原作と関わらないように生きようとしたら、メインヒロイン全員知り合いだった   作:荒星

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第5話 

 放課後。僕は生徒会室の向かい、生徒会長補佐なる役割を全うすべく生徒会室に居た。

 

 因みに、アステリズム学園での生徒会は流石に僕と凛子さんのみなんて、ズタボロ状態だった中学時代と違いちゃんと人が居る。部屋を見渡すと、原作通りのメンツが見えた。

 

 石塚正幸。眼鏡、生真面目、甘党な副会長。同学年だが、凛子さんを半ば崇拝し尊敬している。その生真面目さと、ちょっと神経質で嫌われて馴染めなかった所を凛子さんに拾われて生徒会入りしたらしい。主人公に良く絡んでくる嫌な役回りだが、決して悪い人間ではない。

 

 原田夏美。書記でサブヒロイン。ちょっと目つきが鋭くて赤髪ロングで凛子さんの友人。性格はキツめで凍てつく視線で自分と凛子さん狙いの男子を牽制しているが、攻略後はデレ過ぎてドロッドロに甘くなる。サブヒロインの中では一番人気。まあメインヒロイン三人の人気が高すぎるんだけど。

 

 武山玄武。見た目はガチムチマッチョの癖して、会計で数学好き。普段の言動も暑苦しく、数学以外は全て筋力で解決しようとするパワーファイター。因みに、生徒会のメンツ全員パーティーとして運用できるのだが、完全にスキルなども物理一辺倒で刺さるときは刺さりやすく、一番扱いやすかったりする。

 

 皇翔太。金髪でピアスを付けていて見るからにチャラい見た目で、言動も薄い本に出てきそうなレベルにチャラいがその癖初心(うぶ)。実家が大金持ちで財閥の坊ちゃん。何気にサイドストーリーが豊富に用意されてる謎の人である。

 

 そんな濃ゆーい生徒会メンツが今全員僕達、正確には僕のことをガン見していた。何故か……。

 

「スエヒロ君」

 

「はいはい、ハンコですね」

 

「スエヒロ君」

 

「紅茶です。ここに置いときますよ」

 

「スエヒロくーん」

 

「はいはい、書類の山もあと少しなのでもうちょっと頑張りましょうね」

 

「スエヒロくーん……。頑張ったから頭撫でてぇ……」

 

「よしよーし……」

 

 うん、これのせいですね。僕は涙ぐみながら幼児化した凛子さんの頭を、死んだような目で撫でる。

 普段の凛子さんは原作通りの振る舞いをしているから、学園では凛々しい生徒会長らしいし、その反応も当然なんだけど……。如何やら一年間自分で会わないと決めた癖して、大分精神に響いていたらしい。仮にも人前だというのに、人目に憚らず甘えてくるし。

 まあそれも驚きだろうけど、僕もだな。普段尊敬を集め誰もが羨望し、男女問わずに魅了する生徒会長様が男に。それも入ってきたばかりの新入生に甘えながらキャラ崩壊しているのだから。

 だがしかし、僕もこれを辞めるつもりは毛頭ない。何故ならもう既に不本意ながら、僕の魂に凛子さんは甘やかすものと刻まれているからだ……。

 

「……本当にスエヒロって何者? いや。あのほぼ人前では格好を崩さずに、私の前でさえ偶にしかそんな姿を見せない凛子がそんな調子なんだから悪い人じゃない。というか、昔からの知り合いって事なんだろうけど……」

 

 ちょっと困惑しつつもどちらかというと攻略後のような、柔らかい視線でこちらを見据えながら質問してくる夏美さんにドキッとした。すると、不機嫌そうな凛子さんに手を抓られる。

 

「痛ッ。ちょっと凛子さん、何するんですか」

 

「別に……」

 

 不貞腐れた凛子さんを撫でつつ、僕は夏美さんの質問に苦笑いしながら答えた。

 

「まあ、その通りです。中学校の生徒会で同じだっただけですよ。どちらかというと、凛子さんがこの学園ではしっかりしてたことに驚きですけどね」

 

 中学校時代の知り合ってからの後半、常にこの調子だったから全く目の前の猫みたいになってる人とメインヒロインの鈴木凛子が合致しなかったけど……。見た目も全く違うし。

 

「あ、そうだ。私もスエヒロ君の明後日の学園ダンジョン攻略について行くからな」

 

……はぁ? 聞き間違いだろうか、1年生の学園ダンジョン攻略に凛子さんがついて来るとか聞こえて来たんだけど。

 

「……聞き間違いですかね。凛子さんが学園ダンジョン攻略について来るって聞こえたんですけど、あれって一年生単独ですよね」

 

「ああ。だから先生方に適当な理由を付けて生徒会員を良く知ってもらい、交流する為と言う名目で付いていけるようにした」

 

「な、何故に」

 

 原作でそんな出来事なんてなかったぞ……? 本来主人公組が単独で閉じ込められて、教団に強化されたボス。それも本来あるハズの学園ダンジョンの保護機能すら無効にされた絶望的な状況を、ほぼ主人公の力のみで切り抜けたからこそ原作で凛子さんが主人公に目をかけ始めた訳なんだから、凛子さんが学園ダンジョン攻略について来るハズが無い訳で……。

 

「いや。普通に心配だからだな、君が。後君にカッコイイ所を見て欲しかったりもする」

 

「えぇ……」

 

 原作ファンの方ごめんなさい。僕しれっと原作崩壊しでかしました……。

 

 その後。生徒会の職務が終わり、帰宅しようとした最中に石塚副会長に呼び止められた。

 因みに凛子さんは、僕たちの学園ダンジョン攻略に付いて来る為の最終調整を職員室まで泣く泣くやりに行った。本気で付いて来る気なのか……。

 

「僕は、君の事を認めていないからな」

 

「……はぁ」

 

「今に見ていろッ! 必ず貴様の本性を暴いてやるッ!」

 

 このイベントって凛子さんが主人公に目をかけて生徒会入りさせた後、かつ好感度を一定まで上げてイベントも中盤までこなさないと発生しない奴なんだけど。

 なんで僕に矛先が向くわけ? あぁ、原作崩壊の音~……。

 

 

 

 そしていよいよ、僕達は学園ダンジョン攻略を迎えることになる。だけど、僕は知った気で居ただけだったんだ。この先何が起きるのかを。

 

 

 




 あぁ……。就活メンドクサイ。
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