星に導かれし者 ~戦闘狂の外部協力者は、転生した探偵見習い?~ 作:伊達 翼
結論から言おう。
コボルト討伐は無事成功したし、他の冒険者とエンカウントもしなかった。
とりあえず、一旦パーズへと帰還し、依頼達成を報告。
もちろん、街に戻る前にメモリは全て抜いておいたので、ベルトとナイトブレス以外は元の旅人装備に戻っている。
それから俺は立て続けにF級の討伐依頼を二つほど消化し、水のエレメントに属するメモリの感触を試した。
魚座は既に確認済みなので、蟹座と蠍座を簡単に説明しよう。
まず、蟹座の装身具は三日月型のペンダント、武装はなんというか…蟹の爪のようなモノが生えたちょっと厚めの追加装甲が覆われた篭手、みたいな感じだ。
正直、鉄拳を飛ばせそうな気がするが…まぁ、これは置いておく。
次に蠍座の武装は膝から下の足を覆う薄めな装甲の脚甲で、守護服は…赤紫色を基調にした羽織や袴といった和装のような衣装だった。
蠍座の守護服を着て魚座の武装を持ったら、気分的には新選組だったな。
まぁ、それはともかくとして…。
この水のエレメントに属するメモリ三本を使ってみて思ったのは…やはり、各エレメントによってある程度の法則があるのだろうな。
水のエレメントはほぼ和風な感じだったし。
残る火、地、風のエレメントがどんなもんかは明日以降だな。
流石に疲れたし…。
ただまぁ、E級の依頼を受けたおかげか、資金もある程度確保できたし、レベルも多少上がったので、その分のスキルポイントは隠蔽に注ぎ込んだが…。
これでしばらくは精霊歌亭を拠点に活動できるだろう。
とは言え、やはり最適なレベリング方法を確立しないと、まだまだ先が長く感じてしまう。
一番手っ取り早いのは、自分よりも上のレベルのモンスターを倒すことだが…流石に現時点でそれを行うほど、俺も無謀にはなれない。
青魔法もまだまだ未熟。最低でもレベル49には到達しておきたいが…。
さてはて、どうしたもんかね?
という考えをしながら、俺は今日も精霊歌亭で一晩を過ごすのだった。
………
……
…
翌日の昼頃か。
冒険者ギルドを訪れると、ケルヴィンさんがいた。
軽く話を聞くと、屋敷の使用人の募集をギルドで行ってもらっていたようで、ちょうど定員である二人の募集がきたらしい。
流石はA級冒険者。
屋敷を持っただけでなく、使用人も雇うとは…まぁ、あの規模の屋敷なら使用人くらい集めていても不思議ではないか。
ともあれ、その募集してきた人達の面接を行うとのことで、屋敷へと帰っていったが…。
その際、ケルヴィンさんの屋敷にまた招待されてしまった。
今度は平穏な時間を送り、有意義な情報交換をさせてほしいな…。
………
……
…
それから俺は着実に検証と依頼をこなしていき、気付けばE級へと昇格していた。
試験はC級からなので、まだいいが…。
試験となれば、青魔導士としての技量を示さねばならない。
そのためにも青魔法のスキルも上げて魔法のバリエーションも増やさねば…。
しかし、今は隠蔽が最優先。
D級ダンジョンに潜るか?
一応、E級冒険者になったからD級の依頼も受けられるが…。
ふむ、悩ましいところだ。
ちなみにあれから検証で使ったのは地と風のエレメントのメモリだ。
火のエレメントはこれからの検証になる。
これも簡単に説明しておこう。
まず、地のエレメントに属するメモリ…『
『牡牛座』
装身具はバンダナ。
守護服は緑を基調にした…不良マンガとかでよく見るような番カラファッションだった。
武装はハンマー。
『乙女座』
装身具は指輪。
守護服は水色を基調にしたパンツスタイルのセーラー服だった。
↑ここ大事!!
武装はハルバード。
『山羊座』
装身具はベレー帽。
守護服は黒を基調にしたブレザー制服っぽい衣装だった。
武装は大鎌。
という具合に地のエレメントは学校の制服っぽい感じと、両手で扱う系の武器だったな。
なんちゅう取り合わせじゃ…と思わなくもない。
しかし、オーク相手に善戦できたのはよかった。大振りなのが玉に瑕だが…まぁ、いずれも使い方次第だ。
それから風のエレメントに属するメモリ…『
『双子座』
装身具は一対二個のピアス。
守護服は黄色を基調にした医者が着るっぽい白衣のような衣装だった。
武装はトンファー。
『天秤座』
装身具は天秤型のブローチ。
守護服はピンクを基調にした司祭が着るような祭服っぽい衣装だった。
武装は戦輪…いわゆるチャクラムというやつだ。
『水瓶座』
装身具はマフラー。
守護服は蒼を基調にしたスーツのような衣装だった。
武装は双銃。
という具合に今度は何らかの正装?っぽい感じに、両手でそれぞれ持つ感じの武器だった。
つか、水瓶座…。異世界ファンタジーに銃を持ち込んでいいのか?
