くからな? 他の有象無象なら兎も角、君に無視されたら耐えられないからな」

 

 

 

 本来ラスハでは鈴木凛子という人物は、凛々しいタイプの生徒会長でどちらかというと静かに語るタイプの人だ。本来の物語では幼少期からずっと何かを伝えるのが下手くそな上に、捻くれた態度でしか相手に接することが出来なかったらしく、中学時代のある時期から自分を優秀な生徒会長という役割に押し込む事にしたらしい。あ、ダメだこれ。今思い返すとまんま凛子さんだ。

 

 ……だってしょうがないだろ!? 内申点稼ぎの為に生徒会入ったら、イジメの一環で生徒会長にさせられた人が1人だけだし。なんかその人捻くれてるし口も悪いし……。まぁ根はすっごくいい人だったんだけど。声だって最初ボソボソ話してるせいで今は目の前で見た目も同じになったから明確だけど、途中から今の喋り方に変わっても気がつかないし! なんなら見た目なんて中学時代跡形も無かったし!?

 

 

 

「ぐすっ、ひぐっ。無視しないでくれよぉ」

 

 

 

 あ、ヤバい凛子さんが泣き出した。

 

 

 

「あぁ、はいはい。よしよーし」

 

 

 

 僕はうずくまって泣き出してしまった凛子さんに近づくと、小さい子をあやす様に頭を撫でる。

 

 

 

「うぅ、酷いじゃないか。自分で決めた事とは言え、君に会えない寂しい気持ちを抑えこんで頑張ったのに……。まさか、知ってたなんて言われる上に無視されるなんて聞いてないぞ……。ん? 知ってた? まさかスエヒロ君、もしかして私の事ストーk」

 

 

 

「してませんからねッ!? ほ、ホラアレですよッ! 自分の入学する学校なんだから、生徒会長が誰かくらい知ってますって!」

 

 

 

 全く自分の目の前に居るポンコツと、写真の凛々しい生徒会長は一致しなかったけど。ゲーム内では頼れるお姉さまって感じだったのに、目の前の凛子さんは完全に構って貰えず泣き出すわがままな子供そのものである。どうしてこうなった。

 

 

 

「まあ良い。それは兎も角、一年ぶりなんだから私を構い倒せ!!」

 

 

 

 改めて聞くよ、誰だ貴方は。いや、良く知ってるんだけどさ。ってなにこの自己矛盾。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「メェー」

 

 

 

「えっと、ヒロ? 大丈夫ですか?」

 

 

 

 羊が一匹羊が二匹、羊が……。よし、これは夢なんだから夢から醒める為に羊を数え……。いや、逆だな。あぁぁぁぁ……。

 

 

 

「ヴバァー」

 

 

 

「ヒロの口からナニカ形容し難い声がッ! 戻って来て下さいッ!」

 

 

 

「へぶッ!?」

 

 

 

 いい、ビンタだった。いやマジで。

 

 

 

「わわわ! ごめんなさい! なんか口から煙出てるし、目もグルグル回しながら変な声出してて不気味だったからつい!」

 

 

 

 え、あぁ。今は入学式の最中だった……。世界の理不尽に嘆きながら考え込んでいる内に、如何やら夢の世界へトリップしていたらしい。それにしても不気味って。

 

 

 

「あ、うん。ダイジョウブダイジョウブ。アリガトネ」

 

 

 

「い、いえ。どうかしたんですか? 随分とその……」

 

 

 

「ちょっと世界の理不尽を嘆いてて。って近い」

 

 

 

 僕がビンタの痛みに崩れ落ちていると、心配して顔を近づけてのぞき込んできたアイリスと目が合う。やっぱり間近に見るとすっごく綺麗だな……。聖女が誰かというニアミスを誘う役でもあるので、勇者と聖女の間にある子孫でこのお姫様凄く力が強いのだが、滅多に力を振るう機会だったり激しい運動する機会が無いので力加減が苦手だ。それに昔の勇者様の年齢である16歳に近づくにつれて、力が増していくというおまけ付きである。まあここに凄くドジな理由があるのだが。因みに幼馴染のアーサー君時代もバカ力かつ、運動音痴から繰り出されるドジな行動の数々に肝を冷やされたものである。今思うと大分制御出来た方だったんだ、昔はジャングルジム素手で曲げてたし。

 

 

 

「おーい、アイリス?」

 

 

 

「あ、ごめんなさい。ちょっと……。いえ、やっぱりなんでもないです」

 

 

 

 何故かしら僕の顔をじっと見つめるアイリスに耐え兼ね、声を掛けるとアイリスは不思議そうな様子で顔を離した。なんだろうか。

 

 

 

『1-A代表アイリスさん』

 

 

 

「はい」

 

 

 

 どうやらいつの間にか新入生クラス代表ごとの挨拶に移っていたらしい。アイリスは凛子さんに呼ばれ、ステージの上に登壇した。その後ゲームでは省かれていた演説に見とれていると、今度は愛華が1-Bの代表として呼ばれたようだ。ゲーム内では愛華の演説がCGとして描写されていたので、生で見ることが出来て感激しているとビンタされた頬が地味に痛んだので頬を抑えていると、アイリスが慌てたように僕の頬を抑えた。

 

 

 

「ご、ごめんなさい! 痛いですよね! 直ぐに治します!」

 

 

 

「あ、ありがとう」

 

 

 

 アイリスは前述した通り聖女と勇者の子孫なので癒しの力が使えるので、如何やらその力を使って僕の頬を治そうとしているらしい。瞬く間に頬が治ったので振り返ろうとした瞬間、刺すような視線を感じる。

 

 

 

『1-C代表 ハルトディートリッヒ君』

 

 

 

 周りを見渡すと、丁度演説が終わったのか僕の左横を通り過ぎようとしてこちらに胡乱な目線を向ける愛華。ステージ上で次のクラス代表を呼び出しながらも、絶対零度の視線を向ける凛子さん。そして何故か頬を染めているアイリス。

 

 

 

「いや、ホント」

 

 

 

 どうしてこうなったァァァァァァ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 これは本物に憧れた偽物な僕が、世界を救うまでの物語だ。




 因みに二話に追記したんですけど愛華と口調もろ被りするから、アイリスは基本敬語調にプロットで変えてたのに気が付いたらタメ口調に戻ってたので修正しました
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