組み合わせによっては動きづらいことこの上なかった。
しかし、だ。これもまた使い方によっては化けるので、何とも言えない。
ともあれ、こんな具合に一つの依頼に対して各エレメントのメモリをローテ気味に使ってみたが…なかなかに面白い。
ネクサスの反映効果がわかれば、マジで組み合わせ次第でなんとでもなる気がしてきた。
流石はS級装備群といったところか。
ついでに言うと、守護服はメモリの色がそのまま反映されてるっぽい。
さて、残るは火のエレメントだけか。
D級の討伐依頼で試してみるか?
………
……
…
という感じでこの二日は過ごしてきたのだが…。
今日も今日とて依頼をこなそうとか、火のエレメントをどう使うか、そんなことを考えながら精霊歌亭の酒場にいた俺だったが、不意に精霊歌亭にやってきたケルヴィンさんに手招きされて呼び出しをくらった。
何事?
首を傾げつつも先輩冒険者だし、ここは言うことを聞いておこうと思ってついていくと、先日まで見なかった女性やら少女やらが四名ほど増えていた。
はて、この間、ジェラールさんに紹介されたメンバーとは違うぞ?
いや、紹介されたメンバーもいるけどさ。
と思ってよく観察してみたのだが…女性と少女の内は一人ずつはメイド服を着ている。そうか、この二人はこの間、雇ったという使用人の人達か。
となると、残る女性と少女は?
女性の方は腰よりも長い蒼白い髪に蒼い槍やら軽鎧を身に着けた…向こうの世界だと高校生くらいだろうか?…可愛らしくも美しい女性だった。
で、もう一人の少女の方はショートカットの黒髪…この世界の黒髪率がわからないから何とも言えないんだが、珍しくはないのだろうか?…と細身で色白、かつ小柄な体型の少女だった。
三日前くらいにはいなかった面々に俺の疑問はますます大きくなった。
ただ紹介するだけなら屋敷に呼び出せば済むこと。
ならば、何故こんな外での顔合わせなのか?
というか、そこまでする必要があるのか?
会ってまだ一週間も経ってないぞ。いくら転生者のよしみ?とは言え…。
「シノブ。紹介するよ。屋敷で雇うことになった使用人の『エリィ』と『リュカ』、新しく仲間になった義妹の『リオン』、それと少し別行動してた『メル』だ」
「は、はぁ…シノブです。てか、妹さんがいらしたんですね」
ケルヴィンさんの紹介に俺も反射的に頭を下げて答える。
「義理だけどな?」
「えっと、リオンです。ケルにいを追って来ちゃいました。よろしくお願いします!」
「メルと申します。あなたのことは夫から色々と聞いてますよ♪」
「夫?」
メルさんの言葉に最初ジェラールさんを見たが、すぐにケルヴィンさんの方に見直す。
「シノブよ。何故儂を見た?」
「いや、
「トシノサコンとは何ぞ?」
この反応からジェラールさんは除外していいな。
つまり、そういうことか?
「ケルヴィンさん、既婚者だったんですね」
「待て。色々と待て! なんだ、その物凄い察する能力は!?」
「探偵としては当たり前の観察眼ですが?」
まぁ、手伝いばっかしてたから、ほぼ見習いだったけど…。
「「「「「タンテイ?」」」」」
「シノブさん、探偵だったの!?」
他の方々が首を傾げる中、リオンちゃんの反応が凄まじい。
はて、これはもしや…?
「あなた様。そろそろ脱線から修正しないといつまでも行けませんよ?」
「そ、それもそうだな…」
それを見てか、メルさんがケルヴィンさんに進言し、ケルヴィンさんも咳払いをしてから本題に入った。
「実はこれからリオン達のレベリングをしに行くんだ。シノブもよかったら一緒に来るか?」
「………………え?」
ケルヴィンさんからの思わぬ提案に俺はきっと間抜けな表情を晒しただろうな。
これはこれで棚ぼた状況だが…火のエレメントが使えなくなるような…。
いや、でもせっかくの機会を逃すわけにも…。
でも、これ…見方によっちゃ『寄生プレイ』だよな。ゲームではないけど、サブカル文化人として、これは…。
むむむ…。
そして、俺の出した答えは…。